カボチャはさまざまな料理やデザートに使われ、食卓を彩る野菜として用いることが多い食材です。
また緑黄色野菜としての認知度が高く、一年中スーパーなどで手軽に買えるのも魅力です。
カボチャは多くの栄養を含み、得られる効能や効果が多いことはご存知でしょうか?
本記事では「カボチャの栄養」について以下の点を中心にご紹介します。
- カボチャに含まれる栄養素は?
- カボチャの皮や種に栄養はあるの?
- カボチャで得られる効能とは
カボチャの栄養について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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カボチャに含まれる栄養
カボチャにはさまざまな種類があり、大きく分けて3つあります。
- 日本カボチャ(カンボジアから伝わり、あっさりとした淡白なカボチャ)
- 西洋カボチャ(スーパーで見かける主流のカボチャで甘味が強い)
- ペポカボチャ(細長い形やそうめんカボチャも仲間で、観賞用もある)
日本カボチャには「会津カボチャ」や「菊座カボチャ」などがあります。
煮崩れしにくく、味が淡白なことから汁物や煮物といった日本料理に向いています。
昭和40年代頃から、西洋カボチャの生産が主流となりました。
現在スーパーなどで店頭に並んでいるほとんどが「西洋カボチャ」です。
「えびすカボチャ」や「栗カボチャ」などの品種も西洋カボチャのひとつです。
ペポカボチャは、観賞用として人気があります。
小ぶりなものや細長い形、果皮の色がオレンジ、黄色、緑などさまざまです。
ハロウィンで使われるカボチャをはじめ、ズッキーニもペポカボチャの仲間です。
カボチャに含まれる栄養について「西洋カボチャ」と「日本カボチャ」でまとめていきます。
炭水化物
糖質と食物繊維を合わせたものを「炭水化物」といいます。
カボチャには多くの炭水化物が含まれています。
糖質は体や脳を動かす大切なエネルギーで、健康的に動くためには欠かすことができません。
また食物繊維は整腸効果のほかに、血糖値上昇を抑制させる働きがあります。
【炭水化物 含有量】生のカボチャ100g当たり
- 西洋カボチャ→20.6g
- 日本カボチャ→10.9g
β-カロテン
β-カロテンとは、カロテノイドの一種です。
体内で抗酸化作用がある「ビタミンA」に変換され、老化予防やがん予防を期待できます。
反対にビタミンAが不足すると、皮膚が乾燥しやすくなります。
乾燥する寒い季節には積極的に摂取したい栄養素です。
【β-カロテン 含有量】生のカボチャ100g当たり
- 西洋カボチャ→3900㎍
- 日本カボチャ→700㎍
西洋カボチャには、この「β-カロテン」がとくに豊富に含まれています。
日本カボチャよりも5倍以上のβ-カロテンを含んでいることがわかります。
カリウム
カリウムは体内のナトリウムと共に細胞の浸透圧を維持しバランスを取っています。
カリウムには利尿作用があり、ナトリウムが増えすぎた時は排泄を促します。
つまり、カリウムは余分な塩分を排出することで血圧の上昇を抑制します。
血圧の上昇が抑制されると、むくみの解消が期待できます。
【カリウム 含有量】生のカボチャ100g当たり
- 西洋カボチャ→450mg
- 日本カボチャ→400mg
ビタミンC
ビタミンCは白血球の機能を高め、風邪や病気の細菌から守る働きがあります。
抗酸化作用もあるため、動脈硬化やがん予防、老化予防にも注目されています。
また体内で必要なコラーゲンの生成にはビタミンCが欠かせません。
ビタミンCが不足することで血管がもろくなったり、貧血を起こしたりします。
【ビタミンC 含有量】生のカボチャ100g当たり
- 西洋カボチャ→43mg
- 日本カボチャ→16mg
ビタミンE
ビタミンEは、ホルモンバランスを整え、更年期の症状を和らげる効果があります。
さらに抗酸化力が強く、酸化による老化を防ぐなど生活習慣病の予防にも効果があるといわれています。
【ビタミンE(αトコフェロール)含有量】生のカボチャ100g当たり
- 西洋カボチャ→4.9mg
- 日本カボチャ→1.8mg
ビタミンEの含有量は、カボチャ100gあたり4.9mgで、ほかの野菜の平均含有量の約3.7倍です。
さまざまな野菜の中でビタミンEの含有量は、カボチャがトップクラスといえます。
出典:文部科学省【日本食品標準成分表2020年版(八訂)全体版】
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カボチャは種と皮も栄養が豊富
