ストレスがたまると下痢になるという方も多くいらっしゃいます。
実は、ストレスが下痢を引き起こすのは、自律神経に障害が起こっているからなのです。
今回は、下痢と自律神経の関係について解説します。
- 下痢と自律神経の関係
- 自律神経障害による下痢の対策
自律神経と下痢の対処のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
自律神経について興味がある方は下記の記事も併せてお読み下さい。
自律神経とは、内臓や代謝、体温といった体の機能を24時間体制でコントロールする神経のことです。心と体を活発にする交感神経と、休ませる副交感神経がバランスを取りながら、私たちの体を支えています。自律神経が不調をきたしたり乱れたりす[…]
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自律神経と下痢の関係
原因不明の下痢が続く場合は、自律神経障害が疑われます。
自律神経障害によって下痢が起こる理由は、自律神経が消化器官のコントロールに関わるからです。
自律神経は、内臓や血管の働きをコントロールする神経系です。
胃腸の働きも、自律神経によって制御されています。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類から成り立ちます。
交感神経は心身の働きを活発化させる働きがあり、副交感神経には心身をリラックスさせる作用があります。
交感神経が優位になると、全身が緊張状態になるため、腸の働きは抑制されます。
たとえば腸機能の低下に伴い、大腸では便から水分を吸収する働きが鈍ります。
便から水分が吸収されないと、便はかなり緩い状態で排泄されることになります。
すなわち、下痢が起こるわけです。
自律神経障害が起こると、交感神経が優位になりがちです。
交感神経が優位になり、腸の働きが低下するため、下痢が起こりやすくなるのです。
反対に、自律神経のバランスが整っていれば、腸の働きも正常になるため、排便にも問題は起きにくくなります。
自律神経障害が起きる原因は、ストレスのほか、生活習慣の乱れや運動不足などが代表的です。
とくに、ストレスは自律神経系に大きな影響を持つため、下痢を引き起こす主な要因の一つでもあります。
ストレスがたまると下痢になるという方も多いのではないでしょうか。
ストレスが下痢を引き起こすのは、ストレスが自律神経のバランスを乱し、腸の働きを低下させるからなのです。
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過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、腸に疾患や病変がないにもかかわらず、慢性的な便通異常が続く状態です。
主な原因として、ストレスによる自律神経障害のほか、感染性腸炎や食物などがあります。
過敏性腸症候群は、症状のあらわれ方によって4つのパターンに分類されます。
慢性下痢型
慢性下痢型は、突然下痢症状におそわれるタイプです。
急に激しい腹痛が起こり、水のような下痢が出ます。
とくに、不安や緊張を感じたときに腹痛が始まることが多いです。
排便後は腹痛・下痢は収まりますが、一日に何度も症状を繰りかえすことも少なくありません。
そのため、外出先で腹痛に襲われるかもしれないという不安を感じやすく、外出にストレスを感じる方もいらっしゃいます。場合によっては、ライフスタイルや仕事に悪影響を与えることもあります。
「神経性下痢」と呼ばれることもあり、比較的男性に多い症状です。
便秘型
便秘型は、慢性的な便秘が続く状態です。
しばしば腹部の痛みや膨満感を伴います。
便は、ウサギの糞のように、小さくてコロコロした形であることが多いです。
強く息まないと便が出ないことが多く、出たとしても残便感があります。
便秘型は比較的女性に多い症状です。
息むことが多いため、いぼ痔や切れ痔のリスクが高いのも特徴です。
不安定型
不安型は、便秘と下痢を数日単位で繰り返すタイプです。
くわえて、激しい腹痛や腹部の不快感を伴うのが大きな特徴です。
便秘と下痢の割合は、どちらかに偏ることが多いです。
