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健達ねっと>健康お役立ち記事>睡眠障害>睡眠障害を抱える患者さんにどんな看護が提供できるのか

睡眠障害を抱える患者さんにどんな看護が提供できるのか

睡眠障害になる原因は、生活習慣や身体の状態によって人それぞれ異なります。
看護師は睡眠障害の原因を見極め、その患者に合ったケアを提供する必要があります。
睡眠障害を抱える患者に対して、どのような看護ができるでしょうか?

本記事では、睡眠障害の看護について以下の点を中心にご紹介します。

  • 睡眠障害の看護計画とは
  • 睡眠の質を上げる方法
  • 睡眠障害の原因とは

睡眠障害の看護について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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睡眠障害とは

睡眠障害とは、睡眠に関わる問題の総称をいいます。
眠れないこと以外にも、早く目が覚める、熟睡感がないことも睡眠障害に含まれます。
睡眠障害になると、集中力低下や身体の不調など日常生活に支障をきたすことがあります。

日本人を対象にした調査では、5人に1人が不眠を訴えています。
とくに60歳以上の方は3人に1人が睡眠障害の悩みを抱えています。
まさに睡眠障害は、「国民病」といえます。

睡眠時間は人それぞれ異なります。
長く寝ても寝たりないという方もいれば、短い時間で十分という方もいます。
睡眠障害は睡眠時間の長さや目覚めた回数が重要視されがちです。

しかし、本来は「不眠によってあらわれる症状」に、焦点を当てる必要があります。
出典:厚生労働省【e-ヘルスネット 不眠症

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睡眠障害の看護計画

睡眠障害の看護計画は、観察計画、ケア計画、教育計画の3つがあります。
それぞれ詳しく説明します。

観察計画

睡眠の問題がある場合、「どのように眠れていないのか」を最初に知ることが大切です。
まずは以下の項目を把握しましょう。

  • 現在の睡眠の状況
  • 睡眠を妨げる原因の有無
  • 随伴症状の有無と程度
  • 不眠に付随する生活上の影響の有無
  • 不眠に対する検査結果、治療内容と効果・副作用
  • 患者の睡眠に関する知識・理解度
  • バイタルサイン

高齢者は様々な薬を服用している場合もあるため、服薬状況も聞きましょう。
そのほか、入院による環境の変化も影響することがあります。
就寝時間が早いことや、他人が同室にいる環境も睡眠を妨げる原因となります。

入院前の患者の睡眠状況、普段の活動量などの生活状況を知ることが大切です。
患者が上手く説明できない場合は、家族から話を聞きましょう。
患者が1人暮らしの場合は、ホームヘルパーやケアマネジャーに尋ねてみましょう。

ケア計画

ケア計画には以下のような内容があります。

  • 睡眠環境を整える
  • 生活リズムを整える
  • 睡眠習慣を整える
  • 心身の苦痛緩和・安楽への援助
  • 睡眠薬の適正な使用

患者の睡眠の状況が把握できたら、解決方法を考えていきます。
多くの場合、睡眠障害はいくつもの要因が絡みあって発症します。
原因をしっかり見極めて、患者に合った看護介入の方法を考えることが必要です。

教育計画

教育計画には以下のような内容があります。

  • 睡眠を促す患者教育を実施する
  • 睡眠衛生指導
  • 服薬指導

睡眠障害を改善するために、生活習慣を見直し、環境を整えることが大切です。
睡眠を妨害する習慣を改善するよう指導します。
また、睡眠薬を服用している場合は、自己判断で薬を中止しないよう指導します。

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睡眠障害の原因に対する看護

睡眠障害の原因に対する看護は、以下の4つです。

  • 身体面へのケア
  • 精神面のへのケア
  • 環境面へのケア
  • 薬剤へのケア

それぞれ詳しく説明します。

身体面へのケア

睡眠障害の原因がわかっている場合は、原因となる症状を取り除きます。
たとえば、咳、熱、痛みがある場合は、症状を緩和するよう対処します。
乾燥によるかゆみがある場合は、保湿剤を塗り、かゆみがでないように保湿します。

身体面のケアは、患者の訴える不快な症状にそれぞれアプローチしていきます。

精神面へのケア

睡眠障害は、精神面に大きな影響を与えます。
とくに夜中に寝つけないときなどは、多くの方が不安感や孤独感、寂しさなどを感じます。
看護師から無理に寝なくても良いということを伝えることで、不安を軽減できます。

