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健達ねっと>健康お役立ち記事>嚥下>飲み込みの力を鍛えよう!元気に食べ続けるためのトレーニング法7選

飲み込みの力を鍛えよう!元気に食べ続けるためのトレーニング法7選

飲み込みの力は加齢に伴って衰えます。
飲み込みの力を維持することは高齢になっても健康を維持するために大事な力です。

飲み込みの力が弱くなる原因にはどのようなものがあるでしょうか?
飲み込みの力が弱まるとどのようなことが起こるでしょうか?

本記事では飲み込みの力について以下の点を中心にご紹介します。

  • 飲み込みの力が弱まる原因について
  • 飲み込みの力が弱まるとどうなるかについて
  • 飲み込みの力が弱まるのを予防する方法について

飲み込みの力について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

飲み込みとは

飲み込み(嚥下)とは⼝で飲⾷物を咀嚼したのち胃まで送り込む⼀連の動作をいいます。 飲み込みは⼝、咽頭、喉頭の器官の筋⾁や神経を連携して使って出来る動作です。 

⾷べ物を⼝に⼊れてから嚥下するまでの過程は以下の5段階に分けられます。 

  • 先⾏期 
  • 準備期 
  • ⼝腔期 
  • 咽頭期 
  • ⾷道期 

いずれかの過程で嚥下機能が低下して飲み込みが難しくなる症状を嚥下障害といいます。
飲み込みの力が弱まることの原因の多くは加齢による筋力の低下です。

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飲み込みの力が弱まる原因

飲み込みの力が弱まる原因には以下の4つがあります。

  • 器質的原因
  • 機能的原因
  • 心理的原因
  • 医原性の原因

それぞれの原因についてご紹介します。

器質的原因

以下の器質的原因は嚥下に関わる各器官の構造上の異常で食べ物の通過を妨げるものです。

外傷

飲み込みの力を弱める原因の一つに交通事故などによる頭部外傷があります。
頭部外傷による高次脳機能障害で、咽頭の感覚神経が麻痺すると嚥下障害が起きます。

腫瘍

嚥下に関わる各器官に腫瘍ができることでも飲み込みの力を弱める原因となります。
具体的には口腔・咽頭の腫瘍で舌癌や咽頭癌などがあります。
舌癌で舌を切除した場合など、食塊を口腔内から咽頭へ送り込む舌の運動障害が生じます。

先天奇形

飲み込みの力を弱める原因に先天的な奇形があります。
先天的な奇形には口蓋裂や顎の形成不全などが該当します。

機能的原因

飲み込みの力が弱くなる原因として嚥下の機能上の問題があります。
以下の機能的原因は嚥下に関わる各器官を動かすための筋肉や神経に問題がある場合です。

加齢による筋力の低下

加齢によって筋力の低下が起こると飲み込みに必要な嚥下反射が弱まることになります。
加齢による嚥下反射が弱まる影響には以下のようなものがあります。

  • 喉頭を吊りあげている筋⼒の減少で喉頭挙上障害になる 
  • ⾷道の⼊り⼝の括約筋の機能低下で喉頭閉鎖不全になる 
  • 咽頭収縮筋の収縮⼒低下で咽頭に唾液や⾷べ物が残留する 

喉頭挙上や喉頭閉鎖が不⼗分なことや、咽頭での⾷べ物の残留は誤嚥リスクを⾼めます。 

脳血管障害による麻痺

機能的原因の1つに脳梗塞や脳出⾎などの脳⾎管障害による麻痺があります。
脳⾎管障害の後遺症で飲み込みに関わる筋⾁を動かす神経が⿇痺することが原因です。
脳⾎管障害の⿇痺で起こる嚥下障害の症状として以下のようなことがあります。

  • ⼝唇が⼗分に閉じないため⾷べ物がこぼれ落ちる 
  • ⾆をうまく動かせない 
  • 喉頭をうまく動かせない 

神経・筋疾患

筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病の神経・筋疾患も機能的原因の1つです。
ALSでは以下のような嚥下障害が起こります。

