にきび・吹き出物などの肌荒れが起こると、人目が気になる方も多いでしょう。
肌荒れが気になるときは、漢方薬で内側からアプローチするのもおすすめです。
肌荒れに効く漢方薬には、どのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、肌荒れに良い漢方について、以下の点を中心にご紹介します。
- 肌荒れに良い漢方薬の効果
- 肌荒れに良い漢方薬の種類
- 漢方薬の選び方
肌荒れに良い漢方について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
肌荒れの原因
肌荒れへのアプローチの仕方は、漢方の種類によって違います。
肌荒れを効率良く改善するには、原因に合った漢方を選ばなくてはなりません。
肌荒れに効く漢方を紹介する前に、まずは肌荒れの代表的な原因をみていきましょう。
バリア機能の低下とターンオーバーの乱れ
肌荒れの代表的な原因が、バリア機能の低下です。
肌のバリア機能を担っているのは、肌表面にある角質層という組織です。
角質層は小さな箱のような細胞で、1つずつ独立して肌表面に並んでいます。
角質層は水分を抱え込むとふくらむ性質があります。
一つひとつの角質層がふくらむと、隣の角質層との間に隙間がなくなります。
隙間なくびっしり角質層が並んでいる状態が、いわゆる健康=バリア機能が正常な肌です。
なんらかの理由で肌が乾燥すると、角質層もしぼみます。
すると角質層同士の間に隙間ができるため、外部の刺激や異物への抵抗力が弱まります。
つまりバリア機能が低下した状態になるのです。
バリア機能が低下すると、ささいな刺激にも肌が過敏に反応します。
結果として、肌荒れが起こりやすくなるのです。
肌荒れはターンオーバーの乱れでも起こります。
ターンオーバーとは、肌が生まれ変わるサイクルのことです。
肌の細胞がまず作られるのは、真皮層という肌の深部です。
真皮層で生まれた基底層は、約4週間かけて肌表面に押し上げられていきます。
肌表面に到達する頃には、基底層は角質層へと成長しています。
肌表面に押し上げられた角質層が、垢として体外に排出されるまでの期間は約6週間です。
古い角質層が排出された後には、新しい角質層が肌表面を覆います。
ターンオーバーが正常だと、新旧の角質層の交代はスムーズです。
一方、ターンオーバーが乱れると、古い角質の排出が行われにくくなります。
あるいは、新しい角質層が十分に育たないまま肌表面に押し上げられることもあります。
いずれにしろ、本来角質層が持つバリア機能が正常に働かなくなるのです。
結果として肌が刺激に弱くなり、炎症・肌荒れなどが起こりやすくなります。
バリア機能の低下・ターンオーバーの乱れはさまざまな原因で起こります。
代表的な原因は次の通りです。
- 乾燥(エアコン・大気の乾燥)
- 疲労
- 睡眠不足
- 栄養の偏った食事
- 便秘
- 摩擦(肌をこする)
加齢
加齢も肌荒れの代表的な原因の1つです。
加齢が肌荒れを引き起こす理由には次のようなものが挙げられます。
- ターンオーバーが乱れやすくなる
- 肌の水分・皮脂が減って乾燥しやすくなる
- 肌の健康を守る女性ホルモンが減る
年を重ねると新陳代謝が遅くなるため、自然に肌のターンオーバーも乱れやすくなります。
肌を健やかに保つ女性ホルモンの減少も肌荒れの原因の1つです。
病気
病気が肌荒れを引き起こすこともあります。
たとえば皮膚病は肌荒れの大きな原因の1つです。
皮膚病以外の病気が肌荒れの原因となることもあります。
理由は全身の免疫力が低下するためです。
全身の免疫力が下がると、肌のバリア機能も低下します。
そのため、肌荒れが起こりやすくなります。
間違ったスキンケア・紫外線
間違ったスキンケアや紫外線が、肌荒れの原因になることも多いです。
間違ったスキンケアの例は次の通りです。
- 洗顔・クレンジングのしすぎ
- 肌をこする
- 肌質に合わないスキンケアアイテムの使用
洗顔・クレンジングのしすぎは、肌の必要な皮脂まで洗い流します。
すると肌のバリア機能が低下するため、肌荒れが起こりやすくなります。
紫外線が肌荒れを引き起こすのは、ターンオーバーを乱すためです。
ターンオーバーの乱れは、肌のバリア機能の低下を招きます。
偏った栄養・睡眠不足
不規則な生活習慣はターンオーバーを乱す原因になります。
具体的な例は次の通りです。
- 栄養の偏った食事
- 睡眠不足
- 喫煙
スポンサーリンク
肌荒れに良い漢方の効果とは?
