高齢化社会になって介護職の需要も増えています。
介護の職場はいろいろありますが、デイサービスから始めるという方も多いでしょう。
今回は、以下の点を中心にデイサービスの仕事内容についてご紹介していきます。
- デイサービスの主な仕事内容
- デイサービスの種類
- デイサービスの介護職に必要な資格
ぜひ最後までご覧いただき、デイサービスへの就職活動にお役立てください。
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デイサービスとは
通所介護は通称デイサービスと呼ばれています。
要介護状態にある65歳以上の高齢者を対象として、デイサービスセンターに自宅から通います。
デイサービスの目的は、できるだけ自宅で生活を送ることができるようにすることです。
そのため、入浴、排泄、食事などの介助をはじめ、機能訓練やレクリエーションを通して生きる楽しみを味わってもらうことが仕事内容となっています。
また、普段自宅で介護している家族にとってひととき介護から解放され、息抜きの一助にもなっています。
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デイサービス職員の仕事内容
デイサービスでは、可能な限り自宅で過ごすことができるように主に4つのサービスが提供されています。
それぞれの仕事内容を紹介しましょう。
送り迎え
デイサービスでは、自宅から施設までの送迎サービスがあります。
デイサービスによっては専属のドライバーがいるところもありますが、中小のデイサービスでは、介護職員がドライバーを兼ねているところがほとんどです。
仕事内容としては、足腰の弱い方、車椅子を利用されている方に対してスムーズに乗り降りできるように介助することなどがあります。
また担当介護職員が同乗して、利用者の家族への申し送りなども仕事内容となっています。
入浴介助
入浴介助は、単に利用者の身体の清潔を保つだけではありません。
利用者ができるだけ自分で入浴できるように、その力を引き出しながらサポートするという観点が求められます。
声をかけながら利用者の様子を観察し、あせもなどの皮膚の異常がないかなどをチェックします。
また、お風呂から上がったときに必要であれば爪を切ったり、保湿クリームを塗ったりするのも仕事内容に含まれます。
食事介助
食事の介助は、介護度や利用者の健康状態を十分把握しておく必要があります。
食べることに全く支障のない方もいれば、噛むことや飲み込むことが苦手な方もいます。
その人に合った食事の介助をする必要があります。
また、高齢者は誤嚥性肺炎になりやすいので、特に食事のときには見守りが必要になります。
デイサービスでは、利用者が楽しくそして安全に食事ができるようにサポートします。
レクリエーション
デイサービスでのレクリエーションは、大きな意味があります。
自宅では閉じこもりがちの高齢者が外に出て、楽しくほかの人と交流を持つことで生きる楽しみを見出すことができます。
また、単に楽しむだけでなく運動や知的好奇心などを刺激する機能訓練も兼ねています。
施設によって、さまざまな工夫がなされているレクリエーションですが、企画を考え、運営・実行するのもデイサービスの仕事内容の一つです。
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デイサービスの種類によっても仕事内容が異なる?
