早朝覚醒によって目が覚める日々を過ごしながらも、そのうち治ると信じて放置している、という方は多いのではないでしょうか。
「早期覚醒は、そのうち治ることはないの?」と疑問を持つことがあると思いますが、早期覚醒は認知行動療法や習慣の改善などで治す必要があります。
今回は「早朝覚醒は、そのうち治るのか」についての解説をしていきます。
- 早朝覚醒は自然に治るのか知りたい
- 早朝覚醒の原因や対策
- 仕事に支障があるので、早朝覚醒を治したい
そんな方は、当記事の「早朝覚醒はそのうち治る?」がおすすめです。
また、早朝覚醒が改善したら睡眠薬はやめられるかについても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
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早朝覚醒とは
早朝覚醒とは、睡眠中に希望した起床時間よりも早く起きてしまう病気です。
はじめに、「早朝覚醒は不眠症であること、不眠症以外の症状」の2点について解説していきますので参考にしてください。
早朝覚醒とは不眠症の1つ
早期覚醒とは不眠症の一つで、起きたいと思う時間よりも2時間以上も早く起きてしまう症状のことをいいます。
早朝覚醒の問題は、一度目が覚めた後に睡眠が確保できないため、日中に睡眠不足や倦怠感・注意力の低下が伴うことです。
また、早朝覚醒になる人は、以下の特徴が挙げられます。
- 高齢者が特に多い:加齢とともに睡眠パターンが変化してしまう
- うつ病の人:精神病により睡眠を誘発するホルモンのメラトニンが不足する
早朝覚醒以外の不眠症の種類
冒頭で述べた早朝覚醒以外にも、下記のような不眠症が存在しています。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 熟眠障害
ここからは、それぞれの不眠症の特徴について見ていきましょう。
入眠障害
入眠障害は、眠ろうとしても寝付きが悪く30分以上経過しても眠れません。
不眠の期間が数週間・数日と続くと、入眠障害の可能性があるため注意が必要です。
また、日中の眠気から日常生活に支障が出るため適切な対処が必要になるでしょう。
中途覚醒
夜中に何度も目が覚めてしまい、その後眠れない状態になる症状を中途覚醒と呼びます。
長期間に渡って目が覚める状態が続く場合は、中途覚醒の可能性が高いので注意が必要です。
熟眠障害
睡眠時間は十分にとれているのに、ぐっすり眠れないと感じる場合は、眠りの質が悪く、熟眠障害の可能性があります。
原因として、下記のような他の病気との関わりから熟眠障害になる可能性があります。
- 睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に一時的な呼吸が止まる状態になる
- むずむず脚症候群:脚の不快感を取るために、脚を動かす症状
ただし、上記の病気は自覚症状がありません。
本人が気が付かないケースもあるため、注意が必要です。
出典:とわたり内科・心療内科【不眠症】
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早朝覚醒の原因
早朝覚醒は、そのうち治るものではなくさまざまな要因から引き起こされています。
- 環境的要因
- 身体的要因
- 心的要因
- 生活習慣的要因
ここからは、それぞれの要因について説明していきます。
環境的要因
環境的要因として考えられるのは、時差や騒音です。
なぜなら、ゲーム、ネットサーフィンでの夜更かしや、仕事の夜勤で入眠時間にズレが生じると、起床時間が遅くなってしまうからです。
その結果、早朝覚醒の原因になります。
また、車のエンジン音、近所迷惑などの騒音も不眠症の原因になるでしょう。
身体的要因
本来は、就寝・起床するはずの睡眠時間がズレてくると真夜中に起きてしまい、そのまま眠れなくなることが多くあります。
前述したとおりで、身体的要因から高齢者によく早朝覚醒が見られます。
理由は、加齢により体内リズムのズレが生じてくるからです。
また、加齢に伴い睡眠を促進するメラトニンも減少する傾向にあるため、早朝覚醒の原因につながります。
身体の痛みや、肉体的な衰えによる足腰の痛みが増すことで睡眠の質が減少することも原因の1つです。
心的要因
責任の重い仕事や人間関係の悩みを抱えることは、心や精神面に負担がかかり不眠症の原因につながります。
なぜなら、ストレスが溜まるとイライラしやすくなり交感神経が活発になるからです。
交感神経が活発になると心拍数が上昇し、興奮や緊張感によって脳が覚醒して不眠症になります。
そのため、眠る時間帯に交感神経を優位にすることは好ましくありません。
また、うつ病からの不眠の可能性もあるため、気を付けましょう。
生活習慣的要因
日々の飲酒や薬を服用することも不眠症の原因につながります。
特にすぐに眠れるように寝酒をすることは好ましくありません。
なぜなら、アルコールは一見早く眠れるように見えますが、アルコールの分解後に目が覚めてしまうので、睡眠時間が短くなります。
つまり、早朝覚醒の原因につながるためおすすめできません。
また、薬が不眠症の原因になるケースもあります。
睡眠を妨げる薬として挙げられるのは以下のとおりです。
- 降圧剤
- 甲状腺製剤
- 抗がん剤
また、抗ヒスタミン薬は、日中に眠気を及ぼすので注意しましょう。
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早朝覚醒はそのうち治る?