肌荒れは漢方で改善できることもあります。
肌荒れに期待できる漢方の効果を紹介します。
内臓から肌荒れを改善していく
漢方には身体の内側から肌荒れを改善する効果が期待できます。
漢方には、身体の調子を整える作用があるためです。
肌荒れは体内の不調が原因で起こることもあります。
代表的なのは貧血・消化器官や内臓の機能低下などです。
漢方には血液の巡りを良くしたり、内臓を温めて機能を高めたりする効果があります。
漢方によって身体の調子が整うのに伴い、肌荒れが改善されます。
効き目が穏やかに出る
漢方薬は西洋薬よりも、効き目が穏やかです。
漢方薬では、生薬を用いるためです。
生薬とは天然の動植物を乾燥させたり、すりつぶしたりして作る薬をさします。
簡単にいえば「天然食品」にあたるため、西洋の医薬品よりも身体への作用が小さいです。
漢方薬は効き目が穏やかなぶん、医薬品ほどの即効性は期待できません。
一方で医薬品よりも副作用のリスクが低いため、継続して続けやすい点がメリットです。
治すのではなく体質を変えていく
漢方薬は直接肌荒れを治すわけではありません。
肌荒れを起こしている体質を改善することで、肌荒れにアプローチしていきます。
肌荒れを起こしやすい体質の例は次の通りです。
- 身体に熱がこもっている
- 血の巡りが悪い
- 身体が乾燥している
体内に熱がこもっている方には、身体を冷ますような漢方が有効です。
血の巡りが悪い方には、血を補って巡りを良くする漢方が適しています。
肌荒れを起こしやすい体質が解決されれば、肌荒れ症状も治りやすくなります。
肌荒れに良い漢方の種類
肌荒れに良いとされる漢方の種類を具体的に紹介していきます。
肌荒れが気になる方は、ぜひ次のような漢方の利用を検討してみてください。
ヨクイニン
ヨクイニンはハトムギの種の殻・皮を取り除いたものです。
期待できる効果は次の通りです。
- イボの改善
- 肌荒れの改善
- ニキビの改善
- 肌のキメを整える
ヨクイニンは、身体の余分な水分・老廃物を排出して、体内の巡りを良くします。
すると肌のターンオーバーが正常化されやすくなるため、肌荒れの改善が期待できます。
老廃物が減ることで肌に必要な栄養が届きやすくなる点も、肌荒れに効く理由の1つです。
ヨクイニンがおすすめなのは次のような方です。
- 肌のブツブツが気になる
- にきびがある
- 肌をなめらかにしたい
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
清上防風湯には次のような効果があります。
- 上半身・顔に溜まった余分な熱を逃がす
- 炎症を鎮める
- 膿の排出を助ける
次のような方におすすめです。
- 赤く腫れたにきびがある
- ジュクジュクしたにきびがある
- 皮脂の分泌が盛んな方
- 赤ら顔
清上防風湯は、体力がある方向けの漢方薬です。
また、皮脂分泌が活発な若年層にもおすすめします。
反対に服用を控えた方が良いのは、虚弱な方・胃腸が弱い方です。
副作用が出ることがあるため、自己判断での服用は控えてください。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
加味逍遙散には次のような効果があります。
- 上半身・顔の熱を冷ます
- 血を補って巡りを良くする
とくに婦人科系に起因するトラブル・肌荒れに有効な漢方薬です。
具体的には次のような方におすすめです。
- PMS・更年期障害がある
- のぼせやすい
- 肩こり・頭痛がある
- イライラ・不安・焦燥感がある
- 白にきび・色の薄いにきびがある
加味逍遙散は、体力が中等度以下の方向けの漢方薬です。
貧血・虚弱体質気味の方には、あまり服用は推奨されていません。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
人参養栄湯には次のような効果があります。
- 血を補って巡りを良くする
- 消化器官を温める
- 冷えを改善する
人参養栄湯は、内臓の機能を向上させて体内の巡りを良くする漢方薬です。
巡りが良くなると肌に十分な栄養が届きやすくなるため、肌荒れの改善につながります。
