看護小規模多機能型居宅介護(通称:看多機)は、医療依存度が高い高齢者が住み慣れた自宅や地域で生活を継続できるようサポートする介護保険サービスです。
「訪問介護」「通所(通い)」「宿泊(泊まり)」の3サービスに「訪問看護」が加わることで、柔軟な介護と高度な医療ケアを一体的に受けられます。
本記事では、看多機の具体的なサービス内容やメリット・デメリット、利用費用、小規模多機能型居宅介護(小多機)との決定的な違いを分かりやすく解説します。
- 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の4つの基本サービス
- 看多機を利用するメリット・デメリット
- 利用条件と手続き・導入の流れ
- 毎月の利用費用相場(介護報酬改定を踏まえた最新基準)
- 「小規模多機能(小多機)」と「看護小規模多機能(看多機)」の違い
在宅での介護や医療ケアの両立にお悩みの方、退院後の生活支援をお探しの方はぜひ参考にしてください。

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看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは?4つのサービス機能
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは、「通い(デイサービス)」「宿泊(ショートステイ)」「訪問介護」「訪問看護」の4つのサービスを1つの事業所で一体的に提供する地域密着型サービスです。
従来はサービスごとに別々の事業所と契約する必要がありましたが、看多機では1つの契約・同じスタッフ構成で柔軟にサービスを組み合わせることができます。

1. 通い(通所)
事業所に通い、食事・入浴・排泄の介助や機能訓練、レクリエーションなどを受けます。一般的なデイサービスと異なり、利用時間や曜日の柔軟性が高く、短時間での利用も可能です。
2. 宿泊(ショートステイ)
「通い」で利用している顔なじみの事業所にそのまま宿泊できます。環境の変化に弱い認知症の方や医療ケアが必要な方でも、安心して泊まることが可能です。
3. 訪問介護
自宅にスタッフが訪問し、身体介護や日常生活の支援を行います。状態の変化に応じて、必要時に短時間の訪問を組み合わせるなど臨機応変な対応が可能です。
4. 訪問看護(医療ケア・看取り対応)
看護師が自宅を訪問、あるいは事業所内で医療処置や健康管理を行います。主治医の指示書に基づき、経管栄養やインスリン注射、カテーテル管理、がん末期などのターミナルケア(看取り)にも対応できます。
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看護小規模多機能型居宅介護のメリット・デメリット
看多機には、医療依存度が高い方や介護者の負担軽減に役立つ多くのメリットがある一方、利用上の制限も存在します。
- 医療依存度が高い方でも在宅生活を継続できる:看護師が配置されているため、吸引や点滴、創傷処置などが必要な方やターミナルケアにも対応可能です。
- 状況に合わせた柔軟なサービス変更が可能:定額制(月額固定)のため、「急な体調変化で訪問看護を増やしたい」「介護者の急用で通いからそのまま宿泊に変更したい」といった突発的な要望にもスムーズに対応できます。
- 顔なじみのスタッフに囲まれる安心感:すべてのサービスを同じ事業所のスタッフが担当するため、信頼関係が築きやすく、認知症の方の精神的安定にも繋がります。
- ケアマネジャーも同じ事業所に所属:看多機専任のケアマネジャーが配置されるため、医療機関や現場スタッフとの連携が迅速に行われます。
- 1日の利用人数に制限がある:登録定員(最大29人)に対し、「通い(最大18人)」「宿泊(最大9人)」と1日の利用定員が定められています。希望日が重なると宿泊などが利用できない場合があります。
- ケアマネジャーの変更が必要になる:看多機を利用する場合、現在担当してもらっている外部のケアマネジャーから、看多機所属のケアマネジャーへ切り替える必要があります。
- 他のデイサービスや訪問介護との併用が原則不可:看多機と契約すると、他の指定デイサービスや訪問介護、訪問看護などを重ねて利用することは原則できません(※訪問リハビリや福祉用具貸与など一部サービスを除く)。
看護小規模多機能型居宅介護の利用条件と手続きの流れ
看多機は地域の要介護者を対象とした地域密着型サービスです。
利用条件
- 要介護1〜5の認定を受けていること(※要支援1・2の方は利用できません)
- 事業所と同じ市区町村に住民票があること
- 医療処置や看取り、柔軟な介護サービスを必要としていること
病状が比較的安定しており、自宅での生活維持を目指す方が主な対象となります。
利用開始までの3ステップ
ステップ1:担当ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談
現在の要介護度や身体状態、必要な医療ケアを整理し、看多機の利用が適しているか相談します。
ステップ2:事業所の見学・事前面談・契約
紹介された事業所を見学し、スタッフの対応や雰囲気を確認します。ご本人・ご家族と事業所担当者で面談を行い、納得のうえで契約を結びます。
ステップ3:ケアプランの作成と利用開始