たとえば一週間便秘が続いた後、2~3日下痢になり、また便秘を繰り返す…などのケースがみられます。
便秘の期間はとくに腹部の膨満感や痛みが強いのが、不安定型の特徴です。
また、便意はあるのに便が出ないという状態が数日続くこともあります。
不安定型は、「交代制便通異常」とも呼ばれます。
分泌型
分泌型は、強い腹痛の後に大量の粘液が排出されるタイプです。
特に、排便の前後に下腹痛を感じることが多いです。
「何となく疲れやすく体調が悪い。」「イライラしたり、気持ちが落ち込んだりする。」気になって病院で検査しても異常がないと言われる。それはもしかすると、自律神経失調症かもしれません。ストレス社会では、自律神経失調[…]
腸と自律神経を整える方法
下痢は突然起こることが多いため、外出や通勤に不安を感じることも少なくありません。
安心して日々を過ごすためにも、早く治したいという人が多いでしょう。
自律神経障害による下痢を治すには、自律神経のバランスを整えることが大切です。
自律神経を整えるには、生活リズムを正すことや、ストレスを軽減するのが有効です。
あるいは、腸内環境を整えるのも、自律神経を整えるうえで効果的です。
自律神経や腸を整えるための対策は、自宅で自分一人でできるものも多いです。
ストレスによる下痢に悩んでいる方は、ぜひ以下の方法を試してみてください。
起床後のコップ一杯の水と朝食
起床後に腸を刺激することで、排便を促す方法です。
腸内に溜まった便を排出することで、腸の働きが活発になるため、自律神経のバランスが整いやすくなります。
通常、睡眠中は副交感神経が優位であり、起床すると交感神経に切り替わります。
しかし、起床直後は副交感神経が優位です。
よって、交感神経に切り替わる前に腸を刺激すると、スムーズな排便を期待できます。
腸を刺激するには、飲水や朝食をとることが効果的です。
特に、起床直後にコップ一杯の水を飲むと、腸が直接刺激されやすいため、排便が起こりやすくなります。
水を飲むときは、なるべく一気飲みが望ましいです。
一気に水を流し込むことで、腸に刺激が届きやすくなります。
一気飲みできるよう、水の温度にも注意しましょう。
常温か、やけどしない温度の白湯がおすすめです。
また、朝食はしっかりとりましょう。
適切な量の朝食を摂ることで、腸に溜まった便が上から押し出されやすくなるからです。
さらに、朝食には体内時計をリセットし、自律神経のリズムを整えやすくする効果もあります。
ビタミン・ミネラルの摂取
ビタミンやミネラルには、腸内環境を整える効果があります。
特に、ビタミンCやビタミンB2・B6は腸内の善玉菌のエサとなるため、積極的に摂取しましょう。
おなじくミネラルの摂取も重要です。
ただし、腸内環境が悪い状態では、ミネラルを単体で摂取してもうまく吸収されません。
そこで、ミネラルはプレバイオティクスと一緒に摂取するのがおすすめです。
プレバイオティクスとは、腸内で直接善玉菌のエサになる栄養です。
具体的には、オリゴ糖や食物繊維を多く含む食品がプレバイオティクスに該当します。
その他にも、善玉菌を増やす作用があるヨーグルトや発酵食品も積極的に摂取すると良いでしょう。
ビタミンやミネラルを摂取できる食品は、野菜や根菜、海藻などです。
インスタント食品などが多い食生活は、栄養が偏り、腸内環境が乱れがちです。
バランスの良い食事を心がけると、腸内環境が改善されるため、自律神経のバランスも整いやすくなります。
仮眠
適度な仮眠には自律神経を整える作用があります。
具体的には15~30分程度の昼寝がおすすめです。
自律神経障害は交感神経が優位になる状態です。
一方、睡眠を取ると副交感神経が優位になるため、心身の緊張がほどけて自律神経のリズムが整いやすくなります。
一つ注意したいのは、仮眠の時間です。
長すぎる仮眠は、夜の寝つきを悪くします。
かえって睡眠リズムを崩すこともあるため、くれぐれも寝すぎには気を付けましょう。
軽い運動
適度な運動は全身の緊張をほぐすため、ストレスを解消する効果があります。
また、運動すると腸が刺激されるため、便通の改善も見込めます。
軽い運動とは、ウォーキングや水泳などの有酸素運動が該当します。
激しい運動はかえって心身に負担をかけるため、自律神経障害の方は控えましょう。
