認知症は高齢者がなりやすいものと考えている方は多いでしょう。
実は認知症は、20歳前後の若い方でもなる可能性があります。
そこで今回の記事では以下のことを中心に解説していきます。
- 認知症は何歳からかかる病気か
- 若年性認知症の原因
- 若年性認知症の中核症状と周辺症状
- 認知症の予防方法
- 認知症の治療方法
ぜひ最後までお読みください。
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認知症には何歳からなることが多い?
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前述したように、認知症は若い方でも発症する可能性があります。
特に18歳から65歳未満の非高齢者が発症する認知症を、若年性認知症と言います。
厚生労働省のHPで公開されている令和2年若年性認知症実態調査結果概要では、全国の若年性認知症患者は、約3万5700人と推計されました。
人口10万人あたりに換算すると、50.9人の割合です。
中には、10~20代で若年性認知症を発症する方もいます。
10~20代で若年性認知症を発症している人数は人口10万人あたりに換算すると、3.9人の割合です。
若年性認知症の主な種類は、アルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症の3つがあります。
主な症状には、高齢者の認知症と同様に、中核症状や周辺症状があります。
多くは働き盛りの方が発症するため、収入がなくなって経済的に困窮しやすいという点が高齢者の認知症とやや異なる点です。
認知症と聞いて、自分には関係のないことだと考えていませんか?現在、認知症の方が増加している中、いつ自分や親族が認知症を発症してもおかしくありません。この記事では若年性認知症とは何か若年性認知症になったらど[…]
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若年性認知症の原因
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脳が萎縮すると認知症になる可能性があります。
若年性認知症の主な原因について見ていきましょう。
遺伝的要因
若年性認知症のうち、若年性アルツハイマー型認知症は遺伝的要因が指摘されています。
発症年齢が30歳~60歳と若いことが特徴です。
若年性アルツハイマー型認知症のほとんどは、特定の遺伝子が原因といわれています。
薬物乱用
薬物乱用も、認知症の原因の一つです。
薬物乱用とは、医薬品を本来の用法用量から逸脱して服用することや、医療効果のない薬品を違法に使用することを指します。
薬物乱用は、脳を萎縮させる原因となり結果として認知症を引き起こします。
飲酒・喫煙
大量飲酒は、脳の萎縮を引き起こします。
つまり大量飲酒は、認知症のリスクが高くなっていきます。
また、喫煙も脳を萎縮させる原因となり得ます。
禁煙は認知症予防にとって非常に有効です。
生活習慣病
生活習慣病は、認知症の発症リスクを高めます。
例えば高血圧症の方は、高血圧症が原因で血管が詰まったり、壊れてしまったりすると血管性認知症が発症する可能性があります。
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若年性認知症の症状
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認知症の症状は、中核症状と周辺症状に分けることができます。
中核症状は脳神経細胞の壊死により、認知機能が低下することであらわれる症状です。
一方、周辺症状は、中核症状の進行に伴ってあらわれる症状です。
若年性認知症の中核症状
まずは中核症状についてそれぞれ解説していきます。
記憶障害
記憶障害は、認知症の代表的な中核症状です。
特に、アルツハイマー型認知症で目立つ症状でもあります。
何歳からであっても、認知症による記憶障害が起こると、新しい情報を覚えるのが困難になります。
また、認知症による記憶障害は、体験を丸ごと忘れる、忘れたことを忘れるといったことが単なる物忘れと大きく異なります。
見当識障害
見当識障害は、時間・場所・人の認識ができなくなる障害です。
例えば以下のようなものがあります。
- 真夜中に、真昼と勘違いして外出しようとする
- 真夏に真冬の格好をする
- 近所で迷子になる
理解力・判断力の低下
理解力や判断力が低下すると、物事を理解したり正しい判断を下したりすることが難しくなっていきます。
周囲の状況や様子から、将来的な予測を立てることも困難です。
実行機能障害
実行機能障害は複数の情報を処理し、順序立てて考えることが困難になっていく症状です。
具体的には料理や、リモコンの操作ができなくなることがあります。
不安定な感情
感情の起伏が大きくなります。
脳の萎縮に伴い、感情がうまくコントロールできなくなることが原因です。
若年性認知症の周辺症状
周囲の環境や本人の性格に原因があるため、症状のあらわれ方や程度には個人差があります。
うつ
自発性が低下し、何事にも意欲がわかなくなる状態です。
理由もなく気分が落ち込んだり、焦燥に駆られたりするなど、精神的な不安定さも見られます。
妄想
家族に財布を盗まれるといったもの盗られ妄想は、認知症による妄想のうちの一つです。
若くして認知症になったことにプライドが傷つき、自身の仕事のミスを「同僚の罠だ」と言う妄想にすり替えるケースもあります。
幻覚
幻覚は現実には存在しないものが、実際に存在しているかのように見える症状です。
例えば「枕元に知らない子供がいる」と言って、本気で怖がるケースがあります。
徘徊
徘徊とは、認知症によって出かけた目的や帰るべき場所を忘れるといった理由で、歩き回ることを言います。
例えば、仕事に行こうとして職場の場所が分からなくなり、徘徊に至るケースがあります。
認知症は高齢者が発症するイメージを持っている方が多いです。しかし、認知症は高齢者の方に限った症状ではありません。若い世代の方でも発症する「若年性認知症」をご存知ですか?今回は若年性認知症の症状について以下の点を中心にご紹介します[…]
認知症の予防は何をするべき?
