入眠障害は、日中のだるさや集中力の欠如を引き起こします。
快適に眠りにつくためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。
本記事では、入眠障害の治し方について以下の点を中心にご紹介します。
- 入眠障害の治し方5選
- 入眠障害に陥る原因とは
- 入眠障害に効果のある薬とは
睡眠時間を長時間確保することよりも大切なことも解説しています。
入眠障害の治し方について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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入眠障害とは
入眠障害とは、ベッドに入ってから寝付くまでに30分〜1時間以上かかる状態のことを指します。
ただ、2〜3日寝付くのに時間がかかった程度では、入眠障害とはいえません。
入眠障害となるポイントとして、
- 入眠障害の症状が1か月以上続く
- 眠気や注意散漫など、日常生活に支障が出ている
などの症状が出ている場合に、不眠症(入眠障害)と診断されることが一般的です。
出典:厚生労働省【不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
夜なかなか寝付けない原因は、入眠障害かもしれません。眠りたいのに眠れないつらさは、誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。入眠障害とは具体的にどのような症状なのでしょうか?また、入眠障害を改善するためには何をすればいいの[…]
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入眠障害の5つの治し方
悩ましい入眠障害ですが、ここでは入眠障害の治し方を5つご紹介します。
自分に合った治し方を見つけて、ぐっすり眠れる日々を手に入れましょう。
- 筋弛緩法(きんしかんほう)
- ゆっくりと入浴する
- カフェインの摂取を控える
- 体内時計のリセット
- 不眠に効果のあるツボを押す
順番に詳しく見ていきます。
筋弛緩法
入眠障害の治し方の1つ目として紹介するのは筋弛緩法です。
「10秒間身体の特定のパーツに力を入れ、その後一気に力を抜く」という動作を行います。
繰り返し行っていくと、無意識に力が入っている場所も分かるようになります。
筋弛緩法は入眠だけでなく、イライラの解消や気分転換にも効果的です。
ゆっくりと入浴する
入眠障害の治し方の2つ目は、ゆっくりと入浴することです。
眠りにつく1〜2時間前に、39〜40度ほどのお湯にゆっくりと浸かってみましょう。
効果としては主に以下の2つです。
- リラックスによって副交感神経が高まり、入眠がスムーズになる
- 身体の奥の体温を上げることによって、体温が急降下する入浴後に眠気を誘う
湯船の温度が42度以上になると、交感神経が活発になります。
身体が興奮状態になって入眠しにくくなるため、お湯の温度には注意しましょう。
カフェインの摂取を控える
就寝4時間以内のカフェイン摂取は、入眠の妨げとなることがあります。
カフェインの具体的な影響としては
- 睡眠が浅くなる
- 睡眠の質の低下
- 利尿作用によりトイレが近くなるため起きる回数が増える
などがあります。
コーヒーなどカフェインを含むものを飲む習慣がある方は、就寝前はカフェインレスコーヒーにするなどの工夫をしましょう。
体内時計のリセット
入眠障害の治し方4つ目は、体内時計のリセットです。
朝起きたら、まずは太陽の光を浴びて体内時計をリセットしましょう。
日光を浴びることにより、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の分泌が止まります。
その後、14〜16時間経つとメラトニンが再び分泌され始めるため、眠気を感じやすくなります。
メラトニンの再分泌と入眠タイミングが合うことにより、スムーズな入眠ができるでしょう。
不眠に効果のあるツボを押す
入眠障害の治し方5つ目は、不眠が解消されるという以下のツボを刺激することです。
- 失眠穴(しつみんけつ)
- 丹田(たんでん)
【失眠穴】
足の裏側の、かかと中央の少しへこんだ部分にあるツボです。
目がさえてなかなか寝付けない時にはこのツボを刺激しましょう。
椅子に座って片足を持ち、反対の手を握りこぶしにして20回ほどゆっくり叩きます。
両ひざを立てて、かかとをゆっくり布団に擦り付けるようにする動きも効果的です。
【丹田】
へその下3〜5㎝あたりの場所にあるツボです。
交感神経が優位な状態を鎮め、心身ともに落ち着かせることが可能です。
あぐらをかき、両手を重ねて丹田の上に置きリラックスしましょう。
この時に女性は右手が下、男性は左手が下になるように置きます。
目を閉じて丹田に精神集中をし、ゆっくりと呼吸しましょう。
ここまで、入眠障害の治し方5つを紹介しました。
まずは取り組めそうなことにチャレンジしてみましょう。
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入眠障害に陥る原因
入眠障害は、生活習慣の改善で治るものもあれば、治療が必要なものもあります。
入眠障害の原因として挙げられているのは主に以下の6つです。
- 人間関係などのストレス
- 睡眠習慣の乱れ
- 精神疾患
- 呼吸器系の疾患
- アルコール・薬の影響
- 環境の問題
順番に解説します。
人間関係などのストレス
家族や会社の人間関係によるストレスが原因で、入眠障害になることは珍しくありません。
また、特定の出来事(家族や友達の死など)がきっかけで入眠障害になる場合もあります。
ストレスといっても、悪いことが起きているときにのみ生じるものではありません。
新しい環境にうつったり、嬉しいことがあったりした時にも人は無意識にストレスを感じます。
また、「今日も眠れなかったらどうしよう」などの漠然とした不安感も一因です。
睡眠習慣の乱れ
寝る直前までスマートフォンやパソコンの画面を見ることも入眠障害の原因です。
光によって睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、入眠しにくい状態になります。
