- 脳血管性認知症の症状や原因
- 併発しやすい症状
- 脳血管性認知症の診断方法や治療法
この記事をご覧いただき、脳血管性認知症について深く知るための参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。
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脳血管性認知症について
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脳血管性認知症の症状について
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記憶障害
記憶障害とは、過去の出来事や体験したことについての記憶が失われてしまう障害です。
認知症の中核症状の1つです。
脳血管性認知症の初期段階では、物忘れなどの記憶障害が起こります。
しかし、症状に波があったり、障害を受けていない機能は保たれているので、認知症であることに気付きにくいのが特徴です。
したがって、症状の発見が遅れてしまうことに繋がります。
また、脳血管性認知症の記憶障害は、新しく体験した出来事を覚えたり、過去に体験したことを保持する能力である「記銘力」の低下が目立ちます。
つい先ほど聞いたことが思い出せなくなったり、覚えていたはずの記憶までも失われてしまうことがあります。
しかし、忘れたことへの自覚があるというのが特徴です。
見当識障害
見当識障害とは、「見当識」という機能に障害が起こることで発症するものです。
見当識とは、時間・場所・人についてを正しく認識する機能です。
見当識障害が起こると、「今日が何月何日なのか」「今自分がどこにいるのか」などが分からなくなります。
初期段階では時間の認知機能の低下が見られるため、日付や時間に限らず季節感も失われていきます。
時間の次に認識しづらくなるのが場所です。
自分がいまどこにいるのかが分からなくなり、道に迷ったり、自宅に帰れなくなるといったことが起こります。
さらに症状が進行することで人を認識できなくなり、親しい人との関係性を間違えたり忘れることもあります。
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実行機能障害
脳血管性認知症では、物事の計画を立てて順番にこなすことが困難になる実行機能障害も起こります。
動作に関する流れが分からなくなるため、箸が使えない、食事を途中でやめるといった症状が現れます。
その他にも、テレビやパソコンなどの電化製品の使い方が突然分からなくなることもあります。
また、自分が予想していなかった出来事が起こったときに適切な対応ができなくなったりします。
「洗濯をしながら掃除をする」「味噌汁を作りながら他のおかずを作る」など、同時に2つ以上のことを行うことが困難になります。
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併発しやすい症状について
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運動麻痺
運動麻痺とは、体を動かそうという意思があっても自分の力で手足を動かせなくなる症状です。
そのため、日常生活で手や足を動かすことができなくなります。
具体的には、「服を着ることができない」「箸やスプーンを使うことができない」などです。
手や足を動かせなくなることで日常生活のあらゆることに支障をきたし、些細なことでも行うことが困難になります。
言語麻痺
言語麻痺とは、言葉を発するために必要な唇や舌、発声・発語器官の麻痺によって発声や発音が上手くできなくなる症状です。
言葉を理解する能力に異常はないので、読み書きなどは正常に行うことができます。
しかし、呂律が回らなくなったり、声が出にくく、話し方がぎこちなくなるなどの症状が現れます。
言語障害
言語障害とは、言葉を理解してから発するまでの過程で障害が起こり、コミュニケーションを取ることが困難になる状態です。
言語障害の中で代表的なものは、失語症です。
失語症は、聞く、話す、読む、書く、などの言葉の働きに何かしらの障害が起こるものです。
たとえば、相手が何を言っているのか理解できない、文字を書こうと思っても思い出せないなどの症状が現れます。
脳血管性認知症の原因について
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脳血管障害
脳血管障害とは、脳の血管に障害が起きるものです。
脳血管障害には、血管が詰まることによって起こる脳梗塞と、血管が破れることによって起こる脳出血・くも膜下出血があります。
これらが起こる最大の原因は、高血圧です。
高血圧が長く続くことで動脈硬化が進み、脳の血管が詰まり脳梗塞を引き起こします。
そして、高血圧の程度が強いことで脳の血管が破れ、脳出血を引き起こします。
また、脳の血管の一部分に動脈瘤ができ破裂することで、くも膜下出血が起こります。
脳梗塞や脳出血を起こすことで脳の細胞が壊され、身体の麻痺や言語障害、そして認知機能の低下に繋がります。
認知機能が低下することにより脳血管性認知症を発症し、言語障害など他の症状も併発します。
脳小血管病
脳小血管病は脳の太い血管に起こるのではなく、脳の細い血管に出血や梗塞が起こります。
細い血管の場合、自覚症状が出にくいため、気付かないうちに症状が進行していくことも珍しくありません。
病変は加齢とともに起こりやすいため、症状に気付きにくい脳小血管病は認知症を引き起こしやすくなります。
また、脳血管障害と同様の高血圧や、糖尿病などの生活習慣病によって動脈硬化の危険因子がある場合は、さらに認知症を引き起こしやすくなります。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、硬膜と脳の表面との間に徐々に血が溜まり、血腫ができる状態のことです。
頭を打つなどの軽い頭部外傷によって血管が破れたり、切れることによって起こります。
溜まった血液によってできた血腫は、脳を圧迫します。
その結果、物忘れや歩行障害などの認知症症状や手足の痺れなどの症状を引き起こします。
一般的には高齢者に起こることが多く、日常的にお酒をたくさん飲む方や高血圧の方はリスクが高いです。
転倒して頭をぶつけたとしても、すぐに症状が出るわけではありません。
数週間から数ヶ月後に何かしらの症状が出てくるので、頭をぶつけたことを忘れてしまっている方が多いのも特徴です。
アルツハイマー型認知症との違いとは?
