脳梗塞は、1度発症すると再発のリスクが高い病気です。
後遺症のリハビリだけではなく、再発予防を心がけながら生活をする必要があります。
では、脳梗塞の再発を防ぐためにはどのような方法があるのでしょうか?
本記事では、脳梗塞の再発について以下の点を中心にご紹介します。
- 脳梗塞の再発の確率
- 脳梗塞の再発を防ぐには
- 脳梗塞の前兆症状とは
脳梗塞の再発について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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脳梗塞とは
脳梗塞とは、脳卒中の1つです。
何らかの原因で脳の血管が詰まり、必要な酸素や栄養が脳細胞に届かなくなります。
その結果、脳細胞が死滅するため、命にもかかわる危険な病気です。
出典:北海道医療センター【脳の話】
脳梗塞というと、突然倒れて意識を失うイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、それは脳梗塞の症状のほんの一部なのです。脳梗塞の原因や症状についてよく理解することで、もしもの時に適切な対応ができるようにしましょう。また、[…]
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脳梗塞の再発確率
脳梗塞は、再発しやすい病気です。
そのため、注意しなければなりません。
乱れた生活習慣によって、血栓が作られている場合は、特に気をつける必要があります。
再発率としては、
- 発症後1年…10%
- 発症後5年…35%
- 発症後10年…50%
といわれており、10年の間に半数の方が再発を経験しています。
脳梗塞の発症が脳に及ぼしたダメージは、回数を重ねるごとに大きくなっていきます。
1回目の発症で機能しなくなっている部分とは異なる部分が損傷を受けるためです。
その結果、再発を繰り返すほどに症状は深刻化していく傾向にあります。
出典:Pubmed【日本のコミュニティで初めて脳卒中を起こしてから10年の再発】
脳梗塞の再発を予防するためには
脳梗塞の再発を防ぐための方法は、以下の通りです。
- 食生活を改善する
- 禁煙する
- 飲酒を控える
- こまめに水分補給する
- 運動をする
- ストレスを発散する
それぞれ順番に解説していきます。
食生活を改善する
以下の食材をバランスよく摂取し、食生活の改善を意識しましょう。
- 青魚
- 海藻類
- 果物
- 野菜
肉類など動物性脂肪が豊富な食材の過剰摂取は、血栓ができやすくなります。
食生活の改善に役立つおすすめの食材を、分類ごとにご紹介します。
【魚類・海藻類】
- サバ
- アジ
- イワシ
- わかめ
- ひじき
青魚は、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含んでいます。
DHAやEPAは、血液をサラサラにし、悪玉コレステロール値を下げる働きを持つ栄養素です。
また、わかめなどの海藻類は、食物繊維が豊富な食材です。
食物繊維には、整腸作用のほか、コレステロール値を下げる働きもあります。
どちらの栄養素も体内では生成できない栄養素です。
そのため、食事から積極的に摂取しましょう。
【野菜・果物類】
- パプリカ
- キャベツ
- じゃがいも
- キウイ
- いちご
野菜や果物に含まれるビタミンCは、抗酸化作用を持つ栄養素です。
抗酸化作用により、身体に悪い影響を及ぼす活性酸素を抑え、動脈硬化を予防します。
禁煙をする
喫煙は、脳梗塞の原因の1つである動脈硬化を進行させます。
禁煙することで、脳梗塞をはじめとする脳血管疾患のリスクを下げることが可能です。
脳血管疾患のほかにも、喫煙は様々な病気の原因の1つとなる可能性があります。
健康的な生活を続けるためには、禁煙することがとても大切です。
飲酒を控える
過度な飲酒は、中性脂肪を増加させ、
- 肥満
- 高血圧
などを引き起こします。
また、脂質異常症を発症するリスクもあるため、適度な飲酒を心がけましょう。
こまめに水分補給をする
こまめな水分補給は、体内の水分濃度を高めて血液をサラサラにします。
しかし、脱水状態になると血液が濃縮した状態となり、脳梗塞のリスクが高まるため注意しましょう。
運動をする
適度な運動は、脳梗塞の原因となる肥満の予防や運動不足を解消します。
脳梗塞予防に効果的な毎日の運動としては、
- かかと上げ運動
- 膝伸ばしや腕伸ばし
- 太もも上げ運動
などがあります。
また、息が弾む程度のスピードでのウォーキングなども有効です。
無理をせず、週1回30分程度から始めてみましょう。
ストレスを発散する
過度なストレスは、動悸や不整脈の原因となります。
特に、不整脈は、心臓で作られた血栓が脳血管に詰まる心原性脳塞栓症の発症に繋がります。
また、ストレスによって高血圧になることもあるため、
- バランスを考えながら好きなものを食べる
- 趣味を楽しむ
- 友人や家族との会話や外出を楽しむ
など、ストレス発散を心がけましょう。
