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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>ロコモティブシンドロームの症状と原因|セルフチェック法・予防法

ロコモティブシンドロームの症状と原因|セルフチェック法・予防法

近年、ロコモティブシンドロームという言葉を耳にする機会が増えています。

ロコモティブシンドロームとは、一体どのような症状がある病気なのでしょうか。
また、ロコモティブシンドロームを予防するにはどうしたらよいのでしょうか。

本記事では、ロコモティブシンドロームの症状について、以下の点を中心にご紹介します。

  • ロコモティブシンドロームの症状とは
  • ロコモティブシンドロームの原因
  • ロコモティブシンドロームになりやすい人とは

ロコモティブシンドロームの症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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ロコモティブシンドロームとは


ロコモティブシンドロームは、立つ・歩くなどの動作が困難になる状態のことです。
運動器の障害を原因とするのが特徴です。

ロコモティブシンドロームでは身体が不自由になるため、運動する機会が減少します。
結果、運動機能がますます低下しやすくなるため、寝たきり状態のリスクが高くなります。

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ロコモティブシンドロームによる症状


ロコモティブシンドロームの詳しい症状をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

筋力が低下する

ロコモティブシンドロームの代表的な症状が、筋力の低下です。
特に足の筋力の低下が目立ちます。

筋力低下の主な原因は加齢です。

年を重ねると疲れやすくなったり、身体が動かしづらくなったりします。
あるいは、膝の疾患などによって、思うように歩けなくなることも少なくありません。

自然と運動量が減ってしまうため、筋力の低下が急激に進みやすくなるのです。
また、運動不足も筋力低下を招きます。

たとえば自動車での移動などが増えると、運動の機会が減ります。
結果、自分は元気なつもりでも、いつのまにか筋力が低下しているケースはしばしばみられます。

バランスが取れなくなる

身体のバランスが取れなくなるのも、ロコモティブシンドロームの代表的な症状です。
原因は、身体を平行に保つ筋力が低下するためです。

たとえ平衡感覚に異常はなくとも、身体が追いつかなくなるわけです。
バランスが取れなくなると、転倒のリスクが高まります。

あるいは転倒によって、歩行・運動への意欲が失われ、座りっぱなしや寝たきりになるケースも少なくありません。

関節痛

ロコモティブシンドロームが進行すると、関節痛などの症状が出やすくなります。
特に膝・腰などの痛みが目立ちます。

理由は、身体のバランスを保つ筋力が低下するためです。
バランスを保つ筋肉が低下すると、まっすぐ立ったり歩いたりするのが困難になります。

すると姿勢・関節に無理が生じやすくなるため、痛みなどの不調が起こりやすいのです。
たとえば膝の軟骨がすり減って痛みが生じるケースは多くみられます。

なお、関節に痛みが出ると、関節を動かすような運動が制限されます。
関節を動かさずにいると、関節周りの筋肉が硬直しやすくなります。

結果、運動時に関節の痛みを感じやすくなったり、関節が動かしづらくなったりするケースも少なくありません。

歩行が困難になる

症状が進行すると、歩くことが困難になります。
原因は、筋力の低下や関節の痛みのほか、身体のバランスを取るのが難しくなることです。

あるいは関節が硬直してしまい、自由に動かしづらくなることもあります。
さらに転倒などへの恐怖心から、歩く意欲が損なわれるケースも多くみられます。

歩く機会が減って部屋に閉じこもりがちになると、外出・歩行に対する意欲はますます低下しやすくなります。

立ち上がれなくなる

歩く機会が減ると、筋力の低下・関節の硬直などはますます悪化します。
結果、自力で立ち上がれなくなることは少なくありません。

立ち上がるのが困難になると、行動範囲がとても狭くなります。
最終的には座りっぱなし・寝たきり状態になり、自力で動くことがほぼ困難になります。

ロコモティブシンドロームになる原因


ロコモティブシンドロームはさまざまな原因で発生します。
代表的な原因をご紹介します。

加齢

代表的な原因が加齢です。
年を重ねると、筋力・バランス能力などが自然に低下するためです。

加齢によって低下しやすいのは、特に下肢の筋力です。
歩行に必要な筋肉の機能が衰えるため、自然に運動量が減ります。
すると筋肉を使う機会が減少するため、ますます筋力・バランス能力が低下して運動不足になる、という悪循環は少なくありません。