廃棄してしまいがちなカボチャの種や皮には、豊富な栄養素が含まれています。
種に含まれる栄養
カボチャの種はビタミン類、ミネラル、脂肪酸やタンパク質などの栄養を多く含んでいます。
血流を促し美肌効果のあるビタミンEや抗酸化作用のある一部のミネラルなどは、老化防止に欠かせない栄養素です。
脂肪酸はオレイン酸やリノール酸などを含み、血液をさらさらにする効果があります。
また悪玉コレステロール値を下げるなど、動脈硬化や心疾患の予防も期待できます。
さらにカボチャの種にはタンパク質がたっぷり含まれており代謝を活発にする働きがあります。
タンパク質といえば肉・魚・大豆製品のイメージがあります。
しかし、カボチャの種100gには26.5gのタンパク質を含みます。
このため、かぼちゃにはエネルギーを産生する重要な栄養素を含んでいるといえます。
多くの栄養素と良質な脂質を摂取できることから、カボチャの種は注目されている食材のひとつです。
しかし実際に食べるとなると、種を洗って乾かし、煎ってから皮をむくといった少々手間のかかる作業が必要です。
そこで食べやすく加工されているのが市販のナッツやグラノーラです。
カボチャの種が細かく加工されており、手軽に栄養を摂取することができます。
皮に含まれる栄養
カボチャ料理を作るときに、つい種と一緒に皮も廃棄してしまいがちです。
しかし、皮も栄養がたくさん含まれています。
具体的にいうと、カボチャの皮にもβ-カロテンやビタミン類などを豊富に含んでいます。
とくにβ-カロテンは、実より皮の方が2倍以上の栄養素を含んでいるといわれています。
しかし、カボチャの皮の「変色」や「汚れ」が気になることもあります。
また、「農薬の残留などあるのでは?」とためらってしまう方もいます。
カボチャの変色はカボチャの形状により、日光が当たらなかったために緑化しなかったことで起こります。
皮のぶつぶつした部分も、表面についた傷を修復した痕なので、傷んでいるわけではありません。
また一般的にスーパーなどに並んでいる国内産の大半のカボチャは洗浄されています。
したがって、家で調理するときは「たわしで軽く水洗い」程度で問題ありません。
もし海外産の場合は、遠方地から輸送されてくる間に傷みや虫食い防止で農薬を使う場合があります。
流水でたわしなどを使い丁寧に洗い、心配な場合は、皮ごと茹でて煮沸消毒してから調理するのが良いでしょう。
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カボチャで得られる効果・効能
カボチャはたくさんの栄養が豊富に含まれている、ということを前述してきました。
では実際にカボチャを食べることで得られる効果や効能は、具体的にどのようなものなのでしょうか。
免疫力のアップ
カボチャに多く含まれるβ-カロテンは体内で「ビタミンA」として働きます。
ビタミンAは、皮膚や粘膜を強化しバリアする働きをします。
そのため外部からの細菌やウィルスの侵入を防ぎ、風邪予防にも効果が期待できます。
ほかにビタミンAには、歯や骨、爪の健康を保ち、体の機能を維持する重要な役割もあります。
抗酸化作用
カボチャに含まれるβ-カロテンやビタミンEは強い抗酸化作用があります。
「抗酸化作用」には、体のサビや老化の原因となる「活性酸素」を取り除く働きがあります。
活性酸素が増えすぎると、細胞が傷ついたり過酸化脂質が生じ老化の原因につながります。
ほかにもがんや動脈硬化などの病気を引き起こす原因になることがあります。
カボチャに含まれる強い抗酸化作用によって細胞を修復したり活性酸素を抑制することが期待できます。
美肌効果
カボチャに多く含まれるビタミン類の中でも「ビタミンC」と「ビタミンE」は美肌に効果があるといわれています。
体内で作られるコラーゲンの結合を強めてくれるのがビタミンCです。
強化されたコラーゲンは、肌のハリや弾力を維持し皮膚を健康的に保ちます。
ビタミンEは「若返りのビタミン」ともいわれ、いま注目されている栄養素です。
新陳代謝を促して、老化の原因となるシミやそばかすの生成を抑えアンチエイジングにも期待されています。
さらにビタミンEには、血液を全身へとスムーズに運ぶ作用もあります。
血管を広げたり、赤血球を変形させて体のすみずみまで血液を届けます。
血流が改善されることにより、血行が良くなり肌のくすみの予防も期待できます。
むくみの改善
カボチャに含まれるカリウムがむくみの改善に役立ちます。
体内の余分な塩分と水分を排出する働きがあり、水分代謝を活発にします。
とくに、種の部分にカリウムが多く含まれているといわれています。
便秘の改善
カボチャには多くの食物繊維が含まれています。
