人は誰しも年を重ねていくうちに身体機能が低下していきます。
そのひとつに嚥下機能がありますが、ユニバーサルデザインフードはご存じでしょうか。
初めて耳にするといった方もいるかもしれません。
ユニバーサルデザインフードを利用することでどういったメリットがあるのでしょうか?
本記事ではユニバーサルデザインフードの活用について以下の点を中心にご紹介します。
- ユニバーサルデザインフードの意味合いと定義について
- ユニバーサルデザインフードの利用者やメリットとは
- ユニバーサルデザインフード生産量や金額について
ユニバーサルデザインフードについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
ユニバーサルデザインフードとは
まずはそもそもユニバーサルデザインフードとは、どういったものなのか紹介していきます。
ユニバーサルデザインフードというのは、小さなお子様からご高齢の方、身体の不自由な方や障害のある方など、どなたにもやさしい食品のことです。
例えば加齢や病気などによって噛む力が弱まった方や歯の治療中の方であっても、負担なくおいしく食事を楽しめる食品になります。
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ユニバーサルデザインフードの定義
次にユニバーサルデザインフードの定義について紹介していきます。
以下でロゴマークや周囲などを詳しく説明していくので、参考にしてください。
ユニバーサルデザインフードのロゴマーク
ユニバーサルデザインフードにはロゴマークがあり、以下のようなデザインになります。
このマークがある商品が、ユニバーサルデザインフードになります。
4区分に分かれており、ロゴの横にある表示で簡単に見分けることができます。
ユニバーサルデザインフードの選び方の区分
ユニバーサルデザインフードは、いくつかの区分に分かれています。
以下にまとめるので、参考にしてください。
区分 | |||||
咀嚼力の目安 | かたいものや大きなものはやや食べにくい | かたいものや大きなものは食べにくい | 細かくてやわらかければ食べることができる | 固形物は小さくても食べにくい | |
嚥下力の目安 | 飲み込みに問題なし | ものによっては飲み込みにくいことがある | 水やお茶が飲み込みにくいことがある | 水やお茶が飲み込みにくい | |
かたさの目安 | ごはん | ごはん~やわらかいごはん | やわらかいごはん~全粥 | 全粥 | ペースト状 |
卵 | 厚焼き卵 | だし巻き卵 | スクランブルエッグ | 具なしのやわらか茶碗蒸し | |
肉じゃが | やわらかい肉じゃが | 具材が小さめのやわらかい肉じゃが | 具材が小さめのさらにやわらかい肉じゃが | ペースト状の肉じゃが |
このようにユニバーサルデザインフードは、区分によって調理の仕方が変わります。
そのため、利用者にあったものを選択することが大切になります。
ユニバーサルデザインフードとろみ調整食品
ユニバーサルデザインフードは4区分の他にも、とろみについて以下のマークが表示されています。
このマークは、「とろみ調整食品」であるということを意味しています。
とろみ調整食品とは、食べものや飲みものにこちらのマークの商品を混ぜるだけで、簡単にとろみを加えることができるものです。
飲み込む力が弱い方であっても、こちらの商品を使用してとろみを加えれば、誤嚥の防止につながるので、病院や介護の場で広く使用されています。
とろみの目安を以下にまとめるので、参考にしてください。
とろみの強さ | + | ++ | +++ | ++++ |
とろみのイメージ | フレンチドレッシング状 | とんかつソース状 | ケチャップ状 | マヨネーズ状 |
使用料の目安 | ~1g | 1~2g | 2~3g | 3g~ |
上記は水やお茶100mlあたりの目安になります。
ユニバーサルデザインフードの種類
ユニバーサルデザインフードにはさまざまな種類があります。
一例を以下に挙げるので、生活スタイルや状況に合った使いやすいものを選択しましょう。
- レトルト食品
- 冷凍食品
- 加工食品
- とろみ調整食品
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ユニバーサルデザインフードの利用者
次にユニバーサルデザインフードの利用者を紹介していきます。
ユニバーサルデザインフードのマークが付いている食品は、年齢や障害の有無に関わらず、どなたにもやさしいものになっています。
特に、脳血管疾患などが原因で嚥下障害が見られる方であれば、障害の程度に合わせて状況別に適切な食事形態を提供できるのでおすすめです。
障害の程度はリハビリによって改善したり、逆に病態によって嚥下障害が悪化したりすることもあります。
適切なタイミングで、適切な食事形態を選択することが大切になります。
また、障害がない方であっても歯周病や入れ歯が合わないなどの理由により、かたいものを食べられないケースなどもあります。
若い人であっても歯の治療や抜歯により、咀嚼が難しいケースもあります。
このように、さまざまな場面に対応できるのがユニバーサルデザインフードになります。
ユニバーサルデザインフードQ&A
ここからは、ユニバーサルデザインフードについてのよくある質問を以下にまとめます。
Q1区分表にある「大きいもの」とはどういうものですか?
