喘息は小児の病気というイメージがありますが、実は成人にも少なくありません。
ストレスが成人の喘息の多くの原因となっています。
それでは、なぜストレスが喘息を引き起こすのでしょうか。
本記事では、ストレスと喘息について、以下の点を中心にご紹介します。
- ストレスで喘息が悪化する理由
- 成人の喘息とストレスの関係
- ストレスが原因の喘息の改善方法
- 喘息で死亡することはあるのか
ストレスと喘息について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
社会で生活していく上で、ストレスを完全に避けることは困難です。従って、正しくストレスと向き合っていくことが、人が健康的に暮らしていくためには大切です。今回はストレスについて、以下の点を中心に解説していきます。 ストレス症状[…]
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ストレスとは
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ストレスとは、外部からの刺激に対して心身が緊張状態になることです。
以下の4つの要因があります。
- 環境的要因(天候・騒音・振動)
- 身体的要因(病気・けが・疲労)
- 心理的要因(悩み・不安)
- 社会的要因(対人関係トラブル)
ストレスが大きくなると、身体・精神の両方に様々な不調があらわれやすくなります。
出典:厚生労働省【ストレスって何?】
ストレスの溜めすぎはよくないといわれています。しかし、ストレスがどんな問題を引き起こすのか、詳しく知らないという方も多いでしょう。自分のストレスがどの程度なのかチェックする方法があれば、健康維持に役立ちますよね。今回はストレ[…]
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喘息とは
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喘息とは、気道に炎症があるために発作が起こる疾病です。
気道は空気の通り道のことで、食道の下から肺の入り口までが該当します。
喘息の発作であらわれる症状は以下の通りです。
- 咳
- 痰
- 息苦しさ
- 呼吸のときにゼーゼー・ヒューヒューと音が鳴る
- 胸苦しさ
熱はないのに咳が続くことがあります。乾燥やアレルギー以外にストレスによっても咳が出ます。体に異常がないのに咳が長引いていませんか?ストレスと咳にはどのような関係があるのでしょうか?本記事ではストレスと咳の関係について以下[…]
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ストレスで喘息が悪化する?原因は?
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ストレスは喘息を悪化させることがあります。
喘息が悪化する理由を、物理的ストレスと精神的ストレスに分けて解説します。
物理的ストレスによる喘息の悪化
喘息を悪化させる物理的ストレスには以下があります。
- 大気汚染
- 冷たい空気
- たばこの煙
- アレルギー物質(花粉・ペットの毛)
- 化粧品・香水などの香り
喘息の方は、炎症によって気道に大きなダメージを受けています。
簡単にいえば気道が弱っているため、些細な刺激にも敏感です。
一方、冷たい空気・たばこの煙・アレルギー物質などは気道を刺激します。
ただでさえ敏感になっている気道はますますダメージを受け、結果として炎症は悪化します。
それに伴って、喘息の症状もますますひどくなるのです。
また、喘息の悪化原因には呼吸感染症も含まれます。
具体的には風邪・インフルエンザ・肺炎などの気道の炎症を伴う疾患です。
喘息の方が呼吸器感染症を患うとますます炎症がひどくなるため、症状が悪化しやすくなります。
精神的ストレスによる喘息の悪化
精神的なストレスも喘息を悪化させます。
精神的ストレスが喘息を悪化させる仕組みは、ハッキリとは解明されていません。
一説では、コルチゾールが原因とされています。
コルチゾールはストレスを感じたときに分泌される物質で、ストレスホルモンとも呼ばれます。
精神的なストレスを感じてコルチゾールが分泌されると、体内ではサイトカインが放出されます。
サイトカインとは免疫細胞を活性化させる物質です。
具体的には、ウイルス・アレルギー物質などの有害物質を体外に排除する作用があります。
サイトカインによって異物が排除される際には、身体に何らかの炎症が起こります。
よって、もともと気道に炎症がある状態でサイトカインが放出されると、炎症はますます悪化しやすくなります。
つまり、喘息の方はサイトカインによって症状が悪化してしまうわけです。
出典:【喘息と精神・ストレス】
なお、精神的ストレスと喘息悪化には自律神経が関係するという説もあります。
自律神経は、全身の器官・ホルモン分泌をコントロールする神経系です。
交感神経と副交感神経から成り立ちます。
交感神経は、身体を興奮させる神経系です。
血圧を上げたり、呼吸を速めたりすることで身体を興奮させ、活動エネルギーを生み出します。
一方、副交感神経は身体をリラックスさせる神経系です。
脈拍・呼吸を下げることで、心身をゆっくり休息させる作用があります。
精神的ストレスを受けると交感神経が活発化しやすくなります。
交感神経は全身の筋肉を緊張させる作用があります。
すると気道の筋肉も硬直・収縮するため、空気が通りにくくなり、息苦しさなどの症状があらわれやすくなります。
ストレスが大きい方ほど、交感神経が活発化しやすくなっています。
そのぶん気道も緊張しやすいため、些細な刺激でも喘息が悪化しやすくなります。
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大人になって発症する喘息はストレスかも
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喘息は大人より小児に多い症状です。
ただし、成人でも喘息がある方は少なくありません。
小児喘息の方のうち、約30%は成人喘息に移行すると指摘されています。
あるいは、小児のうちに喘息が治ったものの、成人後に再発する場合もあります。
また、成人後に初めて喘息を発症する方もおられます。
