ヒートショックは冬場の高齢者に起こりやすい事故です。
しかし、ヒートショックは年齢や季節にかかわらず、いつでも起こりえます。
不慮の事故を避けるためにも、若者もヒートショックに気をつけることが大切です。
本記事では、ヒートショックと若者について、以下の点を中心にご紹介します。
- ヒートショックが若者に起こる理由
- ヒートショックを起こしやすい方の特徴
- ヒートショックを予防するには
ヒートショックと若者について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ヒートショックとは
ヒートショックは、急激な気温差によって血圧が変動し、危険な症状が出る状態です。
具体的な症状は次の通りです。
- 失神
- 不整脈
- 心筋梗塞
- 脳卒中
特にヒートショックが起こりやすいのは冬場のお風呂場です。
起こる理由として温かい部屋から寒い脱衣所、そして再び温かい浴室へと移動することで、急激な温度差にさらされるためです。
お風呂場でのヒートショックは発見が遅れやすい傾向があります。
そのため心筋梗塞で死亡したり、湯船で失神して溺死したりするケースは少なくありません。
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ヒートショックは若者でも起こりうる
世間一般的にヒートショックは高齢者に起こるというイメージがあります。
しかし実は、ヒートショックは子供や若者とも無関係ではありません。
若者とヒートショックの関係についてご紹介します。
若者でもヒートショックが起きる理由
若者のヒートショックの原因は、高齢者と同じく急激な気温差です。
ヒートショックが起こりやすい状況・理由は次の通りです。
- 暖かい場所にいる:身体は体温を下げようとして血管を拡張させる
- 寒い場所に移動する:身体は体温を維持しようとして血管を急激に収縮させる
- 再び暖かい場所に移動する:身体は血管を拡張させて体温を下げる
急激な気温差を行き来することで、体温調節のために血管は忙しなく収縮・拡張を繰り返します。
すると大きな負担がかかるため、血管が破れたり、詰まったりしやすくなります。
結果として、心筋梗塞や脳卒中に至るというわけです。
若年者は高齢者に比べると血管・心臓が丈夫なイメージがあります。
たしかに若者は、高齢者に比べれば心筋梗塞や脳梗塞のリスクは低いです。
しかし、リスクはゼロではありません。
たとえ若者でも、心臓・血管に耐えきれないほどの負荷がかかれば、当然ながらヒートショックは起こりえます。
お風呂場での溺死が多いのも若者のヒートショックの特徴です。
ヒートショックでは、急激な血圧の変動によって失神するケースが少なくないためです。
浴槽内で失神した結果、誰にも気づかれずに溺死してしまうというわけです。
実際に2019年の調査では、15歳~44歳の「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水」は全体の1割を占めています。
すべてがヒートショックとは限りませんが、若者にも浴室内での死亡は起こりえることが分かります。
不慮の事故を避けるためにも、若者もヒートショックに十分気をつけることが大切です。
出典:【人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡上巻 5-31 不慮の事故による死因(三桁基本分類)別にみた年齢(5歳階級)別死亡数・百分率 | 統計表・グラフ表示】
ヒートショックを起こしやすい場所
若者のヒートショックが起こりやすいのは、高齢者と同じく冬場のお風呂場です。
暖かい部屋・寒い脱衣所・暖かい浴室(浴槽)と急激な気温差を経験することで、ヒートショックが起こります。
ヒートショックは夏場でも起きる
ヒートショックは冬に起こる現象というイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。
しかし実は、ヒートショックは夏でも起こり得ます。
夏場のヒートショックが起こりやすい場面としては、次のようなものがあります。
- 冷房の効いた部屋から暑い場所に移動する
- 体温が高い状態で冷たい風呂・シャワーに入る
特に普段から冷房を低めの温度に設定している方は、くれぐれもヒートショックに注意してください。
ヒートショックは、真夏だけでなく、夏の終わり~秋にかけても起こりやすくなります。
秋口は朝夕の気温差が大きくなるため、体温調節機能が狂いやすくなるためです。
体温調節がうまく行われなくなると、ささいな気温差でも血管に大きな負担がかかりやすくなります。
「ヒートショックは冬のもの」と決めつけず、どのような季節でも注意することが大切です。
