現在の日本は超高齢社会を迎え、在宅介護が増えてきました。
在宅介護は、施設入居より費用の面では安いですが、介護者への負担は大きくなります。
在宅介護する方、される方への負担を軽くするにはどうしたらいいでしょうか?
本記事では在宅介護について以下の点を中心にご紹介します。
- 在宅介護サービスの種類について
- 在宅介護サービスを利用する方法
- 在宅介護で負担が大きいと感じることは
在宅介護について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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在宅介護サービスとは
在宅介護サービスには、大きく分けて「訪問型」「通所型」「宿泊型」「複合型」の4種類のサービスがあります。
それぞれのサービス内容やメリットを紹介します。
訪問型の介護サービス
訪問型の介護サービスにおけるメリットは、自宅にいながら専門の介護や看護が受けられるという点です。
また、療養上の管理などの医療サービスも受けられます。
寝たきりや身体を動かすことが不自由な方にとっては、便利な在宅介護サービスといえるでしょう。
訪問介護
訪問介護は、ホームヘルパーなどが利用者の日常を支援するサービスです。
家事全般や入浴、排泄や着替えなどをサポートしてもらえます。
ただし、訪問介護では、同居の家族など要介護者以外へのサービスはできません。
また、要介護1~5の方が対象となっている在宅介護サービスですが、要支援でも「介護予防訪問介護」という名目でサービスを利用することは可能です。
訪問入浴介護
寝たきりや足腰が不自由で、自宅のお風呂に入れないという場合に利用できる在宅介護サービスです。
要介護1~5の方が対象となっています。
基本的に看護師1名と介護士2名、計3人での介助で、介護度によっては浴槽、給湯器などを自宅まで持ってきての入浴も可能です。
訪問看護
病院になかなか行けない場合に、看護師が自宅を訪問し、医療的な処置や健康チェックを行う在宅介護サービスです。
訪問看護サービスを利用するためには、主治医の訪問看護指示書が必要になります。
利用者の健康状態により、看護サービスの内容も違ってきます。
要介護1~5の方だけでなく要支援1~2の方でも利用することができます。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、自宅にいながら専門の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がリハビリを行ってくれる在宅介護サービスです。
歩行訓練をはじめ、さまざまな機能回復に向けて訓練が行われます。
要介護1~5の方が利用できるサービスです。
居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などが直接自宅まで来て、医療的な管理や栄養指導を行ってくれる在宅介護サービスです。
生活習慣病などの持病や、入院するかどうか経過観察中の方などが対象となっています。
要介護1~5の方が利用できるサービスです。
夜間対応型訪問介護
午後10時から翌朝6時までの間、決まった時間にホームヘルパーが自宅に訪問する在宅介護サービスです。
定期的な巡回だけでなく、利用者が夜中に体調を崩す不安がある場合に、通報を受けて訪問する「随時訪問」や通報による「オペレーションサービス」などがあります。
また、組み合わせることで24時間の見守りサービスを受けることも可能です。
要介護1~5の方が利用できるサービスです。
定期巡回、随時対応型訪問介護看護
24時間、介護士と看護師が連携しながら見守ってくれるサービスです。
緊急の場合にはすぐに駆け付けてくれるサービスもあるので、利用者は安心して在宅介護を続けることができます。
要介護1~5の方が利用できるサービスです。
通所型の介護サービス
在宅介護サービスには、自宅で受けるサービスだけでなく、施設に通って受けるサービスもあります。
通所型の特徴やメリット
施設に日帰りで、利用することができるサービスです。
リハビリテーションの実施、認知症専門施設の利用など、様々なサービスがあります。
設備の整った施設で、個人個人に適したケアが受けられるというメリットがあります。
通所介護(デイサービス)
通称デイサービスといわれている通所介護は、日常的な生活の質の向上を目指した在宅介護サービスです。
家に閉じこもりがちな高齢者の方が他の人と接することで、刺激を受けたり、運動不足が解消されたりなどの効果があります。
レクリエーションも充実しており、生きる張り合いにもなります。
また介護者にとっても、一時的に介護から解放されるという大きなメリットがあります。