そのほか、リフレッシュする方法などを探すことも重要です。
たとえば、散歩したり、テレビ鑑賞したりして、気分転換の時間を促しましょう。
1人でいることが不安な方は、食堂などで誰かと話すと気分が晴れることもあります。

また、生活のリズムにメリハリをつけることも大切です。
食事の時間を決めて、動ける範囲で適度に活動する時間を作ります。
寝る前に、パジャマに着替えてから歯磨きするなどのパターンを作るのもおすすめです。

寝る前の行動をパターン化することで、眠気を誘う場合もあります。

環境面へのケア

高齢者は、外からの刺激に反応しやすくちょっとしたことでも覚醒します。
そのため、睡眠環境を整えるだけでも、睡眠障害が改善することもあります。
たとえば、カーテンから差し込む光や、看護師のライトなども眠りを妨げます。

気になる方にはアイマスクの使用を提案してみましょう。
また、室温が暑すぎたり、寒すぎたりすることも、眠りに影響します。
エアコンでこまめに調整し、サーキュレーターなどを利用し、温度を一定に保ちます。

エアコンの送風が直接当たらないように配慮することも必要です。
そのほか、入院中大声を出したり、いびきが大きい方などが同室のこともあります。
可能な場合は部屋を移動させたり、耳栓の使用を提案するなどして対処しましょう。

薬剤へのケア

睡眠は精神面に影響するので、不安状態にある患者には睡眠薬を使用しましょう。
ただ、高齢者の場合、加齢に伴い肝機能が低下していきます。
そのため、薬物代謝に時間がかかり、副作用が強くあらわれる可能性があります。

睡眠薬には筋弛緩作用もあるため、転倒や骨折にも注意が必要です。
そのほか、高齢者は薬の効果が遅いため、持ち越し効果で昼夜が逆転する傾向があります。
日中意識がはっきりしない状態で食事すると、誤嚥性肺炎を起こす可能性もあります。

睡眠薬の服用は少量から始めて、効果が見られなくても3〜4日は様子をみましょう。
睡眠薬は種類が多いため、いろいろと試して、患者に合った薬を見つけましょう。
服用中の薬剤も、睡眠障害に影響することがあります。

たとえば、寝る前に利尿薬を服用している方は、夜間のトイレが頻回になります。
夜間のトイレの回数が多い場合は、薬を飲む時間を変えることで起きる回数が減少します。
また、24時間点滴している方の場合、処置や頻回のトイレで眠れないこともあります。

点滴が睡眠に影響する場合は、夕方分を飲み薬に変えて対処する方法もあります。
睡眠障害の薬剤ケアは、薬の特徴を理解し、睡眠にどう影響するか考えることが大切です。

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睡眠障害の辛さに寄り添うことが大切

睡眠障害の患者には、睡眠障害の辛さに寄り添う看護が大切です。
眠れない日が続くと、「今夜も眠れないのではないか」と焦り、寝つきにくくなります。
睡眠障害の患者によく見られる不安症状です。

睡眠には個人差があるため、不眠の辛さは共感しづらい気持ちです。
「辛い」「しんどい」という気持ちを1人で抱え込ませないようにしましょう。
睡眠障害の患者が不安な気持ちを相談できるよう、寄り添う姿勢を見せることが重要です。

出典:厚生労働省【e-ヘルスネット 不眠症
出典:厚生労働省【健康づくりのための睡眠指針2014

健達ねっとECサイト

睡眠の質を上げるために

睡眠の質を上げるための看護は、以下の3つです。

  • 日中に太陽の光を浴びる
  • 日中に運動、活動する
  • 就寝前のスマホやパソコンの使用を控える

それぞれ説明します。

日中に太陽の光を浴びる

太陽の光には、体内時計を調整する働きがあります。
朝に太陽の光を浴びると、約14時間目以降に眠気が誘発されます。
すると夜は早く眠くなり、朝は早く起きるので、早寝早起きができるようになります。

そのほか、太陽の光は眠気を誘発するホルモン「メラトニン」の分泌にも影響します。
メラトニンは夜間に分泌が増加し、光を浴びると減少する性質があります。
朝太陽の光を浴びて体内時計を整えることで、夜間のメラトニンの分泌が促されます。

