不眠症には、入眠障害、早朝覚醒、中途覚醒、熟眠障害の4つがあります。
中でも入眠障害で薬を服用している方もいるのではないでしょうか。
入眠障害の薬にはどのような種類があるのでしょうか?
本記事では、入眠障害の薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 入眠障害の薬の種類について
- 入眠障害の薬の副作用とは
- 睡眠導入剤と睡眠改善薬の違いについて
入眠障害の薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
入眠障害とは
入眠障害とは、寝床についてから寝付くまでに30分~1時間以上かかる状態のことをいいます。
精神的な問題やストレスがある時や、不安や眠れないことへの焦りなどがあるときに起こりやすいです。
夜なかなか寝付けない原因は、入眠障害かもしれません。眠りたいのに眠れないつらさは、誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。入眠障害とは具体的にどのような症状なのでしょうか?また、入眠障害を改善するためには何をすればいいの[…]
スポンサーリンク
入眠障害に用いられる薬の種類
入眠障害に用いられる薬には、短期型があります。
以下では、短期型の睡眠薬の特徴について説明します。
ゾルピデム(マイスリー)
マイスリーの成分名はゾルピデムです。
マイスリーは、服用後に速やかに吸収され、約40~50分後に血中の濃度が最高値になります。
そのため、薬の効果を早く得られます。
また、作用時間は薬に対する感受性や体から排出される時間によって変わります。
作用時間の目安は7時間という報告があります。
しかし、作用時間には個人差があります。
服用後は、機械作業や車の運転はしないようにしましょう。
その他、起床時には薬が残っている感覚が少ないため、入眠障害の治療に向いているといえます。
トリアゾラム(ハルシオン)
ハルシオンの成分はトリアゾラムです。
ハルシオンは、服用後に1~2時間で薬の血中濃度がピークになります。
即効性はありますが、約2~4時間で半減期になり効果がなくなります。
半減期とは、薬の血中濃度が約半分になることをいいます。
入眠障害の治療には効果が期待できますが、中途覚醒や早朝覚醒の治療には向いていません。
ゾピクロン(アモバン)
アモバンの成分名はゾピクロンです。
アモバンを服用後、1時間前後で血中濃度がピークになります。
半減期はおよそ3~4時間です。
アモバンの成分であるゾピクロンは、催眠作用が強いです。
しかし、苦みが残るという副作用があります。
アモバンを服用したときだけ苦みを感じるのではなく、数十分後や起床時に苦みを感じることもあります。
苦みが出る理由は、薬の成分が体内へ吸収されると唾液の中の苦みを感じる成分が分泌されるためといわれています。
しかし、具体的な原因は明らかにされていません。
エスゾピクロン(ルネスタ)
ルネスタの成分名はエスゾピクロンです。
ルネスタを服用後およそ30分~2時間で薬の血中濃度が最高値になります。
半減期は約5時間ほどです。
ルネスタの特徴は、苦みが改良された成分であるエスゾピクロンが主成分となっています。
そのため、アモバンでは苦みを感じる方にルネスタを使用することもあります。
しかし、ルネスタでも苦みを感じる場合もあるので、苦みが気になる方は医師へ相談しましょう。
ブロチゾラム(レンドルミン)
レンドルミンの成分名はブロチゾラムです。
レンドルミンは、約15~30分で効果があらわれ、約1~1,5時間で血中濃度がピークになります。
半減期は7~8時間です。
作用時間が長いと翌朝に持ち越してしまい、頭がぼーっとしたり、眠気に襲われたりします。
レンドルミンは入眠障害の方の治療に使用されています。
作用時間が長いため、夜中に目が覚める中途覚醒や熟眠障害の方に使用することもあります。
ロルメタゼパム(ロラメット・エバミール)
ロラメット・エバミールは2社で同時に開発されました。
ロラメット・エバミールの商品名で別々の会社で発売されています。
