耳の聞こえにくさを感じたとしても、加齢によるものだとそのままにしていませんか?
難聴を軽視することは、認知症の発症を進めることに繋がりかねません。
この記事では、難聴と認知症の関係について以下を中心にご紹介します。
- 難聴の特徴
- 難聴から認知症への流れ
- 難聴への対策方法
- 家族を病院に連れていくための説得方法
認知症を予防するためにも、参考にしていただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
認知症とは
認知症とは、脳の病気などによって認知機能が低下することで、日常生活に支障をきたすことを指します。
物忘れや判断能力の低下、場所や人を忘れてしまうなど、日常生活に支障が出る症状ばかりです。
また、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など、一言に認知症といっても様々な種類があります。
認知症を予防するためには、まず認知症を理解することが大切です。
スポンサーリンク
認知症の危険因子
認知症のリスクを高める要因として、次の9つがあげられます。
- 糖尿病
- 高血圧
- 喫煙
- 肥満
- 難聴
- 抑うつ
- 運動不足
- 社会的孤独
- 教育不足
これらの要因を持つことで、認知症の発症リスクは高くなります。
加えて、複数の要因を一緒に持つと更にリスクが高まるため、それぞれの対策が必要です。
「両親ともに認知症と診断されたが、症状がぜんぜん違う気がする…」「認知症の母が手足をうまく動かせないと言い出したが、これも認知症の症状?」認知症の症状は、認知症の原因となる疾患により異なってきます。今回の記事では、認知症の原因と[…]
最大の危険因子、難聴とは?
認知症の危険因子として9つの要因をあげましたが、その中でも難聴は最大の危険因子です。
加齢とともに耳が聞こえづらくなる人はたくさんいます。
しかし、当たり前の症状だと考えてしまい、さほど気にすることなく放置されることが多いです。
難聴と認知症の関係性を理解し、十分な対策を取りましょう。
難聴の特徴
ここでは、認知症を引き起こす難聴の特徴をご紹介します。
脳の萎縮速度を早める
加齢とともに脳は萎縮していきますが、難聴者は、脳の萎縮速度が健聴者に比べ早いです。
難聴になると、音声言語を処理する脳の「上側」「中側」「下側頭回」が萎縮します。
脳はそれぞれの箇所だけで機能するのではなく、連携しながら機能させるため、どこか1カ所でも萎縮が進めば、脳全体に悪影響を及ぼします。
悪影響の一つとして、音の刺激や脳に伝わる情報が少なくなり、認知症を発症するリスクを高めることがあげられます。
コミュニケーションが減る
加齢とともに起こる難聴は、音の信号を上手く電気信号へと変換できないことで耳が聞こえにくくなります。
特に高音の聞き取りがしづらく、高い声や早口で話しかけられると聞き間違いを起こします。
今まで会話が好きな人であっても、聞き間違いが増えると自信を無くす人は多いでしょう。
そして相手を不快にしてしまうという不安から、コミュニケーションの機会を遠ざけてしまいます。
高齢者がコミュニケーションを避けることで、社会的に孤立することに繋がってしまいます。
認知症を引き起こす流れ
難聴の症状が進むと、コミュニケーションが取りづらくなり、不足します。
コミュニケーションの不足は社会的に孤立することにつながり、社会との交流が減ります。
その結果、認知機能の低下につながり、認知症を発症する確率が上がります。
難聴の種類
難聴には種類があり、その種類によって原因や症状に違いがあります。
ここでは、難聴の種類と種類ごとの特徴や症状を紹介します。
伝音難聴
外耳または中耳にて音の伝達が防がれ、内耳まで到達できない難聴です。
原因は中耳の感染症や鼓膜の損傷・内耳や外耳の奇形などが挙げられます。
伝音難聴の症状は、耳をふさいだように音がこもり声が聞こえにくい状態です。
静かな環境且つ大きな声であれば、聞こえるようになります。
中度以上の場合は補聴器の効果が薄いことがあります。
感音難聴
内耳以降の機能に問題があることで起こる難聴です。
原因には遺伝など先天性ななものと、加齢や髄膜炎・外傷など後天性なものがあげられます。
感音難聴の場合、音がゆがんで聞こえるため、大きな声であっても会話に内容を理解することが難しいです。
軽度から中度であれば補聴器が有効ですが、重度の場合は効果が薄いと言えます。
混合性難聴
伝音難聴と感音難聴が組み合わさり、両方の症状が見られる難聴です。
どちらの要素が強く出るかによって、大きい声なら聞き取れるのか、大きい声でも聞き取れないのかが変わります。
強く見られる症状の程度によって、治療方法を判断します。
難聴の症状を感じたら?
