「セーフティネット住宅」は生活困窮時に利用できる空き家・空き室です。
セーフティネット住宅には様々な特徴やメリット・デメリットがあります。
セーフティネット住宅とは具体的にどのような特徴を持つのでしょうか?
本記事では、セーフティネット住宅について以下の点を中心にご紹介します。
- どのような人がセーフティネット住宅の入居対象になるのか
- 入居費用はどのような項目があるのか
- 事業主としてセーフティネット住宅を運営できるのか
セーフティネット住宅について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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セーフティネット住宅とは
セーフティネット住宅とはどのようなものなのでしょうか?
セーフティネット住宅についてご紹介します。
セーフティネット住宅の概要
セーフティネット住宅は高齢者や障害者、外国人などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の名称です。
セーフティネット住宅は、住宅セーフティネット制度を基準として登録されました。
住宅セーフティネット制度とは、経済的に困窮している方や生活が困難な状況に対して、最低限の安全を保障する施策です。
増加している空き家・空き室を有効活用する利便性の高い制度として活用されます。
また、生活相談や見守りも含めて、手厚いサポートが充実していることも特徴です。
住宅セーフティネット制度について
住宅セーフティネット制度は、セーフティネット住宅を貸す側と借りる側の不安要素を解消します。
また、利用者と空き部屋をマッチングする仕組みを整備しています。
セーフティネット住宅は、戦後復興期に採用された低所得者向けの「公営住宅制度」がルーツになっています。
2017年10月、人口減少に伴う空き家の増加、住宅を借りることが困難な状況などを考慮し、住宅セーフティネット制度がスタートしました。
住宅セーフティネット制度は、以下の3点の要素から成り立っています。
- 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
- 専用住宅にするための改修・入居に向けた経済的支援
- 住宅確保要配慮者と建物のマッチング・入居支援の枠組み
住宅確保要配慮者とは
セーフティネット住宅は住宅確保要配慮者に該当する方が利用できます。
住宅確保要配慮者に該当する方は「法律・省令・計画」ごとに定められており、以下のように定義されています。
法律で定める者 | 低額所得者、被災者(発災後3年以内)、高齢者、障害者、子ども(高校生相当以下)を、養育している者 |
住宅確保に特に配慮するものとして、国土交通省令で定める者 | 外国人、中国残留邦人、児童虐待を受けた者、ハンセン病療養所入所者、DV被害者、北朝鮮拉致被害者、犯罪被害者、生活困窮者、更生保護対象者、東日本大震災による被災者 |
都道府県や市区町村が供給促進計画において定める者 | 海外からの引揚者、新婚世帯、原子爆弾被爆者、戦傷病者、児童養護施設退所者、LGBTをはじめとする性的マイノリティ、UIJターンによる転入者、住宅確保要配慮者に対して必要な生活支援等を行う者、妊婦のいる世帯 |
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セーフティネット住宅の入居条件と費用
セーフティネット住宅にはどのような入居条件や費用がかかるのでしょうか?
それぞれご紹介します。
対象となる人
セーフティネット住宅の入居者は、住宅確保要配慮者であることが前提条件です。
住宅確保要配慮者について具体的にご紹介します。
低額所得者
公営住宅法に定める計算方法による月収が15万8,000円以下の世帯を指します。
高齢者
法律的に高齢者の明確な定義はなく、物件ごとに下限年齢が決められています。
要介護者となる場合、窓口へ相談し介護サービスを導入することで入居可能になります。
障害を持つ方
障害者基本法に規定されている障害を持つ方が対象です。
「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」を指します。
子育て世帯
18歳未満の子どもがいる世帯を対象にしています。
例外として、18歳となった子どもが年度末に至るまでの間も、子育て世帯に該当します。
被災者
災害の発生から3年以内で、災害により住居の確保ができない方が対象になります。
また、政令で定める大規模災害(東日本大震災など)に当てはまる被災者は、3年以上経過している方も支援を受けることが可能です。
外国人など
国土交通省令が定めている規定に該当する以下のような人です。
外国人 | 中国残留邦人 | 児童虐待被害者 |
ハンセン病療養所入所者 | DV被害者 | 拉致被害者 |
犯罪被害者 | 矯正施設退所者 | 生活困窮者 |
また、都道府県や市町村が供給促進計画を定めることで、地域の実情に応じて住宅確保要配慮者を追加できます。
以下のような
- 海外からの引揚者
- 新婚世帯