厚生労働省の発表では、成人後に初めて喘息を発症した方は、成人喘息の7~8割を占めています。
なお、成人後に初めて喘息を発症するのは、40~60代の働き盛りの方です。
小児喘息の原因の大半は、アレルギー物質です。
対して成人喘息の場合は、アレルギー物質以外が原因になっていることが多いです。
成人喘息の代表的な原因がストレスです。
そのほかの原因としては、体質が指摘されています。
成人の喘息は悪化しやすいのが特徴です。
喘息症状を風邪・一時的な不調などと思い込みやすいためです。
結果、発見・治療が遅れてしまい、気がついたときには重症化しているケースもしばしばあります。
出典:厚生労働省「成人喘息の疫学、診断、治療と保健指導、患者教育」
外部からの刺激に対する反応をストレスと呼びます。ストレスは、生活習慣病などの疾患にも関係しています。ストレスと生活習慣病は、どのような関係なのでしょうか。また、ストレスは一体どのように健康へ影響を及ぼすのでしょうか。本記[…]
ストレスによる喘息を改善するには
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喘息の原因がストレスの場合は、まずストレスを解消することが大切です。
第一に心がけたいのは、ストレスの原因から離れることです。
職場・学校でストレスを感じている場合は、休職・休校などを視野に入れましょう。
あるいは配置換えや仕事量を減らすなどの工夫も大切です。
さらに、特定の場面でストレスを感じることもあります。
例えば大事な会議やプレゼンテーションの前は、どうしても緊張するため、喘息が悪化しやすくなります。
特定の場面で喘息がひどくなる場合は、症状のコントロールが可能です。
具体的には、一時的に喘息の薬の数・種類を増やす方法があります。
例えば大事な会議の予定がある場合は、事前に医師に相談して喘息の薬を増やしてもらいましょう。
なお、喘息症状を抑える薬はステロイド吸入剤が代表的です。
さらに、溜まったストレスを発散させることも大切です。
代表的なストレス発散方法は、趣味・買い物・旅行などです。
あるいは、ゆっくり身体を休めることもよいストレス発散になります。
不安・悩みがある場合は、信頼できる相手に相談しましょう。
ストレスは、人に緊張感や責任感を与え、人が成長するために必要不可欠な要素といわれています。しかし、強いストレスは心身に異常をきたしてしまうため、適切に対処していく必要があります。ストレスと上手に付き合っていくための対処法には、どのよ[…]
ストレスによる喘息におすすめの漢方薬
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ストレスによる喘息は、漢方薬で改善できることもあります。
喘息に効く漢方薬には以下があります。
- 神秘湯
- 半夏厚朴湯
- 小柴胡湯
いずれも精神の高ぶりを抑え、気持ちをリラックスさせる効果があります。
また、気管支を広げたり、呼吸器の働きをサポートしたりする作用もあります。
いずれも、それなりに体力がある方向けの漢方薬です。
ストレスと喘息の関係性に関する研究
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喘息と精神的ストレスは相互に関係し合うことが分かっています。
精神的ストレスが喘息を発症・悪化させるケースは少なくありません。
あるいは、喘息が精神的ストレスの原因となることもしばしばです。
実際に喘息患者の方の多くにはうつ・不安症状が確認されています。
さらに、抑うつ症状のある方は喘息の有病率も高いと指摘されています。
ストレスによるうつ病を改善するには、うつ症状そのものの他に、原因となっているストレスにもアプローチが必要です。
出典:「喘息と精神・ストレス」
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ストレス以外の喘息の原因
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喘息の原因は、ストレス以外にも様々です。
厚生労働省の発表をもとに、代表的な原因をご紹介します。
個体因子 | 遺伝子素因・アレルギー素因・気道過敏性・性差 | |
環境因子 | 発病因子 | アレルゲン・ウイルス性呼吸器疾患・大気汚染・喫煙・食品・食品添加物・寄生虫感染 |
憎悪因子 | アレルゲン・呼吸器感染症・大気汚染・運動・喫煙・月経・肥満・アルコール |
出典:厚生労働省【成人喘息の疫学、診断、治療と保健指導、患者教育】
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喘息による死亡の現状
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喘息は、重症化すると命を落とすことがあります。
喘息を原因とする死亡は、喘息死と呼ばれます。
喘息死の件数は年々減少しています。
たとえば1995年における喘息の死亡数は7253人でした。
一方、2006年には2778人となっています。
減少傾向ではあるものの、決して少なくない数の方が喘息で亡くなっていることが分かります。
喘息による死亡は小児より成人に目立ちます。
たとえば2004年の喘息死件数は3283件でした。
3283件のうち小児の死亡は40件、残り3243件は成人です。
なお、成人の喘息死亡者のうち、約9割は60歳以上の高齢者です。
出典:厚生労働省【喘息死ゼロ作戦の実行に関する指針】
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ストレスと喘息の関係性まとめ
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ここまで、ストレスと喘息についてお伝えしてきました。
ストレスと喘息の要点を以下にまとめます。
- ストレスで喘息が悪化するのは、物理的ストレスが気道を刺激したり、体内で炎症物質が分泌されたりするため
- 成人後に初めて喘息を発症した場合は、ストレスが原因の可能性が高い
- ストレスが原因の喘息を改善するには、ストレスを解消したり、ゆっくり休息したりすることが大切
- 喘息死は小児より成人に目立つが、中でも60歳以上の高齢者の死亡件数が多い
最後までお読みいただき、ありがとうございました。