にんじんの栄養素としてはβ-カロテンが有名です。
しかし実は、にんじんにはβ-カロテン以外にもさまざまな栄養素が含まれます。
にんじんの栄養素とはどのようなものでしょうか?
また、にんじんにはどのような効果を期待できるのでしょうか?
本記事ではにんじんの栄養について以下の点を中心にご紹介します。
- にんじんの主な栄養素
- にんじんの主な効果効能
- にんじんの葉や皮の栄養素
にんじんの栄養について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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にんじんに含まれる主な栄養
にんじんの主な栄養をご紹介します。
あわせて、それぞれの効果効能もご覧ください。
β-カロテン
β‐カロテンは、体内に入るとビタミンAに変換されるのが特徴です。
β‐カロテンの主な作用は次の通りです。
- 抗酸化作用
- 皮膚・粘膜を健やかに保つ
- 視覚機能を正常に保つ
- 免疫機能の向上
カリウム
カリウムはミネラルの1種です。
ミネラルの中でも生命維持に欠かせない栄養素の1つに該当します。
主な作用は次の通りです。
- 体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する
- 体内の浸透圧の調節
- 神経伝達のサポート
- 筋肉の収縮を正常に保つ
食物繊維
食物繊維は、消化されずに腸にそのまま届く成分です。
ビタミンなどのように体内に吸収こそされませんが、健康維持において重要な役割を果たします。
食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類に分けられます。
それぞれの効果の効能については、後ほど改めてご紹介します。
葉酸
葉酸はビタミンB群の1種です。
水に溶けやすい性質があります。
主な作用は次の通りです。
- 赤血球を作る
- 遺伝子の合成を助ける
- 細胞の成長・分裂を助ける
葉酸は正常な発育に欠かせない栄養素の1つです。
特に妊娠中の女性は、胎児の発育のために多めの摂取が推奨されています。
ビタミンC
ビタミンCは水溶性のビタミンの1種です。
主な作用は次の通りです。
- 抗酸化作用
- 免疫力アップ
- コラーゲンの合成の促進
- 鉄分の体内吸収を助ける
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にんじんに含まれる主な成分の含有量
にんじんの主な成分の含有量を以下の表にまとめました。
【可食部100gあたり】
にんじん(根、皮なし、生) | |
廃棄率(%) | 10 |
エネルギー(kcal) | 30 |
水分(g) | 89.7 |
たんぱく質(g) | 0.8 |
脂質(g) | 0.1 |
食物繊維総量(g) | 2.4 |
炭水化物(g) | 8.7 |
ナトリウム(mg) | 34 |
カリウム(mg) | 270 |
カルシウム(mg) | 26 |
リン(mg) | 25 |
β‐カロテン当量(µg) | 8300 |
ビタミンK(µg) | 18 |
葉酸(µg) | 23 |
ビタミンC(mg) | 6 |
出典:文部科学省【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
今回はβカロテン=ビタミンA含有量として表記しました。
ビタミンAの含有量は、次の6種から表されます。
- β‐カロテン当量
- レチノール
- α‐カロテン
- β‐カロテン
- β‐クリプトキサンチン
- レチノール活性当量
6種のうち、最もビタミンAとしての効果効能を発揮するのはβ‐カロテン当量であるためです。
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にんじんに含まれる食物繊維の種類
にんじん100gあたりには食物繊維が2.4g含まれます。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があります。