ヒートショックを起こしやすい人の特徴
ヒートショックを起こしやすい方の特徴をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
65才以上の高齢者
65歳以上の高齢者はヒートショックのリスクが高くなります。
特にリスクが高くなるのは、75歳以上の後期高齢者です。
高齢者のヒートショックの原因として、加齢や生活習慣病などによる動脈硬化が指摘されています。
動脈硬化とは、血管が硬く脆くなる状態です。
動脈硬化が起こった血管が気温差によって激しく収縮・拡張を繰り返すと、血流に耐えきれずに破れることがあります。
あるいは、動脈硬化によってできた血栓が血管を詰まらせるケースも少なくありません。
脳の血管が破れたり、詰まったりすると、脳卒中に至ります。
また、心臓の血管が詰まるなどすると、心筋梗塞などの心疾患を引き起こします。
歳を重ねるにつれ、血管は多かれ少なかれ脆くなっていきます。
そのため、高齢者の方は特に気温差に気をつけることが大切です。
出典:【消費者庁】
生活習慣病を患っている人
生活習慣病を患っている方は、年齢にかかわらずヒートショックのリスクが高めです。
原因として、生活習慣病による動脈硬化が挙げられます。
生活習慣病がヒートショックを起こす原因は、主に2つあります。
1つめは動脈硬化です。
たとえば糖尿病・脂質異常症・高血圧などは、動脈硬化を誘発する病気です。
血管が硬く脆くなるため、気温差による血圧の変動に耐えきれずに、深刻な症状があらわれやすくなります。
2つめは自律神経の乱れです。
自律神経が乱れた状態は自律神経失調症と呼ばれています。
自律神経は心拍・血圧・体温などをコントロールする神経系です。
自律神経が乱れると、体温や血圧の調整がうまく行われにくくなります。
結果として、急激な気温差に身体が追いつかずにヒートショックを起こすことがあります。
自律神経の乱れは、生活習慣病ではなくストレス・疲労などで起こることもあります。
子供・若者
ヒートショックは子供・若者にもリスクが高い現象です。
原因の1つとして油断が挙げられます。
世間では、「ヒートショックは高齢者のもの」というイメージが強くあります。
裏を返せば、ヒートショックは子供・若者には起こらないという油断が無意識にあるのです。
子供・若者は油断から、気温差や体調への注意がおろそかになりがちです。
特に心臓病や生活習慣病を抱えている方は、年齢にかかわらず、ヒートショックに注意しましょう。
ヒートショックを防ぐには
ヒートショックを防ぐには、まず急激な気温差を防ぐことが大切です。
具体的には、次のようなポイントに注意してください。
- 冷房・暖房の効かせすぎに注意する
- 脱衣所・洗面所・トイレなどに冷暖房器具を設置して気温差を小さくする
- 衣類の着脱は暖かい場所で行う
- お風呂はややぬるめの温度に設定する
- 熱い風呂が好きな場合は徐々に湯温を上げていく
ヒートショックを防ぐには、血管や心臓に大きな負担をかけないことも大切です。
具体的なポイントは次の通りです。
- 入浴は食後1時間以上経ってから行う
- 飲酒後は入浴しない
- 入浴前後にコップ1杯の水を飲む
- 湯船に浸かる前は、心臓に遠い部位からかけ湯を行う
- お風呂を上がるときはゆっくりを心がける
- 長湯を避ける
ヒートショック予報で起きやすい日を予め知る
ヒートショックの予防には、日本気象協会発表の「ヒートショック予報」が役立ちます。
ヒートショック予報とは、気象予測情報に基づいて、家の中でのヒートショックのリスクを知らせるものです。
ヒートショック予報の発表があるのは例年10月~3月です。
10月~3月は、気温の低下によって、特にヒートショックが起こりやすい時期です。
ヒートショックによる不慮の事故・死亡を避けるためにも、ぜひヒートショック予報をご活用ください。
ヒートショックは夏場でも起こり得ます。
ヒートショックを予防するには、年齢・季節にかかわらず、つねに注意を怠らないことが大切です。
出典:【ヒートショック予報 – 日本気象協会 tenki.jp】
ヒートショックと若者のまとめ
ここまでヒートショックと若者についてお伝えしてきました。
ヒートショックと若者の要点を以下にまとめます。
- ヒートショックが若者に起こる理由は、急激な気温差による血圧の変動
- ヒートショックを起こしやすい方の特徴は、65歳以上の高齢者・生活習慣病がある方・気温差や体調に無頓着な方
- ヒートショックを予防するには、気温差を小さくすることや、身体に負担をかけない生活習慣を心がけることが大切
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。