ロラメット・エバミールの成分名はロルメタゼパムです。
ロラメット・エバミールを服用後、約1,5時間で最高血中濃度がピークになります。
半減期は約10時間です。
ロラメット・エバミールのは、肝臓への負担が少ないため、安全性が高いといわれています。
そのため、高齢者や肝機能障害の方にも用いられています。
作用時間が長く、睡眠時間を全体的にカバーしています。
入眠障害の方だけでなく、早朝覚醒、中途覚醒、熟眠障害の方にも効果が期待できます。
しかし、薬の効果はあまり強くないため、あまり使われていません。
リルマザホン(リスミー)
リスミーの成分名はリルマザホンです。
リスミーを服用後、約3時間後に最高血中濃度がピークになります。
半減期は10,5時間です。
リスミーは、薬の効き目が穏やかで、作用時間が長く睡眠時間を全体的に補っています。
そのため、睡眠をマイルドにサポートしたい方に適しています。
しかし、薬が残りやすく、効果が出るまでに時間がかかってしまいます。
リスミーには1mgと2mgの2種類の規格があります。
まずは、1mgから開始しましょう。
日本人の5人に1人が何らかの睡眠問題を抱えているというデータがあります。睡眠障害は国民病ともいわれています。睡眠障害のうち入眠障害は、すべての年齢層の20%弱の成人にみられます。入眠障害とはどのような状態のことをいうのでしょ[…]
日本人の5人に1人が、何らかの睡眠問題を抱えているといわれています。60歳以上では、約3人に1人が睡眠障害を患っているというデータもあります。そのことから睡眠障害は、国民病ともいわれています。睡眠障害になると、どのような問題が生じる[…]
入眠障害の薬の副作用
入眠障害の薬の副作用は主に以下のようなことがあります。
- 持ち越し効果
- 健忘
- 筋弛緩作用
- 反跳性不眠
- アルコールとの相互作用
などがあります。
【持ち越し効果】
起床後から翌日の日中まで薬が残っていることで、眠気が生じることがあります。
持ち越しは、薬の血中濃度の半減期が長い睡眠薬で起こりやすいです。
高齢者は、肝臓や腎臓などの機能の低下が原因で、持ち越しの副作用が出る可能性があります。
睡眠薬を服用した翌日の午前中は、機械作業や車の運転は避けましょう。
【健忘】
健忘とは、睡眠薬を服用してから寝るまでの行動や、夜中の行動が思い出せないことをいいます。
お酒で酔ってしまい、帰宅までのことを思い出せない症状と似ています。
作用時間が短い睡眠薬を多めに服用したり、アルコールと併用するとあらわれやすくなります。
【筋弛緩作用】
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、筋弛緩作用があります。
そのため、服用後にふらついたり、高齢者は転倒する危険があります。
夜間にトイレに行くときなども注意が必要です。
【反跳性不眠】
睡眠薬で不眠症が良くなっていても、服用をやめると、一時的に不眠症状が強くあらわれることがあります。
反跳性不眠を防ぐためには、睡眠薬の量を少しずつ減らしていきましょう。
【アルコールとの相互作用】
睡眠薬とアルコールを併用すると、鎮静状態が強くあらわれます。
アルコールには眠気を誘う効果がありますが、2~5時間しか続きません。
アルコールと併用すると、翌日に眠気が残ることがあります。
睡眠薬を服用するときは、アルコールの摂取は控えましょう。
その他の副作用は、
- めまい、だるさ
- 睡眠中の異常行動
- 眠気
- 頭痛・頭重感
などがあります。
睡眠薬を服用後、副作用があらわれた場合はすぐに医師に相談しましょう。
十分な睡眠をとれていないと感じる方は決して少なくありません。実際に厚生労働省は、日本人の5人に1人が睡眠トラブルを抱えていると発表しています。睡眠トラブルの中でも多いのが、寝つきが悪くなる入眠障害です。では、入眠障害の改善方[…]
睡眠薬の服用時の注意事項
睡眠薬を服用するときは、医師の指示通りに服用することが大切です。
自己判断で薬の量を増やしたり、アルコールを飲んだりすることは避けましょう。