早朝覚醒は、「自然にそのうち治る」と考える方もおられると思いますが、実は改善策を用意しない限りは治ることはありません。
ここからは、睡眠習慣を改善する治療法をご紹介しますので参考にしてください。
早朝覚醒は自然には治ることは期待できない
早朝覚醒などの不眠症は、そのうち自然に治ることはあまり期待できません。
なぜなら「環境的要因、身体的要因、心的要因、生活習慣的要因」のいずれかから早朝覚醒が発症しているからです。
治療が必要な場合、薬物療法なら睡眠薬、睡眠導入剤があります。
また、薬物療法以外に不眠症を改善する治療法として、認知行動療法があります。
自然な形でそのうち治ることを期待せずに、適切な治療を行いましょう。
認知行動療法
「現実の受け取り方」や「ものの見方」の定義を認知と呼びます。
認知行動療法とは、その認知能力に働きかけて、早朝覚醒に効果を及ぼす治療法です。
認知行動療法は「眠れない」という出来事に対して瞬間的に浮かんでくる、ネガティブな自動的思考を前向きな思考に変えることが可能です。
睡眠に対しての思い込みや脅迫観念を正し、自分に合った睡眠に対する解決策を見つけることができます。
不眠症に対する認知行動療法は、下記の3つの方法があります。
- 寝床で寝れないまま過ごさない
- 睡眠効率アップを目指す
- リラックス体操
出典:こころのスキルアップ・トレーニング【認知(行動)療法とは?】
寝床で寝れないまま過ごさない
不眠症で苦しんでいる人は、寝床は眠れないストレスの溜まる場所と脅迫的に認知している可能性があります。
布団の上で眠れない状況が続くことで、「ここは眠れる場所ではない」と認知してしまうからです。
また、「寝ながらスマホを触る、テレビを見る」などしていると余計に寝床に対しての認知は歪んでいきます。
そのため、寝れないまま寝床で過ごさないようにしましょう。
自然に眠たくなってから布団やベッドに入るようにすると良いでしょう。
「ここは、眠れる場所だ」と寝床に対する観念を変えることで眠りやすくなるでしょう。
睡眠効率アップを目指す
睡眠効率とは、寝床にいた時間・眠った時間の割合を表す数値です。
計算式は、『実際の睡眠時間÷ベッドにいた時間×100』という計算をします。
具体例として、10時間寝床にいて眠れた時間が7時間ならば、睡眠効率は70%です。
つまり、睡眠効率が100%に近ければ、寝床ですぐに眠れていることになります。
また、睡眠効率アップのため睡眠日誌をつけることも効果的な方法です。
- 寝床に入った時刻
- 入眠時刻
- 目が覚めた時刻
- 布団から出た時刻
- 途中で起きた時間や昼寝時間
など、上記のような6つの記録をしておきます。
1~2週間継続して記録を残せば、「目が覚めてから、布団から出るまでが長い」など、
自分の睡眠への傾向が見えてくるのでうまく活用しましょう。
リラックス体操をする
寝る前や夜中に目が覚めた場合は、簡単な体操を行いましょう。
体操の目的は、筋肉ではなく、副交感神経を優位にしてリラックスさせることです。
副交感神経は、交感神経と逆の性質なため、入眠しやすくなります。
リラックス体操をうまく活用しましょう。
出典:ふれあい漢方内科【不眠の原因、睡眠衛生指導、認知行動療法(不眠症:その1)】
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早朝覚醒はそのうち治ると思っているリスク
早朝覚醒は、そのうち治るという思い込みをして放置しておくと、リスクが生じます。
ここからは、2つのリスクについて解説していきます。
日常生活に影響が出る
不眠症はそのうち治ると、楽観的に考えていると日常生活に影響が出てきます。
早朝覚醒のような不眠症が続くと、日中に過剰な眠気が生じることで注意力散漫な状態になり、生活面・仕事に対するミスが増えてしまいます。
その他に、慢性的な疲労が溜まり、倦怠感を感じながら日々を過ごすことになるため注意が必要です。
うつ病になる可能性もある
不眠症はそのうち治ると考え放置していると、うつ病になる恐れがあります。
睡眠の質が悪化する期間が長く続くことで、うつ病を発症する可能性があります。
なぜなら、日常生活に支障が出ると、疲労やストレスで精神面が悪化するからです。
また、うつ病から肥満・糖尿病の生活習慣病のリスクも高まるので注意が必要です。
朝早く目が覚めるのは珍しいことではありません。しかし毎日続く場合や、日中の活動に支障が出ている場合は早朝覚醒の可能性があります。早朝覚醒はうつ病のサインでもあるため、見逃さないことが大切です。それでは早朝覚醒とうつ病は具体的[…]
早朝覚醒など不眠改善のためにできること
薬などを使わない不眠改善方法について、下記の3つがあります。
それぞれの不眠改善について解説していきますので、参考にしてください。
入眠時間
