福祉系の国家資格である介護福祉士。
資格取得には勉強方法の選択が重要となる介護福祉士ですが、どのような方法や手段があるのでしょうか?
今回、介護福祉士国家資格取得のための勉強方法についてご紹介した上で、試験科目や受験のコツについてもご紹介します。
- 介護福祉士国家試験の科目数
- 独学におけるメリット
- 通信講座、通学講座にかかる費用の相場
介護福祉士国家資格取得の勉強方法に関する理解を深めるためにも、是非最後までご覧ください。
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介護福祉士国家試験とは
介護福祉士国家試験とは、国家資格である介護福祉士の取得条件として年に一度行われる国家試験です。
毎年1月下旬に筆記試験、3月上旬に実技試験が行われています。
出題方法はマークシート方式が採用されており、4領域12科目に総合問題を足して全13科目の出題範囲があります。
以下は分野と出題科目をまとめた表です。
【介護福祉士国家試験における分野及び科目】
- 人間と社会
①人間の尊厳と自立
②人間関係とコミュニケーション
③社会の基本 - 介護
④介護の基本
⑤コミュニケーション技術
⑥生活支援技術
⑦介護過程 - こころとからだのしくみ
⑧発達と老化の理解
⑨認知症の理解
⑩障害の理解
⑪こころとからだのしくみ - 医療的ケア
⑫医療的ケア - 総合問題
⑬総合問題
「①人間の尊厳と自立」「④介護の基本」と「②人間関係とコミュニケーション」「⑤コミュニケーション技術」は一つの科目群として扱われるため、最終的には11科目群となります。
- 出題数:125問
- 試験時間:220分
介護福祉士国家試験は合格しただけでは介護福祉士を名乗ることはできません。
試験合格の段階で与えられるのは「登録資格要件」です。
所定の手続きにより、申請書を社会福祉振興・試験センターへ提出することで介護福祉士として登録され名乗ることができます。
介護福祉士国家試験の合格率
過去5年における介護福祉士国家試験の合格率は約70%前後です。
合格者数は毎年6万人程度となっています。
詳細は以下の表の通りです。
受験回 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
第34回 | 8万3082 | 6万99 | 72.3 |
第33回 | 8万4483 | 5万9975 | 71.0 |
第32回 | 8万4032 | 5万8745 | 69.9 |
第31回 | 9万4610 | 6万9736 | 73.7 |
第30回 | 9万2654 | 6万5574 | 70.8 |
令和5年度(第35回)介護福祉士国家試験日程
令和5年度の介護福祉士国家試験の日程は、以下の通りになっています。
- 筆記試験:令和5年1月29日(日)
- 実技試験:令和5年3月5日(日)
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介護福祉士の勉強方法
合格率約70%の介護福祉士国家試験ですが、合格するためには当然、試験に向けた勉強が欠かせません。
勉強方法は独学や通信などさまざまですが、自分に適した方法の選択はとても重要です。
ここからは介護福祉士国家試験対策として、独学、通信、通学のそれぞれの勉強について、そのメリット・デメリットを説明します。
独学
介護福祉士国家資格取得のための勉強方法として、独学を選択される方は少なくありません。
実際、多くの出版社から、独学で介護福祉士国家資格取得を目指す方を対象にしたテキストが販売されています。
近年では、動画サイトで介護福祉士国家試験対策をテーマにした無料動画の配信が行われるなど、独学といえども勉強方法は多様化しています。
メリット
勉強方法として独学を選ぶ最大のメリットは、やはり費用面での負担が少ない点があげられます。
独学の場合にかかる費用はテキスト代以外ほとんどかからないため、大きな出費にはなりません。
また、勉強時間や場所を選ばない点もスケジュールを立てやすくメリットになります。
デメリット
独学のデメリットは、わからない部分に対して質問ができない点です。
わからないことがあっても自身で調べるなどして理解していく必要があるため、一つの理解に対して膨大な時間を費やしてしまう可能性があります。
また、ともに学習する仲間がいないためモチベーションの維持が難しい点もあげられます。
通信
近年では通信での勉強方法もメジャーとなってきています。
専用テキストを中心に学習する講座や、パソコンやスマホで動画視聴できる講座もあります。
メリット
通信講座のメリットとしては、受験対策に特化したプロの講座を受けられる点にあります。
スマホで動画視聴しながら受講できるものであれば、時間や場所を選ばずに隙間時間を活用しての勉強も可能です。
模擬試験を受けられる講座もあり、勉強が身についているかどうか評価しやすい点もメリットです。
デメリット
通信講座のデメリットは、独学に比べ費用が高くなる点です。
費用としては、講座にもよりますが2~5万円が相場になります。
また、通信講座についても独学同様に一人で行う勉強方法となるためモチベーションの維持が難しい場合もあります。
通学
通学は、受験対策としてプロの講義を直接受けられる勉強方法です。
多くが短期集中講座となっており、実際に会場へ足を運んで講義を受けられます。
メリット
通学のメリットは、その場でプロの講師へ質問ができる点です。
わからない部分があってもその場で解決できるため、独学のようにわからない箇所に多くの時間を費やすようなことはありません。
また、同じ目的を持った仲間とともに学習でき、モチベーションを維持しやすいのも特徴です。
デメリット
デメリットは費用面です。
独学や通信に比べ、費用面の負担は大きくなります。
講座内容にもよりますが、短期講座で3~7万円、長期講座で20万円前後の費用がかかります。
また、授業の日程はあらかじめ決まっているため、働きながら受講される場合は注意しなければなりません。
ただし、講座によっては振替受講などの対応を行っている場合もあります。
スケジュール調整が難しい場合、振替受講などの対応があるかを事前に調べておくと安心です。
介護福祉士の試験に合格するコツ
ここまでは勉強方法についてのメリット・デメリットについて説明してきましたが、ここからは試験に合格するためのコツを紹介します。
試験前
自分にあった勉強方法の選択も大切ですが、受験対策として以下にあげる内容は欠かせません。
模擬試験に取り組む
実際の試験を想定した模擬試験を受験することは大切です。
実際の試験時間にあわせて問題を解くことで、一問に費やす時間のペース配分がわかるようになります。
また、試験では緊張感のある中で長時間集中しなければなりません。
模擬試験を経験しておけば、ぶっつけ本番で臨むよりも心に余裕が生まれます。
そのほか、模擬試験の点数から得意分野と苦手分野の分析ができ、本番までの対策を立てやすくなります。
過去問を解く
勉強方法として、過去問を解くのは定石です。
介護福祉士国家試験は科目数も多く、参考書を読み込んで全てを理解するのは容易ではありません。
過去問を解く中で出題の傾向を理解でき、重要視される内容がわかるようになります。
まずは過去問の内容を中心に理解しながら、理解の範囲を広げていく勉強方法がおすすめです。
問題集を繰り返し解く
販売されているテキストの中には、受験対策としたオリジナルの問題集があります。
こうした問題集を繰り返し解きながら、理解を深めていくのも有効な手段です。
前述した模擬試験や過去問についても同様ですが、わかったつもりでも時間が経つと忘れてしまう可能性もあります。
たとえ同じ問題集であっても、2回、3回と繰り返し解くことで確実に覚えられます。
勉強時間の確保
勉強方法も大切ですが、勉強時間を確保できなければ意味がありません。
仕事や子育てをされている方にとっては容易ではありませんが、勉強時間の確保は重要です。
試験当日
受験対策をしっかりやってきても、本番で力を発揮できなければ意味がありません。
試験当日に行うべきポイントについても説明します。
選択式は消去法で解く
介護福祉士国家試験の回答形式は、問いに対し5つの選択肢から一つを選ぶ方法になります。
間違いなく正解を選べる場合には問題ありませんが、選択に迷うケースもないとはいえません。
その際に、不正解と思われる選択肢から消していくことで選択肢を減らしながら答えを選べます。
違う選択肢をどんどん消していけば、迷いも少なくなり回答スピードを上げられます。
全ての問題に目を通す
試験時間は午前午後で110分です。
理解できない問題につまずいてしまうと、それだけ残り時間が減ってしまいます。
また、合格基準は約60%とされていますので、多少答えられない問題を飛ばしても余裕があるため、すべての問題に目を通すように心がけるとよいです。
全ての問題を解くように心がける
もしわからない問題があっても空欄で提出してはいけません。
まったく答えがわからない問題であっても、5つの選択肢から何かしら選択すれば20%の確率で正解になります。
時間配分に気をつける
本番で大切な要素の一つに時間配分があげられます。
わからない問題に長時間費やしてしまうと、全ての問題を解く時間が足りなくなってしまう恐れがあります。
わからない問題があった場合には後回しにして、わかる問題から解いていくと安心です。
介護福祉士試験の勉強時間の目安
前述しましたが、介護福祉士国家試験合格のためには勉強時間の確保が重要です。
試験範囲も広いので短い期間で集中的に詰め込むよりも、時間をかけてコツコツと勉強していくほうが安心です。
1日の勉強時間やどれくらい前から勉強を始めるべきかは、現状の理解度によって大きく異なります。
参考までに、合格者の多くは3カ月~半年、長い方で1年ほど前から勉強を開始し、1日1~2時間、休日は3~4時間程度勉強時間を設けています。
介護福祉士の試験に落ちたら?
介護福祉士国家試験は決して容易な試験ではありません。
一生懸命勉強してきても不合格になる場合もあります。
万が一、試験に落ちてしまった場合に大切なのは気持ちの切り替えです。
いつまでも落ち込まず、翌年の試験に向け気持ちを切り替えなければなりません。
今回の試験結果を分析し、自分の苦手分野の克服を前提に学習計画を立て直すことが重要です。
介護福祉士の勉強方法まとめ
介護福祉士国家資格取得のための勉強方法に関する内容や、方法を中心にお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 介護福祉士国家試験の科目数は、13科目
- 独学におけるメリットは、費用的負担が少ない点
- 通信講座にかかる費用の相場は、2~5万円
- 通学講座にかかる費用の相場は、短期講座で3~7万円、長期講座で20万円前後
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。