パーキンソン病にはリハビリが有効ですが、やり方を間違えるとかえって症状が悪化することも。
望まぬ悪化を防ぐには、パーキンソン病のリハビリの「禁忌」を知ることが大切です。
本記事では、パーキンソン病のリハビリの禁忌について、以下の点を中心にご紹介します。
- パーキンソン病とは
- パーキンソン病のリハビリの禁忌
パーキンソン病のリハビリの禁忌対策のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の異常により、身体が動かしづらくなる疾患です。
発症原因は、脳内のドパミンが減少することです。
ドパミンは神経伝達物質の一種で、脳の情報伝達を助けます。
ドパミンが不足すると脳と筋肉の情報伝達に支障が出るため、身体が動かしづらくなります。
パーキンソン病の主な症状は、手足の震えや筋肉の硬直といった「運動症状」です。
うつや自律神経失調、便秘などの「非運動症状」があらわれることも多いです。
【パーキンソン病の主な症状】
- 手足の震え(静止時振戦)
- 筋肉のこわばり(筋固縮)
- 身体のバランスが取れない(姿勢反射障害)
- 動きが遅く・小さくなる(無動)
- うつ
- 自律神経失調(めまい・発汗・たちくらみ など)
- 便秘
パーキンソン病について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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パーキンソン病のリハビリの禁忌
パーキンソン病は、リハビリ次第で進行緩和や悪化の予防が期待できます。
しかし、禁忌とされるリハビリを行うと、かえって症状を悪化させることがあります。
パーキンソン病は進行性の疾患であり、基本的に完治は望めません。
よって、禁忌でないリハビリによって、進行を的確にコントロールすることが大切です。
ちなみに、主な禁忌は「過度な運動」「的を絞らないリハビリ」「患者の意思を無視したリハビリ」「継続性のないリハビリ」などです。
それぞれの禁忌項目について詳しく解説します。
過度に運動をする
過度な運動は、パーキンソン病の方にとって禁忌です。
なぜなら、パーキンソン病の方には、なるべく運動したくないという傾向がみられるからです。
それなのに、無理な運動を強要されると、運動へのモチベーションはますます下がってしまいます。
パーキンソン病の方が運動をしたくない理由は、やはり身体の不自由さにあります。
身体が自由に動かないと、やがて身体を動かすこと自体が億劫になりやすいのです。
実際に、パーキンソン病を発症し、運動量が減ったという方はたくさんいらっしゃいます。
リハビリのストレスが大きい場合は、リハビリそのものを投げ出してしまう可能性があります。
また、無理な運動は転倒やケガにつながることも多く、寝たきり状態という本末転倒な結果を招くこともあります。
よって、パーキンソン病の方には、無理に過度な運動をさせるのはよくありません。
もう一点、過度な運動がリハビリに禁忌とされる理由があります。
それは、過度な運動が筋力低下を招くことです。
筋力の低下は、パーキンソン病の急激な悪化につながるおそれがあります。
実際に、ALSの方が過度な筋トレを行った結果、症状が急激に悪化するという出来事が起こっています。
ALSは「筋萎縮性側索硬化症」といい、パーキンソン病とは異なる疾患です。
しかし、筋肉に異常が起こるという点では、パーキンソン病と共通するところも多いです。
そのため、パーキンソン病の方の過度な運動は、ALSの方と同様に、筋力の低下を招く可能性が高いです。
複数のポイントを気にかける
的を絞らないリハビリは、パーキンソン病の悪化予防においては禁忌項目です。
多くの内容を盛り込んだリハビリは、思うような結果が出なかったり、パーキンソン病の方の負担になったりするおそれがあるからです。
特に、「早く成果を出したい」という思いが強いと、あれもこれもと内容を詰めてしまいがちです。
しかし、内容を詰め込みすぎると、一つ一つのリハビリがおろそかになる可能性があります。
つまり、頑張っているのに結果が出ないという状況になりやすいのです。
また、リハビリの目的と、実際のパーキンソン病の方の身体状況があまりにかけ離れていても、満足のいく結果は得られません。
ただ身体が疲れるだけで、パーキンソン病の方のモチベーションを下げる可能性もあります。
よって、パーキンソン病のリハビリにおいては、一度にたくさんのポイントを盛り込むのは禁忌行為です。
まずは確実な成果が出せるよう、目標設定を正確に行いましょう。
そして、一つずつポイントをおさえたリハビリ計画を立てることが重要です。
本人の意思を尊重せず行う
本人の意思・尊厳を無視したリハビリも、禁忌項目の一つです。
本人が「やりたくない」と思うのには、なんらかの理由があるからです。
たとえば痛みがある場合、リハビリのレベルがあっていない可能性があります。
あるいは担当の方との相性が良くなければ、リハビリに身が入らず、思うような結果が得られないかもしれません。
リハビリ計画を立てる上で大切なのは、まず「パーキンソン病の方がどうしたいか」を念頭に置くことです。
本人の言葉に耳を傾け、最適なリハビリ計画を一緒に立てていきます。
本音を聞き出すためには、本人とリハビリスタッフの十分なコミュニケ―ションも必要です。
リハビリは本人とスタッフの二人三脚と考え、双方が納得のいく内容を考えてみましょう。
継続せず断続的に行う
パーキンソン病のリハビリにおける禁忌項目として、「継続性のないリハビリ」が挙げられます。
リハビリの頻度が低い場合、身体機能が一時的に回復しても、次のリハビリまでにまたゼロの状態に戻ってしまうからです。
反対に、毎日少しずつでも身体を動かすと、筋力や身体の柔軟性を高い状態で保ちやすくなります。
また、リハビリを継続するのはドパミン分泌の上でも重要です。
パーキンソン病の方は、一回当たりのドパミンの分泌量が少ない傾向があります。
しかし、運動の回数を増やすと、ドパミンの分泌量をトータル的に増やすことができます。
よって、パーキンソン病の悪化予防のためには、小さな運動をこまめに繰り返すことが大切です。
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リハビリ用ロボットスーツHALとは
「HAL」とは世界初のリハビリ用サイボーグロボットです。
具体的には、歩行障害がある方などの自立動作支援を行います。
HALは腰から下にベルトで装着します。
形状は、履くタイプのサポーターを想像するとよいでしょう。
HALの使用目的は、下肢を使った運動のサポートです。
たとえば、円滑な立ち上がりや歩行、階段の昇降などが可能になります。
人が動こうとするときには、神経を通じて、脳から筋肉に電気信号が出されます。
HALは、電気信号を肌や筋肉から読み取ることで、下肢の動きをアシストしてくれます。
HALを装着すると、パーキンソン病の方や歩行障害のある方でも、自立した歩行が可能になります。
しかし、HALにばかり頼りすぎると、本人が本来持っている歩く力が低下してしまいます。
そのためHALは、リハビリの一環として取り入れるのがおすすめです。
HALを装着して、歩く感覚や筋力を鍛えながら、一人で歩くための力を身に着けるのです。
また、HALによって「もう一度歩ける」という自信を取り戻すと、リハビリへのモチベーションも上がりやすくなります。
パーキンソン病のリハビリの禁忌のまとめ
ここまで、パーキンソン病のリハビリの禁忌についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- パーキンソン病は、脳の異常によって身体が動かしづらくなる疾患
- パーキンソンの病のリハビリにおける禁忌は、「過度な運動」「的を絞らないこと」「患者の意思を無視すること」「継続性がないこと」
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。