コーヒーは朝食や仕事の時などに好んで飲む方が多くいます。
しかし、コーヒーを飲みすぎると貧血に陥る可能性もあります。
なぜ、コーヒーの飲み過ぎが貧血につながるのでしょうか。
また、貧血を予防しつつコーヒーを楽しむにはどうしたらよいでしょうか。
本記事では、コーヒーと貧血の関係性について、以下の点を中心にご紹介します。
- コーヒーが貧血を引き起こす理由
- 1日のコーヒー摂取量の目安
- 貧血を予防するためのコーヒーの飲み方
コーヒーと貧血の関係性について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
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コーヒーを飲みすぎると貧血になる?
コーヒーを飲み過ぎると貧血になることがあります。
貧血の原因は、コーヒーに含まれる「タンニン」です。
タンニンとはポリフェノールの1種です。
強い抗酸化作用があるため、適度に摂取すれば生活習慣病の予防・改善に役立ちます。
さらにタンニンには、美白効果や肌の引き締め効果といった美容効果も期待できます。
一方、タンニンには人体にデメリットとなる作用もあります。
代表的なのが、鉄分の吸収を阻害する作用です。
鉄分は、全身に酸素を運ぶ「ヘモグロビン」の原料です。
肺で酸素を受け取り、血液に乗って全身を循環しながら各細胞に酸素を配っています。
各細胞で排出された二酸化炭素を肺に運ぶのも、ヘモグロビンの重要な役割です。
つまり全身の細胞が呼吸するにはヘモグロビンが必要なのです。
しかし原料である鉄分が不足すると、新しいヘモグロビンも作られにくくなります。
ヘモグロビン不足は体内の酸素運搬に支障をきたします。
簡単にいえば全身の細胞が酸欠になるため、さまざまな不調があらわれやすくなります。
いわゆる「貧血」に陥るわけです。
なお、鉄分不足で起こる貧血は「鉄欠乏性貧血」と呼ばれます。
鉄欠乏性貧血の症状には以下があります。
- 動悸
- 息切れ
- 疲労感
- 頭痛
- 匙状爪(爪が反り返る)
コーヒーに含まれるタンニンは、鉄と結合しやすい性質があります。
タンニンと結合した鉄分は「タンニン鉄」と呼ばれ、水分(血液)に溶けにくくなります。
血液に溶けにくい成分は、腸に入っても吸収されません。
腸で吸収されない成分は、排泄物としてそのまま排出されます。
いくら鉄分を摂取しても、タンニンと結合してしまうと、吸収されないというわけです。
鉄分を効率よく摂取するには、タンニンとの結合を防ぐ必要があります。
簡単にいえば、鉄分とタンニンを同時に摂取しないよう注意しなければなりません。
タンニンを含む食品としてはコーヒーが代表的です。
そのほか、タンニンは紅茶・緑茶・ウーロン茶・ワインなどにも含まれます。
あるいは、渋柿・栗の皮などにもタンニンは豊富です。
鉄分不足による貧血を避けるには、タンニンが多い食品は避けるのが無難です。
出典:厚生労働省【e-ヘルスネット |Hb / 血色素量】
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コーヒーの飲みすぎは何杯目から?
