記憶障害や見当識障害など、さまざまな症状が現れる認知症。
認知症は早めの治療が非常に大切であり、その方法はいくつかあります。
認知症の改善方法について、気になっている方も多いのではないでしょうか?
今回は、認知症を改善するための方法である薬物療法と非薬物療法について詳しくご紹介します。
- 認知症を改善させる薬物療法
- 認知症を改善させる非薬物療法
- 家族との信頼関係について
認知症治療の効果を高めるためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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根本的な治療法は見つかっていない
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認知症は放っておくとどんどん進行していきます。
そのため、早期発見と適切な治療が不可欠です。
しかし、認知症の根本的な治療法は現在も見つかっていません。
認知症治療においては、進行を遅らせることや症状の改善が目的です。
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認知症を改善させる方法
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認知症の症状は、どのように改善すればいいのでしょうか?
認知症の主な治療法である、薬物療法と非薬物療法の大きく二つに分けてご紹介します。
薬物療法
認知症の薬物療法で使用される薬は、以下の通りです。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは、認知機能の改善に効果のある薬です。
アセチルコリンとは神経伝達物質の一つであり、記憶や学習などの認知機能を保つ役割を担っています。
しかし、認知症の方はアセチルコリンの活性が低く、それに伴い記憶障害などの症状が現れると考えられています。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、アセチルコリンなどの神経伝達物質を分解するアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害し、アセチルコリンの濃度を高める作用があります。
そのため、認知機能の改善を期待できます。
認知症の治療に使用されるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、アリセプト、レミニール、イクセロン・リバスタッチです。
個人差はありますが、副作用としては吐き気や食欲不振などの消化器系症状が現れることが多いです。
また、イクセロンパッチやリバスタッチパッチは貼り薬のため、皮膚の痒みや赤みなどの皮膚症状が現れることがあります。
NMDA受容体拮抗薬
NMDA受容体拮抗薬として認可されている薬にはメマリーがあります。
実は、アセチルコリンのほかにグルタミン酸という神経伝達物質も、記憶や学習などに関わっています。
しかし、認知症の発症原因と考えられている異常なたんぱく質が脳に蓄積されると、グルタミン酸が過剰分泌されます。
それに伴って脳神経細胞が傷つけられ、記憶障害や学習機能の障害などが現れると考えられています。
メマリーはグルタミン酸の過剰分泌による脳神経細胞の損傷を防ぎ、記憶障害や学習機能の障害などを抑える作用があります。
主な副作用は吐き気や食欲不振などの消化器系症状と、めまいや眠気などの神経系症状です。
睡眠薬
加齢に伴い生活リズムを整える体内時計の機能が衰えるため、睡眠障害が起きやすくなります。
特に認知症の方は夜間に十分眠れないことから、昼夜逆転が多くみられます。
また、悪夢を見て大声で叫んだり暴れたりするといったレム睡眠行動障害が起こることもあります。
こういった睡眠障害が発症すると、日中にボーッとすることが多くなり、生活の質が低下する原因になります。
そのため、睡眠薬が使用される場合があります。
しかし、ふらつきや転倒のリスクが生じるため、作用時間が短い薬を使用することが多いです。
また、医師や薬剤師と相談しながら薬の量を調節することも重要です。
抗不安剤
認知症では強い不安や興奮、妄想などといった周辺症状が現れることがあります。
周辺症状は本人の負担が大きいことに加え、介護にあたる家族にとってのストレスも計り知れません。
場合によっては抗不安剤が使用されることがありますが、基本的に使用するべきではないと考えられています。
抗不安剤の作用は個人差が大きいうえに、会話や身動きすらできないといった重度の副作用を生じるリスクが高いです。
そのため、やむを得ず使用する場合は、医師の判断のもと慎重に使用する必要があります。
非薬物療法
非薬物療法とはその名の通り、薬を使わない治療方法です。
具体例をいくつか紹介します。
認知リハビリテーション
認知リハビリテーションは計算、パズルなどの脳トレや、料理や手芸などの作業を行うことで認知機能を高める効果があります。
