熱中症の原因で最も多い症状が脱水症状です。
適切な対処が遅れると死に直結する恐ろしい症状です。
脱水症状とは、どのような症状なのでしょうか。
本記事では脱水症状の原因について以下の点を中心にご紹介します。
- 脱水症状はなぜ起こるのか
- 脱水症状を起こす原因とは
- 脱水症状を予防するためには
脱水症状の原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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脱水症状とは
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脱水症状とは、体の外に出る水分と入る水分のバランスが崩れることです。
体内の水分不足が原因で、さまざまな症状があらわれます。
人間の体は50~70%が水分です。
全体の2%の水分が失われると喉の渇きを自覚するといいます。
さらに3%以上失われると脱水症状となります。
人間の体液は、水だけではありません。
ナトリウム、カリウムといった電解質が含まれています。
電解質を含まない水をいくら飲んでも、脱水症状は改善しません。
電解質は濃度バランスを保とうとします。
取り込んだ水分によって電解質の濃度を薄め、尿として排出します。
そのため、脱水症状の予防には、電解質を含んだ飲み物で水分を補う必要があります。 脱水症状は、暑い時期に起こるというイメージが強いです。しかし実際は、冬場に発症することも少なくありません。脱水症状は発見が遅れやすいため、気づかないうちに重症化するケースもしばしばです。脱水症状の重症化を防ぐには、どのような[…]
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脱水症状になる主な原因
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脱水症状になる原因には、いろいろなものがあります。
意外なところに脱水症状の原因が潜んでいるので、注意しましょう。
水分摂取量の不足
体内に取り込んだ水分は、汗や尿となって体の外に排泄されます。
その分を常に補う必要がありますが、何らかの原因で摂取量が不足してしまいます。
高齢者の場合、夜中のトイレのことを気にして水分補給を控えることがあります。
できるだけ飲み物を控えようとするため、夜に脱水症状を起こすケースが多くなります。
乳幼児は、喉の渇きを訴えることができません。
子どもは、遊びに夢中になると喉の渇きも忘れてしまうことがあります。
高齢者や小さな子どもは自分で水分を摂れないケースもあるので、見守りが大切です。
水分喪失量の増加
体内に取り込む水分よりも失う水分が多いことが原因で脱水症状が起こります。
気温の高い環境で、激しく運動すると大量の汗が出て水分が失われます。
胃腸炎で嘔吐や下痢症状が続くと、水分排泄量が増加して脱水症状が起こります。
また、アルコールには利尿作用があります。
喉が渇いたからとビールをたくさん飲むと、かえって脱水症状が進行してしまいます。
口渇中枢の感受性の低下
「喉が渇いたな」という感受性が低下してしまうことが原因で脱水症状が起こります。
とくに高齢者は「口喝中枢(こうかつちゅうすう)」が低下しやすい傾向にあります。
喉が渇いたなと感じたときには、すでに脱水症状となっていることが多いのです。
腎臓機能の低下
脱水症状が原因で腎臓の機能が低下することがあります。
腎臓の主な働きは、血液を濾過して老廃物を取り除き、尿として排出することです。
脱水により体内の水分量が低下することで腎臓に必要な血液量も減ります。
そのため、腎臓の機能が低下してしまうのです。
服用している薬の影響
服用している薬で利尿作用がある場合、脱水症状の原因となります。
とくに高血圧の方の降圧剤は、利尿作用があるため注意が必要です。
また、頭痛薬などの痛み止めを常用している方も脱水症状には注意が必要です。
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脱水症状の主な症状
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脱水症状には大きく分けて「軽度」「中度」「重度」の3段階があります。
症状によって対処法も異なるので、しっかりと観察することが大切です。
軽度
唇や口の中が乾燥していたら、脱水症状を疑います。
また、通常なら脇など汗で湿っているはずなのに、乾いているときも要注意です。
軽度では以下のような症状があらわれます。
- 頭痛
- 微熱
- 倦怠感
- めまい・立ちくらみ
- 食欲がない
- ふらつき
中度
軽度の脱水症状が悪化すると、頭痛や吐き気を訴えるようになります。
急激な体重の減少なども、脱水症状の疑いが考えられます。
中度では以下のような症状があらわれます。
- 嘔吐
- めまい
- 尿が出にくい
- 手足のしびれ
- 悪心
- 体温上昇
- 頭痛
重度
さらに脱水症状が進行することで応答反応がなくなり、意識がもうろうとします。
体が痙攣するようなこともあるので、すぐに救急車を呼ぶことが大切です。
重度では以下のような症状があらわれます。
- 血圧低下
- 脱力
- 意識障害
- 頻脈
- 痙攣
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脱水症状の判断基準
