ホーム

認知症を学ぶ

down compression

介護を学ぶ

down compression

専門家から学ぶ

down compression

書籍から学ぶ

down compression

健康を学ぶ

down compression
健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>気管切開しても食事はできる?|食事中の注意点と食べるコツを解説

気管切開しても食事はできる?|食事中の注意点と食べるコツを解説

気管切開は、気道を確保し、スムーズに呼吸するための方法の1つです。
気管切開したあとも、場合によっては口からの食事も可能です。

では、食事をスムーズに行うためにはどのようなことが大切でしょうか?
また、気管切開後の食事で気をつけることは何でしょうか?

本記事では、気管切開後の食事について以下の点を中心にご紹介します。

  • 気管切開後に食事ができる方の特徴
  • 気管切開後の食事でのポイント
  • 気管切開後の食事で注意すること

気管切開後の食事について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

スポンサーリンク

気管切開とは

気管切開とは、喉から気管までを切開し、気道を確保するための方法のことです。
しっかりした呼吸を可能にしたり、痰を出しやすくしたりする目的で行います。

気管切開が適応になる症状は以下のとおりです。

  • 長期にわたって人工呼吸での管理が必要な場合
  • 気道分泌物(痰など)が多い場合
  • 上気道(鼻から咽頭までの気道)が閉塞している場合

上記の症状を引き起こす原因となる病気としては

  • 脳卒中などの中枢神経障害
  • 神経変性疾患
  • 身体的構造の異常による空気の通過障害

などが挙げられます。

スポンサーリンク

気管切開後の食事

気管切開した方の食事制限は、基本的にありません
ただ、誤嚥のリスクが高い方には経口での食事が禁じられる場合もあります。

食事制限の有無について、それぞれ解説していきます。

嚥下機能が維持されていれば食べられる

嚥下機能と呼ばれる、食事の飲み込みに問題がなければ、経口摂取が可能です。

意識レベルや呼吸状態が安定していれば、主治医と相談の上、

  • ミキサー食
  • ペースト食

などの食事を、少量ずつ摂取していきます。

嚥下障害がある場合は口から食べられない

嚥下障害がある方は、現状では経口摂取は難しいといえます。

また、以下の場合は、呼吸状態や意識レベルが回復したのちに嚥下訓練の実施が必要です。

  • 人工呼吸器の装着(呼吸の大部分を補助)
  • 意識レベルの低下により指示動作が困難な状態

毎日発声の練習やアイスマッサージなどで、舌の送り込みの改善を目指します。
その後、ゼリーなどを使って嚥下訓練へと繋げていくのです。

誤嚥の危険性が高ければ手術する場合もある

誤嚥の危険性が高い方は、以下のような手術が必要になる場合があります。

  • 声門上咽頭閉鎖術
  • 声門閉鎖術
  • 咽頭気管分離術+気管食道吻合術
  • 咽頭摘出術

それぞれの手術内容について、解説します。

声門上喉頭閉鎖術

声門上咽頭閉鎖術は、「誤嚥防止術」の1つです。
必ずしも、経口摂取が可能になる手術ではありません。
また、誤嚥は防げるものの発声が難しくなる手術方法です。

声門閉鎖術

声門閉鎖術、「誤嚥防止術」の1つで、左右の声帯を縫合する手術です。

声門閉鎖術のメリットとしては、以下のものがあります。

  • 誤嚥性肺炎の防止
  • 痰の量が減少
  • 気管カニューレが不要
  • 経口摂取ができるようになる可能性

デメリットは、発声が完全に不可能となる点です。
しかし、呼吸状態の安定と、嚥下機能の改善が見込まれる手術でもあります。

喉頭気管分離術+気管食道吻合術

咽頭気管分離術は、気管を離断して、口側の気管を閉じる手術です。
