介護保険で利用するデイケアやデイサービスでは日帰りで生活支援のサービスが受けられます。
歩行訓練や入浴など様々なサービスが提供されます。
デイケアと名のつくものに、医療保険で使用する精神科デイケアがあります。
精神科デイケアどのようなものなのでしょうか?
また、対象者やサービス内容は具体的にどのようになっているのでしょうか?
本記事では精神科デイケアについて以下の点を中心にご紹介します。
- 精神科デイケアの役割や目的
- 精神科デイケアのサービス内容
精神科デイケアについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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精神科デイケアとは?
精神科デイケアは、精神疾患を抱えている方が自立した日常生活や社会参加・復帰を目的とした日帰りの通所リハビリテーション施設のことです。
精神科デイケアの利用者は、対人関係を築くことや精神疾患の再発防止、生活リズムの改善のために、さまざまなプログラムを通して社会復帰を目指します。
高齢者が通っているデイケアがイメージされやすいですが、精神科デイケアは高齢者デイケアと目的が異なります。
精神科デイケアの対象者
施設の利用対象者は、発達障害や精神疾患を抱える人で、社会復帰を目標とします。
また、比較的症状が安定し、入院の必要がない人を対象としています。
施設によって利用対象者は異なるので、利用する際は確認しましょう。
対象となる精神疾患は以下の通りです。
- 統合失調症
- 双極性障害
- 不安障害
- 強迫性障害
- 発達障害
- うつ病 等
精神科デイケアの実施施設
精神科デイケアを実施している施設はいくつかあります。
- 病院(単科病院、総合病院)
- 精神科クリニック
- 保健所
- 精神保健福祉センター
病院(単科病院、総合病院)
病院は2種類あり、病床が20床以上で病院、100床以上で総合病院となっています。
単科病院とは精神科のみの病院のことです。
病院が行っているため、大きい規模の病院であればスタッフ数や利用定員も多くなります。
また、対象とする障害やプログラムの内容も豊富となります。
精神科クリニック
精神科クリニックは、精神科診療所を指します。
病床が20床以下であり、クリニックによっては病床がない場合もあります。
クリニックの精神科デイケアは、病院と比べて規模が小さいです。
利用者が少ないため、利用者やスタッフとのコミュニケーションがとりやすいです。
保健所
保健所は、公的施設であり、都道府県や政令指定都市によって設置されています。
現在は、保健所に設置しているデイケアは少なくなっています。
地域の保健所に精神科デイケアを設置しているか確認する必要があります。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、精神保健福祉に関する公的機関で、都道府県や政令指定都市に設置されています。
保健所同様に、精神科デイケアが設置されているか確認する必要があります。
精神科デイケアの目的|対人スキルの向上
精神科デイケアの目的には対人スキルの向上があります。
家族だけでなく、学校や会社など社会ではさまざまな人とコミュニケーションをとることが必要です。
精神科デイケアでは、利用者同士や職員とのコミュニケーションで対人関係の練習を行います。
グループワークやプログラムによって少しずつ獲得を目指し、社会復帰への自信に繋げます。
精神科デイケアの目的|生活リズムの改善
生活リズムの改善も重要な目的の1つです。
会社や学校に通っていた人たちも、途端に生活リズムが崩れる場合があります。
デイケアに通い、毎朝決まった時間に起きることで、生活リズムが安定します。
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精神科デイケアのサービス内容
それぞれの施設で提供されるプログラムは多種多様です。
利用者が心と体を健康に保ち、社会復帰をした時に役立つスキルを提供します。
各プログラムで可能な活動の例をご紹介します。
文化系プログラム
文化系プログラムでは、創作や趣味活動します。
文化系プログラムによって、リラックスをしたり、集中力を養います。
主な文化系プログラムは以下の通りです。
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下記のサイトでは短歌の魅力と奥深さを紹介しています。
tankalife
運動系プログラム
運動系プログラムでは体を実際に動かします。
体を動かすことで、精神面・身体面ともに健康な状態を保ちます。
主な運動系プログラムは以下の通りです。
ヨガ、ストレッチ | 卓球 | 体操 | ウォーキング、散歩 |
バドミントン | ゲートボール | ソフトバレー/バレー | フットサル |
心理教育系プログラム
心理系プログラムでは、自分の病気などの理解を深め、上手く付き合う方法を学びます。
主な心理教育系プログラムは以下の通りです。
- 認知行動療法
- ソーシャルスキルトレーニング
- うつ病やストレスについて学ぶ心理教育
就労系プログラム
就労系プログラムでは、社会復帰に向けて必要なスキルを身につけます。
主な就労系プログラムは以下の通りです。
- パソコン教室
- デスクワークトレーニング
- 職場の情報収集
- 職場見学
- 就労計画の作成
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精神科デイケアの1日の流れ
精神科デイケアの1日の流れはどうなっているのでしょうか?
