クルクミンは肝臓を強化する作用で有名ですが、一方で、かえって肝臓を悪くするという説もあります。
果たしてクルクミンの摂取が肝機能障害を招くことはあるのでしょうか。
また、クルクミンにはそのほかにどのような効果があるのでしょうか。
本記事では、クルクミンの効果について、以下の点を中心にご紹介します。
- クルクミンに期待できる効果とは
- クルクミンが肝臓を悪くする可能性
- クルクミンには効果がないというのは本当か
- クルクミンが豊富な食品とは
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クルクミンとはウコンに含まれる成分
クルクミンはポリフェノールの1種です。
ウコンという植物の根の部分に含まれています。
なお、ウコンには春ウコン・秋ウコン・紫ウコンの3種があります。
クルクミンの含有量が最も多いのは秋ウコンです。
クルクミンは鮮やかな黄色をしているのが特徴です。
色合いを生かして、たくあんの色づけなどに利用されています。
クルクミンは古くから漢方としても用いられてきました。
たとえば、肝機能を整える効果が代表的です。
あるいは美肌・歯周病・鼻炎などの予防・改善効果も期待できます。
クルクミンは、ウコンに含まれている成分の1つです。肝機能を向上させる効果があるとされています。では、クルクミンは一体どのような食品に含まれているのでしょうか。また、クルクミンには副作用があるのでしょうか。気になってい[…]
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クルクミンが効果がある症状・病気
ポリフェノールの1種であるクルクミンは、黄色でウコンに含まれています。
コレステロール値の減少、美肌・歯周病・鼻炎などの予防・改善効果が期待されます。
また、アルツハイマー型認知症への効果が高いことがわかっています。
代表的な効果をみていきましょう。
コレステロール値の減少
クルクミンにはコレステロール値を下げる効果が期待できます。
なお、クルクミンが直接コレステロール値を下げるわけではありません。
クルクミンは胆汁の分泌を促進することで、間接的にコレステロールを減少させます。
胆汁は脂肪を分解する体液です。
肝臓で1日に1l程度生成され、胆嚢に保管されています。
胆汁はコレステロールを原料とします。
つまり胆汁の合成量が多いほどコレステロールの消費量が増えるため、体内のコレステロール値が下がるというわけです。
胆汁の合成・分泌をサポートするのがクルクミンです。
クルクミンは肝臓の解毒作用を高め、かつ胆汁の分泌を活性化させる作用があります。
なお、クルクミンがコレステロールの吸収を抑制したり、善玉コレステロールを増やしたりするという説もあります。
しかしながら、ラットを用いた実験では、クルクミンによるコレステロールの吸収緩和・善玉コレステロールの増加はみられませんでした。
つまり、クルクミンには直接的にコレステロールを減らす作用があるとはいえません。
一方、胆汁がコレステロールを原料とするのは事実です。
さらに、クルクミンには胆汁の分泌を促進する作用があります。
よってクルクミンは、間接的にコレステロール値の減少に役立つ可能性があります。
出典:厚生労働省「コレステロール | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
出典:J Stage「クルクミンによる コレステロール吸収抑制・排出作用に関する研究」
美肌機能
クルクミンには肌を健康に保つ作用があります。
理由は、活性酸素を取り除く作用があるためです。
活性酸素とは、老化を促す成分です。
わかりやすくいうと、細胞・血管を錆びさせることで身体を老化させます。
活性酸素は、以下のような肌トラブルの原因としても知られています。
- たるみ
- しわ
- ハリの低下
- しみ
- くすみ
たるみ・しわの原因の1つは、コラーゲンやエラスチンなどの減少です。
コラーゲンやエラスチンは、肌に潤いを与えて弾力・ハリを保つ成分です。
活性酸素には、コラーゲンやエラスチンの生成を妨げる働きがあります。
結果、肌のしわ・たるみ・ハリの低下などが起こります。
一方、活性酸素はメラニンの生成を促します。
メラニンは、しみ・くすみの原因物質です。
クルクミンは活性酸素を取り除く効果が高い成分です。
よってコラーゲンなどの生成促進と、メラニンの抑制に役立ちます。
つまり、しわ・たるみ・しみなどを防いで、健康で若々しい肌を維持する作用が期待できるというわけです。
脳機能を活性化させる効果
クルクミンには脳機能を活性化させる作用があります。
理由は、クルクミンが脳の炎症を抑えるためです。
脳には血液脳関門という関所のようなものがあります。
血液脳関門を通って脳内に入り込む物質は、さほど多くありません。
クルクミンは血液脳関門を通過できる数少ない物質です。
