ビタミンDは丈夫な骨を作るのに欠かせないビタミンです。
くわえてビタミンDは、免疫機能向上や赤ちゃんの育成においても重要であることをご存知ですか。
本記事ではビタミンDと免疫について、以下の点を中心にご紹介します。
- ビタミンDはどんなビタミン?
- ビタミンDが不足すると免疫機能が下がる?
- ビタミンDの摂取量の目安とは?
ビタミンDと免疫について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
ビタミンDとは?
ビタミンDは、丈夫な骨・体を作るのに欠かせないビタミンです。
具体的には、腸管でのカルシウムやリンの吸収を促進することで、丈夫な骨づくりをサポートしています。
ちなみにカルシウムやリンは、骨の原料となる成分です。
ビタミンDはカルシウムやリンの吸収率を高めることで、骨の石灰化=骨を固く頑丈にする働きがあります。
もしビタミンDが不足すると、大人では「骨軟化症」「骨粗しょう症」のリスクが高まります。
ちなみに骨軟化症は子供でもかかります。
小児が発症する場合は「くる病」と呼ばれます。
いずれも血中のカルシウム・リンが不足することで、骨が脆くなる疾患です。
骨折や骨の変形などの症状が出るほか、身長が伸びなくなることもあります。
症状の例は以下の通りです。
- 骨折
- 骨痛(股関節・骨盤・背中の痛み など)
- 筋力低下による歩行障害
- 脊椎の変形
- 身長が伸びない(小児の場合)
以上のようにビタミンDは、丈夫な体・骨を形成するのに不可欠な栄養素です。
そのほか、免疫機能の調節や生活習慣病の予防にも役立ちます。
ビタミンdは丈夫な骨づくりに欠かせない栄養です。日本人には不足しやすい栄養素ですが、かといって摂りすぎても身体によくないことをご存知ですか。本記事ではビタミンdについて、以下の点を中心にご紹介します。 ビタミンdが不足すると骨粗し[…]
スポンサーリンク
ビタミンDの摂取で免疫は高まる?
ビタミンDは骨の形成のほか、免疫アップにも関わります。
具体的には、免疫機能を調節することで感染症を予防しています。
ビタミンDが免疫をアップさせるのには、4つのメカニズムがあります。
- 「マクロファージ」を活性化させる
- 「カテリシジン」と「ディフェンシン」の生成をサポート
- 「サイトカイン」を調節する
- 「タイトジャンクション」を制御する
「マクロファージ」を活性化させる
マクロファージは免疫細胞の1種です。
体内に侵入したウイルスを破壊する働きがあります。
ビタミンDは、マクロファージを元気にする効果があります。
マクロファージが活性化すると免疫機能のアップが期待できます。
たとえウイルスが体内に侵入しても、感染症にかかりづらくなるのです。
「カテリシジン」と「ディフェンシン」の生成をサポート
カテリシジンとディフェンシンは、どちらも体内の免疫に欠かせないたんぱく質です。
カテリシジンは、ウイルスや細菌を破壊する物質です。
対してディフェンシンには、抗ウイルス作用や、ウイルスの増殖を抑える作用があります。
ビタミンDは、カテリシジンとディフェンシンの産生を促進します。
ビタミンDによって2つの物質が十分に合成されることで、免疫機能のアップが見込めます。
「サイトカイン」を調節する
サイトカインは、ウイルスなどに攻撃指令を出すたんぱく質です。
いわばウイルス攻撃の司令塔のような存在です。
しかしサイトカインは、ときに過剰に分泌されることがあります。
サイトカインの量が過剰になると「サイトカインストーム」という免疫細胞の暴走が起きます。
サイトカインストームは肺炎や臓器不全を引き起こすほか、命に危険を及ぼすこともあります。
サイトカインストームの抑制に役立つのがビタミンDです。
血中のサイトカインの量を調節することで、サイトカインストームを予防します。
「タイトジャンクション」を制御する
タイトジャンクションとは、皮膚や腸に存在する上皮細胞です。
異物やウイルスが体内に侵入するのを防ぐ働きがあります。
しかしタイトジャンクションは炎症に弱いという性質があります。
炎症が起こるとバリア機能が弱まるため、伴って免疫機能も低下します。
ビタミンDは、タイトジャンクションのたんぱく質を制御することで、バリア機能を向上させる効果があります。