  • 舌圧の低下
  • 咽頭反射の遅れ
  • 上食道括約筋の弛緩不全

パーキンソン病では運動に関わる働きが低下し口の中や咽頭筋の動きに影響を与えます。

心理的原因

身体的な機能は維持されているのに以下の心理的原因で嚥下障害を引き起こす疾患です。

神経性食思不振症

神経性食思不振症(AN)は心因性の嚥下障害の1つで一般的に拒食症と呼ばれるものです。
ANは10代の女性に多く見られ、ダイエットや胃腸症状、食欲不振がきっかけになります。
ANは発症前に心理的なストレスや社会的ストレスを経験していることが特徴です。

認知症

認知症の中でもアルツハイマー型認知症は認知機能の低下が原因で嚥下障害を起こします。
身体機能は維持されているため以下のようなことが起こります。

  • 食事という場面が認識できないので食事を始めることができない
  • 喉の機能に異常はないのに食べ物を口から喉へうまく送り込むことができない

うつ病

うつ病も心理的原因から嚥下障害を起こす疾患の1つです。
身体的な嚥下困難はなく唾を飲み込むときに強い異物感を感じたりする特徴があります。
うつ病で誤嚥などに対する不安や恐怖感によって嚥下しづらくなるのです。

医原性の原因

飲み込む力が弱まる医原性の原因には以下のようなものがあります。

薬の副作用

薬の副作⽤で起こる嚥下障害は「薬剤性摂⾷嚥下障害」と呼びます。
薬剤性摂⾷嚥下障害では 

  • ⾷事中の眠気 
  • 動作緩慢、誤嚥、むせ込み 
  • ⼝腔内乾燥、よだれ、飲み込めない 

などの症状があらわれます。 

経管栄養チューブ

経管栄養チューブを留置した状態では以下のような誤嚥のリスクがあります。

  • 嚥下反射の遅れ 
  • チューブ周囲に付着した残留物の誤嚥 

術後の合併症

術後の合併症は、嚥下に関わる筋や神経が⼿術操作でダメージを受けて起こります。 

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飲み込みの力が弱まるとどうなる?

飲み込みの力が弱まると以下のような状態が起こります。
それぞれの状態についてご紹介します。

嚥下障害により食事をすることが難しくなる

嚥下障害(飲み込みの障害)は食べたり飲み込むことの障害です。
嚥下障害では以下のような症状があらわれて食事をすることが難しくなります。

  • 食べ物が飲み込みにくい
  • むせる
  • 食べ物が口からこぼれる
  • 飲み込んだ後に食べ物が口の中に残る
  • 食後に痰がからむ
  • 食べ物をうまく噛んで飲み込むことができない

嚥下障害で食事をすることが難しくなる最大の原因は加齢によるものです。
加齢によって喉周りの食べたり飲み込んだりする器官の機能が低下して起こります。

誤嚥性肺炎のリスクが高くなる

嚥下機能が低下すると誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
誤嚥性肺炎は嚥下機能の低下で食べ物などと一緒に細菌が気道に吸引されて起こります。
誤嚥しても咳反射で吐き出すことができますが、機能が低下しているために気道へ入ってしまいます。

また嚥下障害の方が口腔ケアを怠ると口腔内に残留した食べ物で細菌の増殖が起こります。
嚥下障害の方の口腔内の増殖した細菌は気管から肺へ吸引されて肺炎を発症するのです。

低栄養状態に陥る

嚥下障害で食事をすることが難しくなると食事量が減ってしまいます。
食事量が減ると低栄養と脱水状態を引き起こします。
低栄養と脱水状態になると体を作る栄養が不足し、飲み込みに必要な筋力も低下します。

つまり、嚥下障害→食事量が減る→低栄養状態→さらに嚥下機能低下と悪循環が続きます。
いわゆる嚥下障害による悪循環に陥ることになるのです。

筋肉量が減るサルコペニアになりやすくなる

嚥下機能低下が起こると結果的に筋肉量が減りサルコペニアになりやすくなります。
サルコペニアとは進行性で体全体にあらわれる筋肉量の減少と筋力の減少です。
サルコペニアは特に高齢者において身体機能障害や転倒したりする危険因子になります。

