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健達ねっと>健康お役立ち記事>食中毒>食中毒の種類と潜伏期間|主な症状と予防のポイントを紹介

食中毒の種類と潜伏期間|主な症状と予防のポイントを紹介

食中毒といえば暑い夏の時期を思い浮かべる方がほとんどだと思います。
しかし食中毒は夏ばかりでなく、寒い冬の時期も発症し食中毒の種類もさまざまです。
一年中食中毒の対策が必要となった昨今ですが、食中毒の種類ごとの原因や対策はご存知ですか?

本記事では食中毒とその種類について以下の点を中心にご紹介します。

  • 食中毒の種類は?
  • 食中毒の潜伏期間はどれくらい?
  • 食中毒の症状は?
  • 食中毒の予防法とは

食中毒の種類について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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食中毒とは

食中毒とは、食品に付着している細菌やウィルスから感染する中毒症状のことです。

これらを摂取することにより、下痢や腹痛、吐き気など、急性の胃腸炎や神経障害などを引き起こします。

食中毒は、有害な微生物や化学物質、自然毒や寄生虫などさまざまな要因で健康被害を起こします。

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食中毒の種類

食中毒には細菌性やウィルス性、自然毒、化学物質性、寄生虫とさまざまな種類の要因があります。
そのなかでも「細菌性」と「ウィルス性」が大半を占めています。

細菌による食中毒

細菌は、温度や湿度など一定の環境と条件がそろえば、自分で増殖することができます
食品や飲料水などで食中毒を起こす大きな原因となるのは「細菌」です。
細菌性の食中毒には多くの種類があります。

サルモネラ菌

加熱が不十分な「肉」や「魚」「たまご」が原因になることが多い細菌です。
サルモネラ菌は、ヒトや家畜の腸内、河川や下水など広い範囲に生息しています。

乾燥に強い菌で、いぬやネコなどのペットや、ハエやゴキブリなどから感染することもあります。
また川に生息するウナギやすっぽんなどの淡水養殖魚介も保菌している可能性が高いです。

サルモネラ菌は熱に弱い特徴があるため、十分な食材の加熱やキッチン周りの殺菌も大切です。

【原因となる食品】
牛肉のたたき、レバ刺し、半熟たまご料理、生卵など

黄色ブドウ球菌

ヒトの皮膚・鼻や口の中、髪の毛に付いている菌で広い自然界に生息しています。
中でも傷口やニキビなどには大概、黄色ブドウ球菌が付いています。
調理する人の手にそれらの菌が付着している場合、食べ物を通して食中毒を起こしてしまいます。

黄色ブドウ球菌は分裂するときに毒素を発生させます。
この毒素は、熱に強いため加熱しても食中毒を防ぐことは難しいといわれています。
人の手を介して体内に細菌が侵入してくることから、手指の洗浄や消毒をすることが大切です。

【原因となる食品】
巻き寿司、お弁当、おにぎり、サンドイッチ、和菓子など

腸炎ビブリオ菌

夏場の魚や貝など、生の魚介類が原因になります。
この菌は塩分を好み、海水や海泥の中に多く生息する細菌です。
日本では海水温度が20℃以上になる夏の時期に増殖し、魚介類に付着します。

一方で、冬の寒い時期に腸炎ビブリオ菌が検出されることはほとんどありません。
しかし冷凍の魚貝類から検出されることがあり、温度管理など注意が必要です。
水や熱に弱いため、魚貝類は真水で洗浄したり加熱調理をすることが予防につながります。

【原因となる食品】
刺身、寿司など

カンピロバクター属菌

近年の「細菌性の食中毒」で発生件数が多いのがこのカンピロバクターです。
牛や豚、鶏の腸内に保有している細菌で、調理する過程で食肉に付着すると考えられています。
特に鶏肉には高い確率でカンピロバクターが付着しているという調査結果も報告されています。
したがって飲食店などで提供される鶏肉を生の状態で食べる料理は、食中毒になりやすいリスクが高くなります。

菌が増殖する温度は30℃〜46℃といわれ、熱に弱いため75℃以上に1分以上加熱することが大切です。

【原因となる食品】
加熱が不十分な鶏肉、牛レバーなど

セレウス菌

土壌や河川、ほこりなど自然界に広く分布している土壌細菌のひとつです。
セレウス菌は大量の食品の作り置きなどで、長時間の常温保存によって発生します。
「嘔吐型」と「下痢型」2つの種類があり、日本では「嘔吐型」が多く発症しています。