つまり免疫機能がアップするため、ウイルスや感染症にかかりにくくなります。
最近、健康診断の結果があまり好ましくない、かぜをよく引くなどの悩みはありませんか?「これは、食生活や生活習慣が原因なの?」と疑問を持つことがあると思いますが、実はビタミンDの摂取量が原因の可能性があります。今回は必須栄養素である「ビ[…]
タンパク質について筋肉づくりや維持の為に、タンパク質を凝縮したプロテインを摂取する方も多いでしょう。しかし、タンパク質の特徴や過不足などを知らないと、健康のためのタンパク質摂取が逆効果になってしまうことがあることをご存じでしょうか。[…]
ビタミンDを摂取する効果的な方法
ビタミンDの摂取方法は主に2つあります。
1つ目は食品・サプリメントからの経口摂取です。
ビタミンDが豊富な食品はキノコ類・魚介類・卵・牛乳などです。
【ビタミンDが豊富な食品】
可食部100g当たりの含有量(μg) | |
干ししいたけ | 17.0 |
生しいたけ | 0.4 |
ぶなしめじ(生) | 0.5 |
エリンギ(生) | 1.2 |
鮭(からふとます・焼き) | 31.0 |
ぶり(焼き) | 5.4 |
牛乳 | 0.3 |
卵黄(生) | 12.0 |
ちなみに成人の1日あたりの摂取目安量は8.5μgです。
焼き鮭であれば、1切れで1日あたりの目安量を摂取できます。
食事からの摂取が難しければ、サプリメントを活用しましょう。
ただし、サプリメントからの摂取は過剰摂取につながるおそれがあります。
ビタミンDは過剰に摂取すると、腎臓や骨などに障がいが起こることもあります。
食品以外で経口摂取するときは、まず医師などに相談することが望ましいです。
2つ目の摂取方法は日光浴による体内合成です。
ビタミンDは体内で合成できる数少ないビタミンの1つです。
ビタミンDを合成するには、皮膚に直射日光を当てる必要があります。
日光浴の時間は地域・年齢・皮膚の色などによって異なりますが、以下が平均的な日光浴の時間です。
- 夏…木陰で30分程度
- 冬…1時間程度
窓越しに日差しを受けたり、日焼け止め・長袖を使用したりすると、合成が十分に行われない可能性があります。
また、皮膚の色が濃い方もビタミンが合成されにくいと指摘されています。
ビタミンDは日光を浴びることで生成されます。そのため、ビタミンD不足を解消するには日光浴が必要不可欠です。ではどのくらいの時間、日光を浴びればよいのでしょうか?この記事ではビタミンDと日光の関係について、以下の項目を中心に解説しま[…]
ビタミンDの摂取量の目安
ビタミンDは少なすぎても多すぎてもいけません。
摂取するときは、1日の目安量と上限値を守ることが大切です。
ビタミンDの1日あたりの目安量と耐容上限量は以下の通りです。
男性 | 女性 | |||
目安量(μg) | 耐容上限量(μg) | 目安量(μg) | 耐容上限量(μg) | |
0~11カ月 | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
1~2歳 | 3 | 20 | 3.5 | 20 |
3~5歳 | 3.5 | 30 | 4.0 | 30 |
6~7歳 | 4.5 | 30 | 5.0 | 30 |
8~9歳 | 5.0 | 40 | 6.0 | 40 |
10~11歳 | 6.5 | 60 | 8.5 | 60 |
12~14歳 | 8.0 | 80 | 9.5 | 80 |
15~17歳 | 9.0 | 90 | 8.5 | 90 |
18~75歳以上 | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
妊婦 | – | – | 8.5 | – |
授乳婦 | – | – | 8.5 | – |
摂取量が上限値を超えると、健康被害が出ることがあります。
とくにサプリメントなどによって食品以外からビタミンDを摂取している方は、摂りすぎに注意しましょう。
「ビタミンB2ってどんな効果があるの?」「ビタミンB2はどんな食品に多く含まれているの?」ビタミンB2は、発育促進や皮膚・粘膜の健康維持に欠かせない栄養素の1つです。今回は、ビタミンB2について解説しながら、多く含まれる食べ[…]
ビタミンDが不足するとどうなる?