この食物繊維が腸内の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便を出しやすくします。
食物繊維は食べ過ぎても、逆に便秘が悪化する場合があります。
しかし、カボチャに含まれる食物繊維は「水溶性」と「不溶性」のバランスが良く、腸内環境を整えます。
便秘の改善には、カボチャの食物繊維を積極的に摂取するのがおすすめです。
カボチャを使ったレシピ
カボチャは水に溶けにくく油と相性が良いので、さまざまな料理に使うことができます。
カボチャに含まれる「β-カロテン」や「ビタミンE」は油と一緒に摂取することで吸収率が上がるといわれています。
煮物のほかに「揚げ物」や「ソテー」など調理法を工夫して、効率的に栄養を取り入れましょう。
また、スープや汁物にカボチャを使うことで栄養を丸ごと摂取することができます。
ここでは、簡単にカボチャの美味しさを味わえるレシピを2つご紹介します。
【時短♪】簡単・カボチャの照り焼き
レンジを活用して時短で簡単に♪甘辛味がクセになります。
【材料】3~4人分
- カボチャ 1/4個
- 片栗粉 大さじ1
- 砂糖 大さじ1.5
- しょう油 大さじ1.5
- みりん 大さじ1
- 酢 小さじ½
- 油 大さじ1
- 水(レンジ用)小さじ1
- いりごま 適宜
- ①カボチャは0.5cmほどの厚さにカットし、水をふりかけレンジで加熱します。(600wで3分程度)
- ②熱したカボチャを取り出して片栗粉を全体的にまぶし、なじませます。
- ③調味料4つを混ぜておきます。
- ④フライパンに油をひき、カボチャを入れて焦げ目がつくまで両面焼きます。
- ⑤程よく焦げ目がついてきたら、合わせておいた調味料を上からかけて、からめます。
- ⑥火を止めて、カボチャをお皿に盛り付けます。
- ⑦いりごまをトッピングして、完成!
レンジであらかじめカボチャを加熱しているので、すぐに火が通る時短メニューです。
時間のない時や、あと一品欲しいときなど手軽に作れて便利です♪
【おやつに♪】簡単・定番かぼちゃ団子
カボチャの皮も入れて、栄養たっぷりのおやつです♪
【材料】
- カボチャ 1/4個
- 片栗粉 大さじ5
- 塩 少々
- 砂糖 大さじ1
- しょう油 大さじ1
- みりん 大さじ1
- バター 適宜
- 水(レンジ用)小さじ1
- ①カボチャは一口大にカットし、皮はある程度残しておきます。
- ②水をふりかけてレンジで加熱します。(600wで4分程度)
- ③調味料3つを混ぜ合わせておきます。
- ④カボチャが柔らかくなったら、ボールに移してマッシャーなどで実と皮をつぶしていきます。
- ⑤片栗粉と塩を入れて混ぜ合わせ、「耳たぶ」くらいの硬さになるまでこねて、丸く形を整えます。
- ⑥フライパンにバターを入れて熱し、5を入れてほんのり焦げ目がつくまで両面焼きます。
- ⑦焼き目がついたら、合わせておいた調味料を入れてからめます。
- ⑧お皿に盛り付けて、完成!
カボチャは茹でずにレンジで加熱するので、お子様のおやつにも気軽に作れます♪
カボチャの水分量によって片栗粉の量は多少変わりますので、調節してください。
旬のカボチャは栄養価が高い
カボチャは一年中、スーパーなどで見かけますが「旬」はいつなのでしょうか?
実はカボチャの旬の時期は「5月〜7月」の夏の時期といわれています。
一年中手に入る食材ですが、「旬の時期」と「旬ではない時期」を比べると栄養価にも大きな差がみられます。
できるだけ旬の野菜を食べる方が、栄養を効率良く摂取できるということになります。
しかし「冬至にカボチャを食べる」食習慣が日本にはあります。
そのため「カボチャは冬が旬なのでは?」と思いますが、これには理由があります。
夏に収穫したカボチャは水分も多く、あっさりとした甘さをもっています。
収穫してすぐに食べるよりも、冬近くまでじっくりと熟成させ甘味を凝縮させたものが冬場に出回るためです。
追熟させたカボチャは栄養価も高くなり、免疫力を上げるために「冬至」にカボチャを食べるという風習ができたといえます。
カボチャの栄養まとめ
ここまでカボチャの栄養についてお伝えしてきました。
カボチャの栄養について要点をまとめると以下の通りです。
- カボチャの栄養素はβ-カロテンやビタミン類が豊富に含まれている
- カボチャの皮や種にも多くの栄養があり、β-カロテンの栄養は実より皮の方が2倍
- カボチャで得られる効能は免疫力アップや美肌効果、便秘改善など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。