セレウス菌は熱に強く、通常の加熱調理でも細菌が死滅しません。
耐熱性の芽胞を形成し、100℃の熱で30分加熱しても死滅しないといわれています。

【おもに原因となる食品】
焼飯、焼きそば、パスタ、お弁当など

ボツリヌス菌

海や湖、川などの土壌などに広く分布している細菌です。
低酸素状態で増殖し、発芽することで毒素が産生されます。
また熱に強く、120℃以上の加熱を4分以上しなければボツリヌス菌は死滅しません。
現在自然界で確認されている毒素のなかでも「最強の毒力」をもつといわれています。

ボツリヌス菌は低酸素を好むことから、真空状態の缶詰やびん詰めの食品が原因で食中毒が多く発生しています。
自家製の保存食品(魚の発酵食品など)やびん詰め食品などの、加熱不足や洗浄不足によりボツリヌス菌が増殖してしまうのです。

【原因となる食品】
保存食品(いずしなどの魚の発酵食品)、自家製のびん詰めや缶詰など

ウエルシュ菌

ヒトや動物の腸内、水中や土壌などに分布しています。
牛や豚、鶏などの家畜が保菌する確率が高いですが、魚からも菌が検出されています。

ボツリヌス菌と同様に、低酸素の環境で菌が増殖して耐熱性の芽胞を作ります。
たとえば大鍋や寸胴鍋は、なべ底が低酸素状態になりウエルシュ菌が好む環境になります。

そのため高温調理をしても、ウエルシュ菌は死滅せずに生き残ります。
したがって調理後に鍋のままで室温に置かれ、低温の状態になるとウエルシュ菌が急速に発芽と増殖をはじめます。

ウエルシュ菌は、一度に大量に調理する現場(学校や飲食店、施設など)での発生率が多くみられます。
加熱した後の「温度管理」の徹底が必要となります。

【原因となる食品】
カレー、スープ、煮込み料理など

リステリア・モノサイトゲネス

ヒトや家畜、野生動物など多くの動物が保菌する「人畜共通感染症」のひとつです。
河川や下水、土壌など自然界に広く分布しており、耐塩性で低温を好む特徴があります。

また高い致死率でも知られており、多くの食品が汚染されている可能性があります。
たとえば、調理した食品加工肉、肉、やさい、魚貝類、殺菌が不適切な乳製品などが挙げられます。

原因は原材料や空気をはじめ、とくに食品加工をする現場から混入して食品が汚染されるケースが多いです。

高齢者や乳幼児などがリステリア菌に感染すると、髄膜炎や敗血症などの重篤な疾患を引き起こす場合があります。
また妊婦も早産・流産などを起こしてしまう危険性があります。

【原因となる食品】
食肉加工品、乳製品、魚介加工品など

エルシニア・エンテロコリチカ

豚の腸内やイノシシやねずみなどの野生動物、いぬやネコなどのペットの糞から検出されています。
さらに河川水からも検出されており、水中でも菌は生き残ります

感染の原因は保菌している動物の排泄物を介して、食品や水を摂取することにより発症します。
またリステリア・モノサイトゲネスと同様に、低温を好み0℃〜4℃の環境でも繁殖します。
そのため冷蔵庫内に保存していた食品でも、食中毒を引き起こす可能性があるのです。

【原因となる食品】
豚肉、飲料水など

赤痢菌

経口感染(間接的に口に侵入すること)によって起こる急性腸炎です。

赤痢菌を発症している人の手指、排泄物、食品や水、さらにハエなどを介して感染します。
感染している手指で調理したものを食べたり、汚染されているプールで水泳をしても感染します。
感染力がたいへん強く、ドアノブや食器などわずかな細菌でも感染することがあります。

日本国内の発症は1760年代後半から減少の傾向にあります。
しかし海外の温暖な地域や衛生環境が良くない地域での感染リスクが高く、世界的に蔓延しています。
発展途上国に滞在し、日本に帰国してから発症することもあるため注意が必要です。