脳内に入ったクルクミンは、抗酸化作用を発揮します。
抗酸化作用とは、活性酸素を取り除く機能のことです。
活性酸素は脳にダメージを与えることで、機能を低下させます。
クルクミンが脳の活性酸素を取り除くことで、脳の機能は正常に維持されやすくなります。
結果、脳機能の活性化などが期待できるわけです。
なお、クルクミンは経口投与では血液脳関門を通過できないという指摘もあります。
理由として、クルクミンは胃酸で溶かされるため、十分な量が吸収されないことが挙げられています。
一方、近畿大学の調査では、吸収率の高いクルクミンをラットに投入したところ、脳・延髄の炎症が改善したという結果が出ています。
クルクミンによる脳活性化効果には検証の余地はあるものの、可能性はゼロではないことが分かります。
出典:近畿大学「近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)微生物学教室 講師 尾村誠一」
歯周病
クルクミンには歯周病菌の増殖を抑制する効果があります。
結果として、歯周病の予防を期待できます。
歯周病菌の原因菌の1つがPg菌です。
Pg菌は歯の表面に巣を作って定着し、増殖していきます。
Pg菌の巣とはいわゆる歯垢のことで、バイオフィルムなどとも呼ばれます。
クルクミンはバイオフィルム生成を防ぐことで、Pg菌の増殖を抑制します。
ただし、クルクミンは、そのままの状態では歯周病菌の抑制効果はさほどありません。
大阪大学の研究では、クルクミンが歯周病菌に高い効果を示すには、水に溶解する必要があるという結果が出ています。
一方で、クルクミンは水に溶けにくいという性質があります。
よってクルクミンを歯周病予防に利用するには、溶解剤を用いるなどの工夫が求められます。
出典:大阪大学「クルクミンによる歯周病予防効果の研究」
出典:厚生労働省「バイオフィルム | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
鼻炎
クルクミンには抗炎症作用があります。
そのため、鼻炎などの症状の緩和が期待できます。
鼻炎とは鼻の粘膜が炎症を起こしている状態です。
鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状があらわれやすくなります。
なお、炎症が起こるのは免疫機能の暴走が原因です。
免疫機能とは、身体をウイルスなどの異物から守る仕組みです。
免疫機能が異物に過剰反応すると、鼻炎・発熱などの症状があらわれやすくなります。
クルクミンには、免疫機能の働きを調節することで、全身の炎症を防ぐ効果があります。
結果として、鼻の炎症の沈静化=鼻炎の改善が期待できるというわけです。
認知症
クルクミンは、認知症予防に効果があると考えられています。
認知症の中でも、特にアルツハイマー型認知症への効果が高いです。
理由は、クルクミンにはアミロイドβの蓄積を防ぐ作用があるためです。
アミロイドβはアルツハイマー型認知症の原因物質です。
アミロイドβが脳に蓄積すると、その部位の脳細胞は破壊されます。
すると脳が機能不全に陥るため、認知機能が低下していきます。
クルクミンはアミロイドβが脳に蓄積するのを防ぐことで、脳細胞の機能を正常に保ちます。
さらにクルクミンは、すでに蓄積したアミロイドβを分解する作用もあります。
つまり脳細胞の破壊が起こりにくくなるため、認知症予防を期待できます。
癌予防(対策)
近年、クルクミンに癌の予防効果があることが分かってきました。
特に効果が期待できるのが大腸癌です。
なぜクルクミンが癌予防になるのかはハッキリ解明されていません。
理由の1つとして、クルクミンに高い抗酸化作用があることが考えられます。
活性酸素は細胞を傷つけることで、癌細胞の増殖を促します。
一方、クルクミンには体内の活性酸素を取り除く作用があります。
つまり細胞を活性酸素から守ることで、癌細胞の増殖の抑制する可能性があります。
出典:厚生労働省「活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
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肝臓の機能の改善は嘘?副作用について
クルクミンは肝臓の働きをサポートすることで有名です。
しかし実は、クルクミンと肝機能の関係を疑問視する意見も少なくありません。
具体的な内容をみていきましょう。
サプリの使用で肝機能を悪くした事例
サプリメントなどでウコンを摂取すると、肝臓機能障害が起きる可能性が示唆されています。
たとえば30代の男性が二日酔い防止にウコンを大量摂取したところ、肝臓機能が低下し、その後死亡しています。
また、38歳の男性がウコン摂取によって劇症化肝炎を発症し、死亡したケースもあります。
