不整脈と聞くと、何か大変な病気が隠れていると思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不整脈には心配の必要のない不整脈もあれば、すぐに病院に行った方がよい不整脈もあります。
不整脈はなぜ起こるのでしょうか?
不整脈の治療法にはどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では不整脈の原因について以下の点を中心にご紹介します。
- 不整脈の原因とは
- 不整脈の治療方法とは
- 不整脈かどうか自分で調べる方法とは
不整脈の原因について理解するためにもご参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
不整脈は身近に接することが多い病気です。不整脈の原因の最も多いのは加齢によるものです。不整脈にはどのような種類があるでしょうか?不整脈になる原因にはどのようなものがあるでしょうか?本記事では不整脈について以下の点を中心にご紹介し[…]
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不整脈とは
不整脈とは、心臓の拍動が正常とは違ったタイミングで起きる状態を指します。
不整脈には、以下の3種類があります。
- 頻脈:正常よりも脈が速くなる
- 徐脈:正常よりも脈が遅くなる
- 期外収縮:脈が不規則になる
不整脈には、緊急性や治療方法などさまざまです。
不整脈のほとんどは、放置していても問題ありません。
しかし、なかには命に関わる不整脈もあるので注意しなくてはなりません。
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不整脈の原因
不整脈の原因は、心臓に流れる電気信号の流れが異常になることです。
心筋梗塞などの心臓の病気と違って、血管が詰まって起こるわけではありません。
詳しい原因を説明していきます。
加齢
加齢によって、心臓の機能自体も低下してきます。
不整脈は60歳以上になると増加傾向になることから、加齢がひとつの原因となります。
そのため不整脈は、健康な人でも起こりうる症状といってよいでしょう。
自律神経の乱れ
不整脈の原因には、自律神経の乱れも深く関わっています。
心臓の動きは、自律神経によってコントロールされています。
自律神経は、ストレス、睡眠不足、喫煙、過度な飲酒など生活習慣によって乱れます。
自律神経が乱れることによって、心臓の脈拍も乱れます。
肥満
不整脈の原因のひとつに肥満があります。
肥満があると高血圧になりやすく、心臓に負担をかけてしまいます。
長期間心臓に負担がかかると心肥大になり、不整脈が起こりやすくなります。
病気
不整脈は、病気が原因となって起こる場合もあります。
- 冠動脈疾患
- 心臓弁障害
- 心不全
などの心臓の病気が不整脈の原因となります。
また、甲状腺異常や肺に何らかの病気が発症することで、不整脈を起こすこともあります。
薬の副作用
服用している薬の副作用が原因で不整脈を起こすケースもあります。
降圧剤や抗うつ剤には、一部に自律神経や心臓の電気刺激の発生に影響する成分が含まれます。
また、頻脈治療薬である抗不整脈薬が体質的に効き過ぎて、徐脈の原因になることもあります。
原因不明
検査によって不整脈と診断されても、原因がわからないこともあります。
原因がわからない場合、生まれつき心臓の刺激伝導系機能に問題があるのかもしれません。
また、加齢によって機能低下が起こっているのかもしれません。
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不整脈の種類
不整脈にはいくつか種類があります。
詳しく見ていきましょう。
頻脈性不整脈
脈が速くなることを「頻脈性不整脈(頻脈)」といいます。
頻脈は、一般的に心拍数が1分間に100回以上ある不整脈です。
頻脈性不整脈は、
- 頻拍
- 細動
に分けられます。
頻拍は心拍数が1分間に100回以上になる不整脈です。
細動は、電気信号が早すぎて心臓の動きが追い付かず、拍動が弱くなる不整脈です。
心房細動が起こると脳梗塞を起こす危険があります。
心室細動が起こると突然死につながります。
細動不整脈は、不整脈の中でも最も危険なタイプになります。
徐脈性不整脈
脈が遅くなることを「徐脈性不整脈(徐脈)」といいます。
徐脈は、一般的に心拍数が1分間に50回未満の不整脈です。
徐脈性不整脈が起こると、
- 息切れ
- 体のだるさ
- めまい
- 失神
などの症状が起こります。
徐脈性不整脈は、すぐに命に関わるということはありません。
しかし、徐脈性不整脈が起こると脳への血流が不足することで意識を失い、転倒につながる危険性があります。
期外収縮不整脈
期外収縮不整脈は単発の不整脈で、規則正しい拍動の合間に、時々不規則な拍動があらわれます。
症状としては、
- 動悸
- 胸の詰まり
- 不快感
などがありますが、ほとんど心配はありません。
1日に10万回以上も拍動する心臓ですから、誰にでも1拍、2拍は拍動が飛ぶこともあります。
