「自律神経失調症とは、いったいどのような病気なのだろう?」
「自律神経失調症の原因や予防法などについて詳しく知りたい。」
と多くの方が上記のような疑問や悩みを抱えていることでしょう。
自律神経失調症とは自律神経の不調により、さまざまな症状があらわれる病気です。
またスマホの見すぎでも起こることがあるといわれるなど、原因は多岐に渡ります。
そこで今回は以下について解説していきます。
- 自律神経失調症とは
- 自律神経失調症の原因
- 自律神経失調症はスマホの見すぎでも起こるのか
- 自律神経失調症の予防法
ぜひ最後までお読みください。
「何となく疲れやすく体調が悪い。」「イライラしたり、気持ちが落ち込んだりする。」気になって病院で検査しても異常がないと言われる。それはもしかすると、自律神経失調症かもしれません。ストレス社会では、自律神経失調[…]
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自律神経失調症とは
※画像はイメージです
自律神経とは身体の働きを調節する神経であり、交感神経と副交感神経の2種類からできています。
交感神経とは主に、身体の働きを促す役割を持っています。
一方で副交感神経は、身体を休ませる役割を持っています。
つまり交感神経と副交感神経の2種類またはどちらかがうまく機能しないことにより、症状があらわれるといえます。
この自律神経失調症の症状は主に身体的症状と精神的症状の2種類に分類されます。
身体的症状
身体的症状とは、人の身体の表面や内部に症状があらわれる状態です。
症状は以下の通りです。
- 顕在的不快感(慢性的な疲労・だるさ・口やのどの不快感・吐き気・嘔吐・食欲不振など)
- 頭部の症状(頭痛・偏頭痛・めまい・耳鳴りなど)
- 胴体部の症状(動悸・胸焼け・上腹部不快感・腹痛・呼吸困難感など)
- 四肢の症状(肩こり・手足のしびれなど)
- 体温変化の症状(発熱・ほてり・微熱・冷え・多汗など)
- 睡眠障害(不眠など)
- 排泄障害(便秘・下痢・頻尿・残尿感)
精神的症状
精神的症状とは、人の心に症状があらわれる状態です。
症状は以下の通りです。
- 感情変化(イライラ・悲しい・感情の起伏が激しい・情緒不安定など)
- 感覚変化(不安感・疎外感・焦りを感じる・やる気が出ない・憂鬱になるなど)
自律神経失調症と耳にしたことがあっても、詳しい症状などまでは知らない方も多いと思います。そこで本記事では、自律神経失調症について以下の点を中心にご紹介します。 自律神経失調症となる原因として考えられるもの 自律神経失[…]
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自律神経失調症の原因
※画像はイメージです
自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れる理由は以下の通りです。
- 乱れた生活リズム
- 過剰なストレス
- ストレスに弱い性格・体質
- 環境変化
- 女性ホルモンの影響
1つずつ詳しく解説いたします。
乱れた生活リズム
乱れた生活リズムとは、活動の周期が一定でないことを意味します。
- 幼少期からの不規則な生活習慣
- 夜更かし・夜型人間・夜勤
- 食生活(ジャンクフードばかり・偏りのある栄養素・食事の時間帯がずれるなど)
これらの生活リズムを無視することで交感神経と副交感神経のバランスが崩れる可能性があります。
過剰なストレス
過剰なストレスとは、一般的なストレス以上の負荷が精神的に掛かっている状態です。
- 職場でのパワハラ・セクハラなどハラスメントによるストレス
- 人間関係によるストレス
- 一般的なストレスでも蓄積しすぎている状態
一時的に過度なストレスが掛かると精神的なダメージは計り知れません。
過剰なストレスによる精神的なダメージにより、交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまう可能性があります。
ストレスに弱い性格・体質
ストレスに弱い性格・体質とは、慢性的なストレスにより精神的な負荷を貯めている状態です。
- 嫌な上司と同じ部署に配属される
- 失恋の傷が癒えず人間不信
- 嫌なことを押し付けられても断れない
精神的ストレスはリラックスしたり発散したりしないと解放できず、徐々に蓄積し精神的にダメージを受けます。