なお、加齢によって筋力・バランスが低下した状態はサルコペニアと呼ばれます。

運動不足

運動不足もロコモティブシンドロームの代表的な原因です。
運動不足の原因としては、加齢・病気・肥満のほか、自動車・乗り物の利用などが挙げられます。

運動不足になると、筋力やバランス能力が低下します。
結果、歩行・運動に必要な身体機能が失われて、身体が動かしづらくなるわけです。

高齢者でなくても、運動が極端に不足している場合は、ロコモティブシンドロームになる可能性があります。

肥満・痩せすぎ

肥満・痩せ過ぎなどの体型の問題も、ロコモティブシンドロームの原因となります。
たとえば、体重が重い方は、運動・歩行時に膝・腰などへの関節の負担が大きくなります。

関節の軟骨がすり減るなどして痛みが生じやすいため、運動の機会が自然に減少します。
筋力が低下しやすくなるため、若い方でもロコモティブシンドロームに陥りやすくなるのです。

あるいは、痩せすぎもロコモティブシンドロームの要因です。
痩せすぎの方には小食の傾向がみられます。

身体機能や筋力維持に必要な栄養を十分に摂取できないため、筋力が低下します。

結果、ロコモティブシンドロームに至りやすいのです。

栄養不足によって骨が脆くなることもロコモティブシンドロームの原因の1つです。
骨が脆くなると骨折が起こりやすくなります。

つまり寝付く機会が増えるため、そのまま寝たきりに移行するおそれが高くなるのです。

関節痛の放置

高齢者・肥満の方は、関節が痛むことが少なくありません。
関節痛は運動の意欲を低下させるため、放置すると運動不足・筋力の低下を招きます。

結果、歩行などに必要な筋力が維持できなくなり、寝たきりに移行することがあります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは骨の中がスカスカになる状態です。
骨が脆くなるため、ヒビ・骨折のリスクが高まります。

骨粗鬆症によって骨折が増えると、寝付く時間が長くなります。
その間に筋力の低下などが進んでしまい、最終的に歩行・立ち上がりが困難になるケースは多々みられます。

あるいは骨折への恐怖から歩行への意欲が失われ、座りっぱなし・寝たきりになるケースもみられます。

ちなみに骨粗鬆症のリスクが高いのは女性です。
ホルモンバランスの関係で、高齢になるほど骨の密度が下がりやすいためです。

変形性関節症

変形関節症とは、関節の軟骨がすり減って炎症を起こすことです。
特に膝での発症が目立ちます。

関節は身体動作を支える重要な部位です。
そのぶん負担がかかりやすいため、軟骨の消耗などが起こりやすくなります。

結果、損傷部位が炎症を起こすというわけです。
膝の変形関節症では、立ち上がりや歩行のときに、強い痛みが発生します。

すると身体が動かしづらくなったり、運動への意欲が失われやすくなったりします。
自然に運動量が減少しやすくなるため、筋力の低下が起こり、ロコモティブシンドロームに発展しやすくなります。

