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健達ねっと>認知症を学ぶ>認知症の作業療法とは?プログラムの効果や目的も紹介!

認知症の作業療法とは?プログラムの効果や目的も紹介!

認知症になると、もの忘れや被害妄想といった症状が現れます。
作業療法には認知症の症状を緩和させる効果がありますが、どのようにすれば良いのでしょうか?

今回は、認知症に効果的な作業療法を中心に、以下の項目についてご紹介します。

  • 認知症に効果的な作業療法の内容
  • 認知症に効果的な作業療法の特徴と目的
  • 認知症に効果的な作業療法の注意点

認知症と向き合うためにも、参考にしていただけると幸いです。
是非最後までお読みください。

認知症について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。

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認知症の作業療法とは?

認知症の作業療法について

認知症の作業療法の概要や作業方法の評価方法について紹介します。

認知症の作業療法について

作業療法の作業とは、入浴・更衣・調理・洗濯などの家事、塗り絵や編み物などの趣味など、日常の活動全般を指します。

認知症の治療には薬物療法と非薬物療法がありますが、根治的に治療できる薬は現状存在しません。
そのため、作業療法のような非薬物療法が重要な役割を担っています。

作業療法について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。

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認知症の作業療法の評価

認知症の評価スケールとしては、長谷川式認知症スケール(HDS-R)が有名です。
作業療法士も認知症評価としてHDS-Rを多用しています。

ですが、作業療法士として評価すべき点はほかにもあります。

  • 生活状況:ADL、1日の流れ、対人交流、外出頻度
  • 人的環境・物理的環境面:家族背景、マンパワー、介護負担、住環境
  • 機能面:認知機能、身体機能、運動機能
  • リスク管理:服薬状況、合併症の有無、誤嚥、廃用症状

このほかにも本人、家族のニーズを明らかにすることも、作業療法評価において重要となります。

出典:厚生労働省「認知症のリハビリテーションを推進するための調査研究報告書

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認知症のリハビリテーション

認知症のリハビリテーション

認知症のリハビリには、症状の緩和や進行を防ぐだけでなく、日々の活力を取り戻すといった目標があります。
ここでは、音楽療法と回想法を解説します。

音楽療法

音楽療法のやり方は、好きな歌を歌う、楽器を演奏する、懐かしい音楽を聴くなどです。
音楽療法を行うと、気分が安定するためリラックス効果があります。

また、歌詞を思い出すため脳に刺激を与え、発声や嚥下機能の改善につながるといわれています。

認知症の音楽療法について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。

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回想療法

回想療法とは、過去の記憶や思い出を引き出すことです。

精神面が安定するため、認知症の予防改善が期待されています。
認知症になってしまっても、過去の記憶は比較的残りやすいです。

そのため、楽しい思い出や経験を共有することで、混乱や不安を抑えることができます。

認知症のリハビリについて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。

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認知症の作業療法のプログラム

認知症の作業療法のプログラム

音楽療法や回想療法の他に、作業療法というリハビリがあります。
ここでは、作業療法のやり方や特徴、効果についてご紹介します。

認知症の作業療法のやり方

作業療法では、認知症患者の日常生活に密接した「作業」が中心です。
認知症患者の状況に合わせてリハビリを行っています。

日常生活活動、創作活動に分類され、主に運動機能の改善や獲得、回復を促します。
日常生活活動とは、食事や入浴などの動作や家事全般、金銭管理や交通機関の利用など、生活に密着している部分です。

創作活動とは、手芸や書道、編み物を通して社会的に人と関わるリハビリです。

認知症の作業療法の特徴

次に、作業療法の特徴を3つご紹介します。

日常生活に密着している

作業療法は日常生活に密着したリハビリです。
そのため、認知症の方が体で覚えている部分を引き出すことができます。

認知症の方は日常生活に支障が出ると、元の感覚を思い出す、あるいは改善するのが難しくなります。

日々の暮らしで行う動作は一見簡単ですが、認知症の方にとっては非常に大切なことです。
作業療法はこれまでの生活に関するリハビリを繰り返し行うため、少しヒントに触れると効果的に働くことがあります。

続けやすい

認知症の方にとって作業療法は、何をするのか、何のためかが分かってくるため、続けやすいリハビリです。
また、日常生活に密着しているため、リハビリとは感じにくく抵抗が少なくなります。

継続することが苦手な方には作業療法がおすすめです。

社会性が得られる

作業療法では、手芸や書道、編み物や将棋などの創作活動を通して、家族以外との社会性が得られます
社会と関わることが少なくなると、認知症の症状がより進んでいきます。

そのため、趣味を通して積極的に行動し、人や社会とつながることが大切です。
認知症の方が社会とつながると、心や脳に多くの刺激を与えます。

心や脳が刺激を受けると神経細胞が活性するため、認知症に効果的です。

認知症の作業療法の効果

作業療法にはどのような効果があるのでしょうか。
ここでは、体と心のリハビリに分けてご紹介します。

体のリハビリ

日常生活のリハビリを1つ行うと、基本的な動作が体の部分的なリハビリにつながります
例えば入浴の中にも、脱衣、浴室ドアの開閉、体を洗う、浴槽に浸かる、着衣までの一連の動作があります。

日常生活の動作を分解し、苦手な動作を重点的に行うことが大切です。
日常生活の動作を応用すると、できることが増え生活の質を向上できます。

心のリハビリ

認知症の方の精神状態はそれぞれ個人差があるため、回復度合いを考慮して慎重にリハビリを行います。
社会復帰に対して不安や孤独がある場合は、社会とのつながりを通して不安を軽減します。

