「HSPは発達障害の一種なの?」
「HSPと発達障害の違いについて知りたい」
HSPの特徴に当てはまる方、あるいは周囲にHSPを抱えている方がいる場合など、このような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
HSPとは、Highly Sensitive Personの略称で、感受性豊かで物事からの刺激や影響を受けやすいという特徴を持つ人を指す言葉です。
そこで本記事では、HSPと発達障害について以下の点を中心に詳しく解説します。
- HSPと発達障害の違い
- HSPを抱える人の特徴
- 発達障害を抱える人の特徴
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
HSP(Highly Sensitive Person)とは?
まずはじめに、HSP(Highly Sensitive Person)についてご紹介します。
HSPとは、人並み以上に感受性豊かな人を指す言葉です。
HSPの特性を持つ方は、外部からの刺激に対して非常に敏感で、周囲の環境や他者の感情を深く感じ取る傾向があります。
そんなHSPの特性は先天的なものであり、感情や感覚を感じる脳の一部が通常よりも活発に働くことが原因であるとされています。
また、HSPの人は、他者の感情や雰囲気に敏感であるだけでなく、音や光、匂い、触覚などの物理的な刺激にも鋭く反応します。
とは言え、HSPは必ずしも欠点ではなく、むしろ豊かな内面と深い洞察力を持つ特性として捉えられることも多々あります。
社会において一部苦労する状況もゼロとは言い切れませんが、適切な環境や人間関係を意識することで、精神的な負担を十分に軽減させることができるでしょう。
HSPについて、以下の記事でも詳しく解説しています。
感受性が豊かな人々、通称HSP(Highly Sensitive Person)。あなたは自分がHSPなのか、あるいは身近な人がHSPかもしれないと思ったことはありませんか?HSPは、環境の変化や刺激に敏感であり、その特性には独自の[…]
スポンサーリンク
発達障害とは?
次に、発達障害についてご紹介します。
発達障害とは、脳の成長過程において何かしらの問題が生じることで、注意力や学習能力が通常よりも低下してしまう状態を指します。
発達障害は、
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
に分けられ、それぞれ異なる特徴や性格を示しています。
そんな発達障害を持つ人々は、コミュニケーションや社会性、学習、注意力の維持などの領域で困難を感じることが多々あります。
例えば、ASDの人は社会的相互作用や非言語的コミュニケーションに苦労する一方で、特定の分野に強い興味と才能を示すことがあります。
また、ADHDの人は集中力の維持や衝動性のコントロールに課題を抱えますが、創造性や直観力に優れていることもあります。
重要なのは、発達障害は「障害」という言葉が含まれているものの、単なる欠陥ではなく、脳の働き方の違いによって行動や症状が現れるということです。
HSPと発達障害の違い
本項目では、HSPと発達障害の違いについてご紹介します。
既にご認識の通り、HSPと発達障害は別の特性であり、HSPが発達障害に含まれる訳でもありません。
後天的なものではなく、生まれつき脳に異常があることで症状が現れるという点では、HSPも発達障害も類似した特性ですが、具体的な症状や行動は、それぞれ大きく異なります。
医学的な観点からも、HSPは気質や性格特性の一つとして考えられている一方で、発達障害は医学的に定義された障害であり、具体的な診断基準が存在します。
また、症状が及ぶ範囲についても違いがあり、HSPは主に感覚などの内面的な部分や精神に関連しますが、発達障害の場合はコミュニケーションや社会性、学習能力、注意力など、より広範な領域に影響を及ぼします。
HSPと発達障害の違いを判断するためには、具体的な症状や個人の感じ方に焦点を当てて捉えてみると良いでしょう。
HSP診断をしたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
感受性が豊かな人々、つまり「Highly Sensitive Person(HSP)」は、日常の刺激により強く反応し、深く考え込む傾向があります。もしかしたら、あなたもその一員かもしれません。自分がHSPかどうかを知るには、HS[…]
HSPを抱える人の特徴
本項目では、HSPを抱える人の特徴について、以下の4つをご紹介します。
