脳ドックや脳診断で発見できるラクナ梗塞。
実はラクナ梗塞が認知症を引き起こすケースがあります。
どのような経緯をたどって認知症になってしまうのでしょうか?
今回は、ラクナ梗塞と認知症の関係について、以下の項目を中心に解説します。
- ラクナ梗塞による認知症の発症リスク
- ラクナ梗塞が引き起こす認知症の種類
- ラクナ梗塞の注意点
認知症を予防するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ラクナ梗塞とは
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ラクナ梗塞とは、脳梗塞の中で最も多いタイプの脳梗塞です。
ラクナとはラテン語で小さなくぼみを意味し、脳の細い動脈が詰まって脳の深い場所にできた直径15mm以下の小さな梗塞のことをラクナ梗塞といいます。
原因として、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が影響すると考えられています。
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ラクナ梗塞による認知症の発症リスク
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ここでは、ラクナ梗塞による認知症の発症リスクについてご説明します。
ラクナ梗塞が繰り返し起こると手足の動きが鈍くなり、認知症の発症リスクが高くなります。
ラクナ梗塞は、ダメージの範囲が小さいため症状が現れないことが多く、無症候性脳梗塞や隠れ脳梗塞とも呼ばれます。
ラクナ梗塞が発生した脳の場所によっては、症状が現れることがあります。
発生する場所により言語障害、歩行障害、嚥下障害などいろいろな症状が出てきます。
症状が出ないからといって安心しないよう注意してください。
ラクナ梗塞が引き起こす認知症の種類
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ラクナ梗塞が引き起こす認知症には、血管性認知症と脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症があります。
それぞれの詳細について以下にまとめました。
血管性認知症
ラクナ梗塞が繰り返し起こり脳の血管が詰まると、脳の細胞に必要な酸素や栄養が運ばれません。
その結果、認知機能に障害が起きる血管性認知症になってしまうことがあります。
厚生労働省によると、認知症の中ではアルツハイマー型認知症の次に発症数が多く、女性よりも男性の割合が高いと報告されています。
血管性認知症は、脳血管障害の発作を繰り返すことで段階的に進行するのが特徴です。
症状がゆるやかに進行するアルツハイマー型認知症とは違い、早い段階で身体機能が低下する場合があります。
血管性認知症を発症すると、身体的機能の低下(手足の麻痺・しびれ・歩行障害など)や知的機能の障害が現れます。
記憶障害も起こりますが、判断力は保たれているというように脳の損傷がある場所によって症状にバラつきがあります。
発症初期のころは判断力があるので、自分が認知症だと分かっていることもあります。
そのため、不安や不眠の症状が続き、うつ病・不眠症・不安症を併発してしまうこともあります。
血管性認知症は脳血管障害の後遺症なので、生活習慣病に気をつけることで予防できる認知症だといえます。
脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症でも、まだ認知症の症状が出ていない方に、ラクナ梗塞や小さい脳出血といった脳血管障害が起こると認知症の発症時期が早まる恐れがあります。
これは「脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症」と呼ばれていて、加齢にともない発症・進行のリスクが高まります。
ラクナ梗塞が引き起こすまだら認知症とは
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「まだら認知症」とは、記憶力は低下しているが理解力や判断力がある状態のことをいいます。
文字通り、認知症の症状がまだらに現れます。
あるとき突然に記憶力が低下し始め、どんどん悪化していったかと思えば、日によっては調子が良くなったりまた悪くなったりします。
例えば、数分前に食事したことは忘れているのに難しい小説は読める、朝は着替えられなかったのに夜はできるようになっている、など周囲の方が混乱するような行動をします。
まだら認知症によって、身体にも変化が現れることがあります。
例えば初期には、頭痛、めまい、耳鳴り、手足のしびれ、歩行障害、言語障害、嚥下障害、抑うつ、感情失禁、夜間せん妄などが見られます。
これらの症状は、小さな脳梗塞が原因のラクナ梗塞によって引き起こされることが多いのです。
ラクナ梗塞の注意点
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ここでは、ラクナ梗塞の注意点についてご説明します。
ラクナ梗塞が増えると梗塞ができてしまった場所の血流が悪くなり、脳の活動にダメージを与えることもあります。
それが原因でまだら認知症の症状が現れます。
まだら認知症は、症状に波があるため周囲の方を混乱させます。
「もしかして認知症?」と思っても、数時間後には症状が回復しているように見えます。
そのため、ただの老化と見なされてしまったり、他の病気と間違えてしまったりすることが少なくありません。
ラクナ梗塞を放置したままにすると、重大な脳梗塞が起きてしまうリスクが高まります。
初めて脳梗塞の発作を起こした方の3分の2以上の方に、ラクナ梗塞があったという事実があります。
また、脳梗塞や脳出血などの脳卒中の発症リスクも10倍以上になります。
まだら認知症に早く気づくことで、ラクナ梗塞を早期発見し脳卒中のリスク回避につながります。
まだら認知症の症状である、記憶力の低下、頭痛、めまい、手足のしびれ、言語障害、歩行障害が見られた場合は、早めに検査を受けましょう。
そうすれば適切な治療や生活指導を受けることができます。
同時に自分自身でも、日々の食生活を見直すことも重要です。
ラクナ梗塞の治療法
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ラクナ梗塞の治療法は、手術ではなく内科的治療になります。
主な治療には、抗血栓薬(血液の固まりができるのを抑える薬)、脳保護薬(脳細胞を保護する薬)などが使われます。
抗血栓薬には、点滴薬や飲み薬があります。
また、機能回復のためのリハビリテーションが行われることもあります。
ラクナ梗塞が発症してから4~5時間以内の場合で、なおかつ脳がまだ壊死していない状態であれば、t-PAという血栓溶解剤(血栓を溶かす薬)が使用できるため早めの受診が推奨されます。
ラクナ梗塞と認知症の予防法
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ここでは、ラクナ梗塞と認知症の予防法についてご説明していきます。
それぞれの詳細について見ていきましょう。
血圧管理
高血圧は脳卒中の最大のリスク因子なので、血圧のコントロールはとても大切です。
血圧管理のため、家庭で血圧を測る習慣をつくるのも良いでしょう。
塩分を控える
高血圧に気をつけるために、食生活では減塩しましょう。
目安は、1日10g未満です。
既に高血圧と診断されている方は6g未満に抑えましょう。
禁煙
タバコを吸う人は吸わない人に比べて、はるかに脳卒中(脳梗塞)で死亡することが多いのです。
タバコはやめるのが一番です。
やめることでリスクが減少します。
運動習慣
適度な運動をするように心がけましょう。
運動しないと、食事で摂ったエネルギーを消費しきれないことで肥満につながり、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病になるリスクが高まります。
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ラクナ梗塞と認知症のまとめ
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ここまでラクナ梗塞と認知症に関してお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- ラクナ梗塞が繰り返し起こると手足の動きが鈍くなったり、認知症になるリスクが高くなる
- ラクナ梗塞は、血管性認知症、脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症を引き起こす
- ラクナ梗塞は、早期発見・早期治療が大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。