加齢とともに耳が聞こえづらくなることは、誰でも起こりうるものです。
家族が呼びかけに反応しなくても、「年取ったから最近聞こえてないこと多いね」で終わってしまいます。
また、本人もさほど気にすることはないでしょう。
対処が手遅れになることもあるため、少しでも異変を感じたら対策を検討する必要があります。
医師に相談
耳の聞こえ方に異変を感じたら、まずは医師に相談することが大切です。
素人には判断できないことがたくさんあります。
早期発見・早期治療のためにも、自分で判断せず、医師に相談しましょう。
補聴器
補聴器とは、イヤホン型の医療機器です。
使用者の聞こえ方に合わせ音を加工し補助してくれます。
単純に音を大きくするものではなく、周囲の音を軽減させる機能や前方からの音を大きくする機能などが搭載されています。
耳の聞こえ方には個人差があるため、必ずフィッティングしなければいけません。
人工聴覚器
補聴器では音が聞き取れない人が使用できる医療機器です。
補聴器とは違い、耳の中に埋め込みをして装着します。
人工内耳・人口中耳・骨導インプラント・EASとも呼ばれます。
難聴の家族が病院に行きたがらない場合
耳が聞こえづらくなることは、本人にとって加齢を感じさせる症状の一つです。
年を取ることが恥ずかしく、耳が聞こえづらいという事実を隠そうとする人も少なくありません。
ここでは、本人が病院に行きたがらない場合の対策をご紹介します。
他の病気かもしれないと説明する
本人は少し耳が聞こえづらいだけと思っていることが多いです。
そのため、別の病気の可能性があることも説明しましょう。
脳神経の腫瘍・メニエール病など、難聴の症状が出る病気は多いことを説明すると現実味があります。
病気が進行してからでは完治が難しくなるということを一緒に伝えれば、本人の気持ちも変わるかもしれません。
ポジティブ思考で説得する
家族目線な説得よりも、病院に言って補聴器や人工聴覚器を考えることが本人にとってどれだけ快適なものかを説明しましょう。
「付けてもらわないと会話できない」「家族に迷惑」といった言葉は、本人が意固地になるばかりです。
「また好きな演劇を見に行けるよ」「孫といっぱい会話できるよ」など、ポジティブな思考を心がけると受け入れやすいです。
高齢者の難聴による問題と周りの配慮
高齢者が難聴になると日常生活で様々な問題が生じます。
そこで難聴を持つ高齢者に対し、様々な工夫や配慮が求められます。
具体的には以下の通りです。
高齢者の聴力の状況
65歳以上の高齢者の内、難聴を訴える方は約10%といわれています。
65~69歳では難聴を訴える方が約3%に対し、85歳以上では20%以上を占めます。
加齢に伴い難聴者は増加していることがわかります。
難聴をもつ高齢者のコミュニケーション問題
難聴をもつ高齢者はコミュニケーションの方法に変化が生じます。
難聴になると会話の聞き間違いが生じやすくなります。
すると、あいまいな返事や聞いているふりをする頻度が増えてきます。
また、周囲から難聴者を見て話についていけないと感じている方は少なくありません。
様々なコミュニケーションの問題は認知面や性格面に問題があると考えられがちです。
しかし、難聴が原因で相互の誤解やすれ違いが生じてしまう可能性も考えられます。
難聴によるコミュニケーションの問題が続くと、徐々に寡黙になっていく場合があります。
次第に会話を避け、社会との交流が減少してしまう可能性があります。
結果、認知症のリスクが高まる場合があります。
難聴をもつ高齢者が配慮を希望することがら
難聴を持つ高齢者は様々な会話の場面で配慮を希望しています。
具体的には以下の通りです。
- 会話の際はっきりと発音してほしい、
- 聞き取りにくかった場合、もう一度話を繰り返してほしい
- 窓口対応では話し方の工夫に加え、呼び出し番号を壁などに表示してほしい
また、難聴者は耳が遠いと思われたくないため、会話を遠慮してしまう傾向があります。
日常会話や窓内対応での会話の際、遠慮なく話せる気配りや雰囲気づくりも重要です。
スポンサーリンク
難聴と認知症のまとめ
ここまで、難聴と認知症の関係についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 難聴は認知症最大の危険因子である。
- 難聴になると、コミュニケーションの機会が減るため、脳の萎縮速度が早まる。
- 難聴を感じた場合、すぐに医師に相談し補聴器の使用を検討する。
- 難聴の家族が病院に行かない場合は、他のリスクやポジティブな要素を説明する。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。