ひとくちにデイサービスといっても、目的によってもいろいろな種類があります。
種類によって仕事内容も違ってきますので、注意しましょう。
大規模デイサービス
大規模デイサービスとは、1日の利用者が26人以上いる施設のことです。
利用者が多いので、もちろん介護スタッフも多くなります。
初めのうちは利用者の名前を覚えるだけでも大変かもしれません。
大規模デイサービスの仕事内容で大切なのは、人数が多いため広い目配りが必要になるということです。
そのため、一緒に働くスタッフとの連携やコミュニケーションも大切になります。
小規模デイサービス
小規模デイサービスは、1日の利用者が18人以下の施設のことです。
アットホームなデイサービスが多く、利用者一人一人と向き合うことができます。
その人に合った介助を早く見つけることが大切です。
リハビリ特化型デイサービス
リハビリ特化型デイサービスは、一般的なデイサービスより機能訓練に重点を置いています。
仕事内容としては、機能訓練指導員が中心となって機能の回復や維持のための訓練を行います。
リハビリ特化型デイサービスの特徴は、1回当たりの利用時間が3~4時間と短いことです。
午前だけ、午後だけといった利用方法になります。
介護度が低い利用者が多いので、一般的な介助よりも身体的な負担の少ない仕事内容となりますが、高度なリハビリ用の器具の使い方などを覚えなければなりません。
認知症対応型デイサービス
利用者が認知症であることが特徴で、ほとんどの場合12人以下の小規模デイサービスです。
認知症の進行を緩和することを目的とした仕事内容になります。
生活のサポートや機能訓練などを行いますが、認知症への理解と対応が求められます。
お泊りデイサービス
デイサービスで日中過ごし、そのまま宿泊できる環境を整えた施設がお泊りデイサービスです。
家族が仕事や冠婚葬祭などで外泊する場合などに利用することが多いサービスです。
仕事内容は夜勤勤務で、1人の介護職員に対して9人以下の利用者を見守り、利用者に合わせたケアを行います。
夜勤手当がもらえるので、給与をアップしたいときなどは積極的にシフトに入るといいでしょう。
デイサービス職員の給料
介護職にもいろいろあり、給料面でもさまざまです。
デイサービスの職員の給料は高いのか、安いのか気になるところですが、実情は「安い」部類に入ります。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、デイサービスの平均給料は28万600円となっています。
最も高い給料は特別養護老人ホームで35万430円です。
デイサービスは基本的に日中勤務で夜勤はありませんから、夜勤手当はつきません。
また、リハビリや医療的なケアというサービスの違いが給料面に反映されています。
デイサービスで働くメリット・デメリット
ここまで、デイサービスで働く仕事について紹介してきました。
介護職でデイサービスを選択することには、メリット・デメリットの両方があります。
どのようなメリット・デメリットがあるのか参考にしてみてください。
メリット|規則正しいシフト
デイサービスは、基本的に日勤のみで夜勤などはありません。
ほかの介護施設に比べてサービス提供時間が決まっており、1日のスケジュールがほぼ決まっています。
そのため、残業や早出、遅出、急な残業が発生することも少ないため、変則的な勤務は少なくなっています。
残業があるとしても、送迎や記録業務などで数分遅くなる程度であり、基本的に規則正しいシフトでの勤務が可能です。
また、土日や祝日を休みとしている施設が多くあります。
自分の時間を作って、資格取得のための勉強時間に当てることも可能です。
プライベートの予定や子育て、自宅での活動と両立できることなど、ワークライフバランスをコントロールしながら勤務しやすいことがメリットと言えます。
メリット|未経験でも始めやすい
デイサービスは専門的な知識や技術がなくても働きやすいという特徴があります。
デイサービスの利用者様は、介護度が低い方が多く、専門的な介護や援助を必要としない場合も少なくありません。
デイサービスの施設によって異なりますが、コミュニケーション能力を重視することが多くあります。
そのため、介護職未経験や無資格でも勤務可能という求人が多くみられます。
介護に興味があり、介護職未経験の方には挑戦しやすいでしょう。
また、施設によっては介護職員の資格取得支援を行っているところもあり、働きながら資格を取ることができます。
介護職員としての経験がなくとも働きやすいことはメリットと言えます。
メリット|身体的負担が軽い・夜勤が少ない
デイサービスで働く上で、身体的負担が軽いことや夜勤が少ないことがメリットと言えます。
デイサービスでは、通所介護サービスであり、介護度が低い利用者様が多くみられます。
そのため、自分で身の回りのことができる人が多く、利用者様を抱え上げるような移乗介助は少なく、腰痛などの身体的負担は多くありません。
介護老人福祉施設などの他の施設と比較して、直接的な身体介護は少なくなります。
前述したように夜勤が少ない点もあり体力的に不安な方でも、規則的な勤務が可能です。
デイサービスは、自身の体力的な理由で転職を考えている方にはメリットと言えます。
デメリット|給料が低い
デイサービスで働くデメリットとして、給料面が挙げられます。
上述しましたが、デイサービスの平均給料は28万600円となっています。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では、平均35万430円、介護老人保健施設は33万8920円と夜勤がある施設は平均給与がデイサービスより高いです。
あくまでも平均であり、経験年数や保有資格、地域によっても給与に差があります。
しかし、メリットで挙げたように、デイサービスは基本的に日勤帯のため夜勤手当がありません。
夜勤がある介護老人福祉施設などと比べて低いためデメリットと言えます。
デメリット|身体介護が少ない
デイサービスの仕事内容は介護技術が必要なものもありますが、主に介護予防・自立支援になります。
デイサービスの利用者様は介護度が低く、身体介護が必要な方は多くありません。
デイサービスでは、自立支援やレクリエーションなどのスキル向上ができます。
しかし、他の介護施設と比べて、身体介護が少ないため介護技術のレベルアップには向かない面があります。
デイサービスに勤務していても、介護老人福祉施設などの介護施設と比べて、高度な技術や知識、経験は少なくなっていしまいます。
より高度な技術を身につけたいと考える方にとっては、不満が残るかもしれません。
そのようにデイサービスで働く上でデメリットと言えます。
デイサービスの職種・必要な資格
デイサービスでは、さまざまな職種の方が勤務しています。
ここでは、デイサービスで働く職種と必要な資格を合わせて紹介していきます。
デイサービスの職種
デイサービスで働く職種は何があるのでしょうか?
