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健達ねっと>健康お役立ち記事>パーキンソン病>パーキンソン病患者はなぜ便秘になるの?原因や解消法を徹底解説!

パーキンソン病患者はなぜ便秘になるの?原因や解消法を徹底解説!

実はパーキンソン病の方のうち、約7割~8割の方が便秘に悩んでいらっしゃいます。
パーキンソン病が便秘を引き起こす原因はさまざまですので、適切に対処することが大切です。

本記事では、パーキンソン病と便秘について、以下の点を中心にご紹介します。

  • パーキンソン病で便秘になる原因
  • パーキンソン病による便秘の解消法
  • 便秘の解消におすすめの食べ物

パーキンソン病の便秘の対策のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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パーキンソン病とは

疑問

パーキンソン病とは、脳内神経伝達物質の不足により、身体が動かしづらくなる疾患です。
代表的な症状は「運動症状」ですが、そのほかにも「非運動症状」という精神的な症状があらわれることもあります。

具体的な症状は以下の通りです。

  • 静止時振戦(安静時に手足が震える)
  • 筋固縮(筋肉が硬直し、手足が曲げ伸ばししにくくなる)
  • 無動(動作が遅く・小さく・少なくなる)
  • 姿勢反射障害(身体のバランスが保てなくなる)
  • うつ・幻覚・妄想などの非運動症状
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パーキンソン病患者の便秘の原因

パーキンソン病では、運動症状や非運動症状の他にも、さまざまな症状があらわれます。
その中でもとくに目立つ症状が便秘です。

パーキンソン病で便秘が起こりやすい原因について解説します。

運動不足

運動が不足すると、便秘のリスクが高まります。
理由は、運動不足になると腸の働きが悪くなり、かつ便を押し出す腹筋が弱くなるからです。

パーキンソン病になると、動作が緩慢化する「無動」という症状があらわれます。
なにをするにも動作が遅くなるため、運動に対する意欲が萎えてしまい、自然と運動量が減りやすくなります。
よって、腸の働きや腹筋が低下してしまい、便秘になりやすくなります。

あるいは、無動によってトイレに行くのを我慢するのも、便秘の原因の一つです。
パーキンソン病の方は、ゆっくりしか歩けないため、便意を感じてもすぐにトイレに行けないことが多いです。

よって、便意を感じてもトイレを我慢する場合があります。
便意の我慢を繰り返すと、直腸の働きが鈍くなるため、そのうち便意そのものを感じにくくなります。

便意を感じにくくなると、排便の機会が少なくなるため、気づかないうちに便秘が進行してしまいます。

自律神経失調

パーキンソン病では、自律神経失調が起こりやすいです。
自律神経失調とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることです。

自律神経は、腸の蠕動運動をコントロールすることで、便を肛門に導きます。
一方、自律神経失調が起こると、腸の働きが弱くなるため、便が腸内にとどまりやすくなります。

具体的には、交感神経の働きが優位になると、便秘のリスクが高まります。
交感神経は緊張を司る神経です。

一方、副交感神経はリラックスを司る神経です。
便意を催すのは、心身がリラックスしているときが一般的です。

しかし自律神経失調によって交感神経が優位になると、つねに心身が緊張状態になるため、便意を催しにくくなります。

筋固縮による筋力低下

パーキンソン病になると、腹筋を含む全身の筋肉が硬直し、自由に動かしづらくなります。
腹筋が動かしづらくなると、便を押し出す力が弱まります。
よって、便意を感じても十分な排便が困難となり、便秘に至ります。

あるいは、筋固縮によって肛門括約筋の制御が難しくなるのも便秘の原因の一つです。
肛門括約筋(こうもんかつやくきん)は、肛門の蓋のようなもので、便漏れを防ぐ役割があります。

