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トップページ>健康お役立ち記事>せん妄>せん妄を起こしやすい薬とは?治療法についても徹底解説します!

せん妄を起こしやすい薬とは?治療法についても徹底解説します!

急に現状が理解できなくなったり不可解な言動をとったりする「せん妄」。

様々な因子が複合して起こりますが、その一つに薬の副作用があると知っていましたか?
普段服用している薬がせん妄の原因になるとしたら不安になる人もいるでしょう。

そこで今回は、せん妄を起こしやすい薬やせん妄の治療法などについて紹介します。

  • せん妄を起こしやすい薬とは
  • せん妄の症状とは
  • せん妄の治療法とは

せん妄とよく似た症状をもつ認知症との違いや、せん妄が起きた際の接し方についても説明しています。

ぜひ最後までお読みください。

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せん妄を起こしやすい薬とは


せん妄を起こしやすい薬は複数あります。
特に中枢神経に働きかける薬の副作用として「せん妄」が報告されているものも少なくありません。

ここでは「睡眠薬」「抗不安薬」「抗てんかん薬」「抗パーキンソン病薬」について説明します。

せん妄の症状がみられたら服用中の薬を確認してみましょう。

睡眠薬

「睡眠薬」は気持ちや体の緊張をほぐしリラックスさせることで睡眠を誘導する薬です。

睡眠薬の多くは「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる化学構造を持っています。
抑制性の脳内物質であるGABAの動きを活発にして脳の興奮を抑えます。

しかし、心身の緊張緩和は意識レベルの低下も招き、せん妄の誘因になります。
特に高齢者の場合は睡眠薬に対する感受性が高く、効きやすい傾向にあるので注意が必要です。

【注意が必要な睡眠薬】

  • マイスリー
  • ハルシオン
  • レンドルミン
  • エバミール
  • サイレース
  • ベンザリン
  • ネルボン
  • ユーロジン
  • ドラール など

抗不安薬

「抗不安薬」の多くは睡眠薬と同じくベンゾジアゼピン系薬剤です。
日中の不安を解消するために処方し、使用している方もいるかもしれません。

抗不安薬や睡眠薬に多いベンゾジアゼピン系薬剤では、急に服用を止めることもせん妄の誘因になります。

医師や薬剤師と相談して使用や中止を決定するようにしましょう。

【注意が必要な抗不安薬】

  • リーゼ
  • デパス
  • ワイパックス
  • レキソタン
  • セニラン
  • ソラナックス
  • セルシン
  • ホリゾン
  • セパゾン
  • コントール
  • バランス
  • メイラックス など

抗てんかん薬

てんかんの発作は脳の電気的興奮が広がることが原因です。

てんかんの治療に用いる「抗てんかん薬」の多くは脳の働きを抑える作用があります。
副作用として現れるのは眠気やふらつきなどです。

せん妄は不眠などによって引き起こされることもあります。
眠気によって睡眠リズムが乱れないように注意が必要です。

【注意が必要な抗てんかん薬】

  • カルバマゼピン
  • クロナゼパム
  • フェニトイン
  • フェノバルビタール など

抗パーキンソン病薬

パーキンソン病では、脳内物質のドパミンが不足することで筋肉の硬直や震えなどが現れます。

「抗パーキンソン病薬」にはドパミンを補う役目を持つものと、ドパミンの働きを阻害する物質であるアセチルコリンの働きを弱める「抗コリン薬」があります。

いずれの薬剤でも副作用がありますが、特に「抗コリン薬」ではせん妄を起こすことが多く報告されています。

【注意が必要な抗パーキンソン病薬】

  • レボドパ
  • ドパミンアゴニスト
  • アマンタジン
  • ビペリデン など
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せん妄の症状とは


ここまでせん妄を起こす恐れのある薬について紹介いたしました。
では一体、せん妄には具体的にどのような症状がみられるのでしょうか?

せん妄の症状はいくつかあり、人によって現れる症状は異なります。
せん妄の症状は他人から見ると不可解なものも少なくありません。

しかし本人は意識があいまいなまま行動していることが多く、せん妄から回復しても記憶に残っていないということがほとんどです。

また、時間帯などで症状の現れ方にムラがあるのが特徴的です。

それでは具体的な症状についてみていきましょう。

睡眠・覚醒リズムの障害

生活リズムが崩れて昼と夜の区別があいまいになることで起こる症状です。

昼夜が逆転してしまうため、夜眠れなくなり、昼間に起きているときも寝ぼけているような状態が続きます。

睡眠中も落ち着きがなく、よく動いているのが特徴です。

幻覚・妄想

実際にはないものが見えたり、別のものに見えたりするのが幻覚です。
誰もいない部屋に「誰かがいる」と言ったり、壁のシミが虫に見えたりします。

会話をうまく理解できなかったり、記憶や経験を間違って解釈したりする妄想もあります。

幻覚による見間違いがもとで妄想していることも珍しくありません。

見当識・記憶障害

時間・場所・人に関することがわからなくなってしまいます。
最近のことが思い出しにくくなるということもあります。

また、記憶力や判断力などが低下するため作業がうまく進まないことも少なくありません。

これらは認知症の症状と似ていますが、せん妄の場合は回復する可能性が高いです。

情動・気分の障害

眠気が強く出たり内向的になったりします。
ほとんど活動をしなくなり、表情にも活気が見られません。

その一方で、イライラや興奮から活動が活発になったり攻撃的になったりすることもあります。
どちらの症状も起こる可能性があり、気持ちや感情がとても不安定な状態です。

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せん妄の治療法


せん妄は複数の因子が作用して症状が現れますので、各因子をケアしていくことで回復や改善が見込めます。

せん妄の治療法には「薬物療法」と「環境調整」があります。

それぞれの治療法の違いと効果について説明します。

薬物療法

薬を使って症状を和らげる治療法です。
薬を使うことで症状を抑えることができる疾患や症状の場合に用います。

例えば、不安から興奮状態や不眠状態にある場合、「抗精神病薬」や「鎮静薬」を処方します。

せん妄は夕方以降に強く出やすい傾向があるため、夜眠ることで症状が改善するケースも少なくありません。

またアルコール依存症の方は、アルコールを断つことで食べたものを嘔吐するなどの「離脱症状」がみられることがあります。
嘔吐が繰り返されると脱水などにも繋がり、せん妄の誘因となりえます。