咽頭気管分離術によって、気管への唾液の流れ込みを防止できます。

また、気管食道吻合術は、「誤嚥防止術」の1つで、口側の気管を直接食道に縫合します。

喉頭摘出術

咽頭摘出術は、咽頭を摘出し、呼吸と飲食の通路を完全に分ける手術です。
咽頭部分を食道に直接繋ぎ、肺側の気管を直接肺に繋ぎます。

咽頭を摘出すると、摘出前と比較して以下のような変化があります。

  • 手術前と同じ声が出せなくなる
  • 呼気が鼻を通らないため、においを感じなくなる
  • 口から呼気が出ないため、熱いものを吹いて冷ませなくなる、など

しかし、飲食物や唾液を誤嚥することがなくなる上、食事による窒息もなくなります。

人工呼吸器を付けていても食事はできる

人工呼吸器を付けていても、咽頭の部分が独立している気管切開であれば、経口摂取が可能です。

人工呼吸器を付けている方が、食事するときのポイントは以下の通りです。

  • 本人の食べたい気持ちを尊重する
  • 摂食・嚥下訓練により食べられるようになる
  • 姿勢や食事時間に配慮する

それぞれ解説します。

本人の食べたい気持ちを尊重する

本人の「食べたい」という意思は、とても大切です。
体調にも問題がない場合は、少しずつ食事にチャレンジしていきましょう。

摂食・嚥下訓練により食べられるようになる

人工呼吸器が付いていても、訓練次第でスムーズに食事ができる場合があります。
食事の形状などに配慮しながら、徐々に食事を進めていくことが大切です。

姿勢や食事時間に配慮する

仰向けや、身体が反り返っている状態での食事は、誤嚥の危険があるため危険です。
ベッドのリクライニング機能などを活用し、飲み込みやすい体勢を整えましょう。

また食事時間も、本人が食事する意欲があるタイミングを選ぶことが大切です。

気管切開後の食事で注意すること

気管切開後に行う食事での注意点は、以下の通りです。

  • 誤嚥しないように見守る
  • カフ付きカニューレで誤飲を防ぐ
  • 気管内吸引や気管チューブ交換の準備
  • 飲み込みづらい場合は無理して食べさせない
  • さらさらした水分や固形物を避ける

順番に解説していきます。

誤嚥しないように見守る

食事の際は、誤嚥防止のために、近くで見守りましょう。
特に、食事の形状などを変化させたタイミングでは、より注意深く見守ることが大切です。

カフ付きカニューレで誤嚥を防ぐ

カフとは、カニューレの先端にある風船のことです。
食事の際にカフを膨らませることにより、気管とカニューレとの隙間がなくなります。
その結果、食事による誤嚥や空気の漏れなどを防ぐことが可能です。

気管内吸引や気管チューブ交換の準備をする

気管内吸引とは、痰を取り除き、呼吸を楽にする処置のことです。
吸引のタイミングは人それぞれですが、食事前に行うと効果的です。
むせ込みなどがあるため、吸引や気管チューブ交換の備えをしておきましょう。

なお、食事直後の吸引やチューブ交換は、嘔吐の原因となるため避けるほうが安全です。

飲み込みづらい場合は無理して食べさせない

無理に飲み込ませると、誤嚥や誤嚥性肺炎の原因となります。
気分が乗らないときや、飲み込みづらそうなときは食事を控えましょう。

さらさらした水分や固形物を避ける

さらさらした水分や、固形物は飲み込みにくい場合があります。
水分にとろみを付けたり、固形物をペースト状にしたりするとよいでしょう。

気管切開した高齢者の食事で気を付けること

気管切開後、高齢の方が食事する際は、

  • 不顕性誤嚥を起こしていないか確認する
  • 摂食量低下で全身状態が悪化しないようにする

などを注意する必要があります。

不顕性誤嚥を起こしていないか確認する

不顕性誤嚥とは、病気や加齢の影響で、誤嚥してもむせず、気づかないことを指します。
本人を含め、周囲の方も気づかない場合が多くあります。
知らないうちに、誤嚥を繰り返している恐れがあるため、注意しましょう。

