近年、ユニバーサルデザインの重要性が高まってきました。
ユニバーサルデザインは、いくつかの原則に則って在り方を定められています。
では、ユニバーサルデザインの具体的な原則とは何でしょうか?
本記事では、以下の項目を中心に解説します。
- ユニバーサルデザインの7原則とは?
- ユニバーサルデザインの歴史
- ユニバーサルデザインの今後
この記事を通して、その7つの原則とその意義について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお付き合いください。
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ユニバーサルデザインとは?
ユニバーサルデザインは、文化や言語、国籍、年齢、性別、能力の差異、障がいの有無を問わず、多くの人々に適応するデザインの考え方を指します。
このアプローチは、あらゆる人々が平等に利用できる社会を実現するためのものです。
ユニバーサルデザインの概要
ユニバーサルデザインは、「誰もが使いやすく、最初から多くの人々に適応するデザインを目指しましょう」という哲学から生まれました。
この考え方は、1985年にアメリカのロナルド・メイス博士によって提唱されました。
彼は建築家であり、教育者であり、車椅子を使用する身体障害者でもありました。
彼が提唱するユニバーサルデザインには「7つの原則」が存在します。
ユニバーサルデザインに興味のある方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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デザインの必要性
デザインは、私たちの生活において欠かせない要素です。
ユニバーサルデザインは、すべての人が平等にアクセスできる社会を実現するための鍵となっています。
自動ドアや両手で使えるハサミなど、私たちの周りにはユニバーサルデザインの考え方が取り入れられた製品や施設が多数存在しています。
これらのデザインは、多様なニーズを満たすためのものであり、その重要性は日々増しています。
人々への配慮の重要性
ユニバーサルデザインにおける「配慮」とは、すべての人々のニーズを考慮し、それに応じたデザインを行うことを意味します。
これは、物理的なアクセス性だけでなく、情報やサービスの提供においても平等性を確保することを指します。
例えば、駅のホームや電車内の案内表示やアナウンスは、視覚や聴覚に障害を持つ人々にも情報を伝えるための重要な配慮となっています。
このように、ユニバーサルデザインにおける配慮の重要性は、私たちの生活の質を向上させるための不可欠な要素となっています。
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ユニバーサルデザイン7原則の概要
ユニバーサルデザインとは、老若男女や妊婦、外国人、障がいの有無を問わず、誰もが利用できる施設、仕組み、サービス等に関するデザインのことを指します。
このデザインの考え方は、1980年代にアメリカのノースカロライナ州立大学で建築についての研究をしていたロナルド・メイス教授によって考案され、広められました。
ユニバーサルデザインには7つの原則があり、それぞれにガイドラインが設けられています。
7原則の公式なリスト
ユニバーサルデザインには以下の7つの原則が存在します。
- 誰もが公平に使える
- 使う時の自由度が高い
- 使用方法が簡単で分かりやすい
- 欲しい情報がすぐ理解できる
- ミスや危険につながらないデザイン
- 身体への負担が少なく楽に使える
- 使いやすい大きさと空間の確保
【原則1】誰もが公平に使える
ユニバーサルデザインの原則として、「誰もが公平に使える」というものがあります。
これは「身体的または心理的な障壁がなく容易に使える」ということを意味し、使用の際に差別感や侮辱感を生まないようなデザインでなければなりません。
【原則2】使う時の自由度が高い
ユニバーサルデザインは、使う際の自由度が高くなければなりません。
さまざまな状況の方が、それぞれの好みや状態に合わせて使えるように配慮する必要があります。
【原則3】使用方法が簡単で分かりやすい
使い方が複雑だと知識のある方や文字を読める方など、利用できる方が限られてしまう恐れがあります。
しかし、使用方法が一目瞭然なら、誰でも使い方に迷うことなく利用できます。
【原則4】欲しい情報がすぐ理解できる
必要な情報や重要事項をすぐに理解できるよう配慮することは、ユニバーサルデザインで押さえるべきポイントです。
ひとつの方法だけでなく複数の言語や手段によって情報を伝えることで理解できる方が増えます。