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脱水症状が起こると、さまざまな兆候があらわれます。
自覚症状がなくても、ささいな異変に気づくことで重症化を防ぐことは可能です。
喉が渇く
軽度の脱水症状では、喉の渇きを訴えます。
自力で水が飲めるようであれば、ひとまず安心です。
水分を飲ませるときには、少しずつ飲ませるようにしましょう。
体重が短期間で減る
体の水分量の3%がなくなると脱水症状を起こすといわれています。
脂肪などは、すぐになくなるものではありません。
50㎏の人が短時間で1.5㎏減った場合は、脱水症状を疑いましょう。
尿の色が濃い
正常な尿の色は、淡黄色です。
これは腎臓で血液が濾過されるときに出る「ウロビリン」という代謝物の色です。
摂取した水分が多いと、たくさんの水が尿として排出されるため薄い色になります。
逆に摂取する水分量が少ないと、尿の量が減って濃い色になります。
起床時の尿の色が濃いのは正常ですが、日中も濃い尿が出たときは脱水症状が疑われます。
37度前後の微熱がある
風邪をひいたわけでもないのに、37度前後の微熱が出た場合、脱水症状かもしれません。
経口補水液などを摂って安静にしましょう。
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脱水症状があるときの対処法
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脱水症状を起こしたとき、できるだけ素早く対処することが大切です。
それぞれの症状に合わせた対処方法を紹介しましょう。
軽度の場合
軽度の脱水症状の場合には、早急に水分補給が必要です。
水分だけでなく、身体の機能調節に重要な「電解質」を補わなくてはなりません。
水分と電解質を効率よく摂取するためには「経口補水液」が最適です。
経口補水液は「水」「食塩」「ブドウ糖」が含まれており、吸収を助けます。
経口補水液がすぐに手に入らない場合、家にあるもので代用できます。
水1Lに対して食塩3g、砂糖20〜40gを溶かすだけです。
レモン果汁を加えると飲みやすくなります。
中度の場合
中度の場合、脱水症状があらわれてから4時間以内に、経口補水液を飲ませます。
目安としては、体重1kg当たり100mlです。
下痢の症状がある場合は、1回の排泄で体重1kg当たり10mlを目安として飲ませます。
症状が落ち着いてきたら安静にして、さらに経口補水液の摂取を続けます。
重度の場合
重度の場合、意識障害や痙攣を起こすことがあります。
そのような場合、口から経口補水液を補うのは困難です。
気管に入って窒息する危険性があるためです。
速やかに救急車を呼び病院で手当してもらいましょう。
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脱水症状の予防対策
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脱水症状にならないためには、予防対策をしっかり守ることが大切です。
1日に必要な水分量を摂取する
暑い夏や運動、入浴の前後、睡眠の前後などには、意識的に水分を摂るようにしましょう。
1日に必要な水分量は、成人の場合、食事の水分量も含めて2.5Lといわれています。
子どもや高齢者はとくに水分量が足りていないことも多いので、家族の見守りが必要です。
部屋の湿度・温度を管理する
体の水分量を保つためには、部屋の湿度・温度の管理も大切です。
乾燥している場合には、濡れタオルや加湿器などを使って室内の湿度を上げましょう。
また、夏には積極的にエアコンを使いましょう。
節電を気にする方もいますが、寝ている間に脱水症状を起こすケースもあります。
部屋にエアコンがある場合には、躊躇せずに活用しましょう。
こまめな水分補給
脱水症状を予防するためには、とにかくこまめな水分補給が大切です。
喉が渇いたからといって、一気に大量の水分を摂取しても、十分に吸収されません。
また、冷えた飲み物は、吸収される前に尿として排出されてしまいます。
常温、あるいは、ぬるめの白湯などを飲みましょう。
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脱水症状と合併症になりやすい病気
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脱水症状が原因となって、併発する病気があります。
死亡リスクも高まるため、十分注意しなくてはなりません。
脳梗塞・心筋梗塞
脳梗塞や心筋梗塞は、血中に含まれる中性脂肪やコレステロールが原因で起こります。
血液がドロドロ状態のうえに、脱水症状が重なることで、さらに血液の粘度が増します。
細い血管が詰まりやすくなって、脳梗塞・心筋梗塞の原因となります。
急性腎障害
脱水症状は、大量の汗をかき、十分な水分の摂取ができないことで起こります。
脱水症状になると、腎臓にいくはずの血液の量が極端に減り、急性腎障害を発症します。
急性腎障害になると、尿から老廃物を排泄できなくなります。
さらに体内の水分量や電解質の調節ができなくなり、症状の悪化が早いのが特徴です。
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水分の1日あたりの目安摂取量はある?