38歳男性には飲酒の習慣があり、肝機能保護のためにウコン・シジミエキスを継続服用していました。
なお、厚生労働省の平成22年の調査では、薬剤性肝障害22件のうち11件はウコンが原因でした。
クルクミンはウコンを代表する成分です。
よってクルクミンは肝臓の保護効果はなく、むしろ肝機能に負担をかける可能性があると考えられています。
特にもともと肝臓の疾患を抱えている方は、クルクミンによる肝機能悪化のリスクが高いです。
出典:厚生労働省「健康食品の利用について」
クルクミンは効果なしに近い可能性
クルクミンには肝機能を高める効果はないという意見もあります。
理由は、クルクミンは体内に吸収されにくいためです。
厚生労働省も、経口で摂取されたクルクミンは血液中に届きにくいと発表しています。
そのため、クルクミンの人体への影響についての研究は不確かというのが実際のところです。
なお、体内に吸収されにくいのは、そのままの状態のクルクミンです。
一方、クルクミンを配合したサプリメント・健康食品の中には、体内吸収率を高める工夫がされているものも少なくありません。
つまりクルクミンを効率的に摂取・吸収できるため、効果を実感できる可能性はあります。
出典:厚生労働省「厚生労働省eJIM | ウコン | ハーブ | 医療関係者の方へ」
クルクミンの副作用について ウコンに含まれる物質の1つであるクルクミン。クルクミンは様々な効果が期待できる物質として注目され、研究がされています。しかし、クルクミンには副作用があるのを知っていますか?本記事では、[…]
クルクミンの効果に関する論文を紹介
クルクミンの健康効果を実証した論文を紹介します。
ぜひご参考ください。
クルクミンは筋損傷に有効だと示した論文
クルクミンが筋損傷の予防・軽減・改善に役立つことを示した論文があります。
筋損傷とはスポーツ中に筋肉に損傷を負うことで、たとえば肉離れが代表的です。
運動開始1時間前と運動終了12時間後にクルクミンを摂取したところ、筋損傷のリスクが低下するという結果が出ました。
さらに運動後の筋損傷の回復も促進されています。
なお、運動後のクルクミン摂取は筋肉痛の軽減に役立つことも判明しました。
一方、運動前のクルクミン摂取については、筋肉痛の軽減に効果はみられませんでした。
ただし、運動前のクルクミン摂取は、運動終了12時間後の筋肉の炎症を鎮めるというデータが出ました。
つまり、クルクミンの筋損傷への効果は、運動前・運動後で異なることが分かります。
目的に応じてクルクミン摂取のタイミングを使い分けることで、運動パフォーマンスの向上が期待できます。
出典:田名辺陽子氏「クルクミン摂取が伸張性運動後の筋損傷に及ぼす影響」
クルクミンの構造に対して新発見をした論文
クルクミンの抗酸化作用を高める可能性を示唆する論文があります。
クルクミンが抗酸化作用を持つのは、クルクミンの構造に理由があります。
クルクミンは2個のフェノール性ヒドロキシ基とβ一ジケトン構造を有します。
さらにベンゼン環状のヒドロキシ基を加えると、より高い抗酸化作用が期待できます。
出典:竹内敬人氏ら「I. クルクミン類似化合物の構造と抗変異原性との相関に関する基礎的研究」
クルクミンを多く摂れる食品は?
クルクミンが豊富な食品をご紹介します。
ぜひご参考ください。
カレー
クルクミンはカレーに欠かせないスパイスです。
ちなみに、カレーの黄色はクルクミン由来のものです。
カレーにはクルクミン以外のスパイスも多く含まれます。
スパイスの中には、古くから薬として用いられてきたものが少なくありません。
たとえば食欲増進・血行促進などの効果が期待できます。
つまり、カレーとは天然の薬が詰まった食べ物なのです。
健康を維持したいなら、定期的にカレーを食べるのも1つの方法です。
たくあん
たくあんは大根の漬物です。
日本の伝統食品の1つでもあります。
クルクミンは、たくあんの色づけに使用されています。
具体的には、たくあんの黄色はクルクミンに由来しています。
たくあんには大根由来のビタミンや食物繊維が豊富です。
また、発酵食品であるため乳酸菌なども豊富です。
期待できる健康効果は、免疫力アップ・疲労回復・便秘解消などです。
その他食品
クルクミンが含まれる食品には以下があります。
- ターメリック
- ウコン
クルクミンの効果のまとめ
ここまでクルクミンの効果についてお伝えしてきました。
クルクミンの効果の要点を以下にまとめます。
- クルクミンに期待できる効果は、コレステロールの減少・美肌・認知症予防・癌予防など
- クルクミンが含まれたサプリメント・健康食品が原因で肝機能障害を起こしたり、死亡したりしたケースは少なくない
- クルクミンは体内への吸収率が低いため、本当に健康効果があるのかは定かではない
- クルクミンが豊富な食品は、カレー・たくあん・ウコンなど
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。