それぞれの特徴・作用などを紹介していきます。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けやすい性質をしています。
にんじん100gあたりの水溶性食物繊維の量は0.6gです。
水溶性食物繊維の主な作用は次の通りです。
- コレステロールを吸着して体外に排出する
- 便に水分を与えて柔らかくする
- 糖質・脂質の吸収を緩やかにする
- 善玉菌のエサになることで腸内環境を整える
- 腸内でふくらんで満腹感を与える
水溶性食物繊維は水分を多く含むため、ネバネバ・サラサラしています。
また、水分が多い水溶性食物繊維は腸内の移動スピードがゆっくりである点も特徴です。
粘性の水溶性食物繊維は腸内をゆっくり移動しながら、腸内の有害物質を絡め取ります。
有害物質とは、悪玉コレステロールなどが代表的です。
水溶性食物繊維は、腸内で乾燥して固くなった便に水分を与える作用もあります。
便が排出されやすくなるため、便秘の改善が期待できます。
便秘が改善されると腸内環境が整いやすくなります。
また、水溶性食物繊維自体にも、善玉菌のエサとなることでも腸内環境を整える効果があります。
水溶性食物繊維は、食後の血糖値の急激な上昇を抑える作用も見込めます。
理由は、水溶性食物繊維は、腸内での糖質・脂質の吸収を抑えるためです。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は水に溶けにくい性質を持っています。
にんじんの不溶性食物繊維の含有量は100gあたり1.8gです。
不溶性食物繊維の主な作用は次の通りです。
- 食べすぎを防ぐ
- 腸内でふくらんで便のかさを増やす
- 腸を刺激する
- 善玉菌のエサになることで腸内環境を整える
- 有害物質を吸着して体外に排出する
不溶性食物繊維は繊維質で、ぼそぼそ・ざらざらしているのが特徴です。
不溶性食物繊維の多い食品は、歯ごたえがあるため、自然に噛む回数が増えます。
すると満腹中枢が刺激されやすくなるため、食べすぎの防止につながります。
不溶性食物繊維は腸内の水分を抱え込んでふくらむ性質があります。
腸内でふくらんだ不溶性食物繊維は、乾燥して小さくなった便のかさを増やすことで排出を促進します。
さらに不溶性食物繊維には、腸を刺激して活動を活性化させる作用も見込めます。
腸の動きが活性化すると、便の排出がスムーズに行われやすくなります。
不溶性食物繊維は水溶性食物繊維と同様に、善玉菌を増やして腸内環境を整える効果もあります。
不溶性食物繊維には、体内の有害物質を吸着して体外に排出する作用も指摘されています。
有害物質の排出は、がんのリスクの低減につながるとも指摘されています。
にんじんの葉に含まれる栄養
市場に流通しているにんじんの多くは、葉を切り落とした状態で販売されています。
しかし実は、にんじんの葉には多くの栄養素が含まれます。
にんじんの葉の主な栄養素は次の通りです。
- カリウム
- カルシウム
- 鉄
- ビタミンE
- ビタミンC
- 葉酸
カルシウムは丈夫な骨を作るのに欠かせない栄養素です。
鉄分には貧血の予防・改善が見込めます。
ビタミンEには強い抗酸化作用や血行促進作用が知られています。
栄養素を効率的に摂取するなら、にんじんはできれば葉ごと食べるのがおすすめです。
葉付きのにんじんは、スーパーや八百屋などで見かけることもあります。
選ぶときは、鮮やかな緑色をしており、みずみずしいものを選ぶのがポイントです。
ちなみに葉付きのにんじんを保存するときは、葉と実を切り離すのがおすすめです。
切り離さずに保存すると、実のほうに水分を取られて葉がしおれやすくなるためです。
にんじんの葉は生食ができます。
ただし生で食べると、独特の風味があります。
加熱すると風味が柔らかくなるため、苦手な方は火を通してみてください。
にんじんの葉を使ったレシピをご紹介します。
にんじんの葉とツナ和えもの
【材料】
- にんじんの葉:200g
- ツナ油漬け:70g
- めんつゆ (2倍濃縮):大さじ3
- 白いりごま:大さじ1
- すりおろしニンニク:小さじ1/2
- 糸唐辛子:適量
【作り方】
- 1 ツナの油を切っておく
- 2 にんじんの葉を5cm幅に切る
- 3 2に軽くラップをかけて600Wの電子レンジで1分を目安に加熱(しんなりするまで)