運動は、夕方以降に行うのが最も良いとされています。
夕方に運動すると、セロトニンという安眠ホルモンが分泌されるため、良質な眠りを得やすくなるためです。
質の良い眠りは自律神経を整えるのに効果的です。
寝る前に運動で適度に疲労しておくのは、安眠を得るうえでとても良い方法です。
ただし、寝る直前の運動は、かえって寝つきを悪くします。
運動は就寝時間の2~3時間前に終わらせておくのが良いでしょう。
夕食の量と時間
夕食は、翌朝の便通を左右する大切な要素です。
具体的には、就寝前3時間前までに、軽めの夕食を済ませましょう。
理由は、就寝中に胃に物が入っていると、消化器官に負担がかかるためです。
つまり便通トラブルが起こりやすくなるため、なるべく胃腸の負担を減らすことが大切なのです。
そこで、夕食は朝・昼に比べて量を少なくしましょう。
ただし、食事の量を減らすと便のカサが減ってしまい、かえって便通が悪くなります。
便のカサを増やすためには、野菜や海藻などの食物繊維を多めに摂ることが大切です。
また、夕食後は、なるべくリラックスして過ごしましょう。
眠る前に副交感神経を活発化させておくことで、翌朝にスムーズな排便が期待できます。
自律神経障害のその他の症状
自律神経障害は、下痢以外にもさまざまな症状があらわれます。
代表的な症状を紹介します。
片頭痛・緊張性頭痛
片頭痛は、頭の片側・あるいは両側に頭痛が起こる症状です。
顔面や目の奥が痛むこともあります。
ドクドクと脈打つような痛みが特徴的です。
原因ははっきり解明されていませんが、一説にはストレスとの関連性が指摘されています。
一方、緊張性頭痛は、肩・首・背中などの凝りを原因とします。
痛みの程度は個人差がありますが、一般的には頭を締め付けられているような痛みを感じます。
緊張性頭痛は、時々頭痛が起こる「反復性」と、ほぼ毎日起こる「慢性」に分類されます。
肩・首凝りに加え、精神的ストレスが加わると、慢性になりやすいです。
咽喉頭異常感症
のどが詰まるような感覚があり、ツバ・食べ物が飲み込みづらくなる症状です。
のどがイガイガしたり、くすぐったく感じたりすることもあります。
過換気症候群
息を吸いづらい感覚があり、呼吸数が過剰に増える状態です。
呼気によって二酸化炭素の排出が増えてしまうため、ときに命を脅かす症状を伴うこともあります。
具体的には手足・唇のしびれや、意識混濁・動悸などの症状がみられます。
線維筋痛症
全身に慢性的な痛みを感じる症状です。
痛みの部位や範囲、程度は個人差がありますが、ときに耐えがたい痛みが全身に広がる場合もあります。
自律神経を整えるツボとは?
実は、耳には自律神経を整えるツボが存在します。
そのため、耳をマッサージすると自律神経が整いやすくなります。
耳のマッサージは、全身の血行を促進します。
血流が良くなると副交感神経が優位になりやすいため、自律神経障害の軽減が期待できます。
【耳マッサージのやり方】
- 親指と人差し指で耳の上部をつまみ、斜め上に引っ張る(3回繰り返す)
- 同じ要領で耳の中央をつまみ、横に引っ張る(3回繰り返す)
- 耳たぶをつまみ、下に引っ張る(3回繰り返す)
- 耳全体を優しくもみほぐす
自律神経を整えるツボは、手にも2つ存在します。
1つ目は合谷(ごうこく)といい、手の甲に存在します。
具体的には、人差し指と親指の骨の付け根です。
やや人差し指側にあるため、優しく押して気持ちいいと感じる場所を探してください。
2つ目のツボは神門(しんもん)といい、手首近くにあります。
手のひらを自分に向けた状態で、小指側の手首のシワの少しくぼんだ部分が、ツボのある位置です。
ツボを押すときは、優しい力加減で行ってください。
痛いけれど気持ちいいと感じるくらいが適当です。
自律神経と下痢のまとめ
ここまで、自律神経と下痢についてお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 自律神経が障害されると、腸の働きが低下するため、下痢になりやすい
- 自律神経障害による下痢の対策は、起床後に水・朝食をとる、適度な運動、適度な仮眠、夕食の量と時間の調節などが有効
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。