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トップページ>健康お役立ち記事>せん妄>せん妄の治療ってどのようなことを行う?起こる原因、症状も解説!

せん妄の治療ってどのようなことを行う?起こる原因、症状も解説!

突然異常な言動が見られることはありませか?
一時的、または何らかの疾患がある場合、せん妄が疑われます。

本記事では、せん妄の治療法について解説します。

  • せん妄とは
  • せん妄の治療法
  • せん妄が起きたら

せん妄の治療について学び、身近な方がせん妄を発症したときに備えましょう。
ぜひ本記事を最後までお読みください。

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せん妄とは

せん妄は、一時的な精神障害が起こる状態です。
疾患を原因として発症することもあり、比較的若い方でも発症することがあります。

せん妄の持続時間は、一般的には数時間~数日といわれています。
稀に、数カ月単位でせん妄の症状が続くこともあります。

せん妄の主な症状は以下の通りです。

  • 幻覚
  • 睡眠障害
  • 見当識障害
  • 意識がはっきりしない
  • 興奮・イライラ
  • 不安・無気力
  • 情緒不安定
  • 記憶障害 など
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せん妄の治療とは

せん妄の治療では、せん妄の原因やせん妄の諸症状を軽減することが一般的です。
ここではせん妄の治療法を詳しく解説します。

薬物療法

一般的に、せん妄の薬物治療では、抗精神病薬が使用されます。

公的医療保険が適用される薬剤は、チアプリドのみです。
チアプリドは、徘徊や精神興奮、攻撃的行為に効果があるといわれています。

臓器の炎症による興奮には、クエチアピン、ハロペリドールなどの抗精神病薬が公的保険適応外での使用を認められています。

具体的な医薬品名は以下の通りです。

  • チアプリド
  • ハロペリドール
  • クエチアピン
  • リスペリドン
  • ペロスピロン

環境の調節

せん妄の諸症状を軽減するには、本人が安心して過ごせる環境を整えることが大切です。

幻視に対しては、部屋を片付け、見通しをよくすることが効果的です。
余計なものを取り除くことで、物影などの見間違いが起こりにくくなるからです。

時間の見当識障害に対しては、大きめのカレンダーや時計を活用しましょう。
いつでも時間・日付を確認でき、時間の感覚を保つことができます。

せん妄では、一時的に注意力が低下し、周囲の状況を正しく認識できなくなります。
病院に行くためにタクシーに乗っていても、どこへ行くのか分からないという不安に駆られてしまうことがあります。
病院に向かっていることを周囲が伝えれば、目的地を認識できます。

またメガネや補聴器、ラジオの活用おすすめです。
聴覚や視覚への適度な刺激は、せん妄を軽減する効果があります。

【具体例】

  • 幻視:部屋の照明を明るくする、見通しを良くする
  • 時間の見当識障害:カレンダーや時計を設置する
  • 場所の見当識障害:定期的に現在地を伝える
  • 複数の症状:眼鏡やラジオなどを使用する

誘因となった薬物の中止

せん妄は、薬物に誘発されることも多いです。
誘発する薬剤の服用を中止すると、症状の改善が期待できます。
長年服用していた薬を中止した場合にもせん妄があらわれることがあります。

いずれの場合も、随時、薬の服用状況を確認することが大切です。
飲み始めた、または飲み止めた薬がある場合は、せん妄の原因かもしれません。

自己判断で服用することや服用を中止することは危険です。
かかりつけ医に相談し、指示を仰ぎましょう。

睡眠・覚醒リズムの改善

睡眠・覚醒リズムを整えることは、せん妄の改善に効果的といわれています。
夜間にぐっすり眠れるように、生活リズムを整えましょう。

せん妄によって夜間に活動すると、反対に昼間は眠くなるでしょう。
昼間に睡眠をとると、夜に眠れなくなり、せん妄が起こりやすくなるという悪循環が起こります。
昼間にしっかり身体を動かすことで、睡眠・覚醒リズムの改善を図りましょう。

【具体例】

  • 昼間は活発に身体を動かす
  • カーテンの開閉や照明を工夫する
  • 寝具を清潔に保つ
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せん妄の治療薬にガイドラインはあるの?

せん妄の治療薬に関して以下の2つをご紹介します。

  • せん妄の治療に関するガイドライン紹介について
  • せん妄治療に置ける注意点について

せん妄の治療に関するガイドライン紹介

主なせん妄治療のガイドラインを以下に2つ挙げます。

  • がん患者せん妄ガイドライン
  • 集中治療室における成人重症患者のせん妄管理の為の臨床ガイドライン

それぞれの内容についてご紹介します。

【がん患者せん妄ガイドライン】

がん患者せん妄ガイドラインは、がん疾患の特性を踏まえたせん妄のガイドラインです。
がんは合併症を発症しやすく抗がん剤に加え多くの薬剤を使用します。

薬剤の多剤併用で、薬物使用を直接因子とするせん妄を発症するという特徴があります。
がん医療で使う頻度の高い薬物は以下のようなものがあります。

  • オピオイド
  • ステロイド

さらに、がん患者では低活動型せん妄や終末期のせん妄になる機会が多いことも特徴です。

【集中治療室における成人重症患者のせん妄管理の為の臨床ガイドライン】

集中治療室において使われる鎮痛薬や鎮静薬で発症するせん妄管理のガイドラインです。
集中治療室における成人重症患者への鎮痛薬や鎮静薬として以下の薬物が使用されます。

