「マイコプラズマとは?」
「マイコプラズマ肺炎の予防方法を知りたい」
マイコプラズマ肺炎と聞いて「マイコプラズマとはなにか?」と疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マイコプラズマとは、風邪や肺炎などを引き起こす細菌のひとつで、感染するとマイコプラズマ肺炎を発症するリスクがあります。
本記事では、マイコプラズマについて以下の点を中心に詳しく解説します。
- マイコプラズマとは
- マイコプラズマ肺炎を予防するための方法5選
- マイコプラズマ肺炎発症時の対処法3選
マイコプラズマにご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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マイコプラズマとは?
まずはじめに「マイコプラズマ」について解説します。
マイコプラズマとは、風邪や肺炎などを引き起こす細菌のひとつで、細胞壁を持たない点が最大の特徴です。
一般的な細菌に対しては、抗生物質を使えば細胞壁を壊すことができます。
しかし、マイコプラズマはそもそも細胞壁を持たないため、一般的な抗生物質では効果がありません。
そのため、細菌を殺すためには特別な抗生物質を用いる必要があり、ほかの細菌と区別されています。
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マイコプラズマ肺炎とは?
次に、マイコプラズマ肺炎について、以下の6つの観点から解説します。
- 原因
- 症状
- 感染経路
- 発生状況
- 治療方法
- 合併症
原因
マイコプラズマ肺炎に関する解説の1つ目は「原因」です。
マイコプラズマ肺炎は、前述した「マイコプラズマ」という細菌に感染し、発症する呼吸器感染症です。
マイコプラズマに感染し、肺炎になる確率は約3〜5%とされており、何度も感染するリスクがあります。
また、患者の約80%は14歳以下と、比較的若い人の間で流行しやすいですが、成人だからといって感染しないわけではありません。
症状
2つ目は「症状」です。
マイコプラズマ肺炎を発症すると、以下のような症状が見られます。
- 発熱
- 全身の倦怠感
- 頭痛
- せき
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
せきは痰をともなわず乾いており、少し遅れてはじまることもありますが、熱が下がっても3〜4週間ほど続く点が特徴です。
多くの場合、軽い症状でおさまりますが、まれに重症化するケースもあります。
一般的には、小児のほうが症状は軽いとされています。
感染経路
3つ目は「感染経路」です。
マイコプラズマ肺炎は、感染した人のせきの飛沫を吸い込んだり、感染者と接触したりすることで感染するといわれています。
感染してから発症するまでの潜伏期間は、2〜3週間と比較的長いのが特徴です。
濃厚接触で感染するため、感染拡大の速度は遅いと考えられていますが、家庭内や学校でも感染のリスクがあります。
子ども同士は近距離で接することが多いため、濃厚接触のリスクが高く、とくに注意が必要です。
発生状況
4つ目は「発生状況」です。
前述した通り、子どもや若い人を中心に、1年を通して感染の報告があります。
マイコプラズマ肺炎は、約500カ所の基幹定点医療機関から感染状況が週単位で報告される5類感染症のひとつです。
2014年〜2023年の10年で、もっとも報告数が少なかったのは2022年で395件です。
一方、もっとも報告数が多かったのは2016年の19,721件でした。
出典:厚生労働省「マイコプラズマ肺炎」
新型コロナウイルスの流行中は、マイコプラズマ肺炎の流行状況に変化が見られ、2020年5月以降は報告数が減少しています。
また、2020〜2023年は、例年起きる秋と冬の報告数の増加は見られませんでしたが、2024年は報告数が増加している状況です。
治療方法
5つ目は「治療方法」です。
マイコプラズマ肺炎は、成人で肺炎をともなわない気管支炎であれば、抗生物質を使わないことが推奨されています。
基本的には自然に治るため、必ずしも抗生物質が必要なわけではありません。
なお、抗生物質を使う場合は、マクロライド系が効果的とされています。