変形関節症は高齢の方・肥満気味の方に起こりやすい症状です。
また、激しい運動をしている方や、昔スポーツをしていた方にも発生しやすい障害です。

男女別にみると、女性の方がより発症率は高めです。

変形性脊椎症

変形性脊椎症は、背骨が変形することです。
具体的には背骨が曲がったり、骨と骨の間の感覚が狭くなったりします。

すると背骨周辺の神経が圧迫されるため、痛みなどが生じやすくなります。
手足にしびれが生じたり、身体の動きが不自由になったりすることも少なくありません。

身体を動かす機会が自然に減るため、筋力低下・寝たきりに移行しやすくなります。
変形性脊椎症の主な原因は加齢です。

肥満・運動不足・肉体的重労働で発生することもあります。

ロコモティブシンドロームになりやすい人


ロコモティブシンドロームになりやすい方をご紹介します。
当てはまる方は、はやめに予防に取り組みましょう。

女性

女性は男性よりロコモティブシンドロームのリスクが高めです。
一般的な傾向として、男性より筋力が弱いためです。

また、女性は男性と比べると靱帯や軟骨も弱いことが多くあります。
つまり身体機能が低いため、将来寝たきりになりやすいのです。

骨粗鬆症になりやすい点も、女性のロコモティブシンドロームと関係があります。
女性の骨粗鬆症が多いのは、妊娠・出産・閉経を機に、ホルモンバランスが大きく変化するためです。

特に閉経後は女性ホルモンが減少するため、骨密度も急激に低下しやすくなります。
骨が脆くなって骨折などが増えると、寝たきり状態に陥りやすくなります。

肥満体型

肥満体型の方はロコモティブシンドロームになりやすいです。
体重が重いぶん膝や腰への負担が大きくなるため、身体を痛めやすいからです。

関節などを痛めると、運動の機会が減ります。
すると肥満に拍車がかかるため、関節の痛みもますます悪化しやすくなります。

結果、慢性的な運動不足に陥ってしまい、筋力が低下してロコモティブシンドロームに至りやすくなります。

50代以降の人

50代以降の方は、性別・体型にかかわらずロコモティブシンドロームに注意しましょう。
50代以降は筋力・骨密度が急激に低下しやすいためです。

つまりケガ・病気によって寝付くおそれが高くなるわけです。
できれば40歳前後から身体を鍛えるなどして、早めに対策しておくのがおすすめです。

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ロコモティブシンドロームのセルフチェック法


ロコモティブシンドロームのセルフチェック方法をご紹介します。
ぜひ予防にお役立てください。

立ち上がりテスト

下半身の筋力をチェックする方法です。

  • 1.40cm程度の台を用意する
  • 2.両腕を組んで腰掛ける
  • 3.腰掛けたまま、両脚を肩幅に広げ、床に対して70度にすねを広げる
  • 4.3の状態のまま、反動をつけずに立ち上がる
  • 5.そのまま3秒キープ

上記ができなかった方は、ロコモ度2になります。

できた方は、続けて以下のテストに取り組みましょう。

140cm程度の台を用意する54の脚は軽く膝を曲げる
2両腕を組んで腰掛ける6反動をつけずに立ち上がる
3腰掛けたまま、両脚を肩幅に広げ、床に対して70度にすねを広げる7そのまま3秒キープ
43の状態のまま、左右どちらかの脚を上げる

上記ができなかった方は、ロコモ度1です。

  • ロコモ度1:移動機能の低下が始まっている状態
  • ロコモ度2:移動機能の低下が進行している状態

2ステップテスト

歩幅を調べる方法です。
下半身の筋力・バランス能力・柔軟性などを含め、歩行機能のレベルをチェックできます。

  • 1.スタートラインを決め、両足のつま先をあわせる
  • 2.できる限り大股で2歩歩き、両足のつま先をあわせる
  • 3.移動距離を計測する
  • 4.1.~3.を2回繰り返す
  • 5.移動距離が大きかった方の数値を採用する
  • 6.移動距離(cm)÷身長(cm)を計算する

6.の移動距離(cm)÷身長(cm)を2ステップ値といいます。

2ステップ値によってロコモ度がわかります。

  • 1.3未満でロコモ度1
  • 1.1未満でロコモ度2

ロコモ度1・2の定義は以下の通りです。

  • ロコモ度1:移動機能の低下が始まっている状態
  • ロコモ度2:移動機能の低下が進行している状態

出典:厚生労働省「ロコモ度テスト

薬の使い方

ロコモティブシンドロームの予防法


ロコモティブシンドロームの予防法をご紹介します。
将来的なロコモティブシンドロームを防ぐためにも、若いうちから取り組むのがおすすめです。

運動の習慣

ロコモティブシンドロームを防ぐには、筋力・バランス能力の低下を防ぐことが大切です。
具体的には運動に取り組みましょう。

特定の運動をするのが苦手な方は、普段の生活で運動量を増やすような工夫をしてください。

  • 有酸素運動(ウォーキング・水泳・ラジオ体操)に取り組む
  • 1駅歩く
  • 自動車を使わず、なるべく歩いて移動する
  • エレベーターなどを使わず、階段を使う

