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健達ねっと>専門家から学ぶ>達人インタビュー>【専門家インタビュー】統計学を使ってヒトと動物の認知症・アルツハイマー病の真犯人を探る

【専門家インタビュー】統計学を使ってヒトと動物の認知症・アルツハイマー病の真犯人を探る

帯広畜産大学 グローバルアグロメディシン研究センター

茅野光範 様

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研究内容について

編集部:「ヒトと動物の健康のための統計学」についての研究内容と研究結果について教えてください

茅野様:ヒトと動物の認知症・アルツハイマー病を中心に、統計学・バイオインフォマティクス・機械学習(AI)の方法を適用しつつ、必要に応じて新しい解析方法を提案しようとしています。

ヒトについては、軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病の早期発見を可能とする血液中の分子(RNA、タンパク質、脂質等)の探索をして来ました。動物の認知症については、まだ研究を始めたばかりですが、認知症やアルツハイマー病を自然発症するネズミ(齧歯類)やイヌを対象とした研究を進めています。

編集部:研究を始めた経緯を教えてください

茅野様僕の元々の興味は算数や数学です。小さい頃から「1+1は必ず2になる」等の絶対的なルールの美しさ・安心感に惹かれ続けています。大学と大学院では統計学を専攻し分子データの解析方法の開発研究を進めていました。

その後、分子データの解析結果を考察する過程で、数学だけでなく、遺伝子発現等の生物に備わったルールも非常に美しいことを知りました。現在の研究に至ったのは、共同研究者からのお誘いでヒトの認知症に興味を持ったこと、所属先の帯広畜産大学が様々な動物を扱っていること、さらに「霊長類以外の動物にも認知症がある」こと、を合わせて総合的に考えた結果です。

編集部:「ヒトと動物の認知症の脳内」についての研究成果について教えてください。

茅野様アルツハイマー病について、アミロイドβによる脳内の老人斑は、ヒト以外の様々な動物でも、加齢と共に自然に(遺伝子操作なしで)現れることが分かっています。

獣医学分野で有名なのはイヌです。それ以外にも、動物園で見かける動物達(ライオン、トラ、チーター等)、帯広近郊で見かける動物達(ウマ、クマ、アザラシ等)、鳥類にも、加齢と共に老人斑が現れます。

僕達のグループではこれらの「自然発症(の可能性がある)の動物」に特に興味を持っています。

編集部:茅野様が考える貴研究の意義を教えてください

茅野様「認知症予防は40代から」とも言われるように、ヒトの認知症やアルツハイマー病を、体内の分子・細胞の変化から発症までを追跡しようとすると何十年もの時間がかかります。

一方で、マウス等の実験動物の追跡は数年で済みますが、多くのヒトと同じようなルールで発症するかどうかは疑問が残ります。その点「自然発症の動物」は、ヒトと同じように発症している可能性があります。

僕達はこのようなモデルを開発し、そのモデルからいち早くデータを取り、最新の統計等の方法で解析し、従来のモデルでは見つけられない、アルツハイマー病発症に至る真のルールを見つけようとしています。

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今後の目標について

編集部:今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

茅野様これまで通り、ヒトと動物の認知症・アルツハイマー病の研究を中心に進めます。また、同時に、その他のヒトの病気、獣医学・畜産学の幅広い対象を扱う統計学・バイオインフォマティクス等の解析方法の開発とその応用研究も継続するつもりです。

編集部:貴分野の最終的な目標を教えてください。

茅野様認知症・アルツハイマー病の真犯人(創薬標的)や早期発見のマーカー分子を捉え、これらの病気を予防し、治療することです。また、ヒトと動物の様々な病気を克服するための汎用的な解析方法を創り出すことです。 

健達ねっとのユーザー様へ一言

編集部:健達ねっとのユーザー(認知症に不安を感じている方や、認知症の方の家族)に何かメッセージをお願いいたします。

茅野様僕達のグループで考えている切り口は現在の主流・正攻法ではなく、遠回りに思えます。厳しいご意見を頂くかもしれません。

しかし、一方で、世界中の多くの研究者とは異なる視点から、思いもよらない近道(ルール)を発見し、認知症やアルツハイマー病の真犯人(創薬標的)を捉えられる可能性を秘めています。この可能性が現実のものになり、いつの日か、みなさまのお役に立てることを願っております。 

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薬の使い方

帯広畜産大学 グローバルアグロメディシン研究センター 准教授

茅野 光範かやの みつのり

博士(数理学)
応用統計学会
バイオインフォマティクス学会

  • 博士(数理学)
  • 応用統計学会
  • バイオインフォマティクス学会

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