- 物事から得る刺激が強く感じてしまう
- 物事を深く考えてしまう
- 共感する気持ちが強い
- 精神的な負荷を感じやすい
物事から得る刺激を強く感じてしまう
HSPを抱える人の特徴の1つ目は「物事から得る刺激を強く感じてしまうこと」です。
前述したように、HSPを抱える人は周囲の環境から得られる情報を必要以上に事細かに考えてしまう傾向にあります。
例えば、騒がしい環境では音の一つ一つが際立って聞こえ、集中力が乱されやすくなります。
また、明るい光や強い香り、肌触りの刺激なども、他の人々より強く感じ取ってしまいます。
このような特徴は、豊かな感性や繊細な観察力につながる一方で、日常的な刺激でも疲労やストレスを感じやすくなる原因にもなり得ます。
物事を深く考えてしまう
2つ目は「物事を深く考えてしまうこと」です。
日常生活での出来事や人からの言葉、読んだ本などによって得られる情報や感情について深く考えてしまうことも、HSPを抱える人の特徴です。
洞察力や感受性が豊かであるという肯定的な見方もできますが、繊細な心を持つことによる傷付きやすさを持っているとも捉えられます。
また、物事を深く考えてしまうことで、決断を下すのに時間がかかったり、過去の出来事を何度も思い返したりする原因にもなります。
このような深い思考は、時に問題解決能力や独創的なアイデアの創出につながることもありますが、同時に心配性や完璧主義的な傾向を強める側面もあるため、日常的にバランスの取れた精神状態を保つことが重要です。
共感する気持ちが強い
3つ目は「共感する気持ちが強いこと」です。
物事から得られる刺激が強いと感じてしまうことや、深く考えてしまうことは、人への共感が強くなることにも影響します。
周囲の人の気持ちの変化にいち早く気付くという長所がある一方で、場合によっては自分の感情と他者の感情の境目が分からなくなってしまうこともあります。
また、共感する気持ちが強いことで、カウンセリングや教育、芸術など、人々の感情や経験を理解し表現することが重要な分野で才能を発揮することも多いと言えます。
精神的な負荷を感じやすい
4つ目は「精神的な負荷を感じやすいこと」です。
HSPを抱える人は、物事を深く考えてしまったり、共感する気持ちが強いが故に、精神的な負担が大きくなってしまうこともあります。
他の人と同じような生活や人間関係を持っていても、他の人々よりも多くの情報や刺激を受けるため、精神的なエネルギーの消費が多くなってしまいます。
それに加えて仕事や人間関係のストレスなどが加わってしまうと、人並み以上に精神的な負担となってしまいます。
精神的な負担を最小限に抑えるためにも、自分にとって過度な負荷となる状況を識別し、可能な限りそれらを回避または管理する能力を養うことが大切です。
HSPの特徴について、以下の記事でも詳しく解説しています。
あなたは、自分の感受性が高いと感じたことはありませんか?また、音や光、人の感情などに敏感に反応してしまうという経験をしたことはないでしょうか?もしそうなら、あなたはHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれ[…]
発達障害を抱える人の特徴
本項目では、発達障害を抱える人の特徴について、以下の4つをご紹介します。
- 対人のコミュニケーションに難しさを感じる
- 物事への注意力が足りない
- 集中力や我慢する力が足りない
- 学習に困難を感じる
対人のコミュニケーションに難しさを感じる
発達障害を抱える人の特徴の1つ目は「対人のコミュニケーションに難しさを感じること」です。
前述したように、発達障害には大きく分けて3つの種類があり、特にASDを抱える人にとっては、他人とのコミュニケーションが困難に感じてしまう人がいます。
これは、会話の中で適切なタイミングで話したり聞いたりすることや、相手の表情や声のトーンから感情を読み取ることが難しいことで、結果的に人と上手くコミュニケーションを取ることが難しくなってしまうことが原因です。
とは言え、自分の興味のある話題などについては、詳細かつ情熱的に話すことができる場合もあるため、必ずしも全ての場面においてコミュニケーションが困難に感じるわけではありません。
物事への注意力が足りない
2つ目は「物事への注意力が足りないこと」です。
特にADHDの特性を抱えている人にとっては、物事への注意が足りず、会話中に相手の話を最後まで聞くことが難しく、途中で話題が逸れてしまったり、重要な詳細を聞き逃したりすることがあります。
また、忘れ物が多かったり時間の管理が難しいと感じてしまうケースも多く、学校や仕事の場で問題視されてしまうこともあります。
集中力や我慢する力が足りない
3つ目は「集中力や我慢する力が足りないこと」です。
ADHDを抱える人は、集中力や我慢する力が足りないと感じてしまうことも多々あります。
授業や会議中に静かに座っていることが難しいと感じたり、頻繁に立ち歩く、落ち着きなく体を動かしたりする、などといった症状が挙げられます。
特に子どもの場合は、これらの症状が単なる個性や教育の問題として認識されてしまうこともあるため、客観的な判断が難しい場合もあります。
学習に困難を感じる
4つ目は「学習に困難を感じること」です。
学習に困難を感じる症状は、LDを持つ人に見られる症状です。
いわゆる学習障害は、特定の学習領域に限定されることもあれば、複数の領域にわたることもあります。
具体的な症状には、読み書きの障害や文字の認識や読解、文章の構成に苦労するような症状が挙げられ、脳の情報処理の仕方に何かしらの問題があることが原因といわれています。
HSPへの対処法
最後に、HSPへの対処法について、以下の4つをご紹介します。
- HSPであることを理解する
- 感情の大幅な変化を避ける
- リラックスした時間を設ける
- 人と適度に距離を置く
HSPであることを理解する
HSPへの対処法の1つ目は「HSPであることを理解すること」です。
HSPを抱える人にとって一番のストレスは、精神面への過度な刺激や他人への過度な共感の原因が分からないことです。
これらの症状へのストレスや精神的な負担を軽減させるためには、まず自分自身がHSPであることを理解し、それに応じて適切な環境を用意することです。
例えば、静かな環境での作業が集中力を高めることや、芸術や自然との触れ合いが心を落ち着かせることなどを認識し、それらを日常生活に取り入れることができます。
どのような環境や人間関係が自分に適しているかという部分は、人によっても異なるため、まずは自分自身の症状と向き合い、対処法を模索する意識が重要です。
感情の大幅な変化を避ける
2つ目は「感情の大幅な変化を避けること」です。
前述したように、HSPを抱える人は物事への感情移入が強かったり、他人への共感が強いといった症状があります。
そのため、急な感情の変化や頻繁な感情の起伏は、人並み以上に疲れてしまうことが多く、結果として精神的な負担となってしまいます。
感情の大幅な変化を避けるには、人との関わりや日常的な出来事に意識を向けることも重要ですが、十分な睡眠やバランスの取れた食事など、日々の健康面を意識することも大切です。
リラックスした時間を設ける
3つ目は「リラックスした時間を設けること」です。
日常的な感情面への負担が大きい分、1日の中でリラックスした時間を設けることも重要です。
タスクや仕事、やるべきことなどの予定をいれず、心身をリセットする時間としてリラックスした時間を取り入れるのも良いでしょう。
リラックスした時間の取り方には様々な方法が挙げられますが、朝晩の10分間の瞑想、昼食後の短い散歩、就寝前の読書タイムなどが良いでしょう。
人と適度に距離を置く
4つ目は「人と適度に距離を置くこと」です。
近年、SNSなどの浸透によって精神的な人との距離がより一層近くなったように感じてしまうこともありますが、人間関係を無駄に増やしてしまうとかえって感情的な負担となってしまいます。
特に、HSPを抱える人にとって人との関わりは感情的な負担となりやすいため、必要以上に人との関わりを増やす必要はありません。
気が許せる人を大切にしつつ、関係値があまり深くない人とは適度に距離をとって関わることが重要です。
HSPと発達障害の違いまとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、HSPと発達障害というテーマで、それぞれの類似点や違い、特徴などをご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- HSPは気質や性格特性の一つとして考えられている一方で、発達障害は医学的に定義された障害であり、具体的な診断基準が存在する
- HSPを抱える人の特徴として、物事から得る刺激が強く感じてしまう、物事を深く考えてしまう、共感する気持ちが強い、精神的な負荷を感じやすいなどが挙げられる
- 発達障害を抱える人の特徴として、対人のコミュニケーションに難しさを感じる、物事への注意力が足りない、集中力や我慢する力が足りない、学習に困難を感じるなどが挙げられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。