4種類の精神科デイケアの1日の流れを具体的にご紹介します。
デイケア
多くの施設が9時〜15時頃までの間にサービスを提供しています。
昼食を挟んで1日6時間ほど利用できます。
提供されるプログラムは、施設によりさまざまです。
1日の参考スケジュールは以下の通りです。
時間 | 内容 |
9時半〜10時 | 開所・朝の会・ストレッチ |
10時〜11時半 | 午前のプログラム |
12時〜13時 | 昼食/休憩 |
13時〜14時半 | 午後のプログラム |
14時半~15時 | 帰宅準備 |
プログラムは、本人の状況に合わせ、グループと個人で取り組むものの両方があります。
ショートケア
活動の時間が3時間ほどの短い利用になります。
午前中もしくは午後の時間帯で3時間のため、昼食はありません。
同じ時間に通うことで、ショートケアによって生活のリズムが安定します。
午後の時間帯を利用した場合のスケジュールは以下の通りです。
時間 | 内容 |
13時〜13時15分 | スケジュールの確認 |
13時15分〜13時45分 | プログラム |
15時45分〜16時 | 帰宅準備 |
ナイトケア
夕方の時間帯〜4時間程の活動時間で、夜の時間帯をまたぐため夕食も挟みます。
日中の時間帯に仕事や生活リズムが合わず利用できない人に向けたサービスです。
参考スケジュールは以下の通りです。
時間 | 内容 |
16時 | 開所 |
16時半〜18時 | ナイトプログラム |
18時 | 夕食 |
20時 | 帰宅準備 |
デイナイトケア
朝から夜までの1日を施設で過ごします。
活動時間は10時間で、終日を施設で過ごすため、朝・昼・晩の3食になります。
精神に障害を抱える人の中には、昼夜逆転の生活をしている人が多くいます。
デイナイトケアは、規則正しい生活リズムを整えることを目的としています。
参考スケジュールは以下の通りです。
時間 | 内容 |
9時半〜 | 開所/ラジオ体操 |
10時〜12時 | プログラム |
12時〜13時 | 昼食 |
13時〜15時 | プログラム |
15時〜16時 | 掃除 |
16時半〜18時 | プログラム |
18時〜19時 | 夕食 |
19時半 | 掃除/帰宅準備 |
デイナイトケアは、施設で1日を過ごす分プログラムの量も多いです。
また、施設によっては入浴が可能なところもあります。
高齢者向けデイケアとの違い
デイケアと言えば、高齢者が通いリハビリを受けるデイケアが思い浮かびます。
高齢者向けデイケアと精神科デイケアは何が違うのでしょうか?
高齢者向けデイケアは、介護保険のサービスになります。
一方、精神科デイケアは医療保険のサービスになります。
そのため、デイケアに通う目的が違うことが大きな違いです。
高齢者向けデイケアは、障害をもつ高齢者の生活機能の向上や食事や入浴などの生活支援を受けることが目的です。
精神科デイケアは、精神疾患を持つ患者が自立した生活や社会復帰ができるように支援することが目的になります。
また、高齢者向けデイケアと精神科デイケアは働く職員も異なります。
高齢者向けデイケアでは、医師や理学療法士などリハビリ専門の職員がいます。
精神科デイケアでは、精神科医師や看護師をはじめ、精神保健福祉士、臨床心理士などの精神科に関わる職種が在籍しております。
精神科デイケアの効果は?
精神科デイケアにはどのような効果があるのでしょうか?