そしてストレス体質による精神的なダメージにより、交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまいます。
環境変化
環境の変化とは、慣れ親しんだ場所から見知らぬ場所に移ることです。
- 入学・卒業
- 転勤・転職
- 同棲・結婚
新しい環境は精神的な負荷が掛かりやすい状態となります。
そのため環境の変化で上手くいかないと、交感神経と副交感神経のバランスを崩す恐れがあります。
女性ホルモンの影響
自律神経失調症は、男性よりも女性の方が多いとされる病気です。
その理由は女性ホルモンの影響により、自律神経失調症を発症する可能性があるからです。
男性ホルモンと女性ホルモンの違いは、ホルモンバランスの安定性です。
- 男性ホルモン:思春期に男性ホルモンの分泌が高まり、それ以後は初老期まで安定する。
- 女性ホルモン:思春期の初潮・毎月の生理・妊娠と出産・更年期から閉経まで、女性ホルモンは一生のうちに変化を繰り返し複雑になっている。
つまり女性ホルモンの特性から自律神経失調症を発症するリスクが、男性よりも高いということになります。
もう一つは更年期による自律神経失調症の発症です。
女性ホルモンは、脳の視床下部から脳下垂体を通り卵巣まで伝達・分泌されます。
視床下部には、女性ホルモンの分泌のほかに自律神経をコントロールする役割もあります。
そのため更年期に女性ホルモンが激減し、ホルモンバランスの不調から視床下部に影響が出て自律神経が乱れることもあるのです。
その他の疾患の症状
自律神経失調症は以下のような症状の一部としてあらわれることがあります。
- パーキンソン病
- レビー小体型認知症
- うつ病
それぞれの症状についてご紹介します。
パーキンソン病
自律神経障害はパーキンソン病の非運動症状として高い頻度で起こります。
パーキンソン病にみられる自律神経障害は以下のようなものです。
便秘 | 起立性低血圧 |
食事性低血圧 | 排尿障害 |
性機能障害 | 発汗障害 |
流涎 |
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症では、脳以外の自律神経にもレビー小体があらわれることがあります。
レビー小体により自律神経が乱されると、体に以下のような変調があらわれます。
- 起立性低血圧
- 体温調節障害
- 頻尿
- めまい
うつ病
自律神経失調症の方がうつ病を併発させてしまうことがあります。
体はリラックスしたいのに自律神経(交感神経)が緊張状態にあると頑張ろうとします。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、うつ病を発症することになります。
したがって自律神経失調症の鑑別診断では以下のことを注意深く診断する必要があります。
- 自律神経症状の原因となる身体疾患の存在の有無
- 運動系症状(錐体外路症状など)の有無
- 精神症状(抑うつ気分、意欲低下、全般性不安など)の共存の有無
自律神経失調症とうつ病の違いについても解説していますので、興味のある方はこちらもあわせてお読みください。
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自律神経失調症はスマホの見すぎでも起こる
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なぜスマホの見すぎでも自律神経失調症を発症することがあるのでしょうか。
理由は以下の通りです。
- エンタメやニュースなど膨大な情報による過度な興奮や感情の変化がある
- 姿勢の悪化(スマホ首・首の凝り・スマホ巻き肩や肩の凝り・腰のゆがみ・スマホ肘など)
- 頭部の症状の悪化(眼精疲労やドライアイ・顔のたるみ・頭痛・めまい・脳疲労など)
これらの原因から交感神経と副交感神経のバランスを崩す恐れがあります。
また自律神経失調症を発症するほか、うつ症状を併発する危険性もあります。
自律神経失調症を発症するスマホ症候群にならないため、以下の項目によりセルフチェックを行うことが可能です。
- スマホやパソコンで肩・首の凝りを感じる
- スマホの利用を1日1時間以上している
- スマホを見ていない時に目が疲れ、物が見えづらい
- スマホを見た後に目がぼやける
- 首を後方へ傾けると痛みを感じる
- 頭痛・偏頭痛持ちである
- 肩凝りが酷く、肩の関節が上手く機能しない
- 寝付きが悪く、寝た感じがしない
- ブルーライトカットなど対策をしていない
これらの項目に3つ以上該当する方は、スマホによる自律神経失調症を発症するリスクがあります。
かかりつけの医療機関に相談することをおすすめいたします。
スマホによる自律神経失調症の発症を、短時間で整える方法は以下の通りです。
- 目に入る光(自然光以外の)を暗くする
- 目の周りや体の筋肉をほぐす
- 身体のリズムを整える
まず「目に入る光を暗くする」ですが、スマホやパソコンの強い光を抑えることを指します。
強い光は交感神経の働きを高め、興奮しやすい状態となります。
長時間続けていると自律神経の乱れとなるため、画面照明を暗く設定したりブルーライトカットをしたりするなどの対策が必要です。
次に「目の周りや体の筋肉をほぐす」ですが、酷使した目と姿勢の凝り固まった身体の筋肉をマッサージなどでリラックスさせることを指します。
温めた濡れタオルなどで目を覆い被せることで、酷使した目を癒す効果があります。
また肩や首と腰などをマッサージして筋肉をほぐすことで、自律神経を整える効果があります。
最後に「身体のリズムを整える」ですが、規則正しい生活と栄養バランスの良い食生活により正常なリズムのライフスタイルに戻すことを指します。
不規則な生活は睡眠の質や心身のバイオリズムの低下を招きます。
またジャンクフードや断食など悪い食生活を続けると健康に良くありません。
そのため正常なリズムのライフスタイルに戻すことで、自律神経の乱れを整える効果を得られます。
自律神経失調症の予防法
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ここでは自律神経失調症を未然に防ぐための予防法について解説いたします。
自律神経失調症の発症する原因は、交感神経と副交感神経のバランスの乱れだとお話ししました。
そのため自律神経の乱れを未然に防ぐことが有効な予防策であるといえます。
自律神経の乱れを起こさないためには、前述した通り心身のバランスを整えることが大切です。
心身のバランスを保つ方法は以下の通りです。
- 生活習慣の安定・改善:朝起きて昼活動し夜眠ること
- 食生活の安定・改善:栄養バランスの良い食事をとること
- 良質な睡眠:8時間程度睡眠をしっかりとること
- 適度な運動:活動している時にストレッチや有酸素運動などを行うこと
- リフレッシュ:運動以外にストレスを発散すること
また自律神経を良い方向へ導くためには、メリハリが大事とされています。
このメリハリを効果的に促す方法が「ペイン&リリース療法(PRT:Pain&Release Therapy)」と呼ばれています。
このペイン&リリース療法によるメリハリの考え方は以下の通りです。
- メリ…スローライフ・時間を無駄にする・我慢しない・吐き出す・夜に仕事やスマホをしない
- ハリ…しっかり朝食・朝は決まった時間に起きる・しっかり入浴・ニコニコ散歩・少しの距離なら歩く
ペイン&リリース療法は交感神経と副交感神経の改善と安定に高い実験効果がでています。
そして大切なのはメリハリのどちらか一方に偏り、自律神経失調症に陥った過去のライフスタイルに戻らないことであるとされています。
自律神経失調症の治し方や薬についても解説していますので、こちらの記事もあわせてお読みください。
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自律神経失調症の原因のまとめ
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この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 自律神経失調症の原因は、「乱れた生活リズム」「過剰なストレス」「ストレスに弱い性格・体質」「女性ホルモンの影響」など
- 自律神経失調症はスマホの見すぎでも起きることがあり、スマホ症候群のセルフチェックや改善する対策を取ることが必要
- 自律神経失調症の予防法は、ペイン&リリース療法により自律神経を整えるなど
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。