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海外では、水分の1日当たりの目安摂取量を決めているところもあります。
しかし、今のところ日本では策定されていません。
運動や活発な動きをするなど生活活動レベルが高い方は、3.3〜3.5L程度とされています。
デスクワークが中心の生活活動レベルが低い方では2.3~2.5L程度とされています。
日本人の食生活は、水分を多く含む米食が中心です。
さらに、みそ汁や麺類を多く食べる文化でもあります。
食事からの水分摂取量と飲み物からの水分摂取量は、ほぼ半分ずつとされています。
食が細い高齢者や極度のダイエットに励んでいる方は、脱水症状に注意しましょう。
出典:厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動 (mhlw.go.jp)
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高齢者は脱水症状になりやすい
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よく高齢者の脱水症状のニュースは耳にすると思います。
なぜ、高齢者が脱水症状になりやすいのでしょうか。
また、危険性はどの様なものがあるのでしょうか。
高齢者が脱水症になりやすい理由
高齢者は体内の水分量が減少するため、脱水症になりやすいです。
成人に比べて体内の水分の割合が少なくなるため、高齢者は脱水症を発症しやすいです。
また、高齢者は喉の渇きを感じにくくなるため、水分摂取が遅れることもあります。
高齢者の脱水症の危険性
脱水症によって体液が不足すると、酸素や栄養素の体内への供給が妨げられるため、病気のリスクが高まります。
血液が濃くなり、血栓ができやすくなることで、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気が引き起こされる可能性もあります。
また、脱水症は糖尿病や排尿障害などの病気の予兆となることもありますので、早期の発見が重要です。
熱中症による高齢者死亡数の年次推移
高齢者の中で熱中症による死亡者数が増加しています。厚生労働省の統計によれば、熱中症による死亡者の約80%が65歳以上の高齢者とされています。
以下に熱中症と高齢者に関するデータをまとめた表を示します。
年 | 死亡総数(人) | 65歳以上の死亡者数(人) | 65歳以上の死亡者割合(%) |
2021年 | 755 | 641 | 84.9 |
2020年 | 1,528 | 1,316 | 86.1 |
2019年 | 1,224 | 1,000 | 81.7 |
2018年 | 1,581 | 1,288 | 81.5 |
2017年 | 635 | 496 | 78.1 |
出典:厚生労働省【年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和3年) ~ 人口動態統計(確定数)より】
高齢者による脱水症の予防方法は何か
上記で脱水症状の予防法についてはご紹介いたしました。
以下では特に高齢者に気を付けて欲しい脱水症の予防法についてご紹介致します。
1日に必要な水分摂取量を把握する
高齢者は1日に必要な水分量を把握し、適切に摂取する必要があります。
体重1kgあたり約40mlの水分が必要とされていますので、体重や体調に合わせた水分摂取を心掛けましょう。
部屋の湿度・温度を調整する
室内の湿度や温度を適切に調整することも重要です。
冬場は加湿器や濡れタオルを使用して湿度を上げ、夏場はエアコンを使って室温を調整しましょう。
こまめに水分補給をする
日常生活の中でこまめに水分を摂取するように心掛けましょう。
起床時、食事の前後、入浴前後、就寝前など、水分摂取のタイミングを設けると良いです。
周囲の人も声をかけて水分補給を促すことが大切です。
以上の方法を実践することで、高齢者の脱水症の予防に役立ててください。
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脱水症状の原因のまとめ
※画像はイメージです
ここまで脱水症状の原因についてお伝えしてきました。
脱水症状の原因の要点をまとめると以下の通りです。
- 脱水症状は体内の水分が不足して起こる
- 脱水症状を起こす原因は「水分摂取量不足」「水分喪失量の増加」など
- 脱水症状の予防には「こまめな水分補給」「温度・湿度の管理」が必要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。