「突発性難聴の初期症状について知りたい」
「突発性難聴になった場合、まずどうすればいいのだろう?」
突発性難聴は文字通り唐突に症状が現れるものなので、明確な初期症状がありません。
しかし、突発性難聴は症状の認識後いかに素早く処置/対応をするかが重要です。
そこで本記事では以下の点を中心に詳しくご紹介します。
- 突発性難聴の初期症状
- 突発性難聴の原因
- 突発性難聴の検査方法や診断
突発性難聴について知りたい、万が一なった場合どうすればよいか知りたいとお考えの方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
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突発性難聴とは
まずはじめに、突発性難聴について簡潔にご紹介します。
突発性難聴とは、明確な原因がないにもかかわらず突如、聴力に異常をきたし耳が聞こえにくくなる疾患です。
多くの場合、聞こえにくくなるのは片耳のみで、音がまったく聴き取れなくなる重度のものから、耳の詰まりを感じる程度の軽度のものまで、症状の度合いは多岐にわたります。
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突発性難聴の初期症状
突発性難聴には明確な初期症状はないとされています。
ある日突然、耳の聞こえが悪くなるのが特徴であり、その特徴が疾患名の由来になるとされているようです。
明確な初期症状を見つけづらい突発性難聴ですが、主な症状や原因についての研究は進められています。
以下で、突発性難聴の主な症状や原因、放置するリスクなどについて解説していきます。
突発性難聴の主な症状
次に、突発性難聴の主な症状について紹介します。
突発性難聴の主な症状としては、大きく以下の3点が挙げられます。
- 突然の聴力低下や難聴
- 耳鳴りやめまい
- 頭痛や吐き気、嘔吐
具体的にどういった状態かを解説します。
突然の聴力低下や難聴
突発性難聴の主な症状の1つ目は「聴力の異常」です。
突発性難聴の特徴として、前触れ/初期症状がほぼ見られない点と、症状は片耳のみで両耳に異常を生じる例は極めてまれである点です。
聴力の低下にも幅が見受けられ、音がまったく気取れなくなる重度の場合もあれば、耳が何となく詰まっているような違和感程度の場合もあります。
違和感程度の場合は気づきにくく、日常生活にも大きな支障をきたしにくいため、発見が遅れる場合もあるようです。
また、聴力の異常は、単純な聞こえづらさだけではなく、音が二重に聞こえるなどもあります。
耳の聞こえ方が普段と少し違うといった違和感を生じた場合は、別の症状が発生する前に早めに受診するのもよいかもしれません。
耳鳴りやめまい
2つ目は「耳鳴りやめまい」です。
めまいや耳鳴りを伴う耳の疾患で有名なものに、メニエール病があります。
メニエール病とは、回転性のめまいが10分間〜数時間程度、継続的に繰り返される特徴を持つ疾患です。
その他、めまいだけでなく、難聴なども伴う点も特徴として挙げられ、突発性難聴とメニエール病は似た症状を引き起こします。
違いとしては、メニエール病は繰り返す可能性がありますが、突発性難聴は繰り返し発症しない点です。
めまいや耳鳴りが生じた場合は、日常生活に支障をきたすリスクもあるため放置せず、早めに受診し医師の診断を受けましょう。
頭痛や吐き気、嘔吐
3つ目は「頭痛や吐き気、嘔吐」です。
頭痛や吐き気、嘔吐を引き起こす例はバラつきがあり、聴力異常やめまいのみで頭痛などは発症しない場合もあります。
頭痛や吐き気、嘔吐も基本的には繰り返しません。
突発性難聴の症状について、以下の記事でも詳しく解説しています。
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突発性難聴の原因について
突発性難聴の原因について解説します。
現状、突発性難聴の明確な原因はわかっていません。
ただし、仮説はいくつかあります。
主な仮説は以下の通りです。
- ウイルスの感染
- 内耳の血流障害
- ストレス
それぞれ解説していきます。
ウイルスの感染
1つ目の仮説は「ウイルスの感染」です。
ウイルスの感染が原因となる場合は、流行性耳下腺炎(ムンプス)によって片耳が重度の難聴になる場合があります。
その他、ヘルペスウイルス(帯状疱疹や単純ヘルペス)などのウイルスが、耳の内耳と呼ばれる部分に感染し、難聴や耳鳴りなどの症状を引き起こします。
内耳の血流障害
2つ目は「内耳の血流障害」です。
動脈硬化やごくわずかな出血、ストレスなどを原因として血管が収縮し、内耳の血流が悪くなり、障害を引き起こすのではないかとも考えられています。