【原則5】ミスや危険につながらないデザイン
ミスを犯したり、危険な状態になったりしないようなデザインであることがユニバーサルデザインには必要です。
ミスや危険性を未然に防ぐことや、仮に間違えた時でもフォローできる設計があると安心につながります。
【原則6】身体への負担が少なく楽に使える
この原則は、ユーザーが物理的なストレスや不快感なく製品やサービスを使用できることを意味します。
【原則7】使いやすい大きさと空間の確保
製品やサービスの大きさや空間が適切であることで、利用者が快適に使えるようにすることが求められます。
これには、身体の大きさや動き、アクセス性などの要因が考慮されるべきです。
出典:建築研究所「ユニバーサルデザイン7原則」
ユニバーサルデザインの実際の環境での適用
ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすい環境を目指す考え方であり、その実践は現代社会において不可欠です。
しかし、この理念を実際の環境にどのように適用するかは、多くの人々にとって疑問の一つかもしれません。
スペースの確保とその方法
物理的なスペースの確保は、ユニバーサルデザインの基本的な要素の一つです。
特に、車椅子ユーザーや高齢者など、移動に制限がある人々にとって、十分なスペースが確保されていることは非常に重要です。
具体的な方法としては、通路の幅を広く取る、段差をなくす、手すりを設置するなどが挙げられます。
また、家具や設備の配置も考慮することで、より使いやすい空間を実現できます。
操作性の確保とその重要性
製品やサービスの操作性は、ユーザーが快適に利用するための鍵となります。
特に、視覚や聴覚に障をがい持つ人々にとって、操作性の確保は必須です。
具体的な方法としては、ボタンやスイッチの大きさを大きくする、色や形で機能を区別する、音声ガイダンスを提供するなどが考えられます。
操作性の確保は、ユーザーが製品やサービスを安全かつ効率的に利用するための基盤となります。
環境への具体的な配慮例
ユニバーサルデザインの考え方を実際の環境に適用する際の具体的な例として、公共施設や商業施設での取り組みが挙げられます。
例えば、駅やバス停では、ブラインドブロックや音声ガイダンスを設置することで、視覚障がい者の移動をサポートしています。
また、ショッピングモールやレストランでは、メニューや案内板を大きな文字やピクトグラムで表示することで、高齢者や外国人観光客の利用を容易にしています。
以下の記事では、具体的なユニバーサルデザイン商品について紹介しています。
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ユニバーサルデザイン7原則の覚え方
ユニバーサルデザインの7原則は、私たちの日常生活におけるデザインの基本となる考え方です。
これらの原則は、誰もが公平に、自由度が高く、簡単に理解し、安全に利用できるデザインを目指しています。
しかし、これらの原則を一度に覚えるのは難しいかもしれません。
効果的な覚え方のテクニック
ユニバーサルデザインの7原則を効果的に覚えるための一つの方法は、それぞれの原則を日常生活のシーンやストーリーに関連付けることです。
例えば、「誰にでも公平に利用できること」を公園の遊具に例えられます。
遊具は、老若男女、障がいの有無に関係なく、誰もが楽しめるようにデザインされています。
色を活用した記憶のコツ
色は、私たちの記憶に強く影響を与える要素の一つです。
7原則それぞれに特定の色を関連付けることで、原則の内容を効果的に記憶できます。
例えば、「必要な情報がすぐに理解できること」の原則を青色に関連付け、青色のアイテムやシーンを見るたびにこの原則を思い出すようにできます。
ユニバーサルデザインの歴史と誰が作ったのか
ユニバーサルデザインは、すべての人々が平等にアクセスできるデザインの考え方を指します。
このデザインの哲学は、多様なユーザーのニーズを満たすためのデザインが必要であるという背景から生まれました。
ユニバーサルデザインの起源と背景
1963年、デンマークで「ノーマライゼーション」という考え方が提案されました。
これは、障がいを持つ人々も健常者と同じように日常生活を送る権利があるという思想です。
この考え方はヨーロッパからアメリカへと拡散し、アメリカでは戦争の影響で障がいを持つ人々の数が増加していました。
この状況を背景に、アメリカ・ノースカロライナ大学の教授であり建築家のロナルド・メイスさんが「ユニバーサルデザイン」という新しいデザインの考え方を提唱しました。
ユニバーサルデザインの7原則を提唱したロナルド・メイス
ロナルド・メイスは、「ユニバーサルデザインの父」とも称される重要な人物です。