- 原子爆弾被爆者戦傷病者
- UIJターンによる転入者、妊婦のいる世帯
など、自治体によって対象範囲が拡大している場合があります。
入居に必要な費用
一般的な賃貸住宅と同様に、セーフティネット住宅にも入居にかかる費用があります。
入居にかかる費用は下記のとおりです。
- 敷金、礼金
- 初月分の家賃
- 共益費・管理費
- 家賃債務保証料(連帯保証人なしで、代行サービス会社に保証として支払う料金)
住宅確保要配慮者が低所得者であると必ずしも限らないため、家賃は他の賃貸住宅と比較して安いわけではありません。
ただし、月収15万8,000円以下の低所得者であり、住宅確保要配慮者を限定とした住宅に入居する場合は、家賃補助制度の対象となる可能性が出てきます。
なお、補助制度の有無に関しては、国と自治体により決定されるので、施策については相談窓口に問い合わせましょう。
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セーフティネット住宅のメリット・デメリット
セーフティネット住宅は、いくつかのメリット・デメリットが存在しています。
セーフティネット住宅のメリット・デメリットについてご紹介します。
メリット
まず、セーフティネット住宅のメリットは下記のとおりです。
- 住宅確保要配慮者であっても入居ができる
- 耐震面、居住面積などが国土交通省が定める基準を満たしている
- 都道府県指定の居住支援法人などから、入居相談・生活相談・見守りサービスなどのサポートを受けられる
- 連帯保証人を立てられない場合は、家賃債務保証サービスを受けられる
- 家賃や保証料の減免・補助が受けられる場合がある
デメリット
次は、セーフティネット住宅のデメリットを挙げていきます。
- 制度が決まって日が浅いため対象物件が比較的少ない
- 空き家によっては「居室面積が狭い」「築年数が長い」「駅まで徒歩の距離が長い」など条件が一致しない可能性がある
- キッチン・バス・トイレなどの設備が共用の住宅もあり、プライバシーの侵害を受ける可能性がある
- 入居者によっては、精神的に不安定など何らかの事情を抱え込んでいる場合があり、トラブルに発展する可能性がある
上記のとおり、セーフティネット住宅はメリットばかりではありません。
起こりうるケースを想定しつつ、セーフティネット住宅を利用するか考えていきましょう。
セーフティネット住宅の相談窓口
セーフティネット住宅に関して、質問事項や入居に関する相談をしたい場合、2種類の相談窓口を利用することが可能です。
セーフティネット住宅の相談窓口についてご紹介します。
居住支援法人
居住支援法人とは、住宅セーフティネット法を基準に居住支援を行う法人です。
NPO法人・一般社団法人・一般財団法人・社会福祉法人・居住支援を目的とする会社などが指定されています。
都道府県が指定した法人であり、賃借人に対する主な業務として、
- 賃貸住宅の情報提供
- セーフティネット住宅への入居に向けた相談
- 見守りなど、入居後の生活支援
- 家賃債務保証(連帯保証人が立てられないときの代行サービスを紹介する)
を行います。
ただし、居住支援法人が必ず4項目すべての業務を行う必要があるわけではありません。
法人によって業務の範囲が異なるので注意が必要です。
居住支援協議会
居住支援協議会とは、スムーズな賃貸住宅の入居の促進を目的として設立された協議会を指します。
地方公共団体・不動産関係団体・居住支援団体などの協力のもとに設立されています。
活動内容としては、物件を貸す側と借りる側に対して
- 双方への情報提供・斡旋などの支援を実施
- 賃借人向けには、前述した居住支援法人と同じ内容のサポート
- 大家等や要配慮者を対象とした講演会等の開催
などの支援を実施しており、住宅確保要配慮者の円滑な入居に向けて支援することを目的としています。
セーフティネット住宅に登録するには
物件をセーフティネット住宅に登録する場合、「セーフティネット住宅の情報提供システム」から申請可能です。
セーフティネット住宅の登録手順は以下のとおりで、
- 登録窓口への事前確認
- 事業者のアカウント登録
- 登録申請
- 登録情報の公開
の流れを通して、物件情報を公開できます。
物件を登録する際には登録基準に適合する必要があります。
具体的には、耐震性を有すること、住戸の床面積が25㎡以上であることなどが求められます。
登録基準については、都道府県が定める「都道府県・市町村賃貸住宅供給促進計画」において独自施策を設けている可能性があるので、登録窓口に一度ご相談ください。
セーフティネット住宅のまとめ
今回はセーフティネット住宅についてご紹介しました。
セーフティネット住宅についての要点を以下にまとめます。
- 「法律・省令・計画」で定める、住宅確保要配慮者に該当する方が入居対象となる
- 入居費用として、敷金・礼金・家賃・共益費・管理費などがかかる
- 「セーフティネット住宅の情報提供システム」を利用することで、登録基準に適合した物件を登録できる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。