頻繁に日付や道順を間違えるようになると、認知症の見当識障害が疑われます。
実は、見当識障害は、せん妄の症状の一つとしてあらわれることもあります。
本記事では、見当識障害とせん妄の関係について解説します。
- 見当識障害とせん妄の関係
- 見当識障害以外のせん妄の症状
- せん妄の原因
ぜひ本記事を最後までお読みください。
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せん妄の中に見当識障害が含まれる?
見当識障害は、時間や場所、人の認識ができなくなる障害です。
日付や現在地、身近な人の名前などが分からなくなります。
認知症の中核症状であり、せん妄の症状としてあらわれることもあります。
せん妄は、一時的な意識障害や注意力の低下が起こった状態です。
注意力が低下すると、自分の今の状態や、周囲の状況を理解しづらくなります。
日付や、現在地を正確に把握する、家族を認識することも難しくなります。
見当識障害と同じ状態に陥ります。
認知症の中核症状か、せん妄かによって、異なる点もあります。
認知症の中核症状の場合、ゆるやかに進行します。
進行性であり、基本的に完治することはありません。
せん妄の症状の場合、突然あらわれ、短時間で症状が変動する場合がほとんどです。
調子の良い時と悪い時では症状の波が大きいことがあります。
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せん妄のその他の症状
せん妄の見当識障害以外の症状について、4つ解説します。
睡眠・覚醒リズムの障害
せん妄が起こると、昼夜逆転などの睡眠障害が起こりやすくなります。
覚醒レベルの変動が大きいことが理由とされています。
活発な方が、突然眠気を催すなどがみられる場合もあります。
目が開いていても意識は半分眠っていたり、眠っていても身体が動いたりすることもあります。
幻覚・妄想
幻覚は、存在しないものが見える状態です。
部屋に知らない人がいると訴えることがあります。
妄想は、出来事を捻じ曲げて解釈する状態です。
自分が財布を置き忘れたにもかかわらず、財布を盗まれたと訴えることがあります。
理解力や注意力の低下により、些細な見間違いや物忘れを、事実と異なる形で処理してしまいます。
記憶障害
治療や検診時間を忘れてしまうなどの記憶障害も起きます。
新しい情報を正しく処理できないために、予定を覚えられないこともあります。
情動・気分の障害
情緒不安定になり、人格が変化したように見えることもあります。
興奮や攻撃性、不安、イライラなどがあらわれます。
活発な方が、内向的、活動性の低下などで元気がなくなることもあります。
せん妄になると、始終ぼんやりして、表情が乏しくなることも珍しくありません。
せん妄によって、急に時間や場所の認識に異常が起こる、または急に無気力になってしまう、高齢者の方がいます。もし、家族や周りの方にせん妄の症状が現れた場合、どのように対処すればよいのでしょう?今回はせん妄について以下の項目を中心に解[…]
せん妄が起こる原因とは
せん妄の主な原因について、4つ解説します。
原因疾患
せん妄は、疾患を原因として発症することが一般的です。
主な疾患は以下の通りです。
- 脱水症状
- 便秘
- 認知症
- 心疾患
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 癌
複数の疾患が絡み合って、せん妄を発症することもあります。
疾患の治療により、せん妄の消失が期待できます。
加齢
高齢になるにつれ、せん妄のリスクは高まります。
脳の老化や、さまざまな疾患を併発しやすいためだといわれています。
老眼鏡や補聴器が身体に合わず、不快感からせん妄を発症することもあります。
薬の副作用
治療の薬が、せん妄を引き起こすこともあります。
服用の中止によって、せん妄が起こる場合もあります。
違法薬物やアルコール依存症の副作用としても、せん妄はあらわれます。
手術・入院など
強いストレスは、せん妄の発症原因の一つです。
手術や入院は、心身に強いストレスがかかります。
入院中の環境に適応できず、混乱することで、せん妄が起こる場合もあります。
引っ越しや部屋の模様替えなどで、環境が大きく変化することも、せん妄の原因になるといわれています。
せん妄を改善するには
せん妄の改善方法を、3つ解説します。
薬の中止
薬が原因である場合は、服用を中止しましょう。
疾患の治療状況によっては、服用を中止できないこともあります。
自己判断で薬を止めず、かかりつけ医や薬剤師と必ず相談してください。
睡眠・覚醒リズムの改善
せん妄では、覚醒レベルが夜に活発化し、昼に減退する傾向が見られます。
覚醒レベルのリズムを整えることで、睡眠障害の改善をはかることが出来ます。
環境の調整
日付や時間、場所を認識できるようにすることで、見当識障害などの改善がみられることがあります。
「12時ですね。もうすぐお昼ごはんですよ。」などの声掛けが効果的です。
目につきやすい場所に、カレンダーや時計を設置することも良いでしょう。
視覚や聴覚への適度な刺激によって、せん妄の改善が期待できます。
生活リズムを整えるためにも、昼間はラジオなどを活用し、聴覚と視覚に刺激を与えましょう。
視力や聴力の低下により、せん妄が起こっている可能性もあります。
メガネや補聴器などを利用して、目や耳の働きをサポートしましょう。
まとめ:見当識障害とせん妄
ここまで、見当識障害とせん妄に関する情報をお伝えしてきました。
- 見当識障害はせん妄の症状でもある
- せん妄の見当識障害以外の症状は、幻覚・妄想、睡眠障害、記憶障害などがある
- せん妄を発症する原因は、疾患、加齢、薬など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。