人参養栄湯がおすすめなのは次のような方です。
- 食が細い
- 元気が出ない
- 貧血気味
- 肌が乾燥しやすい・粉を吹く
- 冷え症である
とくに乾燥による肌荒れが気になる方におすすめの漢方薬です。
貧血・虚弱体質気味の方に適しています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸はにきび・吹き出物の改善によく利用されています。
具体的な効果は次の通りです。
- 余分な熱・水分を排出する
- 血の巡りを良くする
身体に余分な水分が溜まるとうまく行われないのが、老廃物の排出です。
老廃物が体内に蓄積すると、シミ・にきびのような肌荒れが起こりやすくなります。
桂枝茯苓丸は体内の巡りを良くして老廃物の排出を助ける漢方薬です。
つまり肌荒れの原因にアプローチすることで、各種の肌トラブルを和らげます。
桂枝茯苓丸は次のような方におすすめします。
- PMS・月経不順・更年期障害がある
- シミができやすい
- にきびができやすい
- 顔が赤くなりやすい
どちらかというと体力がある方向けの漢方薬です。
とくに婦人科系トラブル・生理前後の肌荒れが気になる方におすすめです。
肌荒れに良い漢方の選び方
肌荒れに良い漢方薬を選ぶときのポイントを紹介します。
ぜひ漢方薬選びの参考にしてください。
続けやすい物を選ぶ
漢方薬の効果を得るには、一定期間継続する必要があります。
そのため漢方薬を選ぶ際は、続けやすいものを探すことが大切です。
続けやすさを左右するポイントは次の通りです。
- 価格
- 味
- 形状(粉末・丸薬など)
とくに味は続けやすさに大きく影響します。
漢方薬は、西洋薬よりも苦み・香りが強い場合が多いです。
もし味が合わないと感じる場合は、似た作用を持つ他の漢方薬も試してみてください。
価格をみる
漢方薬は、無理なく続けられる価格帯のものを選びましょう。
高額な漢方薬には高い効き目が期待できますが、一方でお財布に負担をかけるためです。
漢方薬は少なくとも1ヶ月は飲み続けなければ、十分な効果は期待できません。
一方、市販の漢方薬の多くは1箱10日分です。
価格は商品によって差がありますが、1箱あたり2,000円〜3,000円が平均です。
つまり1ヶ月飲み続けるには5,000円〜1万円ほどかかります。
お財布と相談しながら決めると良いでしょう。
成分を確認する
漢方薬は、ご自身の肌荒れのタイプにあったものを選びましょう。
漢方薬は種類によって得意とする肌荒れのタイプが異なるためです。
どの成分を選ぶべきか迷ったときは、薬剤師・医師・漢方医に相談するのがおすすめです。
肌荒れ以外の効果が期待できる漢方かを確認する
漢方薬の多くは、肌荒れ改善以外の効果も持っています。
そのため漢方薬は、肌荒れ以外の身体の不調に合わせて選ぶのも1つの方法です。
たとえば加味逍遙散は、便秘・冷え症・婦人科系トラブルにも効果を期待できます。
選び方に迷う場合は、薬剤師や漢方医に相談するのがおすすめです。
体質と合っているかお試し期間を作る
漢方薬は体質との相性があります。
相性を見極めるには、1週間程度のお試し期間を設けるのがおすすめです。
もし飲み始め直後に不調を感じる場合は、体質に合っていない可能性があります。
体質に合わないと感じる場合は、別の漢方薬を検討しましょう。
肌荒れに良い漢方を使う際の注意点
肌荒れに漢方薬を用いる場合の注意点を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
副作用が出る場合もある
漢方は西洋薬よりも副作用のリスクは低めです。
ただし、副作用の可能性はゼロではありません。
とくに副作用に注意すべき漢方薬は次の通りです。
- 甘草(かんぞう)
- 麻黄(まおう)
- 大黄(だいおう)
- 芒硝(ぼうしょう)
- 附子(ぶし)
漢方薬は、飲み合わせによって副作用のリスクが高くなる場合もあります。
他の漢方薬・西洋薬を常用している方は、飲み合わせについて漢方医などへの相談が望ましいです。
妊娠中や授乳中と子供にも使用することはできる?