睡眠と覚醒は、体内時計により自動的に調整されていきます。
夜更かしや寝坊と長時間の昼寝は、体内時計がずれるため好ましくありません。
一定の時間に起床し、入眠も同じ時間で眠れるように過ごしましょう。
そして、体内時計のリズム調整のために起床後には朝日を浴びましょう。
アルコール
前述したとおりで、アルコールによる睡眠は短時間しか持続しません。
むしろ熟睡を妨げて、早朝覚醒の原因になるため注意が必要です。
あくまで、飲酒は楽しむために飲むようにしましょう。
たばこ
たばこのニコチンは、覚醒作用があるため入眠を妨げてしまいます。
ニコチンには、「アドレナリンの分泌の増加、交感神経優位、血圧と心拍数が上昇、脳の覚醒」などさまざまな作用があります。
その結果、睡眠の質の低下や早朝覚醒になるため、寝る前の喫煙は好ましくありません。
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)【不眠症】
出典:阪野クリニック【喫煙が引き起こす睡眠の病気とは】
寝たいのに目が覚めてしまう原因は、睡眠障害の1つである早朝覚醒かもしれません。早朝覚醒は仕事や学業に支障をきたすこともあるため、対策する必要があります。早期覚醒を改善するには、どのような対策があるでしょうか?本記事では、早朝[…]
早朝覚醒などの不眠症の治療薬
早朝覚醒の不眠症の治療薬には5つの種類があります。
- GABA受容体作動薬
- メラトニン受容体作動薬
- オレキシン受容体作動薬
- 漢方薬
- 抗うつ薬
不眠症の治療薬について、それぞれの特徴を説明をしていきます。
GABA受容体作動薬
脳の興奮を抑制するGABAという、神経物質の働きを活性化させる薬です。
不眠症には、脳全体を鎮静させることで、眠りをもたらす効果が期待できます。
早く効果を実感できる反面、依存性が強いことが特徴です。
メラトニン受容体作動薬
眠りのリズムを整えるメラトニンというホルモンを調整する薬です。
メラトニンにより、体内時計のリズムを調整し自然に眠れる効果が期待できます。
依存性は少ないですが、即効性がなく効果が出るまで時間がかかることが特徴です。
オレキシン受容体作動薬
オレキシンとは、脳が目覚めている状態を維持する脳内物質のことです。
オレキシン受容体作動薬は、オレキシンの活動を抑制し、自然な眠気を誘因します。
つまり、脳の覚醒を抑えることにより、自然に睡眠モードへ誘導することが可能です。
ただし、1~5%程度の方は悪夢を体験するといわれています。
漢方薬
漢方薬は、睡眠薬と異なり直接的に眠気を促すのではなく、不眠が起こる原因を取り除き眠りにつきやすい環境を整えます。
不眠症に効果的な漢方薬は以下のとおりです。
漢方薬の種類 | 効果 |
抑肝散(よくかんさん) | 神経がたかぶる、怒りやすい、イライラなどある方の不眠症、神経症など |
酸棗仁湯(さんそうにんとう) | 心身の疲れ、精神的に不安定な方の不眠症、神経症など |
帰脾湯(きひとう) | 心身の疲れ、血色が悪い方の不眠症、精神不安など |
加味帰脾湯(かみきひとう) | 心身の疲れ、血色が悪い方の不眠症、精神不安など |
出典:ツムラ【不眠・不眠症】
抗うつ薬
うつ病に伴う不眠症が判明した場合は、抗うつ薬の服用が必要です。
不眠症とうつ状態の治療のために、薬を併用するようにしましょう。
早朝覚醒の睡眠薬は治ったらやめられる?
眠薬を使うと「一度使ったらやめられなくなる」という依存性が高いイメージがありますが、それは間違いです。
医師の指示のもと、不眠症に適した睡眠薬が処方されるため、安全に長期間飲み続けられます。
また「眠れないけど、そのうち治る」と楽観するのではなく、早朝覚醒は病気のひとつという認識を持つようにしましょう。
生活習慣の改善や認知行動療法を実践しても早朝覚醒が継続する場合は、なるべく早く専門医を受診することが大切です。
出典:千葉県医師会【診療内科からみる睡眠障害「不眠症」】
睡眠をとることで、心身ともに疲労を回復する効果があります。十分な睡眠がとれないと、日中のパフォーマンスにも影響を及ぼしかねません。20代でも早朝覚醒になる可能性があることをご存じでしょうか?早朝覚醒を改善するためには、どのよ[…]
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早朝覚醒はそのうち治るのまとめ
今回は、早朝覚醒はそのうち治るのかについてご紹介しました。
早朝覚醒はそのうち治るのかについての要点を以下にまとめます。
- 自然に治すことは難しいためなにかしらの治療法が必要
- 体内時計の乱れ、日常のストレスやうつ病が原因の可能性がある
- そのうち治ることはないため、生活習慣の見直しや認知行動療法がおすすめ
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。