脳梗塞とは、脳の血管が詰まってしまい脳がダメージを負ってしまうものです。血管が詰まってしまう原因や詰まる血管の太さによって3種類に分類されます。そもそも脳梗塞とは、どのような人が罹りやすい病気なのでしょうか?脳梗塞を予防する[…]
入浴における注意点
入浴は、脳梗塞再発の引き金になる場合があります。
主な原因として、以下のようなものがあります。
- 入浴に伴う急激な血圧の変化
- 脱水
入浴時における脳梗塞の再発を予防するためには、
- 入浴前の水分補給
- 脱衣所への暖房設置(部屋ごとの温度差をなくす)
などを心がけることが大切です。
脳梗塞再発の予防薬
脳梗塞の再発を防止するための主な薬は、以下の通りです。
種類 | 効果がある血管 | 薬品名 |
抗血小板剤 | 主に動脈 | バイアスピリン |
抗凝固剤 | 主に静脈 | ワーファリン |
場合によっては、医師の判断により上記2種類の薬を併用することもあります。
予防するためには定期検診も大切
脳梗塞の再発を予防するためには、定期的な検診が大切です。
無症候性脳梗塞や、比較的穏やかに進行するラクナ梗塞は、発症に気づかない可能性があります。
月1回の定期検診を受けることにより、脳梗塞の再発を未然に防げる場合もあります。
脳梗塞再発の前兆症状
脳梗塞が再発する前兆といわれる症状を、障害が起きる部位ごとに紹介します。
【運動障害】
- 身体の左右どちらか(片側)に力が入らない
- 食事中にものを落とす
- 歩行中に体が傾く
【感覚障害】
- 身体の左右どちらか(片側)の手がしびれる
- 感覚が鈍い
【視覚障害】
- 視界が狭くなる
- ものが二重に見える
- 目の焦点が合わない
- 片方の目にもやがかかったようになる
【言語障害】
- 言葉がうまく話せない
- ろれつが回らない
【バランスの障害】
- ふらつく
- めまいがする
- 足元がふわふわする
【一過性脳虚血発作】
一時的に脳に血流が流れず、手足のしびれや運動障害などが起きる発作です。
短時間(通常は1時間以内)に消失する発作といわれています。
一過性脳虚血発作の直後に、本格的な脳梗塞を発症することが多いため注意が必要です。
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脳梗塞は種類によって再発率が異なる?
脳梗塞の種類
脳梗塞は、以下の3種類に分けられます。
- ラクナ梗塞
- アテローム血栓性脳梗塞
- 心原性脳塞栓症
それぞれの脳梗塞の特徴を解説します。
ラクナ梗塞
太い血管から枝分かれした細い血管(穿通枝)が詰まって起こる脳梗塞です。
脳の深くにある血管が梗塞するため、「意識」の部分には影響が出にくいといわれています。
アテローム血栓性脳梗塞
頸動脈などの、比較的太い血管が詰まることによって起こる脳梗塞です。
- 高血圧
- 糖尿病
など、動脈硬化の危険因子を持つ方に起こりやすいといわれています。
アテローム血栓性脳梗塞の前兆として、一過性脳虚血発作が起こることが少なくありません。
心原性脳塞栓症
心臓で作られた血栓が、脳へと繋がる血管内で詰まって発症する脳梗塞です。
前兆はほぼなく、「ノックアウト型脳梗塞」とも呼ばれます。
心臓が震えるように動く「心房細動」という心疾患を持つ方がなりやすい病気です。
それぞれの発症率
1年以内の再発率としては、
- ラクナ梗塞…7.2%
- アテローム血栓性脳梗塞…14.8%
- 心原性脳塞栓症…19.6%
で、心原性脳塞栓症の再発率が高いことが分かっています。
初年度の再発率が2〜3%の心筋梗塞と比較しても、脳梗塞の再発率は非常に高い数値です。
出典:J-STAGE【脳梗塞:これからの再発予防治療】
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脳梗塞患者の平均余命
1度、脳血管疾患を発症した方の男女別平均余命を、以下の表にまとめました。
50歳時点での平均余命
標準平均余命(年) | 脳梗塞(年) | 脳出血(年) | くも膜下出血(年) | |
男性 | 28.9 | 20.9 | 23.5 | 20.6 |
女性 | 35.0 | 30.8 | 27.7 | 24.8 |
出典:J-STAGE【秋田研究:脳卒中の予後】
脳梗塞を発症した方の平均余命は、標準平均余命よりも5〜8年短いことが分かります。
標準平均余命にできるだけ近づけるためには、再発の予防をきちんと行うことが必要です。
生活習慣や食生活など、身近なことから積極的に見直していきましょう。
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脳梗塞の再発まとめ
ここまで、脳梗塞の再発について解説してきました。
脳梗塞の再発についての要点を以下にまとめます。
- 脳梗塞の再発の確率は、発症後1年で10%・5年で35%・10年で50%
- 脳梗塞の再発を防ぐには、食生活の改善や水分補給、禁煙、運動など
- 脳梗塞の前兆症状は、身体の片側のしびれや脱力感、一過性脳虚血発作など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。