バランスのよい食事

バランスのよい食事は、身体機能の維持・向上に役立ちます。
特に摂取したいのは、タンパク質・カルシウムなどです。

タンパク質は筋肉の合成に欠かせません。
カルシウムは骨の原料となります。

ロコモティブシンドローム予防で摂取したい食品の例は以下の通りです。

  • 鶏胸肉・ささみ(タンパク質)
  • さば(タンパク質)
  • 大豆製品(タンパク質)
  • 牛乳・乳性品(カルシウム)
  • 緑黄色野菜(カルシウム)

ロコモティブシンドロームに​​似ている病気


ロコモティブシンドロームに似た病気をご紹介します。
以下の病気はロコモティブシンドロームとも深い関わりがあります。

廃用症候群

廃用症候群は、病気・ケガなどのために過度に安静にした結果、身体機能が低下する状態です。

極端にいえば、療養のために寝付いたまま、寝たきり状態に移行するケースが該当します。
廃用症候群は、1度発症すると回復が困難である点が特徴です。

筋力の低下以外に、さまざまな症状があらわれるのも廃用症候群の特徴です。
廃用症候群の主な症状は以下の通りです。

  • 運動機能の低下
  • 心機能の低下
  • 呼吸器機能の低下
  • 排尿障害
  • 消化器官の低下
  • 抑うつ症状

サルコペニア

サルコペニアは、全身の筋力が低下して、運動機能が著しく低下した状態です。
ロコモティブシンドロームの中でも、特に筋力が低下した状態がサルコペニアです。

サルコペニアの主な原因は加齢です。
あるいは、全身疾患や不活発な生活を原因として発症することもあります。

フレイル

フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間地点です。
より具体的には、加齢による疲労・病気や転倒の増加などの老化現象をフレイルと呼びます。

フレイルは、身体機能の老化と社会的な要因が重なって発症することがほとんどです。
社会的な要因とはたとえば、退職によって他人との交流が減ったり、収入が減ったりすることが代表的です。

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年齢層別の身体活動量の基準


ロコモティブシンドロームは長年の生活習慣の積み重ねを原因とします。
つまりロコモティブシンドロームを防ぐには、若いうちから予防に努めることが大切です。

特に運動器の維持・向上を意識しなければなりません。
具体的には、運動に取り組みましょう。

適切な運動量は年齢によって違います。
厚生労働省は「健康な人のための身体活動量の新基準」として以下を設けています。

身体活動量(運動+生活)
65歳以上強度を問わない身体活動を毎日40分 (例:ラジオ体操10分+歩行20分+植物水やり10分)
18~64歳以上3メッツ以上の強度の身体活動を毎日60分 (例:歩行30分+ストレッチ10分+掃除20分)
18歳未満楽しく体を動かすことを毎日60分以上

メッツとは、活動時の消費エネルギーを表す単位です。
安静に座っている状態を1としています。

3メッツの運動は、普通の歩行・犬の散歩などです。

出典:厚生労働省「健康な人のための身体活動量の新基準
出典:厚生労働省「秋葉副大臣会見概要(ロコモティブシンドロームについて)

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ロコモティブシンドロームの症状のまとめ


ここまで、ロコモティブシンドロームの症状についてお伝えしてきました。
ロコモティブシンドロームの症状の要点を以下にまとめます。

  • ロコモティブシンドロームの症状は、筋力の低下・関節の障害・歩行困難・立ち上がれないなど
  • ロコモティブシンドロームの原因は、加齢・運動不足・肥満など
  • ロコモティブシンドロームになりやすいのは、女性・肥満の方・50代以降の方

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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