感染した場合、抗生物質の使用の有無に関係なく、しっかりと体力を回復させ、水分や栄養を補給することが大切です。
軽い症状で済むケースがほとんどですが、万が一、重症化した場合は、入院して治療が行われることもあります。
合併症
6つ目は「合併症」です。
基本的には軽症で治るマイコプラズマ肺炎ですが、合併症のリスクがあります。
マイコプラズマ肺炎に感染した5〜10%未満の人のなかで、以下のような合併症を起こした事例が報告されています。
- 中耳炎
- 胸膜炎
- 心筋炎
- 髄膜炎
肺炎にしては重症感がないとされるマイコプラズマ肺炎ですが、上記のような合併症を起こしたり、肺炎が悪化したりする危険性も否定できません。
全身倦怠感が強かったり、せきが長引いたりするなどの症状が見られる場合は、合併症を起こさないためにも、医療機関で適切な治療を受ける必要があります。
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マイコプラズマ肺炎を予防するための方法5選
次に、マイコプラズマ肺炎を予防するための方法を5つご紹介します。
- 手洗い・うがいを徹底する
- アルコール消毒をする
- マスクを着用する
- タオルや食器の共有を避ける
- 感染者との接触を避ける
予防方法①|手洗い・うがいを徹底する
マイコプラズマ肺炎を予防するための方法の1つ目は「手洗い・うがいを徹底すること」です。
マイコプラズマ肺炎は、短期間で一気に感染が拡大するリスクは低いといわれています。
一般的には、濃厚接触による感染が多いと考えられているため、日頃から手洗い・うがいを徹底することが大切です。
帰宅後や食事の前などに忘れずに手洗い・うがいをし、ウイルスを洗い流しましょう。
手洗いの際は、石鹸を使って指先や指の間などもしっかりと洗う意識が大切です。
保育園や小学校などでの集団感染の恐れもあるため、感染症対策の基本である手洗い・うがいを心がけて、感染拡大を防ぎましょう。
予防方法②|アルコール消毒をする
2つ目は「アルコール消毒をすること」です。
マイコプラズマには、アルコールが効果的とされているため、市販のアルコール消毒を活用しましょう。
インターネットショッピングやドラッグストアなどで購入できます。
新型コロナウイルスの流行で、アルコール消毒が習慣になった方もいるでしょう。
引き続き、手洗い後のアルコール消毒による感染症対策を意識することが大切です。
また、持ち運びしやすいサイズのボトルや、ウェットティッシュタイプのものもあるため、持ち歩くのもおすすめです。
アウトドアなどで手が洗えない環境でも、アルコール消毒を徹底しましょう。
予防方法③|マスクを着用する
3つ目は「マスクを着用すること」です。
マイコプラズマ肺炎に感染した場合は、マスクを着用して感染拡大を予防しましょう。
前述した通り、感染者のせきの飛沫を吸い込むことでマイコプラズマ肺炎に感染するリスクがあります。
せきの症状がある場合はマスクを着用し、せきエチケットを守ることが重要です。
また、感染者が使用したマスクを介して感染する恐れもあるため、適切に処分することも大切です。
ごみ袋をしっかりとしばって封をしたり、ごみ捨て後に手を洗ったりすることを心がけましょう。
なお、ごみ収集の清掃事業者やごみを回収する人などが感染する恐れもあるため、マスクのポイ捨てはNGです。
予防方法④|タオルや食器の共有を避ける
4つ目は「タオルや食器の共有を避けること」です。
感染者のせきの飛沫を直接吸い込むことはもちろん、鼻水のついた手で触ったタオルや食器からも感染が拡大します。
家庭内では、無意識のうちに感染者のタオルや食器に触れる可能性があるため、とくに注意が必要です。
家庭内で感染者が出た場合は、使い捨ての食器やウェットティッシュなどを使用し、感染を防止しましょう。
使用後のタオルや食器は、すぐに洗剤で洗ったり処分したりするなど、適切に処理することが大切です。
予防方法⑤|感染者との接触を避ける
5つ目は「感染者との接触を避けること」です。
感染した場合は、保育園や学校を休んだり、家庭内で隔離したりするなど、接触の機会を減らしましょう。
人混みを避けることも大切です。
どうしても接触が必要な場合は、マスクを着用したり、接触後に手洗い・うがいを徹底したりする必要があります。