【原因】
感染者の手指、排泄物、水や食品からの感染

腸管出血性大腸菌

おもに牛などの家畜やヒトの排便などから検出される細菌です。
大半の大腸菌は無害ですが、腸管出血性大腸菌は下痢などの症状が伴う「病原大腸菌」です。

毒性の強い「ベロ毒素」を出し、出血を起こす腸炎や合併症がみられます。
合併症とは溶血性尿毒症症候群(HUS)をさし、肝機能や神経障害などの後遺症が残る場合があります。

腸管出血性大腸菌にはいくつかの種類があり「O157」や「O26」「O111」などが知られています。
日本では、井戸水や牛肉、牛レバ刺し、ハンバーグ、サラダ、白菜漬けなどからも検出されています。

【原因となる食品】
牛肉料理、鹿肉、発芽野菜(カイワレ大根)など

ウイルスによる食中毒

ウィルスは細菌とは異なり、基本的にタンパク質と核酸でできた粒子です。
栄養や水があっても単独で増殖することができず、ほかの細胞に寄生して増殖します。

ノロウイルス

ノロウイルスは食品中で菌が増殖することはなく、人の小腸粘膜で増殖します。
感染力が強く少量のウィルスでも感染し、11月から3月にかけて流行る胃腸炎です。

加熱が不十分なカキ貝や二枚貝などから感染するといわれます。
また感染者の吐物や便の中にもウイルスが含まれているため、手などに付着しヒトからヒトへの感染が広がります。

【原因となる食品】
加熱が不十分なカキ貝、生の二枚貝(アサリ・ほたて)など

E型肝炎ウイルス

E型肝炎は「急性ウイルス性肝炎」のことで、E型肝炎ウイルスが原因です。
食品中では増殖しませんが「肝臓」で繁殖するのが特徴です。

おもな感染経路は「水」ですが、日本国内では豚やイノシシからも検体が検出されています。
豚レバーや、豚、イノシシ肉は生で食べることは避けて、肉の中心部まで火が入るように加熱することが大切です。

【原因となる食品】
豚レバー、生の豚肉やイノシシ肉など

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食中毒別の潜伏期間

各食中毒の潜伏期間はどれくらいなのでしょうか。
種類ごとにそれぞれ説明していきます。

細菌による食中毒

サルモネラ菌

潜伏期間は原因菌を摂取してから6〜72時間ほどです。
腹痛や下痢、嘔吐の症状のほかに38°C〜40℃の高熱がみられます。

黄色ブドウ球菌

汚染された食品を食べてから、1〜5時間ほどで発症します。
突然吐き気を感じ、腹痛や下痢の症状がみられます。

腸炎ビブリオ菌

潜伏期間は通常8〜24時間ですが、早い発症だと2〜3時間で症状があらわれます。
腹痛や下痢などのほかに、発熱や嘔吐の症状がみられます。

カンピロバクター属菌

原因となる細菌を摂取してから11日〜7日(通常2日〜3日ほど)潜伏するといわれています。
下痢や発熱、嘔吐など他の細菌性食中毒の症状と酷似しています。

しかし、カンピロバクターに感染後、数週間たってからギランバレー症候群を発症することがあります。
手足や顔の麻痺、呼吸困難などがみられ治療や経過観察が必要になります。

セレウス菌

セレウス菌の潜伏期間は「嘔吐型」と「下痢型」で異なります

  • 嘔吐型→30分~5時間
  • 下痢型→6時間~15時間

ボツリヌス菌

毒素をもつ芽胞を摂取してから5時間〜3日間(通常12〜24時間)とされています。
吐き気などの症状以外にも、言語障害や視力障害などの「神経症状」を引き起こすのも特徴です。