日常生活で支援が必要な場合は、困難な部分を補助し不安や孤独を取り除くだけでも正しい認識ができるようになります。
また、五感をフルに使ってリラックスした状態を保つと、気分の安定を図ることができます。

認知症の作業療法の目標

認知症の作業療法の目的

作業療法の目標は、その人らしい暮らしを可能にすることです。
ここでは、次の4つの項目でご説明します。

身体機能の向上

身体機能の向上は、認知症の予防や症状改善の効果があり、中でもスクエアステップエクササイズ(SSE)が効果的です。

SSEとは、前後左右を連続的に移動するエクササイズです。
バランス能力や筋力改善のほか全身の持久力を維持できます。

そのため、SSEをあわせたトレーニングはより身体機能を向上し、日常生活の動作機能を保持できます。

高次脳機能の向上

高次脳機能の向上は、症状にあわせたリハビリが中心になります。
例えば、言語訓練は記憶力や注意力の向上を目指すリハビリです。

絵やカードを使った訓練、計算によっても記憶力や注意力は改善されます。
以上のように、低下している機能そのものを改善することが目的です。

生活技能の向上

日常生活で必要な動作を訓練することで、生活技能を向上させます
日常生活動作(ADL)訓練とは、トイレ・入浴・食事といった生活に必要なトレーニングです。

排尿などの留置カテーテルの自己操作なども行い、社会に応用する能力を獲得しています。
また、料理や洗濯、買い物などのより複雑な動作を行う訓練も行います。

社会技能の向上

作業療法では実生活に必要な動作について、さまざまな視点からリハビリを行い、社会に適応するための能力を引き出します

社会復帰に向け、労働環境への適応を目標に職業前訓練を行い、社会復帰をサポートします。
また、日常生活において困難な動作がある場合、自助具や福祉用具の選定、家屋評価を行い適切な提案を行っています。

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認知症の作業療法の事例

認知症の作業療法の事例

では、実際に作業療法はどのような方法で行われているのでしょうか。
ここでは、作業療法の事例をご紹介します。

創作活動

病院や老人ホームでは、ビーズ手芸や編み物、絵画やエコクラフトなどの創作活動が行われています。
また、レクリエーションゲームや、踊りなどの催しが行われることもあります。

音楽喫茶

音楽喫茶は、病院や福祉施設などの喫茶店で、カラオケや音楽を楽しみながら、癒しの時間を過ごせます。
飲料もコーヒーや紅茶、ココアなど豊富なメニューを揃えるお店もあります。

認知症カフェ

認知症カフェは、認知症対応型カフェとも呼ばれ、認知症とその家族、地域医療や福祉施設関係者などさまざまな方が利用しています。

家族が認知症の方や関係者が集うため、情報を交換できる交流の場として、注目されています。

薬の使い方

認知症の作業療法の注意点

認知症の作業療法の注意点

作業療法は簡単に行えるリハビリですが、認知症の方の体力・精神面に注意する必要があります
ここでは、具体的な注意点をご紹介します。

適度な難易度のトレーニング

作業療法は認知症の症状を抑えますが、適度な難易度のトレーニングが有効です。
難しいトレーニングは体力の低下を引き起こすだけでなく、失敗した場合次にチャレンジする意欲を損ないます。

そのため、無理なく成功できるメニューがおすすめです。

無理強いをしない

認知症の方へ作業療法を行う場合、無理強いは逆効果です。
認知症の方の中には、「この動作はできない」「これ以上無理」と伝えられない方もいます。

特に持病がある方は、無理な動きによって捻挫や骨折、靴擦れを起こしやすいです。
身体の安全のためにも、医師や介護の専門家からアドバイスをもらいましょう。

過度に期待しない

作業療法は過度に期待しないことも大切です。
高齢になると筋力低下や関節の動きが低下し、思っている以上に可動範囲は狭くなっています。

そのため、「これくらい大丈夫」と過度にトレーニングを促すのは止めましょう。
期待をかけて失敗した場合、自尊心を傷つけてしまいます。

作業療法を実施するときは、状況や環境の変化を観察し、安全に配慮することが大切です。

認知症の作業療法はどんな人に向いてる?

認知症の作業療法が向いている人

作業療法には、最近できなくなることが増えて自信を失っている人に向いています。
認知症の方は日々できなくなることや、分からなくなることに不安を感じています。

作業療法は誰でもできるため、注意点を守れば効果的なリハビリです。
「できないこと」を克服するより、「できること」を少しずつ増やして自信を取り戻すことが重要です。

認知症の方のペースに合わせて目標を定め、一歩ずつ進めていきましょう。

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認知症の作業療法のガイドライン

認知症の作業療法ガイドライン

日本作業療法士協会は、認知症に対する作業療法実践の根拠について、ガイドラインを作成しています。
このガイドラインでは、作業療法介入の推奨グレードをA・B・C1・C2・Dの5つに分類しています。

行うように強く勧められる「グレードA」には、次のようなものがあります。

  • 認知症の人へのADL・IADL指導
  • 認知症の人へのレジャー活動
  • 対象者の個別性に応じた調理、園芸、身体活動などを組み合わせた作業療法

出典:一般社団法人日本作業療法士協会「作業療法ガイドライン 認知症

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認知症と作業療法のまとめ

認知症と作業療法のまとめ

ここまで、認知症に効果的な作業療法の目標や効果、注意点をお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。

  • 作業療法は日常生活に密着しているため、続けやすい。
  • 作業療法は家族以外との社会性を得られるきっかけになる。
  • 作業療法をする際は、無理強いや過度な期待はせず、認知症の方のペースに合わせる。
  • 作業療法は自信を失っている人におすすめ。

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
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