糖尿病患者の場合、認知症発症リスクが高まるといわれています。
糖尿病は、インスリンの異常分泌によって起こる病気です。
インスリンと認知症にはどのような関係があるのでしょうか?
今回、インスリンと認知症の関係についてご紹介した上で、その対策や対応方法についてもご紹介します。
- インスリンの分泌異常で引き起こされる病気とは
- 施設入所で気を付ける点とは
- 自己注射できなくても自宅で暮らす方法とは
認知症の方が、インスリン注射による治療を行う際の参考にしていただけたら幸いです。
是非最後までご覧ください。
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インスリンとは
インスリンという言葉を聞いたことはあるけど、具体的にどういったものなのかあまり理解していない方も多いかと思います。
そこで、以下項目ごとに詳しく解説します。
インスリンについて
インスリンとは膵臓内のホルモンの一種です。
血中のブドウ糖濃度が上昇すると、膵臓がそれを感知しインスリンを分泌します。
糖代謝に働きかけることで、血糖値をコントロールすることができます。
ブドウ糖自体は、身体を機能させるためのエネルギー源として活用されます。
余ったブドウ糖はグリコーゲンや中性脂肪に合成して身体内に貯蔵されるようになります。
インスリンの役割は、合成を助けることです。
インスリンの分泌が弱まると、血中内のブドウ糖濃度を抑えることはできません。
糖尿病とインスリン
糖尿病とは、インスリン分泌低下により、慢性的に血中内のブドウ糖濃度が高い状態です。
糖尿病は、網膜症、腎機能障害、神経障害などの合併症を引き起こします。
網膜症になれば視力を低下させ、全盲になってしまうこともあります。
腎機能の悪化が進めば、透析治療が必要になる方もいます。
血糖値が高いだけだと、糖尿病を侮ってはいけません。
糖尿病治療では、内服薬またはインスリン自己注射によって血糖のコントロールを図ります。
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インスリンと認知症の関係
多くの調査で、糖尿病を患っている場合、認知症を発症しやすいと指摘されています。
以下、インスリンと認知症の関係について説明します。
アルツハイマー型認知症とインスリンの関係
アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβとタウという特殊なたんぱく質が蓄積することによって、脳機能に異常をきたし発症する認知症です。
インスリンはアミロイドβを分解する作用をもつとされています。
インスリンの分泌機能が低下することで、アミロイドβを蓄積させてしまいます。
その結果、アルツハイマー型認知症の発症につながります。
実際、糖尿病にかかるとアルツハイマー型認知症に約2.1倍なりやすいといわれています。
高血糖と認知症
高血糖状態が続くと血管が障害を受け、動脈硬化を引き起こす可能性があります。
動脈硬化は、脳卒中の原因となり、脳卒中もまた認知症の原因となる疾患です。
脳卒中が原因で発症する認知症を血管性認知症といいます。
いずれにしても高血糖はさまざまな認知症を引き起こす原因となります。
低血糖と認知症
低血糖についても認知機能を低下させる原因になることが指摘されています。
低血糖は突発的な意識障害の出現など、認知機能を著しく低下させる可能性があるため注意しなければなりません。
中でも、重症低血糖は認知症のリスクと深く関係しています。
糖尿病の方の認知症対策
糖尿病はさまざまな合併症を引き起こすほか、認知症につながる危険性もあるため対策が必要です。
糖尿病では薬物療法と食事療法によって治療が行われます。
薬物療法は、医師の指示のもと治療を受けましょう。
しかし、内服薬やインスリン注射の管理だけでは糖尿病自体の根本的治療にはならないこともあります。
さらに、生活習慣の見直しが重要になります。
食生活の見直しは、最も重要です。
内服薬やインスリン自己注射を使用しても、正しい食事管理をしなければ意味がありません。
高カロリーな食事や糖質ばかりを摂り続ける食習慣は、糖尿病を悪化させる原因になります。
食事内容によっては血糖値が定まらず、高血糖状態や、低血糖状態を引き起こしてしまう場合もあります。
また、適度な運動も必要な糖尿病対策です。
脳の血流増加にもつながるため、認知症予防にも効果があるとされています。
インスリン注射と介護施設入居
糖尿病患者の認知症が進行すれば介護施設への入所が必要になる方もいます。
以下、インスリン注射が必要な疾患と施設入居について説明します。
インスリン注射が必要な疾患
糖尿病には「一型糖尿病」と「二型糖尿病」があります。
原因や行われる治療に違いがあります。
一型糖尿病
一型糖尿病は、膵臓内にあるβ細胞が破壊されることで、インスリン分泌に異常をきたしたことが原因で起こります。
一型糖尿病は進行性の病気です。
悪化するにつれてインスリン分泌ができなくなるため、インスリン注射が必要です。
二型糖尿病
二型糖尿病は、遺伝的体質と食生活をはじめとする生活習慣の乱れから発症する糖尿病です。
インスリン注射ではなく、適切な食事管理、運動習慣、内服薬での治療から開始されます。
症状が悪化すればインスリン注射を使用する場合もあります。
介護施設の選び方
インスリン注射による治療を行っている場合、施設によって対応できない場合もあるため気をつけなければいけません。
インスリン注射を自分で管理できないことも少なくありません。
その場合、看護師が勤務している必要があります。
インスリン注射を行う回数によっては対応できないとしている施設もあります。
インスリン注射は介護スタッフが取り扱うことはできず、看護師がいない施設では入居を断られてしまうこともあります。
介護施設を選ぶ際は、看護師が常駐しているか、注射回数に対応しているかの確認が必要です。
入居条件
インスリンを自己注射できる場合には、施設に看護師が常駐している必要はないため、入居できる施設の幅が広がります。
ただし、将来自己管理ができなくなった場合には施設を退去せざるを得ないこともあるため、事前に入居条件の確認が必要です。
入居リスク
介護施設入所のリスクの一つとして、金銭的リスクがあげられます。
看護師が勤務する施設は、料金が高くなる傾向にあります。
また、医師や看護師が常駐している施設に、介護老人保健施設があります。
しかし長期的な入居ができないため注意しなければなりません。
リスク回避のためには、施設入居費用や入居期間などについても事前に調べておく必要があります。
自己注射できなくても自宅で暮らしたい!
インスリン注射の管理ができなくなったとしても、必ずしも施設への入居を考えなければいけないわけではありません。
介護保険サービスによる在宅介護サービスを上手く利用することで、自宅での生活が可能になります。
たとえば、介護保険や医療保険による訪問看護を利用することです。
インスリン注射を行う時間に合わせて看護師が自宅に訪問してくれます。
介護保険は、要支援・要介護認定を受ける必要があります。
そのほか、看護師が常駐しているデイサービス事業所の利用によって、インスリン管理することも可能です。
要介護度が低い場合には、サービス利用限度額を超えてしまう可能性があります。
インスリンと認知症のまとめ
ここまでインスリンと認知症の関係の情報や、その対策・対応方法などを中心にお伝えしてきました。
- インスリンの分泌異常によって糖尿病が引き起こされる
- 介護施設を選ぶ際は看護師が常駐しているか、注射回数に対応しているかなどに注意をする
- 自己注射ができない場合は、訪問看護サービスを依頼する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。