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認知症は、生活習慣によって発症リスクを下げることができると言われています。
誰にでも起こりうる病気であるため、今からすぐ予防を心がけましょう。
健康的な食事
食事は、認知症を予防するうえで大切な要素の一つです。
栄養が偏ると、生活習慣病にかかる可能性があります。
生活習慣病にかかると認知症になるリスクが高くなるでしょう。
認知症のリスクを下げる効果があるとされる食べ物をバランスよく食べることが大切です。
認知症予防に効果のある食品は以下の通りです。
- 青魚・魚
- 緑黄色野菜・その他の野菜・果物
- 大豆・大豆製品・豆類
- 緑茶・コーヒー
- 赤ワイン(適量)
- オリーブオイル
- カレー
適度な運動
適度な運動は、肥満防止や生活習慣病の予防に役立ちます。
そのため、間接的な認知症予防に役立ちます。
また、運動することは、脳の運動機能を使うことでもあります。
つまり、適度に身体を動かすことで、適度に脳を使うため、脳の活性化が期待できます。
知的活動
脳は、何歳からでも活性化させることができます。
例えば、簡単な計算をしたり、文章を読解したりする知的活動があります。
絵画・音楽鑑賞や博物館めぐりを通して想像力を働かせることも知的活動にあてはまります。
認知症の進行を遅らせるには
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認知症の多くは、完治は見込めません。
しかし治療次第では、進行をゆるやかにできます。
認知症の治療には、薬物療法と非薬物療法の2種類があります。
薬物療法
薬物療法は、中核症状に対処する方法と周辺症状に対処する方法があります。
中核症状に対処する方法では、主に抗認知症薬が用いられます。
抗認知症薬には脳の情報伝達を助けることで、認知機能の低下を軽減する作用があります。
周辺症状に対処する方法では、向精神薬や漢方を用いることが一般的です。
抑うつや無関心などの不安症状は、脳のストレスとなり、認知症を悪化させるおそれがあります。
向精神薬は、気分を落ち着かせたり、反対に元気を出させたりする作用があります。
いずれも脳がリラックスするため、認知症の進行の抑制が期待できます。
非薬物療法
薬物を利用しない治療法です。
リハビリや訓練によって、脳を活性化させることで、認知機能の維持を図ります。
脳の活性化は何歳からでも可能であるため、非薬物療法はとても重要です。
非薬物療法は、特別なリハビリだけとは限りません。
例えば、一緒に家事をする、できる範囲で仕事を続けるなども、非薬物療法にあてはまります。
特に若くして認知症になった方は、精神的ダメージが大きいです。
プライドが傷ついたことから、閉じこもりがちになることも少なくありません。
閉じこもりがちになると、脳への刺激が減るため、認知症の進行に拍車がかかります。
できる仕事はなるべく任せるなどして、本人の自信を高めるような工夫をしましょう。
認知症は何歳から発症するのかのまとめ
ここまで、認知症は何歳から発症するのかについて書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 認知症は、何歳からでも発症する可能性がある
- 若年性認知症の原因は、遺伝・生活習慣病・飲酒・喫煙・薬物がある
- 若年性認知症の中核症状は、記憶障害・判断力の低下・見当識障害がある
- 若年性認知症の周辺症状は、抑うつ・妄想・幻覚・徘徊がある
- 認知症は、運動・食事・脳トレといった普段の生活習慣で予防できる
- 認知症の治療法は、薬物療法と非薬物療法の2種類がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。