コロナ禍の時代の中、介護の仕事は景気に影響されないエッセンシャルワーカーとして再び注目を集めています。
では、実際のケアワーカーは普段どのような仕事をこなしているのでしょうか?
介護の仕事は賃金が安いと言われるけど、実際はどうなのでしょうか?
今回は、ケアワーカーに興味を持ってくださった皆さんが知りたい基本情報を中心にご紹介していきます。
- ケアワーカーの仕事内容
- ケアワーカーと介護福祉士の違い
- ケアワーカーに必要な資格
この記事を読み終えるころには介護の仕事について理解でき、ケアワーカーという職業に対する興味を持っていただけるようになります。
ぜひ、最後までご覧ください。
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ケアワーカーとは
ケアワーカーとは、介護が必要な人に対して直接介護を実施する職員のことを指します。
そもそも「ケア」とは、日本語で介護のことをいいます。
介護とは、日常生活に必要な様々な動作(歩くこと、食べること、着がえること、他者と交流することなど)の中で本人ができない部分を手伝うことです。
つまりケアワーカーとは、高齢者や障がい者施設などを利用している介護が必要な方に対し、必要な介護サービスを提供する人のことです。
各施設によって異なる言い方になっていることもありますが、総称して全てケアワーカーです。
【ケアワーカーと言い方は異なるが同じ意味をもつ職名の例】
- 高齢者施設:介護員、介護職員、ケアスタッフ等
- 訪問介護事業所:訪問介護員、ホームヘルパー等
- 障がい者施設:支援員、生活支援員、ワーカー等
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ケアワーカーの仕事内容
ケアワーカーの仕事内容は、身体介護、家事援助、精神面のサポートの3種類に分けることができます。
ケアワーカーは、介護支援専門員や生活相談員などが作成した介護に関する計画書に沿って各種介護を実施します。
看護師や機能訓練指導員といった他の職種の方と連携しながら、チームで介護を実施するのが仕事です。
ここからは、ケアワーカーの仕事内容について具体例と共に詳しくご紹介していきます。
身体介護
ケアワーカーが行う仕事内容の1つめは、身体介護です。
身体介護とは、歩く・食べる・トイレに行く・お風呂に入るなどの生活する上で欠かせない行動に関する介護のことをいいます。
直接人の体に触りながら行う介護は身体介護に分類されます。
また直接体に触れる介護でなくても、対象者自身が自分の力で出来るように見守ったり付き添ったりする支援も身体介護に含まれます。
【身体介護の具体例】
- 移動・移乗
- 排泄介助
- 食事介助
- 入浴介助
- 整容介助
- 服薬介助
- 自立支援・重度化防止のための見守り的介助
整容介助とは、歯磨きや洗顔を手伝うことを指します。
また、自立支援・重度化防止のための見守り的介助には、本人が自力で歩いたり車椅子に乗り移ったりするとき、安全確保を目的に付き添い、必要に応じて最低限の介助をすることなどが含まれます。
このように、身体介護とは日常生活を営む上で必要な生活行為を対象者のそばについて支える介助のことをいいます。
直接体に触れる介護だけではなく、対象者自身が行う家事について本人が安全に行えるように支援する行為も身体介護に含まれます。
家事援助
ケアワーカーが行う仕事内容の2つめは、家事援助です。
家事援助とは、掃除・洗濯・調理などの家事を代行する介護のことを言います。
生活援助という言い方をする場合もあります。
あくまで、本人に代わって家事を行う介護を家事援助と呼んでいます。
付き添ったりフォローしたりすれば家事が出来る場合は、自立支援の観点から身体介護とし実施される点に注意しましょう。
なお介護保険制度では、ホームヘルパーが家事援助を行う場合、利用者が独居であることが条件となります(一部例外あり)。
【家事援助が受けられないサービスの具体例(訪問介護の場合)】
- 掃除
・利用者本人が普段使用しない部屋やトイレなどの掃除はできません。
・例えば、窓拭き・ワックスがけ・網戸の掃除・換気扇の油汚れ落とし・カビ取り・水垢落とし・洗車・ペットの世話・草むしりなどの手間がかかる掃除は「特別な掃除」に分類されるため実施できません。 - 洗濯
・本人の物以外の衣類やカーテンなどの直接利用者本人に関係ないものの洗濯はできません。 - ベッドメイク
・本人が使用しないベッドや布団のベッドメイクはできません。 - 衣類の整理・被服の補修
・利用者本人以外の衣類整理や補修はできません。 - 一般的な調理・配膳下膳
・例えば、彼岸のときに備える牡丹餅やおせち料理などの行事食・手間がかかる煮込み料理などの日常的な範囲を超える料理はできません。
・来客対応に必要なお茶出しなどもできません。 - 買物・薬の受け取り
・タバコ・酒・雑誌などの嗜好品、オシャレ着等の特別な衣類、家具家電、娯楽品、金券、贈答品、ペットの餌などの利用者本人の日常生活を営むことに支障をきたさない物品の購入代行はできません。
ホームヘルパーが行う家事援助は介護保険法や、障害者総合支援法によってサービス提供が可能な範囲が厳格に定められています。
利用者との認識の違いや生活習慣による考え方の違いが生まれやすく、誤解やトラブルにつながりやすい介護でもあるので、注意が必要です。
精神面のサポート
ケアワーカーが行う仕事内容の3つめは、精神面のサポートです。
身体介護や家事援助といった目に見える部分の介護だけでなく、目に見えないメンタル面での支援もケアワーカーの大切な仕事です。
例えば認知症で季節の感覚が曖昧になってしまっている方に対しては、部屋に季節感のある装飾をしたり、食事の時間は旬の食材や季節に合ったメニューを提供しながら時節に合った話題を提供したりします。
また、足が不自由で外出できない方に対しては車いす対応車両を用いて外出を支援したり、様々なイベントを企画して屋内でも楽しんでいただいたりなどの対応をします。
精神面のケアは、利用者の生活の質を保つためにも非常に重要なポイントです。
ケアワーカーは身体的な支援だけでなく、精神面での支援に関しても重要な役割を担っています。
ここまでお伝えしてきましたように、ケアワーカーの仕事内容は身体介護、家事援助から精神面のサポートまで多岐に渡ります。
ケアワーカーの仕事とは、まさに利用者の日常生活全体を支える仕事といえますね。
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ケアワーカーになるために資格は必要?