- 4 1のツナとめんつゆ・白いりごま・すりおろしにんにくを加えて和える
- 5 盛り付けて糸唐辛子を飾る
にんじんの葉に含まれるβ‐カロテン・ビタミンEは油に溶けやすい性質があります。
そのためにんじんの葉をツナの油分と混ぜることで、より効率のよい栄養摂取が期待できます。
にんじんの皮に含まれる栄養
にんじんの皮には実と同じくたくさんの栄養素が含まれます。
主な栄養素は食物繊維・β-カロテンなどです。
栄養を効率的に摂取したいなら、にんじんは皮ごと食べるのもいい方法です。
あるいは、皮だけでなにか1品作ってもよいでしょう。
にんじんの皮を使ったレシピをご紹介します。
お好みでごぼうなどを加えてもおいしく作れます。
にんじんの皮のきんぴら
【材料】
- にんじんの皮:約3~4本分
- ごま油:大さじ1
- 醤油:小さじ2
- みりん:小さじ2
- 白いりごま:適量
【作り方】
- 1 きれいに洗ったにんじんの皮を細切りにする
- 2 フライパンにごま油を熱して1を炒める
- 3 全体に油が回ったら醤油とみりんを加える
- 4 汁気がなくなるまで炒める
- 5 器に盛り、白いりごまをかける
市場に流通しているにんじんは基本的に出荷前に洗浄されます。
そのため皮に土などの汚れがついていることはほとんどありませんが、調理前は念のためよく洗ってください。
調理法による栄養素の変化
にんじんは調理法によって栄養素が若干変化します。
調理法別のにんじんの栄養素の変化の例をまとめました。
【にんじん/可食部100gあたり】
根(皮なし、生) | 根(皮なし、ゆで) | 根(皮なし、油炒め) | ジュース/缶詰 | |
水溶性食物繊維(g) | 0.6 | 0.8 | 1.0 | 0.2 |
不溶性食繊維総(g) | 1.8 | 2.0 | 2.1 | 0 |
カリウム(mg) | 270 | 240 | 400 | 280 |
β‐カロテン当量(µg) | 8,300 | 8,700 | 12,000 | 4,500 |
出典:文部科学省【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
各栄養素の含有量は、生のにんじんよりもゆで・油炒めのほうが高くなっています。
特にβ-カロテンは脂溶性のため、油炒めにすると含有量が大幅に増えます。
対してジュース/缶詰に加工した場合は、カリウムを除く栄養素は減少しています。
にんじんの栄養素を効率的に摂取するには、加工品を摂るよりも、家庭でゆでる・炒めるなどして食べるのがおすすめです。
にんじんのおすすめレシピ
にんじんに含まれる栄養素は油と一緒に摂取することで、効率的な吸収を期待できます。
そこで今回は、油を使ったにんじんのおすすめレシピを2つご紹介します。
にんじんポタージュ
にんじんを皮ごと使うポタージュです。
攪拌した後に濾すことで、皮付きでもなめらかな口当たりになります。
【材料】
- にんじん:150g
- 玉ねぎ:1/8個
- サラダ油:大さじ1
- 水:400ml
- 牛乳:200ml
- 塩:少々
- パセリ:少々
【作り方】
- 1 きれいに洗ったにんじんを皮ごと5mmの半月切りにする
- 2 玉ねぎは薄切りにする
- 3 鍋にサラダ油と2を入れて炒める
- 4 3がしんなりしたらにんじん・水を加える
- 5 4に蓋をして15分加熱し、火を止めて冷やす
- 6 5の粗熱が取れたらミキサーにかける
- 7 6を網などで濾しながら鍋に戻し入れる
- 8 7に牛乳を加えて沸騰させないように温める
- 9 塩で味を調えて器に注ぎ、ドライパセリを振る
にんじんの塩麹ナムル
にんじんをごま油であえてナムルにします。
2~3日なら冷蔵庫で保存が利くため、作り置きにもおすすめです。
【材料】
- にんじん(千切り):1.5本
- 塩麹:大さじ1
- 白ごま:大さじ1/2
- ごま油:大さじ½
【作り方】
- 1 鍋に水大さじ1(分量外)を入れる
- 2 千切りにしたにんじんを加え、蓋をして3分蒸す
- 3 2をざるなどに上げて冷まし、水気を切る
- 4 3に白ごま・塩麹・ごま油を加えて混ぜる