摂食量低下で全身状態が悪化しないようにする

気管切開すると、食事のしにくさから、食事量自体が減少する傾向にあります。
食事量減少による栄養不足で、全身の健康状態を悪化させない工夫が必要です。

気管切開した小児の食事で特に気を付けること

気管切開した小児の食事で注意するポイントは、以下の通りです。

  • 慣れるまでは食べやすいものを与える
  • 姿勢を支えてあげる

それぞれ解説します。

慣れるまでは食べやすいものを与える

飲み込む動作に慣れるまでは、食べやすいものや、飲み込みやすいものを中心にします。
無理すると、むせて誤嚥のきっかけとなるため、注意が必要です。

姿勢を支えてあげる

仰向けの姿勢ではなく、飲み込みやすい姿勢をつくることで、誤嚥を防げます。
本人の意思を確かめながら、食べやすい体勢を把握しましょう。

気管切開後に上手く食べるコツ

気管切開後に、食事をできるだけスムーズに行うコツは、以下の通りです。

  • 姿勢を工夫する
  • 食事の形態を工夫する

それぞれ解説します。

姿勢を工夫する

食事のときの姿勢は、誤嚥を防ぐためには大切な要素です。
工夫すべき点について、説明していきます。

首の角度は軽く前かがみ

首が上を向きすぎると、誤嚥のリスクが高まります。
反り返りなどがある場合は適度に支え、首の角度を前かがみにすることが大切です。

リクライニングはやや倒す

上体を後ろにやや倒した状態で食事すると、誤嚥しにくくなります。
食事のしやすさは、体調などで変化するため、その都度姿勢を調整しましょう。

姿勢保持具を活用する

自力での姿勢保持が難しい場合は、姿勢保持器具を活用し、姿勢を安定させましょう。

食事の形態を工夫する

本人の状態や体調によって、食事の形態を工夫する必要があります。
食事の形態について、説明していきます。

やわらかい

食物がやわらかいと、無理なく飲み込むことが可能です。
適度なとろみのある食物は、気管切開後の食事として適しています。

口や喉を通過するときに変形しやすい

固形物の状態では、飲み込むときに、のどに痛みが出ることがあります。
嚥下の時点で食物が変形することで、誤嚥せずに飲み込むことが可能です。

密度が均一

ペースト食など、密度が均一な食物は、嚥下しやすくなっています。
嚥下訓練の進行により、ペースト食からきざみ食などへと変えられます。

適度な粘度が付いている

粘度が付いている食物は、気管切開後でも飲み込みやすくなっています。
しかし、粘度が強いと、咽頭への滞留が懸念されるため、適度に調節することが必要です。

滑りが良い

ゼリーなど、滑りが良い食材は、嚥下訓練にも使われる食材です。
訓練の進行に合わせて、積極的に活用しましょう。

不味いもの、嫌いなものは誤嚥しやすいので避ける

本人が嫌いなものは、口の動きが悪くなる傾向にあります。
無理に食べさせることは、誤嚥の危険を高めるため、注意しましょう。

スープに注意

スープは、気管に入り込みやすい形態のため、誤嚥の危険が高まります。

特に、みそ汁などは注意が必要です。
さらさらした水分の中に、ばらけやすい固形物(豆腐など)が入っているからです。

食事に取り入れる際は、誤嚥に気をつけましょう。

出典:厚生労働省「日常生活における支援」

健達ねっとECサイト

気管切開後の食事まとめ

ここまで、気管切開後の食事について解説してきました。
気管切開後の食事についての要点をまとめると以下の通りです。

  • 気管切開後は、呼吸状態や意識レベルが安定していれば、食事ができる
  • 高齢者は不顕性誤嚥に注意し、小児は慣れるまでは食べやすいものを与える
  • 気管切開後の食事は、食事の姿勢や形態に注意する

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

薬の使い方

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

スポンサーリンク