サルコペニアが起こる嚥下の関連筋肉群には以下のようなものがあります。

咀嚼筋舌骨上筋
舌骨下筋舌筋
口蓋筋咽頭筋

サルコペニアの嚥下障害は

  • 加齢による嚥下機能の低下(反射の低下、口腔乾燥、味覚・臭覚の変化)
  • サルコペニアが徐々に進行
  • 誤嚥性肺炎などの疾患
  • サルコペニアの急激な進行(床上安静、禁食、栄養不足、炎症などで)
  • 嚥下障害

のようなパターンで発症します。

全身の機能が弱まりフレイルの状態になる

嚥下障害は全身の機能が弱まりフレイルの状態にもなります。
フレイルとはサルコペニアの筋肉量の減少とは別にいわゆる虚弱状態をあらわします。

虚弱とは加齢に伴う身体の予備能力の低下、健康障害を起こしやすくなった状態です。
フレイルでは、体重減少、倦怠感、活動度の低下などが全身機能の評価の対象になります。

飲み込みの力が弱まるのを予防する方法

飲み込みの力が弱まるのを予防する以下の方法についてご紹介します。

正しい姿勢で食事をする

食事時の姿勢は嚥下障害の予防に大切です。
以下のような点に注意して正しい姿勢で食事をするようにしましょう。

  • 背筋を伸ばしてできる限り垂直になるように座る(椅子に深く腰掛ける)
  • 食べるとき首は前方に向ける
  • 顎を引いて飲み込む
  • 食後に食べ物が逆流しないようにしばらく座っている(すぐに横にならない)

何かしながらの食事を避ける

何かしながらの食事は避けましょう。
食べること(噛んだり味わったり)に集中しないと誤嚥のリスクが高まります。
食事に興味が集中するようにテレビなどは消して環境を整える工夫が必要です。

ゆっくりよく噛んで食べる

ゆっくりよく噛んで食べるよう、食べ方に気を付けることも大切です。
口の中にまだ食べ物が残っているのに次のものを口に入れる場合があります。
口の中の食べ物をよく噛んで飲み込んだ後、次のものを口に入れるようにします。

少量ずつ口に入れて食べる

大量の食べ物や飲み物を一気に口に入れるとむせてしまいます。
食べ物は一口ずつゆっくり噛んで飲み込めるよう食事する方に合った量に調整します。
汁気の多いものは特にむせやすいので注意が必要です。

歯磨きを毎食後行う

歯磨きを毎食後に行って口の中を清潔に保ちましょう。
入れ歯なども洗浄剤を使えば、汚れや細菌の除去ができ清潔に保つことができます。

口腔内のメンテナンスを定期的にする

定期的な口腔内のメンテナンスは高齢で介護が必要になった方は特に大切です。
特に自分で歯磨きが難しくなると口腔内の細菌が増え誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

誤嚥性肺炎は口腔内の細菌を抑えることで発症のリスクを下げることができます。
口腔内のメンテナンスは3~4ヵ月ごと定期的に受けることが大切です。

意識的に運動する

飲み込む力が弱くなるのを予防する鍵は筋力を保持することです。
筋力を保持するには意識的に運動することが大切です。

意識的に運動をすることで全身の筋力キープを図ることができます。
舌の出し入れや口をすぼめた深呼吸などの嚥下体操は嚥下障害の予防に効果的です。

歌ったりしゃべったり笑ったりする

歌ったりしゃべったり笑ったりすることは嚥下障害の予防に効果があります。
大声で歌ったりしゃべったり笑ったりすることで腹筋が鍛えられます。
腹筋が鍛えられることで気管に入り込んだ食べ物を吐き出す力が高まります。

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飲み込みの力を鍛えるトレーニング方法7選

飲み込みの力を鍛えるトレーニング方法7選を以下にご紹介します。

おでこ体操

おでこ体操は喉の筋力向上を図るものです。
おでこ体操は以下の要領(1セット)で行います。

  • おへそを覗き込むように頭を下げる
  • 額に手を当てる(左右どちらでも)
  • 頭はおへそに向かって下げ手は上に向かって押す
  • 5秒間押し合う
  • 5回繰り返す

