介護福祉士の実技試験は、実際の介護現場で必要とされる専門的な技術があるかどうかが試される試験です。
試験では「介護等に関する専門的技能」について問われます。
この記事では、介護福祉士国家資格とはどのような試験なのか、資格受験の方法から実技試験の免除の方法まで、詳しく解説しています。
実際に介護福祉士として働く上でのやりがいもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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介護福祉士国家試験とは
介護福祉国家試験は、介護福祉士資格を取得するための人が受ける、国家試験のことをいいます。
国家試験のため社会的にも信頼性が高く、資格を取得することで給料面や待遇面で優位に働くことが多いことから、資格取得を目指す人が増え、合格率も年々上昇しつつあります。
国籍や年齢、学歴などの制約がないため、受験資格を得られれば、誰でも目指せる資格です。
また、一度取得をしてしまえば、資格を活かして全国各地どこでも仕事ができ、転職もしやすくなります。
資格を取得するには、筆記試験と実技試験の2つに合格をする必要があります。
筆記試験は、毎年1月の下旬に35都道府県で行われ、実技試験と比べると難易度は高くなります。
13の科目を受験し、1科目60%程度を取れれば合格ですが、1科目でも得点が0のものがあると不合格になります。
試験時間は、午前と午後に分けられるため、1日かけて試験を受けることになります。
出題形式は、すべてマークシート方式で、5つの選択肢から正しい答えを1つ選ぶ必要があります。
問題数が計125問と非常に多いため、しっかりと時間配分をしないと、すべての問題の回答をするのが難しくなります。
出題科目は以下のとおりです。
- 人間の尊厳と自立
- 人間関係とコミュニケーション
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
- 介護過程
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 医療的ケア
- 総合問題
また、介護福祉士国家試験の受験資格を得るには、以下の4つがあります。
この4つのうち1つでも要件を満たしていれば、介護福祉士国家試験を受験することができます。
- 養成施設ルート(指定での養成施設で学び、実習などの条件を満たし卒業後に受験資格を得る方法)
- 実務経験ルート(現場での実務経験がある人が、一定数の期間働くことで得られる受験資格)
- 福祉系高校ルート
- 経済連携協定ルート
一方、実技試験は3月の上旬頃、東京・大阪の2会場で行われます。筆記試験と違い実技試験は、受験する必要がある人とない人がいます。
それぞれの詳細に関しては以下で詳しく解説しています。
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介護福祉士実技試験とは
ここでは、介護福祉試験の実技試験について解説いたします。
実技試験の内容
試験時間は、1人約5分ととても短いです。
制限時間がくれば強制的に終了となるため、限られた時間を最大限に利用しなければいけません。
また、試験課題も毎年さまざまです。
例えば「体に麻痺があり1人で身の回りのことをするのが難しい要介護者」に対して、着替えや移動などの補助を正しく行えるかなどが問われます。
要介護者役のモデルに対し、症状に適した介助が行われているか、審査員2名によりチェックされます。
短い制限時間の中でも介護の3原則「安全・安楽」「個人の尊厳」「自立支援」に基づいて介護が行われているかが重要なポイントです。
実際の介護現場でもそうですが、実技試験には気を付けるポイントがあります。
- 要介護者とのコミュニケーション
コミュニケーションを通して、要介護者と信頼関係を築きましょう。
その日の体調チェック・どのような介助を行うかの説明・同意を得たうえで行いましょう - 環境の安全確保
転倒や落下の原因となるものはないか、要介護者に苦痛を与える介護をしていないか気を配りましょう - 自立支援介助
要介護者が自分でできることとできないことを判断し、できない部分はしっかりとサポートをし、一人でできる部分は積極的に自立を促しましょう
このように実技試験は、実際の介護現場を想定した試験です。
当日までどのような課題が出題されるか分かりません。
どの課題にも対応できるよういろいろシチュエーションを想定しておきましょう。
実技試験に合格するポイント
実技試験合格のポイントは、あらゆるシチュエーションを想定し、それに対する正しい介助の仕方をあらかじめ身につけておくことです。
試験課題は、当日の控室で発表されます。
課題をもらってから本番までは、10分ほど時間がありますが、その時間が合格へのカギを握ります。
メモには、要介護者の名前や年齢、体の状況、利用者が希望していることが書かれています。
メモの情報をもとに、頭の中で順序立ててイメージを作って本番に臨むことが大切です。