そのような離脱症状を抑えるために使用するのが「ベンゾジアゼピン系薬剤」です。
すでに脱水の症状がある場合は「水分と電解質」を補います。

そのほか血糖値が低い時には「ブドウ糖」、けがや病気などで感染症の恐れがあるときは「抗生剤」を使用します。

環境調整

「環境調整」は薬物治療を用いずに、せん妄の方にとって安心できる環境を整える方法です。

せん妄は不安やストレスが原因になることも少なくありません。
特に入院や手術などはストレスが増大します。

部屋を明るくして状況がよくわかるようにすることで、落ち着ける環境を作りましょう。
その際、医師や看護師、家族などが現状を説明することが大切です。

時計やカレンダーなどがあるとより具体的に状況を把握しやすくなります。
また普段使っているもの、身近な人やペットの写真を置くことも効果的です。

眼鏡や補聴器などを使用している場合は、いつでも使えるように手の届くところに置いておきましょう。

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せん妄と認知症の違いとは


せん妄の症状は認知症とよく似ています。
そのためせん妄の症状が現れると「認知症かもしれない」と思う人も多いです。

せん妄と認知症の症状はよく似た部分もありますが、原因や経過などは異なります。

ここではそれぞれの違いについて説明します。

原因の違い

認知症は脳の萎縮や脳血管障害などを発症することで引き起こされる症状です。

それに対し、せん妄は複数の因子が相互に作用して起こります。
主な因子は準備因子、促進因子(誘発因子)、直接因子の3つです。

「準備因子」とは高齢や基礎疾患など患者さんが元々持っている病気などが該当します。

「促進因子」は環境の変化によるストレスや、痛み・かゆみなどの不快感です。

「直接因子」は主に薬の副作用になります。

準備因子がある状態で促進因子が加わるとせん妄を発症しやすくなります。
そのため短時間で症状が現れることが多いです。

病状や経過の違い

認知症との大きな違いは、せん妄は回復するという点です。
適切な処置を行えば数日間から1か月程度で回復することがほとんどです。

症状の出方は1日の中でも変動し、特に夕方以降に強く現れる傾向があります。

一方、認知症は発症すると徐々に進行していきます。
た現時点では治療法が確立されていないため、回復することは難しいといわれています。

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せん妄が起きた際の接し方とは


せん妄になると通常の会話がうまくいかなかったり不可解な行動をとったりします。
医師や看護師などに相談することができればいいのですが、いつも近くにいるわけではありません。

また、接し方によってはせん妄の症状をかえって悪化させてしまうこともあります。

そんなせん妄が発症した際の適切な対応法について紹介します。

落ち着く

せん妄の症状は突然現れます。

急に会話がうまくいかなくなるなどの状況に驚くことも少なくありません。
不安になると思いますが、まずは介護者や周りの方が落ち着くことが大切です。

一番不安を抱えているのは本人のため、状況把握や感情のコントロールが難しい状態になっています。

まずは周りの方が落ち着いて接することを心がけましょう。

無理に止めない

おかしな言動があったとしても行動や話を無理に止めないようにします。

つじつまの合わない話や間違ったことがあると否定や訂正をしたくなるのは当然です。

しかし無理に止めてしまうことで本人の不安が増していき、言動が激しくなったり暴力をふるったりすることも少なくありません。

短時間でおさまる場合もあるので、本人の言葉や行動を静かに観察するようにしましょう。

優しい声かけ

不安や恐怖などからせん妄になることもあります。

不安を取り除くために本人に寄り添い優しく声かけをしましょう。

相手の名前を呼びかけて自分が誰であるかを伝えます。

今いる場所や時間なども知らせ、「大丈夫です」「安心してください」などの声かけもしましょう。

現状を理解して安心してもらうことが大切です。

本人の話をよく聞く

どうしてそのような言動をしているのか本人の話をよく聞きます。

意味がない言動だったとしても否定せずに受け止めましょう。

「そのようなことで困っているのですね」「それは心配になりますね」と相槌をうったり、「こういうことで怒っていたのですか?」とたずねたりします。

しっかり話を聞くことで、本人は「自分の気持ちを分かってもらえた」と安心することができます。

薬の使い方

まとめ:せん妄を起こしやすい薬


ここまでせん妄を起こしやすい薬、せん妄の症状や治療法などについて紹介しました。
以下まとめです。

  • 睡眠薬や抗不安薬など中枢神経に働きかける薬剤は副作用としてせん妄を起こしやすい
  • せん妄の症状は、睡眠覚醒リズムの障害、幻覚や妄想、見当識・記憶障害などがある
  • せん妄の治療には薬物療法のほか、気持ちを落ち着かせるための環境調整が行われる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
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  • 学研グループと融合したメディア
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  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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