1日の目安は1セット×5回食前に行うのが効果的です。
なお、おでこ体操は頚椎症や高血圧の方はかかりつけ医に相談の上行うようにしましょう。

ゴクゴク体操

ゴクゴク体操は顎の下や喉周りの筋肉を鍛えて飲み込み力をアップする体操です。
ゴクゴク体操は以下の要領で行います。

  • 喉仏(のどぼとけ)に手を当て、ゴクンと飲み込み喉仏が上がることを確認する
  • 喉仏に手を当てたまま顎を引いてゴクッと飲んで喉仏を上げる
  • 喉仏を上げたまま5秒保持(5秒が難しい場合はできる長さで)
  • 息を一気に吐き出す(息はお腹から吐き切る)

ゴクゴク体操は呼吸器疾患のある方は避けるようにしましょう。

腹式呼吸トレーニング

腹式呼吸トレーニングは誤嚥しそうになったときに正しくむせるためのトレーニングです。
腹式呼吸のやり方は以下のようになります。

  • 椅子に座った状態で背筋を伸ばして鼻から息を吸い込む
  • 鼻から吸い込むときのイメージは丹田に空気をためるようにお腹を膨らませる
  • 口からゆっくり息を吐き出す
  • 息の吐き出し方は吸う時の倍くらいの時間をかけて全て吐き出す
  • 1日の回数は10~20回

あまり無理をしないで5回くらいから始めましょう。

パ行ラ行タ行カ行マ行の発音トレーニング

発音トレーニングは誤嚥を防ぐために口や舌を鍛えます。
代表的なトレーニングに以下のようなパタカラ体操があります。

  • 単音の発音(「パ」「タ」「カ」「ラ」と1音ずつ発音する)
  • 連続の発音(「パパパ・・・」「タタタ・・・」「パタカラ、パタカラ・・・」)
  • パ・タ・カ・ラを含む文(例えば「パンダのたからもの・・・」を発音する

パタカラ体操は食事の前にそれぞれ10回程度行いましょう。

発音トレーニングはその他にもあります。
パ行ラ行タ行カ行マ行それぞれの発音をするのも舌や喉をしっかり動かすトレーニングになります。

首のストレッチ

嚥下に関する筋肉が集まっている首のストレッチも効果的です。
以下のように首をゆっくり動かして筋肉をほぐします。

  • 左右にゆっくり後ろを振り返る
  • 耳を肩につけるようなイメージでゆっくりと首を左右に倒す
  • 首を左右にゆっくりと1回ずつまわす

首のストレッチは食事の前に無理のない範囲で継続して行いましょう。

頬を動かすトレーニング

頬を動かすトレーニングは以下のような効果があります。

  • 食べ物をしっかり噛む
  • 食べこぼしを防ぐ
  • 鼻へ食べ物が流れ込むのを防ぐ

トレーニングの要領は頬をふくらませたりすぼめたりします。

口の中に空気をためて頬を内側からふくらませることで筋肉を鍛えるトレーニングです。
頬を動かすトレーニングは食事の前に無理のない範囲で継続して行いましょう。

舌を動かすトレーニング

舌を動かすトレーニングは咀嚼時や嚥下時の舌の動きを鍛えます。
舌を動かすトレーニングは以下の要領で行います。

  • 舌をベーと出し、その後舌を喉の奥の方へ引く
  • 口の両端をなめる
  • 鼻の下、顎の先を交互に触るようにする

舌を動かすトレーニングは食事の前に無理のない範囲で継続して行いましょう。

薬の使い方

飲み込みの力のまとめ

ここまで飲み込みの力についてお伝えしてきました。
飲み込みの力の要点を以下にまとめます。

  • 飲み込みの力が弱まる原因には器質的・機能的・心理的・医原性の原因がある
  • 飲み込みの力が弱まると嚥下障害→誤嚥性肺炎→低栄養→サルコペニア→フレイルと悪循環に陥る
  • 飲み込みの力が弱まるのを予防するには食事中の姿勢や環境、口腔内衛生環境の保持、全身の身体機能維持の運動が必要

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
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  • 栄養提供
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  • 障がい者雇用

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