実技試験の合格基準は、筆記試験と比べても難易度は低く100点満点中60%程度が基準とされています。
合格率も9割にも昇るため、きちんと対策をすれば十分合格できる試験です。
試験当日は、動きやすい服装、スニーカー、髪が長い人であればしっかりと束ねて挑みましょう。
ジーンズやアクセサリーなど、安全に支障をきたすものは避けましょう。
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介護福祉士の実技試験免除とは
介護福祉士の実務試験は受ける必要がある場合とない場合があります。
それぞれの場合について解説していきます。
実技試験が免除される対象者
実務試験が免除される場合の対象者のルートについて解説します。
養成施設ルート
高等学校を卒業した人で以下の条件に当てはまる人が実技試験免除の対象となります。
- 介護福祉士養成施設に2年以上在学している人
- 福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設などを卒業した後に介護福祉士養成施設で1年以上学び、卒業した人
大学や専門学校などの費用はかかってしまいますが、この養成施設ルートは最短で1年で受験資格が取得できるので、早く資格を取得したい人には良い方法です。
実務経験ルート
すでに介護現場での実務経験がある人で、実務試験が免除されることをいいます。
免除される条件として以下の2点があります。
- 介護施設での従業期間が3年(1,095日)以上、かつ従事期間が540日以上
- 実務者研修もしくは介護職員基礎研修と、喀痰吸引等研修の両方を修了していること
なお、従事期間のうち産前・産後休業や育児休業、病気などで休職をしていた場合でも施設に籍があれば、その期間も従事期間と認められます。
しかし、従事日数に関しては、「介護業務」に関わらなかった日は、数えられないので注意が必要です。
両者ともにアルバイトやパート勤務でも適用されるので短時間の勤務であっても「1日」として数えられるので未経験でも介護福祉士の資格を取得したい人向けの方法です。
福祉系高校ルート
福祉系高校ルートとは、福祉系の高校もしくは特例高校を卒業した人が介護福祉士の国家試験を受けて合格すれば、実技試験を受けなくても資格が取得できるというものです。
ただし、これには「平成21年度以降に学校に入学をした人」という条件があります。
平成20年度以前に入学した人は、介護技術講習または介護通程・介護過程Ⅲのいずれかを修了している場合のみ、実技試験が免除されます。
実技試験を受ける必要がある対象者
ここからは、実務試験を受ける必要がある場合のルートについて解説します。
福祉系高校ルート
福祉系高校ルートを卒業しても実技試験が免除されない人は、以下のとおりです。
- 平成20年度以前に入学をした人で、介護技術講習または介護通程・介護過程Ⅲのいずれかを修了していない人
- 特例高等学校卒業後に9ヶ月以上の実務経験を積んだが、介護技術講習を修了していない人
経済連携協定ルート
経済連携協定(EPA) ルートの場合は、まず第1前提としてEPA介護福祉士候補者である必要があります。
EPA介護福祉士候補者とは、日本で介護研修や就労し介護福祉士資格取得を目指す人のことをいいます。
EPA介護福祉士候補者が介護技術講習、介護通程・介護過程Ⅲ、実務者研修のいずれかを修了していない場合は、実技試験の対象者となります。
介護実技講習による実技試験免除
介護実技講習とは、受講・終了することで、介護福祉士資格取得に必要な実技試験免除される講習のことをいいます。
厚生労働大臣から介護技術講習の実施を届け出た、介護福祉士養成施設が実施しています。
介護福祉士のやりがいとは?
介護士福祉士は、介護が必要な方たちのサポートを安心・安全に行う、とても責任のある仕事です。
その分、やりがいも大きく感じられることでしょう。
介護福祉士の仕事は、利用者介護が必要な方たちとのコミュニケーションをとる機会が多く、利用者からの「ありがとう」の言葉をたくさんいただける仕事でもあります。
大変な職業だからこそ、その言葉が大きなやりがいにもなります。
また、介護という人に寄り添う仕事のため、利用者の自立や回復を身近でサポートできる職業でもあります。
介護福祉士資格は国家資格であり、取得には知識や経験など求められるものも多いですが、これらは自分自身のスキルアップにも繋がります。
介護の仕事も日々、新しいものへと変化をしているので、毎日が学びの連続です。
そのような環境に身を置くことは、やりがいにも繋がるでしょう。
介護福祉士の実技試験まとめ
ここまで介護福祉士国家試験の筆記試験・実技試験の免状の条件や、介護福祉士のやりがいについての情報を中心にお伝えしてきました。
- 介護福祉士資格は、出題範囲も広く難易度も高が、とても信頼性のある国家資格
- 条件に応じては介護福祉士の実務試験は免除される
- 資格を取得後は、介護福祉士としてやりがいのある仕事ができる
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました。