背中に慢性的な痛みや焼けつくような痛みを感じることはありませんか。
原因不明の背中の痛みは、自律神経からのSOSの可能性があります。
本記事では自律神経と背中の痛みの関係について、以下の点を中心にご紹介します。
- 自律神経と背中の痛みの関係性
- 自律神経失調症による背中の痛みの改善方法
自律神経の乱れによる背中の痛みの対策のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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自律神経とは
自律神経は、全身の器官をコントロールする神経系です。
具体的には、内臓の働きやホルモン分泌を司ります。
自律神経は、交感神経と副交感神経が交代しながらバランスを保っています。
交感神経はアクセルの役目を果たす神経系で、身体を緊張・興奮させることで活動性を生み出します。
対して、副交感神経はブレーキをかける神経系です。
身体の活動性を低下させることで、心身をリラックスさせます。
交感神経と副交感神経が、自然と入れ替わることで、心身の健康を保ちます。
もし自律神経のリズムが崩れると、心身にはさまざまな不調があらわれやすくなります。
自律神経の乱れによって体調を崩した状態を「自律神経失調症」と呼びます。
自律神経失調症の主な原因として、ストレス・不規則な生活・ホルモンバランスの変化が挙げられます。
出典:厚生労働省
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背中の痛みは自律神経の乱れが原因か
背中に痛みがあり、かつ原因が特定できない場合、自律神経障害の可能性が高いです。
自律神経の乱れによる背中の痛みは、左右の肩甲骨の両側・肩甲骨の内側・背骨周辺にあらわれやすいのが特徴です。
自律神経が乱れると、交感神経が優位になるため、心身が緊張しやすくなります。
心身が緊張すると筋肉が強張りやすくなり、結果として背中の痛みを感じることがあります。
あるいは交感神経の優位によって感覚が過敏になり、些細な刺激にもはげしい痛みを感じてしまうケースもあります。
自律神経が乱れる原因
自律神経が乱れる原因の一つは、背骨や骨格のゆがみです。
背骨の周辺には、脊椎に沿って交感神経幹という神経の束が通っています。
背骨がゆがむと交感神経幹が圧迫されるため、交感神経が刺激されやすくなり、結果として背中の痛みを引き起こします。
背骨がゆがむ主な原因は、姿勢の悪さや、パソコンなどの長時間使用です。
そのほか、疲労やストレスの蓄積が背骨のゆがみを引き起こすこともあります。
身体に疲労が溜まると、筋肉のバランスに支障をきたします。
筋肉のバランスの異常を放置すると、背骨や骨格にゆがみが生じやすくなります。
すると脊椎周辺にある交感神経が圧迫されるため、やはり背中の痛みが引き起こされます。
自律神経の乱れが原因の背中の痛みは、神経痛のような痛みと表現されることが多いです。
具体的には、ズキズキ・ビリビリ・チクチク・ジンジンするような痛みです。
あるいは、焼けつくような痛みを感じる場合もあります。
自律神経失調症の他の症状
自律神経失調症は、背中の痛み以外にも、さまざまな不調があらわれることが多いです。
もし背中の痛みのほかに、以下のような症状がある場合は、自律神経失調症が疑われます。
- 息苦しさ・息切れ
- 動悸
- 頭痛・めまい・耳鳴り
- 便秘・下痢
- 不安・焦燥・憂鬱
- イライラ・興奮
- やる気が出ない
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自律神経の乱れによる背中の痛みの改善方法
自律神経の乱れによる背中の痛みを改善するには、以下の方法があります。
薬による治療
背中の痛みがある場合、シップ薬などの外用薬が処方されることが一般的です。
自律神経による背中の痛みには、多くの場合温感性のシップが有効です。
