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健達ねっと>健康お役立ち記事>せん妄>脱水によってせん妄が起こる?その他の原因や症状まで徹底解説!

脱水によってせん妄が起こる?その他の原因や症状まで徹底解説!

せん妄は、記憶障害や見当識障害が起こるため認知症と間違われやすい病気の一つです。
せん妄の原因は様々あるとされていますが、脱水がせん妄と関係があることを知っていましたか?

今回の記事では、せん妄と脱水の関係について以下の項目を中心に解説していきます。

  • 脱水がせん妄を起こす理由
  • 脱水によるせん妄の症状
  • 脱水によってせん妄になったときの対処法

本記事を読んでいただき、せん妄を予防する際のお役に立てば幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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脱水によってなぜせん妄が起こる?

※画像はイメージです

脱水がせん妄を起こす理由は、体内の電解質濃度が異常になるためです。

電解質濃度とは、体内の水分と塩分のバランスです。
電解質は常に最適な濃度に保たれることで、神経伝達をサポートします。

しかし、電解質の濃度が異常になると、全身の神経伝達がスムーズに進まなくなります。
脳機能に支障をきたすことも多く、幻覚や意識障害などの不調があらわれます。
つまり、せん妄は体内の電解質バランスが崩れたときに発症します。

脱水状態になると、身体の水分が不足し電解質の濃度が非常に濃くなります。
電解質濃度が高くなると、神経伝達に支障が生じるため、せん妄の発症リスクが高まります。

また、電解質濃度が薄くなりすぎてもせん妄は起こります。

例えば、大量に汗をかくと、水分とともに塩分も体外に失われます。
塩分を大量に失った状態で水だけを補給すると、体内の塩分濃度はさらに薄まります。
体内の塩分濃度が薄くなることでせん妄の発症リスクは高まります。


つまり、電解質のバランスが崩れると、脱水やせん妄が起こりやすくなります。

また、脱水によるせん妄は、意識障害や問題行動により適切な水分補給が難しくなるため、症状が悪化しやすいことが特徴です。

さらに、せん妄の状態になると理解力や理性が失われるため、周囲の方が水分補給を促しても本人が拒否する場合があります。

水分補給ができなくなると、脱水症状が進行し、せん妄の悪化につながります。
したがって、脱水によるせん妄は、悪循環に陥る可能性が高くなるのです。

そのため、脱水によるせん妄の悪化を防ぐには、脱水そのものを予防・改善することを心がけましょう。

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脱水によるせん妄の症状とは

※画像はイメージです

脱水によるせん妄が起こると、具体的にどういった症状が現れるのでしょうか?

ここからは、せん妄の具体的な症状について解説していきます。
以下の症状が見られた場合は、脱水によるせん妄を疑い、早めに対処しましょう。

睡眠・覚醒リズムの障害

せん妄が起こると、覚醒レベルや睡眠リズムに異常が見られます。
覚醒レベルに異常が生じると、起きているときでも半分眠ったような感覚になり、ぼんやりとすることが多くなります。

また、意識障害とともに注意力や思考力も低下するため、周囲の状況を認識しづらくなります。

例えば、会話についていけなくなることや、今日の日付や現在地を認識できなくなることが多くなります。
また、せん妄によって覚醒レベルが下がると、意欲の低下も起きやすいです。

何事にも気力がわかなくなり、ぼんやり過ごす時間が長くなります。
感情の起伏もなくなるため、無表情になり、話しかけても反応がないこともあります。

以上のように、覚醒レベルの低下や意識障害が見られる場合は、せん妄の発症が疑われます。

さらに、せん妄では睡眠障害も起こりやすくなります。

一般的にせん妄は、夜間に活発化し昼間は低下しやすいです。
夜間にせん妄が起こると興奮して眠れなくなるだけでなく、昼夜が逆転すると、時間の感覚が狂いますますせん妄が悪化します。

したがって、せん妄の悪化を防ぐためには睡眠リズムを整えることが大切です。

昼夜逆転や睡眠障害が数日続く場合、慢性的に脱水が起こっている可能性があります。

一日あたりの水分補給量を見直すなどして、対策を取りましょう。

幻覚・妄想

幻覚とは、現実に存在しないものが、あたかも存在するように見える症状です。
「部屋に不気味な虫がいる!」などと訴えることがあります。

また、妄想は事実と異なる思い込みをする症状です。
たとえば、財布をどこかに置き忘れたのに、「家族に財布を盗まれた」と思い込むケースがあります。

せん妄によって幻覚や妄想が起こる理由は、脳の働きの低下により、現実の正しい認識が困難になるためです。
もし、異常な言動があらわれた場合は、せん妄による幻覚や妄想が疑われます。