下の表では、デイサービスで働く職種と担当業務、必要資格をまとめています。
デイサービスでの勤務を検討している方は参考にしてみてください。
職種 | 担当業務 | 必要資格 |
管理者 | 施設の管理・運営 スタッフの指導・育成 事業の計画立案・実行など | 資格なしでも可 |
介護職員 | 介護業務全般 レクリエーション 送迎業務など | 資格なしでも可 介護職員初任者研修 介護職員実務者研修 介護福祉士 |
看護師 | バイタルチェック 服薬管理 医療処置 介護業務の補助など | 看護師 准看護師 |
生活相談員 | ケアマネージャーとの連携 他施設との連携 利用者様へのサービス説明など | 社会福祉士 精神保健福祉士など |
機能訓練指導員 | 機能訓練計画書の作成 利用者様への機能訓練 スタッフへのリハビリ内容指導 介助方法の指導など | 看護師、准看護師 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 柔道整復師 鍼灸師 あん摩マッサージ指圧師 調理師 介護職の対応 管理栄養士など |
事務員 | 人事・会計関連の事務 受付・窓口業務など | 資格なしでも可 |
デイサービスの必要な資格
以下は、上記の職種につくために必要な資格の一覧になります。
資格名 | 資格概要 | 受験資格 |
介護職員初任者研修 | 最初に取り組むべき資格 介護の基本的な知識やスキルの証明 | 特になし |
介護福祉士実務研修 | より高度な介護知識・医療ケアを学ぶ 介護福祉士国家試験に必須の資格 | 特になし |
介護福祉士 | 専門的知識及び技術を有することの証明 職場のチームリーダーとしての素質、介護のスペシャリストとしての実績を証明 | 指定の介護福祉士養成施設を卒業 実務経験3年以上 + 実務者研修の修了 |
社会福祉士 | 福祉や医療に関する相談援助に必要な専門知識・スキルがあることを証明する国家資格 | 4年制大学卒業の場合、必要なカリキュラムを1年以上履修 |
介護予防運動指導員 | 高齢者の運動や生活習慣に関する指導を行い、年齢を重ねても生き生きと自立した生活を送るための手助けをする資格職業 | 初任者研修+実務経験2年以上 |
デイサービス職員は無資格でも大丈夫?
デイサービスでの介護職員になるためには、特別な資格は必要としません。
ただし入浴介助など身体介護をする場合には、資格が必要となります。
無資格でもレクリエーションなどできることはありますが、やはり仕事内容に制限がついてしまうので最低でも「介護職員初任者研修」の資格は取っておいた方がいいでしょう。
介護職が自分に向いているとわかったときには、さらにステップアップして「介護福祉士」「ケアマネージャー」などを目指せば、仕事内容も給料も充実してやりがいを感じるのではないでしょうか。
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デイサービス職員の仕事内容のまとめ
ここでは、デイサービスの仕事内容について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- デイサービスの主な仕事内容は「送迎」「入浴介助」「食事介助」「レクリエーション」
- デイサービスの種類は「大規模」「小規模」「リハビリ特化型」「認知症対応型」「お泊り」
- デイサービスの介護職に資格は必要ないが、仕事内容を充実させるために資格取得は大切
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。