睡眠薬は徐々に眠くなることもありますが、30分くらいで眠気が起きることもあります。
睡眠薬の効果があらわれたら、記憶があいまいになることもあります。
そのため、服用後はすぐに寝ましょう。
長期間睡眠薬を服用していた方が、急に自己判断で服用を中止するのも避けましょう。
急に睡眠薬を中止すると、逆に不眠の症状が強くなったり、不安な気持ちがあらわれたりします。
医師の指示に従い、自己判断で中止しないことも大切です。
その他、睡眠薬は睡眠リズムに沿って服用することが重要です。
夕方など早い時間から服用しても眠気は起きません。
また、夜中に目が冴えてしまい睡眠薬を追加で服用しても、朝方に薬が残っていることもあります。
睡眠薬は、寝る15~30分前に服用しましょう。
睡眠導入剤と睡眠改善薬の違い
睡眠導入剤と睡眠改善薬の違いを以下の表にあらわしています。
睡眠導入剤 | 睡眠改善薬 | |
入手方法 | クリニック、病院 | 薬局、ドラッグストア |
医師の診察 | 必要 | 不要 |
処方箋 | 必要 | 不要 |
対象者 | 不眠症 | 一時的な不眠の症状 |
医師が処方する睡眠薬は、睡眠導入剤といいます。
薬局やドラッグストアで購入できる市販薬は、睡眠改善といいます。
睡眠導入剤は、慢性的に不眠症状がある方に処方されます。
一方、睡眠改善薬は、一時的な不眠症状に対して使用します。
睡眠改善薬は、かぜ薬や鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン剤の成分が配合されています。
抗ヒスタミンの作用で、一時的に不眠症状が和らぎます。
また、薬の効果は医師が処方する睡眠導入剤よりも弱くなります。
しかし、眠りが浅い方や寝付きが悪い場合は、まず睡眠改善薬を試すのもよいでしょう。
睡眠薬の効果を実感できる服用期間
睡眠薬のほとんどは、服用初日~1週間以内に不眠症の効果が得られることが多いです。
服用期間は、1~2週間以上継続することでより効果が安定します。
また、ラメルテオン(商品名ロゼレム)は、新しいタイプの睡眠薬があります。
ラメルテオンの効果も早い段階から効果が得られます。
しかし、3カ月ほど続けて服用するとことで、効果が最大限に大きくなります。
その他、睡眠薬の効果が出るまでの時間は、睡眠薬によって差はそれほどありません。
多くの睡眠薬は、およそ10~30分後に眠気が起きます。
そのため、就寝前に睡眠薬を服用しましょう。
睡眠薬を安心して使うための知識
睡眠薬は、飲み始めると依存したり、薬の量が増えたりすると思っている方もいるでしょう。
しかし、現在の睡眠薬は依存性があったり、薬の量が増えたりすることはありません。
過去に広く使用されていた睡眠薬は、効果は強いですが、副作用も強く出ていました。
現在の睡眠薬は不安や緊張を穏やかにし、自然に近い形で眠りに導いていきます。
また、副作用の心配も少なく安心して使用できます。
睡眠薬を服用するときは、医師の指示のもと正しく服用しましょう。
その他、ドラッグストアでも睡眠薬を購入できます。
市販の睡眠薬は、一時的に不眠症状があるときに使用します。
そのため、慢性的に不眠症の方は市販薬ではなく、医師に睡眠薬を処方してもらいましょう。
スポンサーリンク
入眠障害の薬のまとめ
今回は、入眠障害の薬について副作用や薬の種類の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 入眠障害の薬の種類には、ゾルピデム、トリアゾラム、ゾピクロンなどがある
- 入眠障害の薬の副作用には、持ち越し効果、健忘、筋弛緩作用などがある
- 慢性的な不眠には睡眠導入剤、一時的な不眠には睡眠改善薬を使用する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
日本人の5人に1人が、何らかの睡眠問題を抱えているといわれています。60歳以上では、約3人に1人が睡眠障害を患っているというデータもあります。そのことから睡眠障害は、国民病ともいわれています。睡眠障害になると、どのような問題が生じる[…]