脱水によるせん妄は急激に悪化しやすいため、幻覚・妄想が見られた段階で、水分補給などの対策を行いましょう。

見当識障害・記憶障害

見当識障害とは、「時間・場所・人」の認識ができなくなる障害です。
症状は上記の順番で進行します。

脱水によるせん妄の初期段階では、まず「時間の見当識障害」があらわれます。
具体的には、ヒントをもらっても今日の日付が思い出せない場合や、真夜中を真昼と勘違いする場合があります。

症状が進行すると、次は「場所の見当識障害」が起こります。
今いる場所が分からなくなったり、通いなれた道順で迷ったりすることが多くなります。

重症化すると、自宅のトイレにたどり着けないこともあります。

最後に「人の見当識障害」が起こります。
家族や親しい友人を認識できなくなってしまいます。

脱水によるせん妄は急激に進行しやすいため、時間・場所の見当識障害があらわれた段階で、早めに手を打つことが肝心です。

さらに、せん妄では記憶障害も起こります。

最近の出来事や体験を記憶できず、何度も同じ話・質問を繰り返すことが多くなります。
あるいは、数分前に食事したことを忘れ、また食べ物を欲しがるケースもあります。

見当識障害や記憶障害があらわれると、本人と周囲の認識に食い違いが生まれます。

もし会話が噛み合いにくくなったのであれば、せん妄による見当識障害・記憶障害が起こっていると考えられます。

情動・気分の衝動

せん妄が起こると、興奮、意欲の低下が見られます。
活発になりすぎたり、反対に元気がなくなったりするため、周囲からすれば性格が変化したように映る場合もあります。

さらに、脳の情報伝達バランスが崩れるため、情緒が不安定になりやすいです。

興奮の場合、怒りっぽい、暴力・暴言などの攻撃性が目立ちます。

一方、意欲の低下が起こると、何事にも意欲・関心がなくなります。
あるいは、不安感や悲観的な気分も強くなることもあります。

塞ぎこんで部屋に閉じこもりがちになるため、うつ病と間違われることも少なくありません。
特に高齢者に目立つのは意欲の低下です。

もしも突然、興奮や無気力といった情緒不安定さが目立つようになった場合は、せん妄が疑いましょう。

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脱水によるせん妄が起こった際の対処法とは

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脱水によるせん妄が起こった場合は、脱水症状のケアが必要です。
まずは、水分を補給しましょう。

ただし、低張性脱水の場合は、水分だけを摂るとかえって症状が悪化します。
低張性脱水では体内の塩分濃度が下がっているため、水とともに塩分を補給することが大切です。

低張性脱水の特徴は、意識障害などの神経症状が起こることです。

のどの渇きはさほど目立たず、「頭痛」「嘔吐」「意識もうろう」といった症状がみられます。
一方、水分だけが欠乏する水欠乏性脱水では、「のどの渇き」「体温の上昇」「尿量の減少」などの症状があります。

水欠乏性脱水をケアする場合は、水分のみの補給でもかまいません。
しかし、低張性脱水のケアは、水とともに塩分の補給が求められます。

経口補水液であれば、水分・塩分を一度に摂取できるためおすすめです。
スポーツ飲料もイオン・ナトリウムを含みますが、糖分も多いため糖尿病の方や高齢の方は注意してください。

いずれにしろ、症状をよく観察し脱水症状のタイプを見分けることが大切です。
すでに重症化している場合は、すみやかに病院を受診し、輸液の点滴を受けてください。

脱水によるせん妄を防ぐにはどうする?

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脱水によるせん妄を防ぐには、脱水症状そのものを予防しなければなりません。
脱水を防ぐには、適度な水分補給が必要です。

水分補給は、飲水と食事によって行います。

体格によって異なりますが、一般的に高齢者の水分摂取量は一日2リットルが目安で、飲水・食事から各1リットルずつの摂取が望ましいでしょう。

食事で1リットルの摂取が難しければ、飲水量を増やしてもかまいません。
しかし、大量の発汗や下痢・嘔吐のあとは、水とともに塩分濃度も低くなっています。

そのため、水だけを補給すると低張性脱水を起こす可能性があります。
よく汗をかいたあとや、下痢・嘔吐をした場合、水とともに塩分も摂りましょう。

できれば経口補水液の飲水がおすすめです。
経口補水液を好まない場合は、昆布茶や梅干を入れたお茶などもよいでしょう。

また、嚥下(えんげ)障害によってむせる場合は、ゼリー状の飲料水や、とろみをつけた飲み物を摂ってください。

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まとめ:脱水とせん妄の関係

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ここまでせん妄と脱水に関する事柄についてお伝えしてきました。

  • 脱水がせん妄を起こす理由は、電解質濃度のバランスが崩れて脳機能が低下するため
  • 脱水によるせん妄の症状は、睡眠・覚醒レベルの異常、幻覚・妄想など
  • 脱水によってせん妄になったときの対処法は、水・塩分の摂取

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 メディカル・ケア・サービス

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