夜間のメラトニン分泌の増加は自然な眠りを誘発し、睡眠障害の改善につながります。
朝病室のカーテンを開けて、太陽の光を浴びるように促しましょう。
ただ、夜に光を浴びるのは逆効果のため、まぶしい照明などは遠ざけるようにしましょう。

出典:厚生労働省【e-ヘルスネット 不眠症

日中に運動、活動する

適度に身体を動かすことは、夜に心地よい眠りを誘います。
時間帯は、午前よりも午後に運動するのがおすすめです。
病棟内を散歩するなど軽い運動を取り入れると、程よい疲労感を得られます。

患者の身体の状態に合わせて、日中はできるだけ身体を動かすように促しましょう。

就寝前のスマホやパソコンの使用は控える

就寝前のスマホやパソコンの使用は、自律神経のバランスに大きく影響します。
自律神経には、交感神経、副交感神経の2種類があります。
交感神経は緊張しているときに活発になり、日中優位になります。

副交感神経は、リラックスしているときに活発になり、夜間優位になります。
就寝前のスマホやパソコンは、交感神経を優位にさせるため、睡眠障害を引き起こします。
また、スマホやパソコンの明るい画面は、眠る時に分泌されるメラトニンを減少させます。

そのため、睡眠の質が低下し、眠りが浅い状態になります。
患者には、就寝の2時間前までにスマホやパソコンの使用をやめるよう促しましょう。

薬の使い方

睡眠障害の種類

睡眠障害の種類は、以下の4つです。

  • 入眠障害
  • 中途覚醒
  • 早朝覚醒
  • 熟眠障害

それぞれ詳しく説明します。

入眠障害

ベッドに入ってもなかなか寝付けない状態をいいます。
寝つくまでに2時間以上かかり、眠りにつくのに時間がかかります。
不眠で悩んでいる方で最も多い症状です。

中途覚醒

眠りについたが、夜中に何度も目が覚める状態をいいます。
目が覚める回数や時間帯は個人差があります。
高齢に伴って多くあらわれる症状です。

早朝覚醒

朝に希望する時間よりも2時間以上早く目が覚める状態をいいます。
目が覚めた後、眠ろうとしても眠れません。
高齢者に多い症状です。

熟眠障害

十分に睡眠をとっているにもかかわらず、熟睡した感じがない状態をいいます。
眠りが浅く、深く眠った実感が得られません。

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睡眠障害の原因と考えられるもの

睡眠障害の原因と考えられるものは、以下の4つです。

  • 身体の影響
  • 精神の影響
  • 環境の影響
  • 薬剤の影響

それぞれ詳しく説明します。

身体の影響

身体の病気や熱や咳などの症状が原因で睡眠障害になります。
主に痛みや湿疹に伴う疾患、喘息発作、頻尿などの症状で寝つきが悪くなります。
原因の病気の治療や症状をおさえることで、睡眠障害が改善することがあります。

精神の影響

精神面での影響では、ストレスや不安などが原因で睡眠障害を引き起こします。
たとえば、病気や手術など心配事やストレスのかかる出来事があると寝つけなくなります。
精神面での睡眠障害は、多くの場合一時的にあらわれます。

眠れない日の前後の出来事を考えると、何が原因だったのか後でわかることがあります。

環境の影響

入院による環境の変化によって、眠れなくなることもあります。
病室の音、部屋の温度、照明など、普段とは違う環境に慣れていないことで起こります。

薬剤の影響

服用している薬が原因で起こる睡眠障害もあります。
主にトイレの回数に影響する利尿剤、抗がん剤、自律神経に働く薬が睡眠に影響します。
抗ヒスタミン薬や風邪薬は、日中に眠気が起きやすいため注意しましょう。

出典:厚生労働省【e-ヘルスネット 不眠症

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睡眠障害の看護まとめ

今回は、睡眠障害の看護についての情報を中心にお伝えしました。
睡眠障害の看護について要点を以下にまとめます。

  • 睡眠障害の看護計画は、観察計画、ケア計画、教育計画がある
  • 睡眠の質を上げるには、「日中に太陽の光を浴びる」「運動する」など
  • 睡眠障害の原因は「身体面」「精神面」「環境面」「薬剤」の影響による

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
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  • 学研グループと融合したメディア
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