しかし、100回の内10回以上、頻繁に拍動が不規則になる場合は病院で検査を受けましょう。
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安全な不整脈と危険な不整脈
不整脈というと直接心臓に関係するものですから、怖い症状だと考えられがちです。
しかし、危険な不整脈かどうか、症状からある程度判断することができます。
まず、それほど危険のない不整脈は、「期外収縮不整脈」などの単発の不整脈です。
日常生活でたまに「脈が飛ぶ」「脈が抜ける」といった場合は心配はいりません。
また、運動や興奮状態で脈が一時的に早くなる症状も心配は不要です。
日常生活で支障をきたさなければ、そのままにしておいても問題はないでしょう。
一方で、次のような症状は危険性の高い不整脈です。
このような症状がある場合、病院で検査を受けた方がよいでしょう。
- 急に意識がなくなる
- 脈拍数が1分間に40回以下で、息切れやめまいがする
- 脈拍が1分間に150~200回以上で、突然動悸が始まる
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心房細動と脳梗塞の関係性
心房細動は、年齢に関係なく誰にでも起こりますが、とくに高齢者に多い不整脈です。
日本では心房細動の患者数は100万人を超えるともいわれています。
心房細動は、脈拍が1分間に150~200回以上となります。
そのため、かなり強い動悸の症状があらわれます。
心房細動で怖いのが、脳梗塞との因果関係です。
心房細動が長く続くと、血液が淀み、心房に血栓ができやすくなります。
その血栓が血液の流れに乗って脳の血管を詰まらせ、脳梗塞を起こす危険性があります。
心房細動は、ほとんどの場合薬で治療ができます。
また、脳梗塞の予防として血栓ができにくくなる薬を一緒に飲むこともあります。
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不整脈の検査方法
不整脈の検査は、循環器科で受けられます。
さまざまな検査が行われますが、主に以下のような検査があります。
心電図検査
不整脈の検査で最初に行われるのが心電図検査です。
短時間で心臓を検査できるので、一般的な健康診断でも行われます。
ホルター心電図検査
ホルター心電図検査は、携帯用の心電図をつけたまま帰宅し、心電図の変化を観察します。
不整脈の頻度や危険な不整脈の有無、狭心症の症状チェックなどを行います。
運動負荷検査
階段の上り下り、自転車こぎといった運動を行います。
運動によって不整脈の出方を検査します。
心臓超音波検査
超音波を使って、心臓の形や動きをみながら不整脈の原因を特定する検査です。
EPカテーテル
太ももの付け根などの血管からカテーテルを入れて心臓内まで挿入し、心臓内の電気活動を詳しく調べる検査です。
不整脈の性質を、心電図検査などよりも詳しく知ることができます。
不整脈とは、脈が正常よりも速くなったり、遅くなったりする状態のことです。不整脈が原因で、心不全や脳梗塞の原因になることもあります。不整脈の検査はどのようにするのでしょうか?また、不整脈の治療方法には何があるのでしょうか?[…]
不整脈の治療方法
不整脈が見つかった場合、どのような治療方法があるのでしょうか。
不整脈の治療は、危険度や重症度などによって、さまざまな治療法があります。
薬物療法
薬物療法では、頻脈性不整脈に対して「抗不整脈薬」を用います。
徐脈に対しては、症状がそれほど重くない場合には薬物治療を行います。
期外収縮では、ほとんど薬物治療は行われませんが、症状が重いときに行われることもあります。
カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションは、心臓の異常な電気回路を切断することを目的としています。
カテーテルを用いて、病組織に対し直接「焼灼」あるいは「冷凍」凝固を行います。
植え込み型除細動器
心室性の頻脈不整脈に対して行われる治療です。
その名のとおり、除細動器を体内に植え込み、常に心臓の状態をモニターします。
命の危険がある心室細動などの発作が起こったときには、電気ショックを発生させ、突然死を防ぎます。
ペースメーカー
ペースメーカーは、徐脈性不整脈の治療に使われます。
体内に植え込んだ機器から電気信号を送ることで一定レベルの心拍をキープし、徐脈による突然の失神などを防ぎます。
メイズ手術
胸を開き、心房細動の原因となっている心筋部分を電流などを使って壊死させる手術です。
心房細動に対して、他の治療法では十分な効果が得られない場合に検討されます。
大がかりな手術のため、他の心疾患に対する手術を行うときに併せて行われることが多いです。
不整脈は脈拍が乱れることをいい、誰にでも起こりえる病気です。治療が必要のない軽度のものから、命を落としてしまう重度なものまで症状はさまざまです。不整脈と診断された場合はどのような「治し方」があるのでしょうか?本記事では不整脈[…]
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不整脈のセルフチェック方法