自分で身の回りのことができない子どもが感染した場合、接触を避けるのは難しいですが、感染しないための心がけは大切です。
たとえば、食べ残しを食べたり、使い終わった食器を放置したりすることを避けるだけでも効果的とされます。
マイコプラズマ肺炎発症時の対処法3選
次に、マイコプラズマ肺炎を発症した場合の対処法を3つ解説します。
- 病院に行く
- 抗生物質を服用する
- 安静に過ごす
病院に行く
マイコプラズマ肺炎を発症した場合の対処法の1つ目は「病院に行くこと」です。
「ただの風邪かもしれない」と判断に迷う可能性もありますが、以下のような症状が見られる場合は、積極的に病院に行きましょう。
- 発熱が1週間以上続く
- 息切れがする
- せきがひどい
- 胸が痛い
軽症の場合は内科で対応できますが、肺炎や気管支炎などが悪化しているケースでは、呼吸器内科の専門医による診療が必要なこともあります。
基本的には一般内科を受診するので問題はありませんが、呼吸器内科の受診が必要な場合もある点を理解しておきましょう。
子どもの場合は、内科や呼吸器内科ではなく、小児科の受診で問題ありません。
抗生物質を服用する
2つ目は「抗生物質を服用すること」です。
マイコプラズマ肺炎に感染した場合、軽症であれば、自然に回復するのを待つケースが一般的です。
しかし、症状によっては抗生物質を処方されることもあります。
前述した通り、マイコプラズマ肺炎では、マクロライド系などの抗生物質が処方されるケースが多いです。
しかし、マクロライド系の抗生物質が効きづらい「耐性菌」に感染したケースでは、ほかの抗生物質が処方されます。
いずれにしても、抗生物質を処方された場合は、指示通りに服用することが大切です。
効果を薄れさせたり、副作用を起こしたりしないためにも、服用するタイミングや量などは、必ず説明に従いましょう。
安静に過ごす
3つ目は「安静に過ごすこと」です。
マイコプラズマ肺炎に感染した場合は、しっかりと体力を回復させ、水分や栄養を補給することが大切です。
処方された抗生物質やせき止めの薬を服用しながら安静に過ごせば、治療開始から1週間程度で治るでしょう。
「ちょっとくらい大丈夫だろう」と無理に通学や通勤をすると、悪化するリスクがあります。
体調が回復するまでは安静に過ごし、体を十分に休ませましょう。
マイコプラズマ肺炎発症後の通学・通勤の目安
最後に、マイコプラズマ肺炎を発症した場合の
- 通学
- 通勤
の目安を解説します。
通学の目安
まずは「通学」です。
マイコプラズマ肺炎は、出席停止期間の定めはないため、体調が回復すれば通園や通学ができます。
そのため、感染者の体調や、医師の判断が通園や通学を再開する基準です。
一般的には、解熱後2日程度経てば日常生活に支障はないといわれていますが、個人差があるため、医師に相談するのがベストです。
また、家庭での判断が難しいため、保育園や学校によっては、医師の登校許可を求めるケースもあります。
マイコプラズマ肺炎に感染した場合は、子どもが通っている保育園や学校に報告し、ルールに沿って判断しましょう。
通勤の目安
次は「通勤」です。
マイコプラズマ肺炎には、明確な出勤停止期間はなく、感染者の体調と医師の判断により出社を再開するケースが一般的です。
熱が下がり、せきも落ち着いていれば出勤しても問題はないでしょう。
とはいえ感染拡大のリスクがあるため、マスクの着用や手洗い・うがいを心がけることが大切です。
また、リモートワークをしたり、勤務時間をずらして人混みを避けたりするなど、働き方を工夫すると良いでしょう。
マイコプラズマとはまとめ
ここまでマイコプラズマについてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- マイコプラズマとは、細胞壁を持たない細菌で、風邪や肺炎を引き起こすことがあり、一般的な抗生物質が効かず、特別な治療が必要になる
- マイコプラズマ肺炎の予防法として、手洗い・うがいの徹底、アルコール消毒の使用、マスクの着用、タオルや食器の共有回避、感染者との接触を避けることが有効とされる
- マイコプラズマ肺炎発症時の対処法は、病院で診察を受けること、抗生物質を指示通り服用すること、安静に過ごして体力を回復させることが重要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。