精神科デイケアの具体的な効果は以下の通りです。
- 施設の職員、利用者とコミュニケーションを図り対人関係を築く
- 提供されるプログラムで作業をこなし集中力を身につける
- スケジュール通りに行動し規則正しい生活リズムを身につける
- 適度な運動により、心身の健康を保つ
- 集団で過ごすことで協調性や思いやりの心を育む
- 同じ境遇の人と共感することができる
- 再発防止に繋がる
- 集団の中で過ごすことで、孤立せず居場所作りができる
- 公共機関の利用方法や銀行の使い方などの社会生活に必要なスキルを身につける
- 家族の負担を減らす
精神科デイケアの人員基準
施設の規模により配置される人員も異なります。
人員配置は以下のようになっています。
施設
利用者30人程の小規模な施設
職種 | 必要人数 |
医師 | 1人 |
看護師 | 1人 |
作業療法士 精神保健福祉士 臨床心理技術者 | いずれか1人 |
利用者50人程の大規模な施設
職種 | 必要人数 |
医師 | 1人 |
看護師 | 1人 |
作業療法士 | 1人 |
精神保健福祉士 臨床心理技術者 | いずれか1人 |
出典:厚生労働省「精神科デイ・ケア等 について」
精神科デイケアの利用状況は?
精神科デイケアの利用率(平成13年〜平成18年)は年々増加傾向にあります。
利用状況は以下の通りです。
施設区分ごとの利用者状況
利用人数 | 平成13年 | 平成14年 | 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 |
デイケア | 49,642 | 52,534 | 54,544 | 58,799 | 62,461 | 58,552 |
ナイトケア | 2,299 | 2,477 | 2,536 | 2,684 | 2,367 | 2,391 |
デイ・ナイト・ケア | 7,193 | 8,169 | 7,668 | 8,890 | 9,869 | 9,991 |
ショート・ケア | データ無し | データ無し | データ無し | データ無し | データ無し | 4,590 |
参照:厚生労働省 精神科デイ・ケア等について(p5~9)
年齢別利用者情報
精神科デイケアの利用者を年齢別でみると、1番多いのが40歳~65歳未満の年代となっています。
次に20歳~40歳未満が多くなっています。
40歳~65歳未満の年代は、仕事や子育てなどで忙しくなる方が多いのではないでしょうか。
そのため、精神を患い精神科デイケアを利用する方が多いと考えられます。
疾患別利用者状況
精神科デイケアの疾患別の利用者状況は、統合失調症が全体の72%を占めています。
次に気分障害が10%、アルコール依存が5%となっています。
統合失調症は約100人に1人がかかるといわれており、決して珍しい病気ではありません。
ほとんどの方は、10代から20代の思春期や40歳くらいまでに発症しやすい病気です。
出典:厚生労働省「精神科デイ・ケア等 について」
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精神科デイケアの終了理由
精神科デイケアの目的には、再入院、再発の予防があります。
しかし、残念ながら約半分の方は効果がなく、再入院したり本人の意思で止めたりする方もいます。
精神科デイケアの終了理由で最も多いのが、症状悪化、再入院で全体の半分を占めています。
次に通所困難や自宅の手伝い、本人の意思での終了などがあります。
終了理由で最も少ないのが復職、復学というのが現状です。
以上のことから、精神科疾患の治療がどれほど難しいのかが分かるかと思います。
精神科疾患を抱えると、精神科デイケアなどの生活改善や社会復帰を目指す治療、家族でサポートしていくための相談機関などがあります。
さらに、病院やクリニックの医師、看護師などの医療従事者とも合う合わないがあるかと思います。
精神疾患は目で見て治療することのできない心の病気です。
そのため、自分に合う場所で辛い状況から抜け出す方法を信頼できる医療者や、家族と一緒に回復を目指していける環境が大切です。
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精神科デイケアまとめ
この記事では、精神科デイケアの種類や提供されるプログラムや、対象者について解説をしました。
要点を以下にまとめます。
- 精神科デイケアとは、医療保険が適用され、精神疾患を抱える人が社会復帰を目指すために利用するサービスである。
- 提供されるプログラムには、社会生活に必要な対人関係、コミュニケーションスキルなどを身につけられるようにさまざまな工夫がされている。
- 精神科デイケアの利用人数は年々増加傾向にあり、今後、需要はますます増え続ける。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。