通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設など主治医が決めた施設に通って、リハビリテーションサービスが受けられます。
同じような言葉の響きに「デイサービス」がありますが、デイケアは、デイサービスよりも医療ケアに重点が置かれています。
運動機能の維持や回復、言語訓練など、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門家によるリハビリになっています。
要支援1~要介護5までの方が利用できるサービスです。
認知症対応型通所介護
認知症の方を専門としたデイサービスです。
認知症の特性に合わせたケアや介護が受けられるため、要介護者やご家族にとっても安心できるサービスといえます。
こちらは要支援1~要介護5までの方が利用できるサービスですが、医師による認知症の診断が必要となります。
地域密着型通所介護
利用者が18人以下の小規模デイサービスです。
デイサービスと同じように、食事や入浴などのサポート、生活機能訓練などを行います。
宿泊型の介護サービス
在宅介護、通所介護を利用する以外にも宿泊型の介護サービスがあります。
宿泊型の特徴やメリット
普段は在宅介護や通所介護を利用していても、介護者が何らかの理由で一時的に介護できないことがあります。
その場合は、宿泊型の介護サービスを利用することができます。
上手に活用すれば、介護施設への入居待ちのつなぎとして利用できるというメリットもあります。
短期入所生活介護(ショートステイ)
ショートステイは、1日からでも利用できる短期間の宿泊型の介護サービスとなります。
利用者が自宅で自立した生活が送れるように、短期間入所して必要なサポートを受けます。
また、ご家族が一時的に介護できない場合などに利用することもあります。
要介護1~5の方が利用できるサービスですが、要支援の方も「介護予防短期入所生活介護」として同じようなサービスを受けることも可能です。
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
介護老人保健施設といった療養病床のある病院に短期間入所して、必要な介護サービスを受けられます。
一般的なショートステイよりも、持病を持っているなど医療的な管理や介護を必要とする方が多く利用します。
要支援1~要介護5までの方が利用できるサービスです。
訪問+通所+宿泊の複合型介護サービス
介護者の負担を極力軽くするために「訪問」「通所」「宿泊」の3つのサービスを組み合わせた複合型介護サービスもあります。
複合型の特徴やメリット
複合型介護サービスのメリットは、3つのサービスを同じ施設のスタッフが行うことです。
状況を理解しているスタッフだからこそ、3つのサービスを柔軟に組み合わせて利用者に適したサービスが提供できます。
小規模多機能型居宅介護
在宅介護での訪問介護やショートステイなどのサービスを提供しています。
「訪問」「通所」「宿泊」の3つのサービスから組み合わせることができ、ニーズに合わせて利用が可能です。
看護小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護と看護訪問を組み合わせたサービスを提供します。
寝たきりなど介護度が高い方に対して、介護や生活支援だけでなく、医療ケアのサービスも提供します。
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住環境を整える
在宅介護では、住環境を整えることは介護者、要介護者にとって、負担の減少に繋がります。
必要性について
在宅介護の場合、要介護者にとって日常生活の自立を支援するため、住環境を整えることは非常に重要なことです。
介護保険を利用すれば、福祉用品や住宅改修も1~3割負担で済むため、経済的な負担も減ります。
福祉用具の購入やレンタル
福祉用具とは、日常生活を支援するための道具です。
たとえば足腰が不自由になると、車椅子が必要になる可能性があります。
寝たきり状態になれば、介護ベッドも必要でしょう。
自費で揃えると、大きな経済的負担になります。
そのような場合に、福祉用具を保険適用価格で提供するサービスです。
ただし、保険適用となる福祉用具は決められており、介護度によっては対象とならない用具もあるので注意が必要です。
介護リフォームによる住宅改修
高齢者の転倒などのケガは、自宅で発生することが最も多いです。
そのような事故を未然に防ぐため、手すりやスロープ、開閉しやすい扉にするなどのリフォームを行うサービスです。
リフォーム工事費用のうち9~7割を保険が賄ってくれるので、実質1~3割自己負担で済みます。
支給限度額は20万円までで、申請して必要な工事かどうかを審議されます。その結果、承認されれば工事着手となります。