筋固縮が起こると、肛門括約筋が硬直しやすくなります。
つまり排便時に肛門の蓋が開きにくくなるため、排便を困難にしてしまうのです。

食事のバランス・量の減少

食事の量が減少したり、バランスが偏ったりすると、便秘のリスクが高まります。
理由は、便が形成されづらくなるためです。

とくにパーキンソン病の方は、食事や水分の摂取量が減りやすい傾向が見られます。
食事量が減る理由の一つは、トイレの回数を減らすためです。

パーキンソン病の方は、一つ一つの動作が遅いため、尿意・便意を感じてもすぐにトイレに行くことが難しいです。
よって、トイレそのものの回数を減らそうとして、食事の量を減らしたり、水分を控えたりする場合があります。

食事量が減ると、便のカサが少なくなるため、排便が困難になります。
とくに野菜などの食物繊維の摂取量が減ると、便が形成されにくくなります。

おなじく水分摂取量の減少も、便秘に大きくかかわります。
腸内の水分が減ると、便が固くなり、排出されづらくなるからです。

薬の副作用

パーキンソン病の治療薬の中には、副作用として便秘を引き起こすものもあります。
とくに「抗コリン薬」などには、腸の蠕動運動を抑制する作用があり、便秘のリスクを高めます。

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便秘を解消するためには

パーキンソン病による便秘の解消法について解説します。

定期的な運動

定期的な運動は、便秘の解消につながります。
運動すると、腸が伸縮するため、刺激されて排便が起こりやすくなるからです。

また、運動すると腹筋が鍛えられるため、便を押し出す力が強くなります。
とくに、腹筋運動は便秘解消に有効です。

ただし、パーキンソン病の方は身体が動かしづらいため、腹筋のようなハードな運動は難しいです。
無理をする必要はなく、それぞれの状況にあわせた運動法を考えてください。
たとえばゆっくり散歩したり、軽い体操を行ったりするのも良い方法です。

運動には便秘解消効果だけでなく、ドパミン量を増やしてパーキンソン症状を改善する効果もあります。

ストレス低減

ストレスは、自律神経失調を招くことがあります。
よって、ストレスを解消し自律神経の働きを活性化させることで、便秘の予防・改善が期待できます。

とくにパーキンソン病の方は、病気や将来への不安から、ストレスが溜まりやすいです。
生きがいや趣味を見つけて、前向きに毎日を送れるように心がけましょう。

下腹部の温め

下腹部を温めると、血行が促進されるため、腸が活発化します。
腸の動きがよくなると、便秘の予防・解消が期待できます。

具体的には、毎日お風呂に浸かって、身体を温めるようにしましょう。
湯たんぽやカイロをお腹にあてるのも良い方法です。

また、マッサージも腸の血行をよくしてくれます。
自宅でできるマッサージ方法は以下の通りです。

1.仰向けになり、膝を軽く曲げる

2.両手をお腹の上に重ねる

3.ヘソを中心にして、時計回りにお腹を指先で優しく押す

薬の服薬

便秘薬を服用するのも一つの方法です。
ただし、「酸化マグネシウム系」の便秘薬には注意してください。

酸化マグネシウムは、パーキンソン病の治療薬の効果を弱めることがあります。
とくに、パーキンソン病の中心的な治療薬「L-ドパ」とは飲み合わせが悪いです。

また、便秘薬を服用する場合は、排便リズムを考えることも大切です。
パーキンソン病の方は、便意を感じてもすぐトイレに行けないこともあるからです。
便秘薬の効果が出る時間を逆算し、トイレに行きやすい状況下で便意を催すように工夫しましょう。

いずれにしろ、便秘薬とパーキンソン病の治療薬を併用する場合は、まず医師や薬剤師に相談するのが望ましいです。

トイレの習慣づけ

便秘解消には、毎日の排便リズムを整えることが大切です。
具体的には、なるべく毎日同じ時間にトイレに座りましょう。

トイレに座るのは、朝食後がおすすめです。
朝食後は、腸が活発に動き始めるタイミングだからです。

便意を感じなくても、とりあえずトイレにゆっくり座ってみることが大切です。
便意を感じない場合は、無理をせず、2~3分でトイレを出てかまいません。

食事内容の工夫

パーキンソン病による便秘を改善するには、食事内容を工夫して排便を促す必要があります。
パーキンソン病によって移動が困難になると、トイレも面倒となり食事や水分を控えることがあります。