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にんじんの新鮮さを見極める方法
にんじんに限らず野菜全般は、鮮度が落ちると、味わい・栄養価も低くなります。
にんじんの栄養素を効率的に摂取するには、できる限り鮮度の高い物を選ぶのがおすすめです。
ここからは、新鮮なにんじんを選ぶポイントを紹介していきます。
切り口の色
にんじんを選ぶときは、切り口が鮮やかな色の物を選びましょう。
切り口が茶色っぽく変色している場合は、収穫から一定の時間が経過している可能性があります。
あわせて、軸の大きさにも注目してください。
軸とは、葉を切り落としたあとの部位です。
にんじんは軸が小さいほうが、果肉が柔らかくておいしいとされています。
反対に軸が大きい物は、育ちすぎていることが多いため、果肉が硬くなっている可能性があります。
ひげの生え具合
にんじんはひげが少ない物を選ぶのがおすすめです。
にんじんのひげは根っこであるためです。
にんじんは、収穫後も成長しようとして根を伸ばします。
つまり、ひげが多い物ほど収穫から時間が経っている可能性が高いのです。
あるいは、収穫が遅れて土の中である程度成長している可能性があります。
ちなみに、ひげには毒などの有害物質はないため、食べても問題はありません。
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にんじんの色の違い
にんじんにはさまざまな色合いのものがあります。
にんじんの色の違いは、実は含まれている栄養素の違いです。
たとえば、市場に多く流通しているにんじんはオレンジ色です。
にんじんのオレンジ色はβ-カロテンに由来します。
にんじんの主な色と含まれる栄養素をまとめました。
色 | 色の由来となる栄養素 | 主な効果 |
オレンジ | β-カロテン | 抗酸化作用・視覚機能のサポート |
紫 | アントシアニン | 抗酸化作用・脂肪の蓄積を防ぐ・冷え症の改善 |
赤色 | リコピン | 抗酸化作用・美肌効果 |
黄色 | β-カロテン | 抗酸化作用・視覚機能のサポート |
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にんじんを長持ちさせる保存方法
にんじんの保存方法をご紹介します。
次のポイントを押さえると、にんじんが長持ちしやすくなります。
鮮度を保つと味の劣化を防げるだけでなく、栄養価も維持しやすくなります。
乾燥防止
にんじんの鮮度を保つには乾燥を防ぐことが大切です。
乾燥を防ぐには、次のような方法があります。
- 新聞紙に包む
- ポリ袋に入れる
- 保存袋に入れる
ポリ袋や保存袋に入れる場合は、しっかり口を閉じてください。
にんじんの保存は涼しい場所が適しています。
真冬などを除き、保存は冷蔵庫で行いましょう。
冷凍する
にんじんを一度に使い切れない場合は、冷凍保存するのも1つの方法です。
冷凍すると、冷蔵保存するよりも味や栄養価を保ちやすくなります。
冷凍保存するときは、あらかじめカットしてから冷凍庫に入れましょう。
カットの仕方は、調理に合わせて行ってください。
たとえばカレーなら乱切り、スープ・炒め物なら薄切りがよいでしょう。
冷凍するときは、ジッパー付きの保存袋などに入れてしっかり口を閉じてください。
冷凍保存期間は約1ヶ月です。
冷凍した日を忘れないように、日付などをメモしておくのがおすすめです。
ちなみに、にんじんは一度冷凍保存すると食感が変わります。
具体的には、繊維質が壊れてフニャフニャになります。
好みにもよりますが、生で食べるのはあまり適していません。
できれば炒める・煮るなどするのがおすすめです。
食感が気になる方は、なるべく細く・小さくカットすると気になりにくくなります。
にんじんの栄養まとめ
ここまでにんじんの栄養についてお伝えしてきました。
にんじんの栄養の要点を以下にまとめます。
- にんじんの主な栄養素は、β-カロテン・ビタミンC・食物繊維・カリウム
- にんじんの主な効果効能は抗酸化作用・便秘解消・美肌効果など
- にんじんの葉や皮には、β-カロテン・鉄分・食物繊維などの栄養素が豊富
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。