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進行速度の違い
- アルツハイマー型認知症は、徐々に進行していきます。
- 脳血管性認知症は、脳の血管が破れたり詰まったりするたびに段階的に進行や悪化が見られます。
症状の程度の違い
- アルツハイマー型認知症は、初期の段階から自分が体験した出来事自体を忘れていき、見当識障害や記憶障害が起こりやすいです。
- 脳血管性認知症では忘れた自覚があるため、ゆっくり考えたり、周囲の人がヒントを出せば思い出すことができ、また、実行機能障害が起こりやすいです。
また、梗塞の範囲や場所によって違いはありますが、脳血管性認知症は身体の麻痺や言語障害なども起こります。
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せん妄との違いについて
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せん妄
せん妄は薬の服用など身体に大きな変化が起きることで見当識障害や意識障害が現われる特徴があります。
また、せん妄はある日突然発症するので、いつ発症したのかが特定しやすいです。
そして、幻覚が出現したり興奮状態に陥るといった症状も見られます。
いずれにしても認知症と比べ短期間で回復します。
突然発症し、短期間で回復するのがせん妄の特徴です。
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脳血管性認知症
一方、脳血管性認知症は、せん妄とは違い、ゆっくりと発症していきます。
そのため、いつ発症したのかを特定するのは困難です。
また、脳血管性認知症は障害が起こる部分と、機能が保たれている部分があります。
そのため人によって症状はバラバラであり、できることとできないことがハッキリしていることが多いです。
たとえ記憶障害が目立ったとしても、判断力は保たれているなど、まだらに症状が見られます。
脳血管障害の再発防止や転倒の予防を意識し、リハビリに取り組むことで、機能の回復は可能です。
脳血管性認知症の診断方法について
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- 頭部のCTやMRIなどの画像診断を行う
- MRI angiographyや脳血管造影で脳の血管を調べる
- 血流量シンチグラフィーで血流量を測定する
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脳血管性認知症の余命
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脳血管性認知症の余命について解説します。
結論からいうと認知症の種類によって余命や進行スピードは異なりますが、絶対的な関係ではありません。
一般的に認知症患者の余命は、発症から7年から10年とされ
- 前頭側頭型認知症
- レビー小体型認知症
- 脳血管性認知症
- アルツハイマー型認知症
の順に生命予後は悪いといわれています。
しかし
- 年齢
- 性別
- 進行度
などの因子によって異なります。
したがって、「前頭側頭型認知症だから予後不良」、「アルツハイマー型認知症だから長生きする」と言い切れるわけではありません。
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脳血管性認知症の治療法について
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根本的治療
脳血管性認知症の根本的治療法は見つかっていません。
そのため、脳梗塞や脳出血の再発防止に努めたり、薬を使用するなどして症状の進行や悪化を防ぐことが重要です。
脳血管障害の再発防止
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が起こることで、認知症の症状が進行します。
そのため、脳血管障害の再発防止に努めることが治療法の1つです。
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害は、高血圧によって引き起こされるものです。
脳梗塞の再発防止のために、血液をサラサラにする薬が使用されることもあります。
また、脳血管障害の再発防止のためには、適度な運動やバランスの取れた食事なども大切です。
血糖値が高い方は糖尿病にならないよう注意が必要です。
精神安定目的
脳血管性認知症を発症することで、うつ病やせん妄などを併発することもあります。
うつ病やせん妄などを併発することで、精神的に不安定になったり、感情のコントロールができなくなります。
その場合は、抗うつ薬や精神安定剤の使用が効果的です。
認知症の一つに、脳血管性認知症があります。残念ながら、根本的な治療方法はまだ見つかっていません。一方で、薬やリハビリによって症状緩和が見込めることをご存知ですか?本記事では、脳血管性認知症の薬について以下の点を中心にご紹介します[…]
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脳血管性認知症を予防するには
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- バランスの取れた食事や適度な運動を心がける
- 喫煙をしない
- お酒の飲みすぎに注意をする
- ストレスを溜めすぎないよう適度に発散する
脳血管性認知症まとめ
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- 脳血管性認知症には、記憶障害や見当識障害、実行機能障害などの症状が起こる
- 運動麻痺や言語麻痺、言語障害などの症状が併発しやすい
- 脳血管性認知症の原因には、脳血管障害や慢性硬膜下血腫などが挙げられる
- 脳血管性認知症に根本的治療はないが、脳血管障害の再発防止に努めることが重要
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。