背中の痛みの原因は、自律神経失調症による筋肉の硬直や冷えが原因だからです。
患部を温めると血行が促進されるため、筋肉のこわばりがほぐれやすくなります。
内服薬ならば、鎮痛剤を服用することが多いです。
一時的にですが、痛みをやわらげることができます。
病院によっては、注射による局所麻酔を選択するところもあります。
交感神経に麻酔を打つことで、一時的に痛みから解放されます。
時間が経つと麻酔は切れますが、麻酔が効いている間に患部の血流が改善されます。
そのため、麻酔が切れても身体が痛みを感じにくくなるというメリットもあります。
また、麻酔によって一時的にでも痛みから解放されると、精神的な苦痛からも解放されますよね。
ストレスは自律神経を乱す大きな原因であるため、麻酔で一時的にでも痛みを軽減することは大きな意義があります。
生活習慣の改善
背中の痛みは、背骨のゆがみが原因であることが多いです。
つまり、背骨をゆがませるような生活習慣を改める必要があります。
背骨がゆがむといっても、背骨自体が曲がるわけではありません。
多くの場合は、背骨を支える筋肉の働きが弱まっているのです。
それでは、背骨周辺の筋肉を弱らせる原因とはなんでしょうか。
代表的なのは、姿勢や運動不足です。
猫背や巻き肩の方は、つねに背中が丸まっているため、背中の筋肉に負担をかけます。
あるいは、長時間のデスクワークなどは同じ姿勢が続くため、やはり背中の筋肉がこわばりやすくなります。
背中の筋肉がこわばると、背骨を支える力が低下します。
よって、背骨がゆがみやすくなり、背中の痛みを招きます。
また、運動不足も背骨を歪ませる原因です。
運動不足になると全身の筋力が低下するため、やはり背骨に大きな負担をかけます。
対策としては、正しい姿勢を保つ努力や、適度な運動が求められます。
ストレッチは筋肉の柔軟性を高めるため、正しい姿勢の保持を助けます。
ストレッチ前にお風呂などでゆっくり身体を温めると筋肉のこわばりが解けるため、よりストレッチの効果が高まります。
ストレスを避ける
ストレスは自律神経を乱す大きな原因です。
ストレスを避けることで、自律神経の乱れ、背中の痛みを予防できます。
ストレスを避けるには、具体的なストレスの原因を知ることが大切です。
たとえばストレスを感じるタイミングを記録しておくと、いつ・どのようなときに、ストレスを感じるのか客観的に把握しやすくなります。
すでにストレスがたまっている場合は、発散・解消することも大切です。
趣味、好きなことに打ち込むことや、ゆっくり休息をとるのは、代表的なストレス解消法です。
筋肉をほぐす
背中の痛みの原因は、多くの場合、自律神経の乱れによる筋肉の硬直です。
強張った筋肉をほぐすことで、痛みの軽減が期待できます。
もっとも簡単な方法は、マッサージです。
あるいは、背中を温めて筋肉のこわばりをゆるめる方法もあります。
整骨院などでは、温熱機器や電気アンマを利用した治療が行われることもあります。
その他
そのほかの治療法について解説します。
- 鍼灸(しんきゅう)治療
- 骨格矯正
- 光線療法
背中の痛みの別の原因と治療法
背中の痛みは、重大な疾患のサインであることも多いです。
背中の痛みが発生しやすい疾患と、治療法を紹介します。
神経疾患
背骨がずれて、神経を圧迫することで背中に痛みを感じます。
たとえば椎間板ヘルニアや変形性脊椎症などが代表的です。
治療法はさまざまですが、コルセットの着用や安静などの治療方針が一般的です。
重度の場合、外科的手術が選択されることもあります。
運動器疾患
筋肉の硬直によって痛みを感じるケースです。
とくに、デスクワークなどにより長時間前かがみの姿勢が続く方に多く見られます。
治療法としては、シップや痛み止めの利用といった対症療法が一般的です。
あるいは、ストレッチやマッサージによって、筋肉のコリをほぐすのも有効です。
重度の場合は、整骨院での治療が必要な場合もあります。
内臓疾患
内臓の病気によって背中に痛みが生じることがあります。