妊娠中・授乳中の方は、原則として服用を避けるのが良いでしょう。
赤ちゃんに漢方薬の影響が及ぶ可能性があるためです。
15歳以下の子供の服用も基本的に避けてください。
妊娠中・15歳以下の方が漢方薬の服用を希望する場合は、医師への相談が必要です。
1ヵ月続けても効果が出ないときは病院へ行く
漢方薬の効果は1ヶ月目くらいから感じられます。
もし1ヶ月続けても効果が出ない場合は、病院に相談してみましょう。
体質に合っていない可能性があるためです。
ただし、漢方薬の効き方には個人差があります。
たとえば、効果を実感し始めるのに3ヶ月かかる人もいます。
すぐに効果が出ないからといって、自己判断で服薬を中止するのは控えましょう。
相性を見極めるためにも、まずは病院で医師の意見を聞くことが大切です。
肌荒れの漢方を効果的に使うために
漢方薬の効果を高めるためのコツを紹介します。
ぜひ参考にしてください。
漢方がどのように体質を改善するか理解する
漢方は体質を改善することで肌荒れにアプローチします。
まずは漢方が体質を改善する仕組みを理解しておくことが大切です。
気・血・水の3つの要素からみる
漢方医学では、身体は次の3つの要素から成り立つとされています。
- 気:エネルギー
- 血:血液
- 水:水分
健康な状態とは、気・血・水がバランス良く循環している状態をさします。
不足や過剰になっているから症状が出る
肌荒れをはじめ身体に不調が出るのは、気・血・水のバランスが崩れるためです。
気・血・水のバランスの崩れは、次の6タイプに分類されています。
気虚(ききょ) | 気が不足している |
気滞(きたい) | 気が多すぎて滞っている |
血虚(けっきょ) | 血が不足している |
血滞(けったい)・瘀血(おけつ) | 血が多すぎて滞っている |
水虚(すいきょ)・陰虚(いんきょ) | 水分が不足している |
水滞(すいたい)・痰湿(たんしつ) | 水分が多すぎて滞っている |
不調は同時に起こることもあります。
漢方は、気・血・水のバランスにアプローチすることで、身体の不調を改善していきます。
漢方の種類によってアプローチする対象は違い、たとえば気滞には加味逍遙散が有効です。
肌荒れを改善するには、ご自身の体質に適した漢方薬を選ぶことが大切です。
白湯で漢方を飲む
漢方は水・白湯・ぬるま湯で飲みましょう。
おすすめは白湯です。
白湯は水を沸かしたものです。
白湯は胃腸を温めて働きを促進する効果があります。
胃腸が活性化すると漢方薬の効率的な吸収を期待できます。
漢方薬の成分を変質させないためにも、白湯で飲むことは大切です。
反対に控えたいのは、お茶・ジュース・牛乳などでの摂取です。
食事から漢方を摂る
漢方の中には、薬ではなく食品から摂取できるものもあります。
身近な食材の例は次の通りです。
- 自然薯
- シナモン
- ショウガ
- クコの実
上記のような食材を料理に用いると、無理なく漢方薬(生薬)を摂取できます。
体質に合わせた漢方を選ぶ
漢方は体質に合ったものを選ぶことが大切です。
体質に合わない漢方薬を服用すると、副作用のおそれがあるためです。
「とりあえずこれを試してみよう」と安易に漢方薬に手を伸ばすのは止めましょう。
適切な漢方薬を選ぶには、まずご自身の体質を見極めることが大切です。
自分で体質の判断が難しい場合は、薬剤師や漢方医に相談してみましょう。
肌荒れに良い漢方を使う際はスキンケアも重要
肌荒れが気になる方は、漢方薬に頼るのも良い方法です。
漢方薬を利用する際は、同時に適切なスキンケアを心がけてください。
漢方薬は効果が出るまでに時間がかかることがあるためです。
漢方薬を飲んでいるからといってスキンケアを疎かにすると、かえって肌荒れが悪化することもあります。
誤ったスキンケアをしている場合は、いくら漢方薬を飲んでも効果が出にくくなります。
漢方薬の効果を実感するには、まず基本的なスキンケアを徹底しましょう。
具体的には、洗顔・保湿が大切です。
洗顔は古い角質層の排出を助けます。
保湿には、角質層をなめらかにしてバリア機能を高める効果が期待できます。
肌にダメージを与える紫外線の対策も万全に行ってください。
たとえば日焼け止め・防止・日傘の使用がおすすめです。
出典:厚生労働省【肌荒れ・シミ | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修】
スポンサーリンク
肌荒れに良い漢方のまとめ
ここまで、肌荒れに良い漢方についてお伝えしてきました。
肌荒れに良い漢方の要点を以下にまとめます。
- 肌荒れに良い漢方薬の効果は、バリア機能の向上・ターンオーバーの正常化など
- 肌荒れに良い漢方薬の種類は、ヨクイニン・清上防風湯・加味逍遙散など
- 漢方薬の選び方は、続けやすい味・価格帯を選ぶこと
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。