ケアワーカーになるために必要な資格は、特にありません。
一般的なケアワーカーであれば、資格がなくとも働くことができます。
ただし、ケアワーカーの初歩的な資格である介護職員初任者研修を取得すると、利用者の自宅に訪問して身体介護や家事援助を提供するホームヘルパーの仕事に就くことができたり、採用時に無資格者より優遇されたりといったメリットがあります。
就職後についても、介護職員初任者研修などの資格を持った人の方が高い給料で働くことができます。
確かに介護の資格がなくてもケアワーカーとして働くことはできます。
しかし、介護福祉の業界は資格がないと年収増やキャリアアップを目指すことはできません。
ケアワーカーとして成長していきたいと考えるのであれば、積極的に資格取得へ挑戦していきましょう。
ケアワーカーと介護福祉士の違い
ケアワーカーと介護福祉士の違いは、介護福祉士の資格があるかどうかです。
両者の仕事内容に大きな違いはありません。
初めの章でもお伝えしましたようにケアワーカーとは、利用者に対し直接介護を提供する役目を持った職員のことをいいます。
これに対し介護福祉士とは、介護の技術や知識を証明する国家資格の名称です。
国が定める国家試験に合格し、資格を取得した者だけが介護福祉士を名乗ることができます。
介護福祉士という職名で勤務している人は少なく、殆どの人が介護福祉士の資格を持ったケアワーカーや、介護職員という職名で働いています。
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ケアワーカーの給料は?
厚生労働省が実施した「令和2年度介護労働実態調査」によると、ケアワーカー(介護職員)の中で月給制である勤続2年以上の職員の平均年収は約344.4万円でした。
また、無資格者の場合は年収が約294.7万円なのに対し、介護職員初任者研修を取得している人の場合は約315.4万円となっています。
【保有資格別 ケアワーカー平均給与】
保有資格 | 無資格 | 介護職員初任者研修 | 実務者研修 | 介護福祉士 | ケアワーカー全平均 |
年収 | 294.7万円 | 315.4万円 | 320.9万円 | 359.4万円 | 344.4万円 |
月収換算 | 24.6万円 | 26.3万円 | 26.7万円 | 29.9万円 | 28.7万円 |
ご覧のように資格が上位にいけばいくほど平均年収の上昇がみられています。
介護福祉士と無資格者を比較すると、年収にして約64.7万円も差が開いてます。
確かに無資格者でもケアワーカーになることはできますが、資格があればあるほど年収アップの傾向があることが分かります。
資格の有無が年収に直結している状況です。
年収アップのためには、資格を取得しながらステップアップを目指していくことが重要です。
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ケアワーカーの適切な服装
ケアワーカーとしての服装を準備するにあたり、チェックしておきたいポイントは以下の通りです。
- シンプルなTシャツかポロシャツ、ジャージなど
- 勤務先のルールを確認する
- 靴は脱げにくいものを
- 靴下も含め、着替えは職場のロッカーなどに置いておく
介護現場では、移動移乗や排泄介助などで頻繁に体を動かします。
上はTシャツやポロシャツ、下はジャージなど動きやすく手入れが簡単なものがおすすめです。
また、相手に不快感を与えないように装飾がないシンプルな柄を選び、汚れたらすぐに取り換えるなど清潔感にも気を遣いましょう。
勤務先によっては、ユニフォームがある場合や服装について具体的な決まりごとが存在する場合もあります。
そのときは必ず勤務先のルールに従い、着くずしたりアレンジを加えたりすることは避けましょう。
靴に関しては、履きやすく脱げにくい運動靴などがおすすめです。
スリッパなどの踵がない履物だと、とっさに動こうとしたときに脱げてしまったり、床が濡れていると滑りやすかったりする危険があります。
介護中に足元を滑らせてしまえば利用者にも危険が及びかねませんので、履物には特に注意しましょう。
最後に、着替えは何組か職場のロッカーなどに事前に準備しておくことをおすすめします。
介護の仕事をしていると、よく衣服が汚れます。
また、入浴介助やオムツ交換回りなどをするとたくさん汗をかくので、自身の体調管理のためにもこまめに着替えることが大切です。
不意に衣類に汚れが付着したり気付かずに汚れた床に足を踏み入れたりしてしまうこともあるので、靴下も含めて着替えは複数組み準備しておくと良いでしょう。
ケアワーカーについてのまとめ
ここまで、ケアワーカーに関する情報をご紹介してきました。
- ケアワーカーの仕事内容は、主に身体介護・家事援助・精神面のサポートである
- ケアワーカーと介護福祉士の違いは、介護福祉士の資格の有無である
- ケアワーカーの平均年収は344.4万円だが、無資格者の場合は294.7万円に留まる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました