パーキンソン病は、脳の神経細胞の異常によって、身体の運動機能に障害があらわれる疾患です。
現在国内に20万人の患者がいるといわれ、主に高齢者に多くみられます。
パーキンソン病には「なりやすい性格」があるといわれています。
では、パーキンソン病になりやすい性格とは一体どのような性格なのでしょうか?
今回は、パーキンソン病の原因などに触れながら、なりやすい性格や今からできる予防についてご紹介します。
- パーキンソン病とは
- パーキンソン病になりやすい性格とは
- パーキンソンの予防方法
- パーキンソン病との付き合い方
ぜひ最後までご覧いただき、パーキンソン病予防の参考にしてください。
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パーキンソン病とは
パーキンソン病とは、身体の筋肉に指令を出す脳の神経細胞が減少していく疾患です。
この神経細胞が減少していくことにより、指令の伝達が正常にできなくなり、さまざまな症状があらわれます。
特徴
目に見える特徴としては、手足の震えや筋肉硬直があります。
最初は左右どちらかの手足に症状があらわれ、パーキンソン病に気づくきっかけとなります。
進行の速さには個人差がありますが、しっかりと治療をすれば、発症後でも10年ほどは問題なく生活ができます。
原因
身体の筋肉は、脳の指令によって動かせます。
そのため、脳の指令が正常に行われないと、身体をスムーズに動かせなくなるのです。
パーキンソン病は、指令を出す神経細胞の異常により、指令を伝達する役目であるドパミンが正常に作られず、不足することで発症します。
正常の20%程のドパミンが減少すると、症状があらわれるといわれています。
症状
パーキンソン病の主な症状は以下の4つです。
- 安静時振戦(あんせいじしんせん)
- 筋固縮(きんこしゅく)
- 無動・寡動(むどう・かどう)
- 姿勢反射障害・歩行障害(しせいはんしゃしょうがい・ほこうしょうがい)
安静時振戦
安静時振戦とは、安静にしている(何もしていない)ときに震えがあることです。
最初に出る運動症状として1番多いのが、この安静時振戦といわれています。
行動すると震えがおさまるのが特徴です。
筋固縮
筋固縮とは、身体の筋肉がこわばり、スムーズに動かせなくなることをいいます。
他者が動かそうとしても、カクカクと抵抗がみられ、正常に動かすことはできません。
無動・寡動
無動・寡動とは、動作全体が鈍くなることをいいます。
字が小さくなったり、声が小さくなったり、話し方が単調になったりするのが特徴です。
また、仮面様顔貌(かめんようがんぼう)といって、瞬きが減り表情が固くなることで、無表情になっていきます。
食事時の飲み込みも鈍くなるため、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などの合併症が起こることもあります。
姿勢反射障害・歩行障害
姿勢反射障害・歩行障害とは、身体のバランスが保てず、転倒しやすくなることをいいます。
前傾姿勢になり、すくみ足や小刻み歩行、突進歩行がみられます。
このような運動症状の他に、非運動症状というものもあらわれます。
非運動症状とは、意欲低下、幻視、幻覚、妄想などをさします。
さらに、自律神経障害により便秘や発汗の異常がみられたり、痛みやむくみなどがあらわれることもあります。
パーキンソン病は、難病指定されている疾患でとくに高齢の方に多く見られます。パーキンソン病は早期の発見・治療によって進行をゆるやかにできるため、症状を見逃さないことが大切です。本記事では、パーキンソン病について解説します。[…]
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パーキンソン病になりやすい性格とは
パーキンソン病には、なりやすい性格があるとされています。
- 非社交的
- 感情の起伏が少ない
また性格以外にも、運動の頻度が少ない人もパーキンソン病になりやすいとされています。
上記の内容を解説していきます。
非社交的な性格
パーキンソン病になりやすい人の特徴は、「外出しない」「地域活動に参加しない」など、人との交流が苦手な方がなりやすい性格とされています。
また、友人がいても、直接会ったり電話したりすることはせず、1人で過ごすことを好む傾向にある方が多いようです。
このように他者からの刺激がないことで、脳への刺激が減ることが、パーキンソン病になりやすいという事とつながっているのではないかといわれています。
感情の起伏が少ない
感情の起伏が少ないことは、一見よいことのように思えますが、ここでいう感情の起伏とは喜怒哀楽が全体的に少ないことです。
つまり、パーキンソン病になりやすい性格の人は、悲しんだり怒ったりしないだけではなく、楽しくて笑ったり、嬉しくて喜んだりすることも極端に少ないということです。
パーキンソン病と深く関わっているドパミンという脳内物質は「嬉しい」「楽しい」といった快の感情が起こった時に分泌されます。
そのため、ドパミンの分泌量が少ないと正常に機能せず、パーキンソン病になりやすい性格となってしまうのです。
また、真面目で几帳面、融通が利かない方もパーキンソン病になりやすい性格といわれています。
性格以外でなりやすい人
性格以外のことでもパーキンソン病になりやすいといわれているものがあります。
以下にご紹介します。
運動の頻度が少ない人