一般的には、1日にコーヒーを3杯以上飲むと飲み過ぎに該当します。
なお、1日1〜2杯程度であれば、大きな問題が起こることはほとんどありません。
日本では、1日の摂取量について、公的に明確な基準を定めていません。
一方、世界各国では成人のコーヒー摂取量を最大でカップ4〜5杯程度を推奨しています。
妊婦の場合、1日3〜4杯以内が適切な量とされています。
そのため、日本人も1日2〜3杯であれば、健康被害を起こしにくいと考えられています。
出典:厚生労働省【食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~】
出典:農林水産省【カフェインの過剰摂取について:農林水産省】
出典:食品安全委員会【食品中のカフェイン】
貧血を抑えるコーヒーの飲み方
コーヒーは飲み方を工夫すると、貧血のリスクを下げられます。
貧血予防に役立つコーヒーの飲み方をご紹介します。
食前・食後は避ける
コーヒーが貧血を招くのは、コーヒー中のタンニンが鉄分の吸収を阻害するためです。
そのため鉄分を効率よく摂取するには、タンニンとの同時摂取を避けることが大切です。
具体的には、食前・食後にコーヒーを飲むのはやめましょう。
食事直後にコーヒーを飲むと、摂取した鉄分とタンニンが結びつき、貧血のリスクが高まります。
コーヒーを飲む場合は、食後1時間以降がおすすめです。
コーヒーを飲んだ後に食事する場合は、同じく1時間以上の間隔を置いてください。
食事ではなく、鉄剤から鉄分を摂取している方も同様です。
鉄剤を飲む際は、前後1時間以内のコーヒー摂取は控えましょう。
深煎りコーヒーを飲む
貧血を予防するには、コーヒーを深煎りタイプに変えるのもおすすめです。
コーヒー豆は、焙煎時間が長くなるほどタンニンが失われます。
深煎りタイプは、浅煎りタイプと比較してもタンニンの含有量はさほど多くありません。
その分、鉄分吸収への影響が少ないため、貧血のリスクが下がります。
また、深煎りタイプは「カフェイン」の含有量も少なくなります。
じつはカフェインも鉄分の吸収を阻害する成分の1つです。
カフェインが鉄分の吸収率を下げるのは、ビタミンCの体外排出を促すためです。
ビタミンCは鉄分の体内吸収を助ける作用があります。
つまり、カフェインによりビタミンCが排出されると、鉄分の吸収が上手くできなくなるわけです。
そのため貧血を防ぐには、カフェインの摂取量にも気をつける必要があります。
カフェインが少ないコーヒーに、「カフェインレスコーヒー」があります。
「デカフェ」とも呼ばれています。
ただ、カフェインが少なくても、タンニンは含まれています。
つまり、必ずしも貧血を予防できるわけではありません。
したがって貧血でもコーヒーを楽しみたい方は、深煎りコーヒーを選ぶのがおすすめです。
貧血対策に効果的な食品
貧血を予防するには、バランスのよい食事を取ることも大切です。
貧血予防に効果のある栄養素・食品などは以下の通りです。
効果 | 豊富な食品 | |
鉄分 | ヘモグロビンの原料 | レバー・赤身肉・赤身魚・ひじき |
ビタミンC | 鉄分の吸収の促進 | ブロッコリー・キウイ・小松菜 |
ビタミンB6 | ヘモグロビンの合成 | レバー類・カツオ・まぐろ・ごま |
ビタミンB12 | 赤血球の合成 | 豚肉・レバー類・チーズ・魚介類 |
葉酸 | 赤血球の合成 | レバー類・ほうれん草・納豆 |
ビタミンE | 赤血球の破壊防止 | かぼちゃ・アーモンド・大豆製品 |
銅 | 赤血球の合成を助ける | ホタルイカ・桜エビ・牛レバー・ごま |
タンパク質 | ヘモグロビンの原料・鉄分の吸収促進 | 肉・魚・卵・大豆製品 |
亜鉛 | 赤血球の破壊防止 | 牡蠣・エビ・カニ・赤身の肉・卵黄 |
出典:厚生労働省【e-ヘルスネット |貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう】
女性が貧血になりやすいのは本当?
女性は男性に比べると、貧血になりやすい傾向があります。
原因として以下が挙げられます。
- 生理
- 出産
- 授乳
- 更年期障害
- 無理なダイエット
生理・出産時にはある程度の出血があるため、体内の血液が不足しやすくなります。
更年期は体内の鉄分量が減りやすいため、貧血のリスクも高まります。
年齢別に見ると、貧血のリスクが特に高いのは20〜40代の方です。
月経が盛んなほか、妊娠・出産・授乳の機会があるためです。
特に妊娠後期・授乳期は大量の鉄分が失われやすいため、貧血に注意する必要があります。
貧血を予防するには、まず食生活を見直すことが大切です。
貧血予防に効果のある栄養は、鉄分・タンパク質・ビタミン類などです。
野菜・果物を中心に、動物性食品もバランスよく摂取しましょう。
また、調理に鉄製の調理器具を使うのもおすすめです。
調理中に鉄分が微量に溶け出すため、摂取量を増やせます。
鉄分の吸収を阻害する食品はなるべく避けましょう。
たとえばコーヒー・緑茶などは、食事前後1時間以内の摂取は控えることをおすすめします。
コーヒーと貧血の関係性まとめ
ここまでコーヒーと貧血の関係性についてお伝えしてきました。
コーヒーと貧血の関係性の要点を以下にまとめます。
- コーヒーが貧血を引き起こすのは、タンニンが鉄分の吸収を阻害するため
- 1日のコーヒー摂取量の目安は、成人で2~3杯程度
- 貧血予防は、食前食後のコーヒー摂取を避ける・深煎りコーヒーを選択する
最後までお読みいただき、ありがとうございました。