→答え:一口で食べることができないような大きさの食べもののことです。
Q2区分表にある「細かいもの」とはどのようなものですか?
→答え:あらめのみじん切り程度の大きさの食べもののことです。
Q3区分表にある「固いもの」とはどういうものですか?
→答え:肉や繊維質の多い野菜など、嚙み切ることが難しい食べもののことです。
Q4介護食はすべてユニバーサルデザインフードですか?
→答え:介護食として使用されているものは多いですが、全てではありません。
ユニバーサルデザインフードのロゴが付いているもののみです。
Q5離乳食と似ていますが、違いは何ですか?
→答え:離乳食と比較すると、味が濃く、塩分濃度や栄養素が高い食品になります。
そのため、赤ちゃんには与えないようにしてください。
Q6ユニバーサルデザインフードはおいしいですか?
→答え:ユニバーサルデザインフードは、「食べる楽しみを全ての人に!」というテーマで作られたものです。
そのため、味だけでなく、見た目も工夫されたおいしい食品になります。
Q7ユニバーサルデザインフードはどこで購入できますか?
→答え:スーパーやドラッグストア、百貨店などの身近なところで気軽に購入できます。
この他に、インターネットでも販売されています。
Q8とろみがうまく付かないのですが、どうすればいいですか?
→答え:商品の説明書をよく読んで適切な量を入れて調整しましょう。
すぐにとろみが付く商品もあれば、ゆっくりととろみが付くものもあります。
Q9どの区分が合っているのか迷うのですが、どうすればいいですか?
→答え:ユニバーサルデザインフード選びのフローチャートがあるので、こちらを利用することをおすすめします。
Q10ユニバーサルデザインフードのお粥の特徴は何ですか?
→答え:ユニバーサルデザインフードのお粥は、普通のお粥よりもとろみがあります。
口の中でまとまりやすく、飲み込みやすいことが特徴です。
ユニバーサルデザインフード生産量と金額
最後にユニバーサルデザインフードの生産量と金額について紹介していきます。
20年統計によると、ユニバーサルデザインフードの生産量は年々上がり、1.3倍超えとなっております。
生産額についても500億円を突破しています。
この理由としては、高齢化が進む現代においては、ユニバーサルデザインフードの需要は上がっており、多くの方のニーズに合っているからだと考えられます。
今後も高齢化社会が進むため、ユニバーサルデザインフードの市場は広がっていくことが予想されます。
ユニバーサルデザインフードのまとめ
ここまでユニバーサルデザインフードの意味合いや利用者についてお伝えしてきました。
ユニバーサルデザインフードの要点を以下にまとめます。
- ユニバーサルデザインフードとは、どなたにもやさしい食品のこと
- 加齢や病気などにより咀嚼や嚥下機能が低下している人に利用されることが多い
- ユニバーサルデザインフードの需要や生産量は年々上がっている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。