もともと運動習慣のない方や、運動が得意でない方、運動を好まない方などはパーキンソン病になりやすいとされています。
パーキンソン病にはドパミンの分泌が関わっています。
ドパミンは運動により分泌が促されるため、運動する習慣がない方はドパミンが減少し、パーキンソン病になりやすいのではないかといわれています。
出典:「パーキンソン病の疫学」
パーキンソン病は、難病指定されている疾患でとくに高齢の方に多く見られます。パーキンソン病は早期の発見・治療によって進行をゆるやかにできるため、症状を見逃さないことが大切です。本記事では、パーキンソン病について解説します。[…]
パーキンソン病の予防方法
パーキンソン病の予防には、ドパミンを増やすこと・減らさないことが大切です。
- 運動する
- ストレスを溜めない
- カフェインや緑茶を摂取する
- 社交的になる
上記の4つを解説していきます。
運動をする
ドパミンを分泌させるためにも、運動の習慣を作ることが大切です。
特に効果的とされている運動は以下の通りです。
- 柔軟体操
- ジョギング
- 水泳
- テニス
また、上記の運動が難しい方は、散歩やラジオ体操など、気軽に始められる運動から取り入れてみることをおすすめします。
いずれにしても、痛みや不調がある場合は無理をせず行っていきましょう。
簡単でも良いので、毎日続けることが大切です。
ストレスを溜めない
自分の好きなことや興味のあることをして、ストレスをためないことも大切です。
また、ドパミンは、「嬉しい」「楽しい」などの快の感情を感じることで増やせます。
ドパミンが増えることで、さらに意欲もわきストレスを減らせます。
これといった趣味がない場合でも、興味を持ったものに挑戦する習慣をつけておくと良いでしょう。
小さな興味が新たな趣味のキッカケになるかもしれません。
カフェインや緑茶を摂取する
カフェインには、ドパミン神経細胞を保護する効果があるとされています。
その働きによりドパミンの減少を防げるため、パーキンソン病の予防になるといわれています。
特にコーヒーは、1日3杯程度飲むと良いとされています。
ただし、最も効果が高いのが1日3杯程度であり、たくさん飲むほど効きめが増えるわけではないので、飲み過ぎには注意しましょう。
また、緑茶にもパーキンソン病の予防効果があるとされています。
これは緑茶に含まれるポリフェノールが、パーキンソン病の原因となる神経細胞を壊すのを防いでくれるためといわれています。
社交的になる
非社交的であることが、パーキンソン病になりやすい性格といわれています。
そのため社交的になることが予防の一つと言えます。
他者と会話することで、一定ではないさまざまな感情を持てるため、ドパミンを増やせます。
感情が動くことを面倒くさがらず、自分の身体のためと割り切って、積極的に関わっていきましょう。
交流のきっかけはパーキンソン病予防だったとしても、たくさんの人と接することで、今まで見えなかったことが見えてくるかもしれません。
パーキンソン病との付き合い方
パーキンソン病は発症すると完全に治癒することはありません。
本人はもちろん、家族にとっても長い付き合いとなります。
そのため、焦りや過剰なストレスは、その先の介護をより大変なものとしてしまいます。
本人を支えるためにも、家族は心身が健康でなくてはなりません。
介護サービスを上手に利用し、減らせる負担は減らしましょう。
また、誰よりも落ち込んでいるのは本人です。
自由に動けないことで家に引きこもりがちになったり、自信を失うことで他者との関わりを避けることもあります。
ストレスを溜め、悪循環にならないためにも、仕事や趣味はできる範囲で続け、社会との関わりも途絶えないようサポートしていきましょう。
パーキンソン病は年々増えている?
パーキンソン病が年々増えていることは、特定疾患医療受給者証の所持者数からもわかります。
特定疾患医療受給者証とは、国が指定する難病にかかった方が、医療費の助成を受けるために必要な証明書です。
特定疾患医療受給者証所持者数の情報によると、パーキンソン病は潰瘍性大腸炎に次いで2番目に多い疾患となっています。
増えている理由としては、高齢者の増加や診断技術の進歩、治療の進歩により寿命が伸びたことが関係しているといわれています。
パーキンソン病については、まだ解明されていないことも多いのが現状です。
しかし、さまざまな治癒薬も開発されてきているのも事実です。
早期に治療を始めることで、その後の経過に影響が出てくるのは間違いありません。
予防できるところはしっかり予防し、気になる症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
パーキンソン病になりやすい性格のまとめ
ここまで、パーキンソン病になりやすい性格や予防法を中心にお伝えしてきました。
- パーキンソン病とは、脳の神経細胞の異常によって身体の運動機能に障害があらわれる疾患である
- パーキンソン病になりやすい性格とは、非社交的・感情の起伏が少ない性格が関係している
- パーキンソンの予防方法は、運動する・社交的になること
- パーキンソン病との付き合い方は、無理をせず介護サービスなどを上手に頼ること
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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