パーキンソン病の便秘解消には、まず食事内容の見直しが必要です。
便秘解消には食物繊維や腸内細菌が重要な役割を果たします。

食物繊維の補給には、野菜や果物、海藻などがオススメです。
また、豆類にも豊富に食物繊維が含まれています。

腸内細菌活性化のために、乳酸菌を始めとする菌類を腸内に届けることが大切です。
納豆菌を含む納豆や、乳酸菌を含むヨーグルトやチーズ、発酵食品である味噌や漬け物を積極的に食卓に取り入れていきましょう。

また、パーキンソン病では自律神経が乱れてしまい汗を掻きやすい場合があります。
特に夏場では、気付かないうちに水分不足となり便が固くなってしまいます。

パーキンソン病の便秘対策にオススメな食材は以下の通りです。

  • 野菜類
  • 果物類
  • 豆類
  • 納豆
  • ヨーグルトやチーズなど発酵乳製品
  • キムチやぬか漬けなど漬け物
  • 水分

便秘を解消するおすすめの食事

便秘解消に役立つのは、「食物繊維」が多い食べ物です。
食物繊維は、腸内に存在する善玉菌のエサになります。

善玉菌の活動が活発化するため、腸内環境が整い、便秘を解消しやすくなります。
また、食物繊維には便のカサを増やす作用も期待できます。

まず前提として、食物繊維には、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。

不溶性食物繊維は便のカサを増やし、便を形成しやすくする効果があります。
一方、不溶性食物繊維は、摂りすぎると便が硬くなり、かえって便秘の原因となることがあります。

そこで役に立つのが水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維は、便に水分を与える効果があります。
つまり、便を柔らかくするため、スムーズな排便を期待できます。

便秘解消が目的ならば、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は1:2の割合で摂取しましょう。

なお、それぞれの食物繊維が豊富な食べ物は以下の通りです。

【不溶性食物繊維が豊富な食品】

  • さつまいも
  • きのこ
  • ごぼう
  • 大根
  • ブロッコリー
  • 押し麦

【水溶性食物繊維が豊富な食品】

  • バナナ
  • りんご
  • みかん
  • わかめ・昆布・寒天などの海藻類
  • 白菜 
  • もやし

ここで、パーキンソン病の便秘解消に役立つレシピを2つ紹介します。

【押し麦とツナのミルクリゾット】

  • 押し麦 50g
  • ツナ水煮 30g
  • 顆粒コンソメ 1.5g
  • 水 200ml
  • 牛乳 50ml
  • バター  8g

1.サッと洗った押し麦を深めの耐熱ボウルに入れ、30分以上水に浸ける
2.1の耐熱ボウルにツナ・牛乳を入れてラップし、レンジで5分加熱する
3.取り出してよく混ぜ、牛乳とバターを加えて再度2分加熱する
4.  10分蒸らして完成

出典:https://healthcare.ds-pharma.jp/disease/parkinson/kitchen/recipe/risotto.html

【アボカドセーキ】

  • アボカド 80g(約1/2個)
  • 牛乳 100ml
  • 砂糖 18g
  • レモン汁(好みで)

1.アボカドの種と皮をとる
2.全ての材料をミキサーに入れて、攪拌する

出典:https://healthcare.ds-pharma.jp/disease/parkinson/kitchen/recipe/shake.html

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パーキンソン病患者の便秘のまとめ

まとめ

ここまで、パーキンソン病の便秘についてお伝えしてきました。

要点を以下にまとめます。

  • パーキンソン病で便秘になる原因は「運動不足」「筋力の低下」「食事量の減少」「自律神経失調」など
  • パーキンソン病による便秘の解消法は、「適度な運動」「食事の見直し」「ストレスの解消」「便秘薬の服用」など
  • 便秘の解消には食物繊維が豊富な食べ物がおすすめ

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

薬の使い方

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
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  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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