ビタミンDが不足すると、心身にはさまざまな不調があらわれます。
具体的な症状は以下の通りです。
骨折 | 骨痛(股関節・骨盤・背中の痛みなど) | 筋力低下による歩行障害 |
脊椎の変形 | 身長が伸びない(小児の場合) | 免疫力の低下(感染症・花粉症など) |
生活習慣病(糖尿病・動脈硬化等) | 自閉症 | うつ |
ビタミンDの不足自体が心身の不調を引き起こすことは稀です。
しかしビタミンD不足を放置すると、骨や免疫機能に影響が及び、骨折や感染症のリスクが高まります。
また、ビタミンDが不足するとうつ症状が出やすいという指摘もあります。
原因は、脳の情報伝達がうまくいかなくなるためです。
以上のようにビタミンd不足は、間接的に身体的・精神的な不調にかかわります。
ビタミンといえばビタミンCなどが有名ですが、実はDも存在することをご存知ですか。ビタミンDは骨や筋肉を丈夫に保つ上で、とても大切なビタミンです。本記事ではビタミンDの不足症状について、以下の点を中心にご紹介します。 ビ[…]
ビタミンDは妊活から授乳にも効果的
妊娠予定や妊娠中の方、あるいは授乳中の方は積極的にビタミンDを摂取しましょう。
赤ちゃんは、ビタミンDを胎盤や母乳を通して母体から摂取するしかないためです。
ビタミンDは赤ちゃんの発育にとても重要です。
とくに骨格の形成などにおいて、非常に大きな役割を果たします。
近年は、ビタミンD不足による小児のくる病などが増加しています。
原因として、母親の食生活の偏りや、外出不足による日光浴不足などが挙げられます。
妊娠中・授乳中の方は、ビタミンDが豊富な食品を積極的に食べたり、サプリメントを活用したりするのがおすすめです。
ただし、過剰摂取は健康被害につながります。
ビタミンDの補給方法については、医師などとよく相談してください。
ビタミンB6は、健康や美容を維持するために欠かせない栄養素の1つです。しかし、実際にビタミンB6には、どんな働きがあり、体にどんな影響を及ぼすのでしょうか?そこで今回、ビタミンB6について以下の点を中心にご紹介します。 […]
他のビタミンの機能は?
ビタミンにはさまざまな種類があります。
ビタミンD以外の種類・効果・代表食品などを紹介します。
【脂溶性ビタミン】
種類 | 効果 | 豊富な食品 |
ビタミンA | ・皮膚・粘膜を正常に保つ ・視覚機能を正常に保つ | レバー・うなぎ・にんじん |
ビタミンK | ・血液を固める(止血) ・歯・骨を丈夫にする | 納豆・ほうれん草 |
ビタミンE | ・手足の血液循環を良くする ・ホルモン分泌を調節する | アーモンド・かぼちゃ |
【水溶性ビタミン】
種類 | 効果 | 豊富な食品 |
ビタミンB1 | ・糖質をエネルギーに変換する ・脳・神経細胞を正常に保つ | 豚肉・玄米 |
ビタミンB2 | ・脂質をエネルギーに変換する ・皮膚・爪・髪を健やかに保つ | 納豆・レバー |
ビタミンB6 | ・たんぱく質の代謝をサポート ・神経機能を正常に保つ | サンマ・バナナ |
ビタミンB12 | ・血液を作る ・神経機能を正常に保つ | レバー・牡蠣 |
ビタミンC | ・コラーゲンの生成をサポート ・肌の老化予防 ・免疫力アップ | レモン・ブロッコリー・じゃがいも |
スポンサーリンク
ビタミンDと免疫の関係まとめ
ここまでビタミンDと免疫についてお伝えしてきました。
ビタミンDと免疫の要点を以下にまとめます。
- ビタミンDは丈夫な骨作りに欠かせないビタミン
- ビタミンDが不足すると免疫機能が低下し、感染症のリスクが高まる
- ビタミンDの1日あたりの摂取量は、18歳以上は8.5μgが目安
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。