不整脈は、以下の手順で自分でチェックすることができます。
- 安静にする(目覚めたときか寝る前に行うことが好ましい)
- 人差し指・中指・薬指の3本の指の腹を、反対側の手首の親指の付け根に当てる
- 15秒間脈動の数を測り、それを4倍にする
正常な拍動は、1分間に60~100回程度で、一定のリズムを刻みます。
安静な状態にもかかわらず、拍動が130回以上あるいは40回以下である場合は要注意です。
病院で詳しい検査をしてもらいましょう。
心拍に異常を感じたとき、「ひょっとして不整脈かも?」と不安になる方も多いでしょう。不整脈は心拍の乱れ以外にも、さまざまな症状があらわれます。そのため不整脈かどうかを調べるには、複数のチェック方法を試すのがおすすめです。それで[…]
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食事療法による不整脈の改善
不整脈の改善には、食事療法も大切です。
血行を悪くするものや血圧を上げるもの、体を冷やすものはできるだけ避けましょう。
具体的には、
- カフェインを多く含む飲み物・食べ物
- 塩分のとり過ぎ
などは避けましょう。
積極的に摂取したい食べ物は緑黄色野菜です。
緑黄色野菜はビタミンAを多く含み、自律神経の乱れを整えてくれます。
また、ストレスによる不整脈に対しては、カルシウムを多く含む食べ物がおすすめです。
乳製品・小魚などの動物性食品や、小松菜などの緑黄色野菜もカルシウムが豊富です。
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不整脈が生じやすい年齢は?
不整脈の中でも、心房細動の患者数は加齢とともに増加傾向にあります。
特に60歳以上では、年齢とともに如実に患者数が増加します。
心房細動患者について、以下のように報告する研究が多くあります。
- 7~9割を60歳以上が占める
- 3~4人に1人は80歳以上
- 60歳以上では女性よりも男性の方が多い
不整脈は加齢とともに生じやすくなります。
しかし、最近では年齢に関係なく、若い人にも不整脈が起こるケースもあります。
若年者の不整脈の原因としては、
- ストレス
- 不規則な生活習慣
- 睡眠不足
- 過労
- 肥満による睡眠時無呼吸症候群
- 高血圧
などが考えられます。
心疾患による年間死亡率
1960年代以降、日本人の死因の上位3つは、ガン、心疾患、脳卒中に占められてきました。
ガンと心疾患は、ほぼ増加の一途をたどっています。
逆に脳卒中は、例外の期間はありつつも、減少を続けています。
2019年の時点で、日本人の死因1位はガンであり、2位の心疾患を大きく引き離しています。
また、2018年、2019年と、老衰が日本人の死因第3位に上昇しました。
脳卒中はその間、4位となっています。
心疾患の死因は、
- 心不全
- 急性心筋梗塞
- その他の虚血性心疾患
- 不整脈及び伝導障害
に分けられます。
2019年の時点では、心不全は心疾患のなかで死因第1位となっています。
それ以外の死因を大きく引き離して第1位となっています。
今から50年ほど前までは、日本人の死亡原因のトップは「脳卒中」でした。
しかし、現在では「ガン」がトップで、次に心疾患、そして脳血管疾患となっています。
心疾患は、ガンに次いで死亡率の高い病気となっています。
心疾患が恐ろしいのは、心臓が生命活動を営む上で欠かせない臓器であるということです。
そのため「心臓の停止=死」に直結するのです。
心疾患の特徴として「ある日突然命を奪われる」ことです。
働き盛りの年齢の突然死の半数以上が心疾患によるものです。
そして、心臓を止めてしまう直接の原因が心室細動という不整脈なのです。
不整脈かどうかは、ある程度自分でチェックすることができます。
おかしいと思ったら放置せずに病院で詳しい検査をし、治療することです。
脳卒中は日本人の死因の上位に食い込む疾患です。ところで、脳卒中ではどのような症状があらわれるのでしょうか。また、治療・予防にはどのような方法があるのでしょうか。本記事では、脳卒中について、以下の点を中心にご紹介します。 […]
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不整脈の原因まとめ
ここでは、不整脈の原因について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 不整脈の原因は「加齢」「自律神経の乱れ」「肥満」「病気」など
- 不整脈の治療方法は「薬物治療」「ペースメーカー」「手術」など
- 不整脈かどうか自分で調べる方法は人差し指・中指・薬指で手首の脈動を測る
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
不整脈とは、脈が突然速くなったり、遅くなったりする状態をいいます。また、重症の不整脈では致死性不整脈になりやすく、突然死に至ることもあります。では、不整脈の突然死の前兆にはどのようなことがあるのでしょうか?本記事では、不整脈[…]