彼は9歳の時にポリオという病気にかかり、車椅子を使用して生活していました。
彼の経験から、すべての人々が平等に利用できるデザインの重要性を強く感じ、ユニバーサルデザインの7原則を提唱しました。
ユニバーサルデザインの普及と提唱団体
ユニバーサルデザインの考え方は、実利用者研究機構(ジツケン)などの団体によって日本にも紹介されました。
1990年代から、多くの日本の企業がこの考え方を取り入れるようになりました。
ユニバーサルデザインは、障がいを持つ人々だけでなく、すべての人々の利便性を向上させるデザインを目指しています。
出典:実利用者研究機構「ユニバーサルデザインの誕生」
近年、都市のアクセシビリティ向上が求められています。バリアフリー法は、障害者や高齢者などすべての人々が安全に快適に生活できる社会を目指して制定された法律です。私たちの身近な場所での改善点や取り組みが進められています。しかし、[…]
ユニバーサルデザインの現代への影響
現代社会におけるユニバーサルデザインの影響は、多岐にわたります。
特に、高齢者や障がい者の生活を向上させるための取り組みが注目されています。
このデザイン思考は、多様な人々が快適に暮らせる環境の実現を目指しています。
しかし、その実現にはまだ課題が多く存在します。
現代社会でのユニバーサルデザインの役割
ユニバーサルデザインは、すべての人が平等に生活できる社会を目指す考え方として広く受け入れられています。
物理的な障壁を取り除くだけでなく、情報やコミュニケーションのアクセス性も重要とされています。
日本では、公共の場所や施設におけるバリアフリー化が進められており、その取り組みは日々進化しています。
しかし、一部の地域や施設ではまだ取り組みが不十分であり、更なる改善が求められています。
ユニバーサルデザインの成功事例
ユニバーサルデザインの成功事例として、福祉施設や医療施設の取り組みが挙げられます。
これらの施設では、特定のユーザー層に合わせた設計が行われ、多くの人々が快適に利用できるようになっています。
また、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を機に、ユニバーサルデザインの普及が一層進められました。
その結果、多くの施設や場所での改善が実現されていますが、今後の取り組みも継続的に行われることが期待されています。
ユニバーサルデザインの未来展望
ユニバーサルデザインは、多様なユーザーのニーズに応えるためのデザイン思考として、長い歴史を通じて認識されてきました。
近年の技術の進歩や社会の変化に伴い、その考え方や適用の範囲は進化しています。
今後のユニバーサルデザインの進化予測
ユニバーサルデザインの基本的な考え方は変わらないものの、技術や社会の変化を踏まえた新しいアプローチが求められる時代になっています。
AIやIoTの普及により、よりパーソナライズされたアクセスが可能となり、それに伴いデザインの多様性も増していくと予測されます。
高齢化社会の進行や多文化共生の観点からも、ユニバーサルデザインの重要性は増していくでしょう。
技術の進歩とユニバーサルデザイン
新しい技術やツール、特にVRやAR技術、音声認識やタッチ操作の進化は、ユニバーサルデザインの進化に大きく寄与しています。
これらの技術は、障がいを持つ人々だけでなく、すべてのユーザーにとって使いやすい環境を提供するためのキーとなっています。
社会の変化とユニバーサルデザインの関係
社会の変化やトレンドは、ユニバーサルデザインの考え方や適用に大きな影響を与えています。
現代において、デザインは単なる形状や機能だけでなく、文化や背景を理解した上でのアプローチが不可欠となっています。
これからのユニバーサルデザインは、より包括的で柔軟な考え方が求められるでしょう。
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ユニバーサルデザイン7原則のまとめ
ここまでユニバーサルデザイン7原則についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- ユニバーサルデザインの7原則とは、「誰もが公平に使える・使う時の自由度が高い・使用方法が簡単で分かりやすい・欲しい情報がすぐ理解できる・ミスや危険につながらないデザイン・身体への負担が少なく楽に使える・使いやすい大きさと空間の確保」の7つ
- ユニバーサルデザインは1980年代にアメリカで生まれ、1900年代以降に、日本でこの考え方が特に盛んになった
- ユニバーサルデザインはVRやAR、AI技術の発展に伴い、より洗練されたものになっていくことが期待されている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。