ウエルシュ菌

潜伏期間は6〜18時間で、通常は10時間程度です。
下腹部が張り腹痛や下痢の症状が出ますが、比較的軽い症状といわれています。

リステリア・モノサイトゲネス

潜伏期間は24時間〜3ヵ月と長いのが特徴です。
健康な成人の場合は無症状であることが多いですが、高齢者や乳幼児、妊婦、基礎疾患を持つ方は注意が必要です。

髄膜炎などの中枢神経への感染や敗血症など重症化する場合があります。

エルシニア・エンテロコリチカ

潜伏期間は12時間〜6日間といわれ、発熱や腹痛、下痢などの症状があります。

成人はエルシニア食中毒にかかることは稀(まれ)ですが、2〜3歳の幼児の発症が多いとされています。

赤痢菌

発症までの潜伏期間は1〜3日ほどです。
症状は、全身のだるさや発熱、さらに血便などの症状が4〜7日ほど続きます。

腸管出血性大腸菌

原因となる中毒菌を摂取してから、3〜4日後に症状が出始めます
腹部のけいれん、出血を伴う下痢、嘔吐や発熱がみられます。

ウイルスによる食中毒

冬に流行するのがウィルス性の食中毒です。
ウイルス性食中毒の潜伏期間についてもまとめていきます。

ノロウイルス

潜伏期間は1日〜3日といわれています。
下痢や嘔吐、腹痛、発熱の症状ですが、一般的に3日ほどで回復します。

E型肝炎ウイルス

潜伏期間は3〜8週間ですが、6週間ほどで症状が出る場合が多いようです。
吐き気、腹痛、発熱、食欲不振、黄疸、肝腫大などの症状がみられ、妊婦が罹患した場合は重症化する恐れがあります。

食中毒の主な症状

食中毒による「主な症状」は以下の通りです。

  • 下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 吐き気
  • 全身の倦怠感

飲食店で多いといわれる「カンピロバクター」の症状は、他の食中毒菌よりも潜伏期間が長いのも特徴です。
そのため「発熱や腹痛」など初期症状が風邪と間違えられることがあります。

食中毒の種類によって「呼吸困難」や「嚥下困難」などの症状がでることがあります。
場合によっては重症化し、死に至ることがあります。
食中毒の症状が出た場合は、早めの受診が必要です。

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食中毒を予防するポイント

普段の生活の中でできる「食中毒の予防」についてまとめていきます。

  • 肉や魚を購入するときはドリップ(汁)がもれないようにビニール袋に分けて入れる
  • 料理前の手指の洗浄
  • 調理器具の洗浄・殺菌をする
  • 先に野菜類をカットするなど調理の順番も大切(野菜→肉や魚をカット)
  • 細菌が付着した手指でサラダやフルーツを調理しないようにする
  • 食肉に触れるときはビニール手袋などをはめる
  • 冷凍食品を解凍するときは冷蔵庫の中か電子レンジ、流水などで行う(室温に放置して解凍するのは菌の増殖につながるため)
  • 食材の十分な加熱
  • 調理後は保温庫での保温か、8℃以下の低温保存をする
薬の使い方

食中毒が発生しやすい時期

食中毒が発生しやすい時期は「細菌性」と「ウイルス性」で異なります

細菌が発生しやすい時期

O157などの腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌、カンピロバクターなどは、夏から秋にかけて多くなります。
気温が上昇する室温(20℃前後)で細菌が活発になりはじめ、35℃〜40℃で急速に増殖します。

また湿度が上がる「梅雨時期」も細菌にとっては好条件となり食中毒が増加します。
細菌が好む気温と、夏場の体力や免疫力の低下などさまざまな要因が重なり発症が増える傾向にあります。

調理の加熱を十分に行うことや、調理後の食品は冷蔵庫に入れるなど温度管理を徹底しましょう。

ウイルスが発生しやすい時期

寒い11月〜3月の冬の時期に流行するのがウイルスです。
ウイルスは乾燥し低温の環境では長く生き続けます。

ノロウイルスは調理者が扱う食品や手指を介して感染するケースが多く、学校や施設など集団感染も多く報告されています。
また令和3年の食中毒患者全体の4割以上をノロウイルスが占めています。
感染者の吐物や唾液が飛沫し、二次感染で広がる場合も多くみられます。

食中毒の種類のまとめ

ここまで食中毒について種類ごとにお伝えしてきました。
食中毒の種類についての要点を以下にまとめます。

  • 食中毒の種類は大きく分けて細菌性とウイルス性がある
  • 食中毒の潜伏期間は原因菌によって異なるが30分~8週間までさまざまある
  • 食中毒の症状は主に腹痛、下痢、発熱、嘔吐がみられる
  • 食中毒の予防法とは、食品の十分な加熱、低温保存、手指の洗浄が大切

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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