代表的な疾患はガンです。
そのほか、腎臓・膵臓・子宮など、さまざまな部位の内臓疾患が考えられます。
内臓疾患が原因の場合は、背中の痛みに以外にもさまざまな身体的不調が出ていることが多いです。
もし気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。
背中の痛みの場所別の原因一覧
ひとくちに背中といっても、背中は体の中で一番広い面積を占めるパーツです。
背中の痛みは、場所によって原因も違ってくるのが特徴です。
内臓に原因がある場合には、内臓の位置によって痛みの出る場所も変わってきます。
背中の左側の痛み、右側の痛みとして考えられる原因を紹介しましょう。
左側
背中の左側の痛み、肩甲骨の下あたりの痛みに思い当たることがあれば、様子を見ます。
しかし痛みだけでなく、そのほかの不快な症状がある場合には、以下の病気を疑います。
- 膵臓の病気
- 胃の病気
- 心臓の病気
- 肺の病気
膵臓は背中側にあります。
そのため、膵臓に異常があると肩甲骨の下に痛みを感じることがあります。
背中の痛みは激しく、吐き気や嘔吐の症状があります。
胃は、病変部位の場所によっては、背中の左側が痛むことがあります。
心臓も心臓で感じるはずの痛みが放散痛となって、左肩、肩甲骨、腕などで感じることがあります。
肺は、病気の種類や病変部位によっては、肩甲骨の下が痛むことがあります。
肺の病気では息苦しさを伴い、呼吸によって痛みが増加することがあります。
右側
背中の右側が痛い場合は、以下の病気を疑います。
- 肝臓の病気
- 胆嚢、胆管の病気
肝臓は沈黙の臓器といわれています。
痛みを感じるというのは、かなり病状が進行しているかもしれません。
肝臓に異常がある場合には、吐き気や黄疸症状があらわれます。
背中の痛みだけでなく、慢性的な疲労感、倦怠感などがあります。
胆嚢や胆管に異常がある場合は、胃の近くや右肋骨近くに痛みが出ます。
発熱、皮膚のかゆみといった症状が出ます。
背中の痛みの症状別の原因リスト
背中の痛みには、さまざまな種類があります。
筋肉痛のような痛み、張りのような痛み、鈍い痛み、押されることで感じる痛みなどです。
痛みの症状別に原因を考えてみましょう。
鈍痛
背中の鈍い痛みは、以下のような原因が考えられます。
- 急性の膵炎
- 逆流性食道炎・食道がん
- 狭心症
急性膵炎は、膵臓の消化酵素が膵臓自体を消化してしまい、炎症を起こす病気です。
突然の激痛に見舞われることが多く、みぞおちから左脇、背中が痛みます。
逆流性食道炎や食道がんは、背中やみぞおちの痛み、胸の違和感などがあります。
逆流性食道炎は、食道がんの原因ともいわれています。
逆流性食道炎を繰り返すようであれば、一度検査を受けてみた方がいいでしょう。
狭心症も背中の鈍痛を伴います。
心臓の筋肉へ酸素を送る冠動脈の血流が悪くなることで、心臓が酸欠になってしまいます。
激しい運動後に起こることが多く、背中の痛みだけでなく、胸の痛みも伴います。
背骨を押すと痛い
安静にしていれば痛みはないけれど、背中の特定部位を押すと痛いという場合もあります。
この場合、じん帯の損傷や肉離れなどの可能性があります。
軽度の痛みであれば、安静にしていることで痛みは軽減できるかもしれません。
しかし、痛みが増してきた、安静にしていても痛いといった症状があれば、医療機関を受診しましょう。
背中の痛みと自律神経まとめ
ここまで、自律神経と背中の痛みについてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 自律神経が乱れると、背中の筋肉が硬直して痛みを感じることがある
- 自律神経失調症による背中の痛みの改善方法は、「鎮痛剤の使用」「生活習慣の改善」「マッサージ」など
- 背中の痛みは自律神経が乱れること以外でも引き起こされる場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。