  • オピオイド鎮痛薬
  • ベンゾジアゼピン鎮静薬

オピオイド鎮痛薬とベンゾジアゼピン鎮静薬の使用はいずれもせん妄の危険因子となります。

せん妄治療における注意点

がん患者や集中治療室において使われる薬物はせん妄の危険因子になるとされています。
薬物療法における以下のようなせん妄治療の注意点があります。

  • せん妄の薬物療法は環境の調整、薬剤の整理、全身状態の改善の上で考慮されること
  • せん妄治療はせん妄を誘発・促進しやすい「不眠」への影響が重要
  • 「不眠」への影響があるベンゾジアゼピン鎮静薬の単独使用は注意が必要
  • オピオイドとベンゾジアゼピンの併用リスクについてFDAの注意喚起がある

日々の臨床のエビデンスと医療現場のニーズから適切なせん妄治療ができるガイドラインはますます重要になっています。

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せん妄の治療は何科を受診すれば良いの?

せん妄は、急に今までと違う精神状態がみられるので、周りで比較的容易に気が付きます。
入院患者であれば、まず看護師、担当医に伝えましょう。
患者が在宅で生活している場合は、かかりつけ医にまず相談します。

いずれの場合も必要に応じ精神科医が診察し、適切な治療を行うことになります。
なお、せん妄の診断基準には以下のようなものがあります。

【注意および認識の障害があること】

  • 注意を向けたり、集中することが難しい
  • 周りの状況をきちんと理解することが難しい
  • 他の精神疾患で説明ができない症状

【病状が短期間農地に出現し、変動する傾向があること】

病状が数時間から数日で起こり、1日のうちで変化する

【認知の障害の付加があること】

  • 記憶違いや幻覚、錯覚などがみられる
  • 他の精神疾患では説明ができない症状

【身体疾患は物質の中毒などが原因となっていること】

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せん妄が起こった際の周囲の対応とは

身近な方にせん妄の症状が現れた場合、周囲の方は慌ててしまうでしょう。
ここでは、周囲の方の対応のポイントを解説します。

落ち着く

慌てずに落ち着いて対応しましょう。
家族が突然異常な言動をすれば、周囲の方は驚き、混乱してしまうのは当然です。
一番困惑しているのは本人であるため、周囲が理解しサポートできなければ、せん妄が悪化するおそれがあります。

冷静に原因を探る、病院に受診するなどして対応しましょう。
高齢者や脳卒中やパーキンソン病などの疾患がある方は、とくに発症率が高いといわれています。

高齢かつ持病がある方が、突然異常な言動をとったら、せん妄を疑ってみてもよいかもしれません。

無理に制止しない

せん妄の方が異常行動を起こしても、無理に制止したり、叱ったりするのは止めましょう。

つじつまの合わない話をしていても、訂正せず、話を合わせることが大切です。
会話の制止や遮断によって、症状が悪化するおそれがあります。

どんなに異常な言動であっても、本人にとっては意味のある行動です。
周囲は、特別な危険がない限り、せん妄の方の行動を見守りましょう。

優しい声かけ

せん妄の方が安心できるよう、優しく声掛けをしましょう。
「12時ですよ。お昼ごはんを食べましょう。」のような声掛けは、見当識のケアにつながります。

話すときは、ゆっくり、ハッキリ、みじかい文章でしゃべることを心がけましょう。
声は少し低いトーンを心がけると、より聞き取りやすくなります。

目線を合わせることも大切です

話しかけるときは、上から見下ろすことを避け、目線は同じ高さに合わせることを心がけましょう。

【ポイント】

  • ゆっくり、はっきり、低いトーンで話す
  • 短く、分かりやすい言葉を話す
  • 正面から、目線の高さを合わせて話しかける

本人の話をよく聞く

問題行動が続く場合は、本人に理由を聞くのも一つの方法です。

多くの場合、問題行動には理由がありますが、周囲の方は理解できないかもしれません。

周囲の方は自分の物差しで判断せず、せん妄の方の世界を理解し、耳を傾けることが大切です。
理由を聞くときは、せん妄の症状が落ち着いているタイミングを見計らいましょう。

つじつまが合わない理由でも、共感を示すことが大切です。
周囲が自分を理解してくれると感じれば、不安が和らぎ、症状が落ち着くこともあります。

【ポイント】

  • 理解できない理由でも共感する
  • 症状が落ち着いているときに理由を聞く
薬の使い方

せん妄を引き起こしやすい薬剤とは

せん妄は、薬剤や薬物に誘発されることも多いです。
長期間服用している薬の中止も、せん妄の原因になることがあります。

薬剤以外にも、アルコール依存症の方がアルコールをやめると、禁断症状としてせん妄になる場合があります。
ヘロインなどの違法薬物も、せん妄の原因となります。

以下、せん妄を引き起こしやすい薬剤・薬物です。

  • モルヒネやペチジン
  • 睡眠薬・鎮静薬
  • 抗精神病薬
  • 抗うつ薬
  • 抗ヒスタミン薬(花粉症・アレルギーの市販薬含む)
  • コカイン
  • シメチジン
  • コルチコステロイド
  • 心疾患の薬
  • 筋弛緩薬

まとめ:せん妄の治療

ここまで、せん妄の治療に関する情報についてお伝えしてきました。

  • せん妄とは、一時的な精神障害が起こる状態
  • せん妄の治療は、薬物療法、環境の調整、原因の医薬品の中止、睡眠リズムの調整など
  • せん妄が起きたら、理解できなくても本人なりの理由を共感することが大切

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 メディカル・ケア・サービス

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  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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