問題を解いたり自分の作品を完成させたりすると成果が目に見えるため、自尊心や自信の回復にも繋がります。
また、認知リハビリテーションは人と交流をしながら取り組むことが多いです。
そのため、認知症の方が抱えやすい孤独感を解消し、人と関わることで安心感を得られる効果も期待できます。
園芸療法・音楽療法
園芸療法・音楽療法は、認知症に効果的な非薬物療法の一つです。
園芸療法は実際に植物に触れることで癒し効果が得られ、ストレス解消に繋がります。
また、土をいじったり花に水をやったりするなどの一連の動作が、運動機能や筋力を高める効果も期待できます。
さらに植物の成長を見ることができるため、達成感を得られ、未来へ対する期待も生まれます。
音楽療法は認知症の方が好きな曲を聞いたり歌ったり、さらには楽器を演奏したりすることで脳の活性化が期待できます。
また、発語や意思疎通が困難な方でも、音楽を通して感情を表に出し、コミュニケーションが取りやすくなります。
表情が乏しい方でも笑顔が見られることもあり、音楽がもたらす影響はとても大きいといえます。
リアリティ・オリエンテーション
認知症の中核症状の一つに、場所や時間などを正確に認識できなくなる見当識障害があります。
リアリティ・オリエンテーションは現実認識を深め、見当識障害の改善を図る療法です。
クラスルームリアリティ・オリエンテーションと、24時間リアリティ・オリエンテーションの二種類あります。
クラスルームリアリティ・オリエンテーションは、少人数のグループで行います。
スタッフがプログラムに沿って参加者の名前、場所や季節などの情報を提供し、会話を進めていきます。
24時間リアリティ・オリエンテーションは一人一人の状態に応じ、個別で行うものです。
スタッフが日常会話の中で、時間や場所などの情報を自然な形で伝えます。
たとえば、「桜が咲いていますね、春ですよ」「今日は天気が良くて暖かいですね」と声をかけて季節や気候を認識できているかを確認します。
また、カレンダーや時計を見ながら「今日は〇月〇日ですね」「12時の昼食の時間ですね」と日付や時間の意識を深めます。
見当識障害の改善以外にも、スタッフや参加者とのコミュニケーションが深まることも期待できます。
回想法
回想法とは、昔の写真や馴染みのあるものを実際に見たり触れたりしながら思い出を語り合うという心理療法の一つです。
認知症の方はできないことが増えるなかで自尊心が傷つき、自信を失う方が多くいます。
回想法は自身の歩んできた人生を振り返ることで自信を取り戻し、存在価値を再確認することができます。
また、ほかの人と思い出を共有し合い、コミュニケーションを深めるのにも効果的です。
その結果、今まで抱えていた不安や孤独感が解消され、心の安定や未来への期待に繋がると考えられます。
家族との信頼関係
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認知症の方はできないことが増え、変わっていく自分に不安や焦り、恐怖心といった負の感情を抱いています。
特に認知症の初期では自身の変化を理解しており、様々な葛藤によるストレスが溜まります。
家族の対応によっては自尊心やプライドを傷つけ、さらに不安や焦りを煽る場合があります。
認知症の方の介護は簡単なものではありませんが、認知症の方が傷つく言葉や行動で、今までに築いてきた信頼関係を壊さないことが重要です。
認知症の方が見ている世界を否定せず共感し、どんなときでもしっかりと話に耳を傾けることを心がけましょう。
認知症疾患医療センターに相談する
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認知症に関する疑問や悩みなどがある場合は、認知症疾患医療センターに相談することも一つの方法です。
認知症疾患医療センターとは、認知症の方と家族が住み慣れた地域で安心して生活していくために支援を行う専門医療機関です。
都道府県や政令指定都市が指定する病院に配置されています。
専門の相談員が相談に応じているほか、周辺症状や合併症への対応、認知症に関する情報発信などを行っています。
鑑別診断や薬物療法などの治療を行い、必要な場合は入院治療のできる体制を確保してくれます。
また、医療と介護が双方に繋がり合うために地域包括支援センターや役所などと連携をとっています。
相談は電話でも応じているため、少しでも困ったことや悩みなどがあれば認知症疾患医療センターへ相談することをおすすめします。
認知症と改善まとめ
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ここまで、認知症を改善させる方法についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 薬物療法では、アリセプトやメマリーによって症状の改善が期待できる
- 非薬物療法には、認知リハビリテーションや回想法などの方法がある
- 認知症の方の不安や焦りを緩和させるためにも、家族との信頼関係が大切
これらの情報が皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。