耳は、外耳/中耳/内耳の3つの部分に分かれており、それぞれ働きが異なります。
内耳は耳の最も奥にあり、聴神経などにもつながっており、平衡感覚等にも影響を与える点が特徴です。
ストレス
3つ目は「ストレス」です。
ストレスにより交感神経の働きが活性化されると、血管の収縮により内耳の血流が悪化し、突発性難聴を引き起こすリスクがあります。
また、ストレスによって免疫機能が低下すると、内耳の障害を引き起こすウイルスが活性化し、突発性難聴につながる可能性もあるため注意しましょう。
突発性難聴の原因について、以下の記事でも詳しく解説しています。
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突発性難聴を放置するリスク
本項目では、突発性難聴を放置するリスクについてご紹介します。
突発性難聴は放置すると、完治する可能性が低下するため注意が必要です。
突発性難聴の治療後の状態は以下の3つに分かれます。
治癒 | 1/3 |
改善するが、聴力は低下 | 1/3 |
回復せず | 1/3 |
突発性難聴にかかわらず、急性の聴力異常/聴力疾患は早期治療が重要です。
放置すると、完治する可能性が低下するだけでなく、別の疾患を引き起こすリスクもあります。
突発性難聴は症状が軽度であったり、高齢だった場合は気がつきにくい場合が多いです。
少しでも違和感を感じた場合は後回しにせず、早めの受診を心がけてください。
突発性難聴でやってはいけないことについて、以下の記事で詳しく解説しています。
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突発性難聴の検査方法や診断について
突発性難聴の検査方法や、診断について解説します。
突発性難聴を診断する主な検査は、以下の通りです。
- 聴力検査
- 耳鼻咽喉科検査
- MRI検査
- 血液検査
聴力を直接検査する方法や、脳や耳、喉等を検査する方法、免疫力や感染症を血液から診断するなど、検査の種類は幅広いです。
突発性難聴の診断基準には、以下のようなものがあります。
- 急激な聴力低下が起こる
- 耳鳴り/めまい/頭痛など、他の症状を伴っている
- 耳鼻咽喉科検査で、耳の内部に異常がみられない
- 突発性難聴以外の疾患が原因として除外された
検査と診断基準を複合的に判断し、突発性難聴か否かが診断されます。
突発性難聴の治療方法について
突発性難聴の治療法の方について解説します。
代表的な治療方法は以下の通りです。
- ステロイド治療
- 血管拡張剤治療
- 高気圧酸素療法
- その他の治療法
また、治療法だけでなく気をつけるべき副作用についても解説します。
ステロイド治療
1つ目は「ステロイド治療」です。
ステロイド治療には、全身投与と鼓室内投与の大きく2つの方法があります。
全身投与では、炎症を抑える働きのあるステロイドを内服薬もしくは、点滴で投与する治療方法です。
主には外来通院の実施ですが、ステロイドには血糖値を上昇させるリスクがあるため、糖尿病の既往をお持ちの方は入院し治療する場合もあります。
鼓室内投与は、耳の鼓室と呼ばれる部位に注射でステロイドを投与する方法です。
鼓室内投与は、全身投与で聴力の改善を認められない場合に使用されることが多いです。
血管拡張剤治療
2つ目は「血管拡張剤治療」です。
血管を拡張し、内耳の循環を良くする血管拡張薬や、血液の流動性を高め血流を改善する血液粘度低下薬やビタミン薬を組み合わせた治療方法です。
突発性難聴の治療の柱は、ステロイド治療と考えられており、血管拡張剤療法はステロイド治療と併用し、より効果を高めるための方法として用いられます。
高気圧酸素療法
3つ目は「高気圧酸素療法」です。
高気圧酸素療法とは、高い圧力をかけられた特殊なカプセル内で過ごし、内耳の血流を改善させ聴力の回復を目指す治療方法です。
高気圧酸素治療法は、単体での実施もステロイド治療との併用もできます。
諸事情により、ステロイド治療が実施できない方でも実施できます。
高気圧酸素治療法は比較的新しい治療方法であり、比較的高額ですが、高額療養費制度の使用が可能であるため、負担額を軽減して受診可能です。
その他の治療法
4つ目は「その他の治療法」です。
最新の治療方法として、人工内耳を使用した治療も始まっています。
人工内耳とは、対外部分のマイクで拾った音を電気信号に変換し、耳の蝸牛と呼ばれる部位に挿入した電極で聴神経を直接刺激し、脳に音を伝える装置です。
仕組みとして、音が外耳や中耳を経由せず、聴神経を直接刺激します。
そのため、突発性難聴により内耳に問題が生じていても、聴神経や脳が機能していれば音を聞き取れます。
副作用について
副作用についても解説します。
突発性難聴の治療に用いられるステロイドには副作用があります。