看多機専任のケアマネジャーが、ご本人の状態やご家族の希望に合わせた一連のケアプラン(通い・宿泊・訪問の組み合わせ)を作成し、サービス利用が始まります。
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看護小規模多機能型居宅介護の費用相場(月額費用)
看多機の介護サービス費用は、要介護度に応じた「1ヶ月あたりの定額制(月額固定)」です。利用回数が増えても介護サービス費の基本料金は変わりません。
介護保険の自己負担額目安(1ヶ月あたり・1割負担の場合)
以下は介護報酬に基づいた基本報酬の目安額です(※地域加算や各種体制加算除く)。
| 要介護度 | 同一建物以外に居住の場合 | 同一建物(併設住宅等)に居住の場合 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 約12,693円(12,693単位) | 約11,437円(11,437単位) |
| 要介護2 | 約17,761円(17,761単位) | 約16,003円(16,003単位) |
| 要介護3 | 約24,969円(24,969単位) | 約22,497円(22,497単位) |
| 要介護4 | 約28,320円(28,320単位) | 約25,516円(25,516単位) |
| 要介護5 | 約32,034円(32,034単位) | 約28,862円(28,862単位) |
※1単位=10円、自己負担1割として算出。所得に応じて2割または3割負担となります。
介護保険外の自己負担費用
介護サービス費(基本報酬)のほかに、以下の実費費用が発生します。
- 宿泊費:1泊あたり2,000円〜5,000円程度
- 食費:1食あたり500円〜800円程度(朝・昼・夕)
- 日常生活費:おむつ代、理美容代、レクリエーション材料費などの実費
宿泊日数や食事の回数に応じて総額が変動するため、契約時に料金表を確認しておきましょう。
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看護小規模多機能(看多機)と小規模多機能(小多機)の違い
名称が似ている「小規模多機能型居宅介護(小多機)」と「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」の最大の違いは、「訪問看護機能(医療ケア対応力)の有無」です。
比較表
| 比較項目 | 看護小規模多機能型居宅介護(看多機) | 小規模多機能型居宅介護(小多機) |
|---|---|---|
| 提供サービス | 通い+宿泊+訪問介護+訪問看護 | 通い+宿泊+訪問介護 |
| 要介護度の対象 | 要介護1〜5 | 要支援1〜2、要介護1〜5 |
| 医療処置の対応 | 高度な処置が可能(インスリン、経管栄養、インウェル、ターミナル等) | 軽度な処置(服薬管理・処置補佐等)に限られる |
| 看護師の配置 | 常勤換算で2.5人以上 | 1人以上(非常勤可) |
| 適している人 | 医療依存度が高い人、退院直後で状態が不安定な人、看取り希望の人 | 主に介護支援を中心に、アットホームなケアを受けたい人 |
退院直後で点滴や医療カテーテルの処置が必要な方や、最期まで自宅周辺で過ごしたい「看取り」のご希望がある場合は、看多機が第一選択となります。
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看護小規模多機能型居宅介護の人員配置基準と設備基準
看多機では手厚い看護・介護体制が義務付けられています。
人員配置基準
| 職種 | 配置基準 |
|---|---|
| 看護職員 | 常勤換算で2.5人以上(うち1人以上は常勤の看護師または保健師) |
| 介護職員 | 通い:利用者3人に対し1人以上/訪問:常勤換算2人以上 |
| 夜勤・宿直 | 夜間帯を通じて1人以上(宿泊利用者がいる場合) |
| 介護支援専門員 | 1人以上(専任のケアマネジャー) |
| 管理者 | 常勤専従1人(保健師・看護師、または一定の認知症介護研修修了者) |
設備基準
- 登録定員:29人以下
- 利用定員:通い 18人以下/宿泊 9人以下
- 必要設備:居間・食堂、宿泊室(全室個室・床面積7.43㎡以上)、浴室、台所、非常災害設備など
高度な看護体制とアットホームな居室設備を兼ね備えることで、安全かつ快適な生活環境を提供しています。
まとめ
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)についての要点をまとめます。
- 看多機は「通い」「宿泊」「訪問介護」「訪問看護」を一体的に提供する介護保険サービス
- 医療依存度が高い方や看取り期の方でも、住み慣れた自宅・地域で暮らせる体制が整っている
- 月額定額制のため、体調変化に応じたサービス変更を追加費用なく柔軟に行える
- 小多機との最大の違いは「訪問看護機能」と「手厚い医療連携」にある
医療と介護の両面から一元的なサポートを受けられる看多機は、これからの地域包括ケアシステムにおいて欠かせない存在です。ご家族の医療処置や在宅介護でお悩みの方は、まずはお近くの地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談してみましょう。