ベッドへの電子機器の持ち込みは控え、自然な入眠となるようにしましょう。
また、休日だけ遅寝遅起きの習慣を続けていると、次第に毎日の睡眠習慣が乱れていきます。
休日も平日もできるだけ同じ時間に起き、体内時計を整えましょう。
精神疾患
精神疾患の多くが、入眠障害を含む不眠症を併発します。
統合失調症や不安障害の方は入眠障害が多くなる傾向です。
精神疾患による入眠障害の場合、生活習慣見直しなどだけでは根本治療になりません。
まずは入眠障害の原因となっている精神疾患を治療することが優先されます。
呼吸器系の疾患
睡眠時無呼吸症候群(SAS)などによって入眠障害が起こることがあります。
睡眠の質が低下することによって、日中の強い眠気を感じます。
その結果、仕事での失敗がストレスとなり、更に寝付けなくなるといった流れです。
アルコール・薬の影響
睡眠前のアルコール摂取の影響によってみられるのが、睡眠の質の低下です。
入眠障害が理由で飲酒を続けていると、眠れるまでに飲む飲酒量が徐々に増加していきます。
その結果、アルコール依存症になる可能性もあるのです。
また、抗うつ剤などの薬の副作用によって不眠症状が出る場合もあります。
不安な方は医師に相談しましょう。
環境の問題
寝室の温度や湿度、騒音や光などが影響して入眠障害となっている可能性もあります。
- 適切なエアコンの使用での温湿度管理
- 遮光カーテンの有効利用
など、自分に合った環境整備を行うことによって、症状が改善するかもしれません。
眠りたいのに眠ることができない状態は、誰にとっても非常につらいものです。就寝前に携帯やゲームをやる習慣がある方は、寝つきづらいと感じているかもしれません。入眠障害の原因として、携帯やゲーム習慣の他にどのようなものがあるのでしょう?[…]
入眠障害で一般的に処方される薬
睡眠薬というと、副作用や依存性などのネガティブなイメージが先行しがちです。
ただ、現在病院で処方される睡眠薬は、安全性が高いものが多く取り扱われています。
用法用量を守ることによって、安全に使用することが可能です。
入眠障害で処方される以下の薬を、効果持続時間なども含めて紹介します。
- マイスリー(ゾルピデム)
- ハルシオン(トリアゾラム)
- ルネスタ
マイスリー(ゾルピデム)
薬の区分 | 効き始める時間 | 効果持続期間 |
入眠剤 | 約15~30分後 | 1~2時間(個人差あり) |
脳の神経を鎮める作用があります。
不安や緊張感をほぐし、自然に近い眠りに近づける超短時間型の薬です。
薬に対しての慣れ(耐薬性)なども出にくく、服薬中止時の不眠症状も少ないとされます。
副作用として一過性前向性健忘(服薬〜目覚めまでの期間に起きたことを忘れる)があります。
怪我や事故などを防ぐために日中などの服用はせず、睡眠直前に飲むようにしましょう。
ハルシオン(トリアゾラム)
薬の区分 | 効き始める時間 | 効果持続期間 |
睡眠導入剤 | 約15~20分後 | 1~3時間(個人差あり) |
ハルシオンは、脳の機能を低下させ「疲れ切って眠る状態」を作り出すベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
比較的安全性の高い、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の効果が不十分な時に処方されます。
自然な眠りを誘うマイスリーと比較すると作用が強く、依存性が高い傾向のある薬です。
副作用として
- 一時的健忘
- めまい・ふらつき
- 眠気
- 倦怠感
- 頭痛・頭重感
などがあります。
ハルシオンは、副作用である健忘を遊びとして取り入れ乱用された過去もあります。
使用する際は必ず医師の判断のもと、用法用量を守って正しく服用することが大切です。
ルネスタ
薬の区分 | 効き始める時間 | 効果持続期間 |
不眠症治療薬 | 約15~20分後 | 1~5時間(個人差あり) |
ルネスタもハルシオン同様、脳の機能を低下させるタイプの睡眠薬です。
2012年に発売された比較的新しい薬で、ジェネリック医薬品はまだ発売されていません。
ルネスタの副作用としては
- 一時的健忘
- 独特の苦味(味覚異常)
- 傾眠(うとうとと浅い眠り)
- 頭痛
- 口が渇く
などがあります。
アルコールとの併用は、相互に作用を増強する恐れがあります。
効果が不安定になることもあるため、禁忌ではないものの注意したほうがいいでしょう。
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睡眠時間よりも睡眠の質が大切
寝つきが悪い状態が毎日続くと、徐々に疲労が蓄積していきます。
なによりも睡眠時間の確保が大切だと思いがちですが、実はそうではありません。
睡眠による身体への影響は、睡眠時間の長さよりも睡眠の質が大きく関わっています。
大切なのは、確保した睡眠時間内で、いかに質の高い睡眠がとれるかです。
日本人の平均睡眠時間は、平均7時間ほどだといわれています。
しかし人によっては、3時間でも問題ない方、10時間眠らないと物足りない方と個人差があります。
また、歳を重ねるにつれて睡眠時間や目覚める回数、起床のタイミングも変化します。
「昔と同じように眠れない」と悩むのではなく、「今日はそういう日なのだ」「数日寝付けないくらいで死ぬことはない」などと楽観的に捉えることが大切です。
個人差はあるものの、人生のうち実に1/3が睡眠時間といわれています。
長い人生の中の大切な一部である睡眠時間を、大事にしていきましょう。
出典:厚生労働省【不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
入眠障害の治し方のまとめ
ここまで、入眠障害の治し方について解説してきました。
入眠障害の治し方についての要点を以下にまとめます。
- 入眠障害の治し方は筋弛緩法・入浴・カフェイン抜き・体内時計調節・ツボ押し
- 入眠障害に陥る原因は、ストレスや睡眠習慣の乱れ、病気やアルコールなど
- 入眠障害に効果のある薬は、マイスリー・ハルシオン・ルネスタなどの睡眠薬
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。