副作用はステロイドを使用した全ての方に認められるものではなく、薬の量や内服期間など様々な要因が複合的に関係するため個人差が大きいです。
治療中に違和感を感じた場合は自己判断をせず、必ず主治医に相談し今後の治療計画について相談して進めていきましょう。
突発性難聴の治療方法について、以下の記事でも詳しく解説しています。
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突発性難聴の予防方法について
突発性難聴の予防方法について解説します。
突発性難聴の原因は明確には明らかになっていませんが、日頃からのセルフケアや意識によって心身/耳を健康な状態に保つのは重要です。
心身/耳の状態を健康に保つポイントは以下の通りです。
- 騒音に備える
- 規則正しい生活習慣
- 耳をきれいに保つ
- セルフチェック
それぞれ解説していきます。
騒音に備える
1つ目は「騒音に備えること」です。
突発性難聴には騒音によって耳がダメージを受けることも原因の1つとして考えられています。
長時間かつ大音量での音楽鑑賞や、工事現場や往来の激しい道路など騒音が多い場所での勤務をできるだけ避けましょう。
規則正しい生活習慣
2つ目は「規則正しい生活習慣」です。
喫煙や飲酒、過度なストレスなどは突発性難聴を引き起こすリスクを高めます。
可能であれば禁煙をし、過度な飲酒を控え、毎日少しでも身体を動かすなど健康的な生活を意識しましょう。
また、ストレスの原因からは可能な限り距離を置き、生活リズムを一定/規則正しくするのも大切です。
耳をきれいに保つ
3つ目は「耳をきれいに保つこと」です。
突発性難聴はもちろん、耳に関連する疾患を予防する意味でも常に耳は衛生的な状態に保ちましょう。
定期的に耳の掃除を実施し衛生的に保ち、耳に異物などが混入しないよう注意するのも大切です。
セルフチェック
4つ目は「こまめなセルフチェック」です。
突発性難聴だけでなく耳に関連する疾患を引き起こす病気は、高血圧や糖尿病、脳卒中など様々あります。
リスクを高める疾患を早期発見/治療を実施するためにも定期的に健康診断を受けたり、日頃から血圧/体重をこまめにチェックしたりといったセルフチェック/ケアも重要です。
突発性難聴の自己チェックについてある日突然、片耳だけ聞こえなくなる経験をしたことはありますか?それは突発性難聴の可能性があります。突発性難聴はある日突然、聴力の低下を引き起こす症状で、私たちの日常生活に大きな影響を及ぼすことがありま[…]
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突発性難聴と似ている疾患
最後に突発性難聴と似ている疾患について、以下の3つをご紹介します。
- 急性低音障害型感音難聴
- メニエール病
- 聴神経腫瘍
それぞれ、解説していきます。
急性低音障害型感音難聴
1つ目は「急性低音障害型感音難聴」です。
内耳の障害を原因とし、急激な聴力の低下や耳閉感等の聴力異常を感じる疾患です。
内リンパ水腫が原因とされており、主にストレスや過労が引き金になると考えられています。
経過としては、数日~数週間で快方に向かいますが、長期化/継続化する場合もあります。
メニエール病
2つ目は「メニエール病」です。
内リンパ水腫を原因として発症する疾患です。
主な症状は、継続的に起きる日常生活に支障をきたすほどの回転性のめまい、変動する低周波の難聴、耳鳴りです。
内リンパ水腫を原因としますが、内リンパ水腫の明確なメカニズムはまだ明確にはされていません。
聴神経腫瘍
3つ目は「聴神経腫瘍」です。
聴神経腫瘍とは、聴神経の周囲を鞘のように被っているシュワン細胞から発生する腫瘍です。
初期症状として、聴力低下や耳鳴りが生じます。
腫瘍が肥大化すると、顔面麻痺やしびれ、めまいや歩行障害、嚥下障害などを引き起こすリスクもあります。
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突発性難聴の初期症状まとめ
ここまで突発性難聴の初期症状についてまとめました。
要点を以下にまとめます。
- 突発性難聴は明確な初期症状がないとされており、ある日突然、耳の聞こえが悪くなるのが特徴である
- 突発性難聴の明確な原因は判明していないが、仮説ではウイルスの感染、内耳の血流障害、ストレスが原因ではないかとされている
- 突発性難聴の検査方法には、聴力検査、耳鼻咽喉科検査、MRI検査、血液検査などがあり、治療には、ステロイド治療、血管拡張剤治療、高気圧酸素療法などが使用される
少しでも不安や心配がある場合は、積極的に医師に相談してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。