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在宅介護サービスを利用する流れ
在宅介護サービスを受けるためには、どのような手順を踏むのでしょうか。
要介護認定を受ける
65歳以上の方の在宅介護には、介護保険によるいろいろなサービスがあります。
これらのサービスを受けるには、要介護認定を受ける必要があります。
1.申請
要介護認定を受けるには、お住まいの自治体の担当窓口で申請を行います。
2.訪問調査・主治医意見書
申請と同時に、本人の健康状況を視察するため、自治体から派遣された認定調査員による聞き取り調査が行われます。
また、主治医の意見書も必要となります。
3.審査・判定
聞き取り調査や医師の意見書などをもとに、判定が行われます。
その結果、要介護1~5、要支援1、2と7つの区分に分けられます。
非該当とされるケースもあります。
4.認定・通知
申請後、約30日程度で認定通知を受け取ります。
5.サービスの選択
在宅介護サービスの中から、どのサービスにするか選択します。
様々なサービスがあり、選択できないという場合には、ケアマネージャーに相談するといいでしょう。
6.ケアプランの作成
在宅介護で受けるサービスが決定すれば、ケアマネージャーによってケアプランが作成されます。
目標を決め、必要となる様々なサービスを受けることができます。
7.利用開始
ケアプランに沿ったサービスが行われます。
サービスを受けている途中であっても、ニーズに合わなければケアマネージャーに相談して、ケアプランの変更も可能です。
ケアプランを立てる
介護認定されると、すぐに在宅介護サービスを受けられるわけではありません。
お住まいの包括支援センターに連絡をして、担当ケアマネージャーを決めてもらいます。
担当ケアマネージャーと打ち合わせを行い、利用者に最も適したケアプランを立ててもらいます。
このとき大切なことは、何をしてもらいたいかという希望を、明確にケアマネージャーに伝えることです。
ケアプランを作成後でも、希望に合わなかったり、利用者の状態が変わったりすることもあります。
その場合は、ケアプランの変更なども積極的に申し出るようにしましょう。
在宅介護の負担とは
在宅介護は、環境が変わらないため、要介護者は精神的に落ち着くかもしれません。
しかし、介護者にとっては、様々な負担がのしかかってきます。
精神的な負担
在宅看護で最も多いのが、精神的な負担です。
介護に休日はないため、息抜きができず、精神的な疲れが蓄積していきます。
とくに認知症の介護では、暴言やコミュニケーションの難しさ、夜中の徘徊などによって、介護者の精神が病んでうつ病などを発症するケースも多くあります。
時間的負担
1日24時間のうち、介護に多くの時間を割く必要があります。
要介護度が上がれば、介護する時間は長くなり、自分の時間が少なくなります。
特に仕事をしている方にとって時間的負担は大きく、とはいえ仕事を辞めると経済的な負担が大きくなる、というジレンマに陥ります。
肉体的負担
介護は、肉体的負担の大きな作業です。
起こす、持ち上げる、車椅子に移乗するなど、多くの場面で肉体的な負担を強いられます。
とくに、男性を女性が介護する場合や老老介護する場合などでは、無理をして自分まで動けなくなってしまう可能性もあります。
経済的な負担
経済的な負担も無視できません。
たとえ介護保険が使えるとしても、在宅介護では紙おむつを始め、多くの介護用品が必要になってきます。
保険範囲以上の改修が必要になる場合もあるでしょう。
どれくらい続くかわからない介護期間ですから、経済的な負担への不安は続きます。
在宅介護で不安に感じる介護は何?
介護の内容にはいろいろあります。
そのなかでも、在宅介護で不安に感じている介護はどのようなものがあるのでしょう。
それは「入浴」「食事の支度」「排泄」が高い傾向になっています。
今後も在宅介護を継続できるかについても、「入浴」「食事の支度」「排泄」がネックとなります。
「問題はあるけれど、何とか続けていけそう」や「続けていくのは難しそう」と考える人が多くなっています。
これらの介護不安のため、働いている人も、今後仕事を継続できるか不安を抱いているのが現状です。
介護サービスを上手に活用し、在宅介護の不安を軽減する必要があります。
在宅介護のまとめ
ここでは、在宅介護について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 在宅介護サービスは「訪問型」「通所型」「宿泊型」「複合型」の4種類
- 在宅介護サービスを利用するためには「申請」「要介護認定」「ケアプラン」が必要
- 在宅介護で負担が大きいと感じることは「精神的」「時間的」「肉体的」「経済的」負担
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。